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福島みずほのどきどき日記

給食無償化、介護、長時間労働規制で質問 10/13参予算委

10月13日(木)の参議院予算委員会で、給食の無償化、要介護1、2の市区町村事業移管問題、長時間労働規制などについて質問しました。

○福島みずほ君 希望の会(自由・社民)の福島みずほです。
 まず、給食費の無償化についてお聞きをいたします。
 今年の三月、この予算委員会で、私は給付型奨学金の問題について質問をしました。当時、文部科学大臣が前向き答弁をしてくださいました。現在、文科省内に設置された給付型奨学金制度検討チームで議論が行われています。多くの人が期待をしています。給付型奨学金の創設と無利子奨学金の拡充を本当によろしくお願いいたします。
 今日は、給食の無償化について質問をいたします。小学校、中学校の給食費を無償化にするのにどれぐらいお金が掛かりますか。

○国務大臣(松野博一君) 学校給食に要する経費につきましては、給食施設整備費や人件費は学校の設置者が負担し、残りの食材費を保護者が負担することとなっております。この保護者負担分については正確な所要額を算出するのは困難でありますけれども、仮に公立の小中学校について学校給食費の平均額に完全給食を実施している児童生徒数を乗じて計算いたしますと年間四千四百四十六億円となります。

○福島みずほ君 小学校、中学校の給食費全部無料にするのに大体四千四百四十六億円、やれない金額ではないんじゃないかというふうに思います。
 給食費を無償化している自治体は、現在四十五ほどあります。私は、先日、埼玉県滑川町に視察に行ってきました。吉田昇町長や職員の方に話を聞き、小学校の給食風景も見させていただきました。滑川町は、十八歳以下の医療費の無料化と給食費無償化を実現をしています。給食の無償化は、子育て支援にもなりますし子供の貧困対策にもなります。給食費を払っていないので学校に行きたくない、あるいはお代わりができない、そういう話なども実はよく聞くんですね。みんなが就学援助をきちっともらっているわけでもありません。
 どうでしょうか、文部科学大臣。是非、給食費の無償化、自治体でやれているところがある、子供たちを応援する、いかがでしょうか。

○国務大臣(松野博一君) 先ほど、学校給食費の無償化に向けて年間四千四百四十六億円の追加経費が必要だというお話をさせていただきました。
 まず、財源確保の問題がございます。さらに、無償化した場合には学校給食を実施していない学校の児童生徒との公平性の問題も生ずると考えております。一方、生活に困窮をしている要保護、準要保護等の児童生徒約百五十四万人に対しましては、生活保護による教育扶助や就学援助によりまして学校給食費の援助が実施をされているところであります。
 文部科学省といたしましては、学校給食費の一律無償化については財源確保の必要性などの観点から慎重に検討する必要があると考えており、まずは小学校、中学校における学校給食の実施率の向上、学校給食の普及充実に努めてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 おっしゃったとおり、中学校で給食がないところがまだ少し残っているんですね。でも、逆に、お弁当がないから学校に行きたくないという話も聞くんですね。
 今、全国は、子供食堂など本当にボランティアで一生懸命やっています。自治体で頑張っているところもある。でも、これ、もう政府がやるべきではないか。
 食、食べ物、大事ですよね。一日に最低一回はバランスの取れたおいしいもの、栄養のあるものを子供たちがやっぱり食べることができる。貧困対策にも、子供の貧困は重要なテーマですし、子供は、子育てはお金掛かりますから、子育て支援にもなると思います。是非、文部科学大臣、進めてください。
 財政のことをおっしゃいました。でも、例えばパナマ文書が明らかにしたようなタックスヘイブンにおける個人や法人のその税逃れというか、まあ節税かもしれませんが、そのお金は何十兆円にも上ると言われています。国際金融取引税をきっちり課すとか、お金の取り方とお金の使い方を変えて、今こそ子供たちを応援してほしい。
 是非、この給食の無償化、自治体で四十五自治体ほどやっていますので、そのことも、私たちもずっと視察に行こうと思っていますし、実際滑川町に行きましたが、是非文部科学省で子供を応援してくださるように、財務省も是非、もう四千四百四十七億円で全ての子供たちが小中学校、子供、給食食べれるんであれば是非応援していただきたい、そう思っております。
 次に、介護保険の問題についてお聞きをいたします。
 昨日、十月十二日の社会保障審議会介護保険部会で、軽度者、これは要介護一、二のことだと思いますが、軽度者の生活援助の介護保険適用をやめるのか継続するのか、はっきりしませんでした。軽度といっても、要介護一、二、この生活援助、これを介護保険給付から外して、地域に、自治体に移管しないように是非よろしくお願いしたい。厚生労働省の決意をお聞かせください。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今先生、報道のお話をお触れになられましたが、まず第一に、今やっていることは、御案内のように、経済財政諮問会議で取りまとめた経済・財政再生計画の改革工程表、ここに、軽度者に係る生活援助、福祉用具貸与及び住宅改修等に係る負担の在り方について、関係審議会等において検討し、二〇一六年末までに結論と、こう書いてありまして、今社会保障審議会の介護保険部会において議論をしているところでございます。現在はこの部会での議論が進んでいるというところで、何ら結論が出ているわけではまだございません。
 今後ともしっかりとした議論をしていきたいと思っておりますし、今軽度者というのは何だと、こういうことでありますけれども、これも、この範囲も含めて御議論をいただきたいと思っておりますが、私たちが大事にしたいというのは、やっぱり介護保険は言うまでもなく高齢者の自立を図り、そしてまた重度化を防ぎ、さらにこの制度を持続可能なものにすると。同時に、必要なサービスはやっぱりしっかりと提供できるようにするということを同時にやっぱり解決をしていかなければならないと思っておりますので、そういう観点からしっかり議論をしていただきながら私たちも考えていきたいと、こう思っております。

○福島みずほ君 介護保険の改悪、二〇一四年で要支援一、二の通所と訪問サービスが介護保険給付から外れて地域包括ケアセンターに行くことになりました。来年の三月で完全施行になります。現在、四月時点で三二・七%しかまだ移行していません。まだこんな状況なのに、これに加えて要介護一、二の生活援助までも介護保険給付から外して地域移行となったら大混乱だと思います。
 そして、要介護一、二の生活援助って本当に大事です。私は、両親もそれから義理の母も、みんな介護保険のお世話になってきました。だから、まさに女の独り暮らし、男の独り暮らし、あるいは高齢者の生活を支えるのにこの生活援助が大きな役割を果たしています。全国の皆さんは、これが外れるんじゃないか、そうしたらもう独り暮らしができない、あるいはもう死ねというのかという声も本当にお聞きします。これは、要介護一、二の生活援助を外さないでくれということを強く要請します。
 もう一方で、生活援助の報酬引下げも報じられています。報酬引下げは事業者の廃業や撤退の原因となって、最終的には利用者が不利益を被るといった問題が生じます。また、昨日の分科会の中でも、保険給付の割合を大幅に引き下げる、つまり利用者負担を引き上げろという提言もあります。
 これは是非、年収二百万以上の人は一割負担が二割に二〇一四年の改正でなりました。これでもう、またみんなひいひい、本当にひいひい言っています。利用者の負担増、これは起きないように、介護保険、今こそ守ってほしい。厚生労働大臣、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど申し上げたとおりであって、やっぱり我々、こういうときは原点に立ち返るということが大事でありまして、介護保険の理念というのはさっき言ったとおりで、高齢者の自立を支援し、介護の重度化を防ぐと。
 そして、制度は長もちをしないといけませんから、そのことも考えながら、同時に、今お話があったように、必要なサービスというのはやはり確保されなければならないということも同時に達成しなければいけないというふうに思っておりますので、さっき申し上げたとおり、まだ審議会では議論が進んでいるところであります。いろいろな御意見がありますし、財政審の方は財政審でいろんな御意見が出ていますが、私どもの審議会ではしっかり今の原点を踏まえながら答えを出していきたいというふうに思います。

○福島みずほ君 要介護一、二の生活援助を介護保険給付から外さないでほしい、そのことも強く要請します。
 憲法二十四条についてお聞きをいたします。(資料提示)
 自民党日本国憲法改正草案は、憲法二十四条で「家族は、互いに助け合わなければならない。」としています。さらっと読むといいことじゃないかと思うかもしれませんが、今実際、社会保障の中では、生活保護の引下げと改悪、年金の抑制、介護保険の切捨て、そして医療の負担増が起きています。家族が互いに助け合ったら家族共倒れ。
 私も子育てしてきましたから、学童クラブにも保育園にも介護保険にも、全部お世話になってきました。家族が助け合うことは当然としても、社会保障の切捨てのためにこの条文が使われるんじゃないか。どうでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 社会保障は社会保障としてしっかり議論をしていきますので、今のことと直接つながる話ではないと思っております。
 家族というのは、やはり社会の基礎、基本であります。個人の生活のベースとなる大切なものでありまして、しかし、経済的に苦しい、あるいは子育てや介護など支援が必要など、家族をめぐる状況はそれぞれ様々であります。社会保障制度は、そういうような家族のいろんな状況がきめ細かく対応をされないといけないというふうに思っています。
 家族そしてまた個人を支え、そして一人一人が安心して暮らしていくことができるようにするのが社会保障でありますので、こういったことを踏まえてしっかり社会保障について議論をしてきたと思っております。

○福島みずほ君 家族の中には、DVがあったり児童虐待があったり、助け合いたいと思っても問題を抱えているところもある。今厚生労働大臣おっしゃったように、家族も様々です。また、独り暮らしの人もいて、家族という形を持っていない人もいるかもしれない、身寄りのない人もいるかもしれない。家族は互いに助け合わなければならないと憲法改正案に書くことは、私は問題だというふうに思います。これは、社会保障の切捨て、自己責任の強化になってしまうのではないでしょうか。
 次に、雇用についてお聞きをいたします。
 電通の二十四歳の女性が月に百時間以上の残業で過労自殺をされてしまいました。労災認定が認められました。余りの長時間労働、そして労災認定、本当に問題であるというふうに思います。
 例外のない極めて厳格な長時間労働の規制をしっかりやるべきだ。いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 電通の問題についてお触れをいただきました。このことについては昨日も質問が出ましたが、まず、お亡くなりになった新入社員の方、今回女性でありましたが、御冥福をまず心からお祈り申し上げたいと思います。
 私どもは、この長時間労働をなくす、意に反して長時間の労働を強いられるというようなことは決してあってはならないということで、私たち、今働き方改革を更に進めていこうというふうに考えているところでございまして、これは実現会議が、もう既に働き方改革の実現会議が始まっておりますので、これについてしっかりやっていきたいと思いますが。
 今回の事件については、平成三年に業務により発病した精神障害を原因とする自殺事案が発生をした、そしてその企業の責任が争われた民事訴訟で最高裁まで争われたことがございました。この同じ企業でこういうことが起きたということでありまして、これは十月の十一日、おととい東京労働局長が電通の幹部を呼んで、こうしたことが再び起きることがないように、労働時間管理の適正化あるいは実効ある過重労働対策を講ずるようにしっかりと指導したところでありまして、厚生労働省としても過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を行ってきてはおりますけれども、今後とも更にこれを厳しくやっていきたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 労働基準監督署が頑張るのは当然で、その決意は有り難いんですが、労働時間規制をしない限り、企業の責任もあります、でも、長時間労働の規制、三六協定が例外が認められていたり青天井になる場合がある、これを規制しない限り悲劇は繰り返しますよ。
 そして、そうおっしゃりながら、大臣が、ホワイトカラーエグゼンプション、一定の年収の人であれば労働時間規制を一切なくしてしまう、そんな法案、継続しているじゃないですか。一方でやりますとおっしゃいながら、一方で殴り付けているようなものですよ。労働時間規制なくしたら本当に過労死が出ますよ。その意味で、まさにホワイトカラーエグゼンプション、廃案にすべきだということを強く申し上げます。
 次に、稲田大臣にお聞きをいたします。
 「正論」の中でこうおっしゃっています。「核に限った話ではないですが、私は国防全体を、アメリカの進む道と日本の進む道はそもそも違うという観点から考えなければならないと思っています。」。
 どう違うんでしょうか。

○国務大臣(稲田朋美君) 一昨日の委員の質問もそうなんですけれども、一体いつの、どの私の発言であるかということは全く質問通告をいただいていないわけです。あらゆる政治家の発言は、その当時の状況の下で、そして文脈の中でそういった発言をしていて、一行だけを取り出されて、しかも、多分野党時代の私の一個人の発言であろうかと思いますが、全く文脈なく、状況の説明もなく、今の質問についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

○福島みずほ君 駄目ですよ、そんなんだったら。
 これはずっと、白眞勲さんも取り上げて、私も言った、「正論」の二〇一一年三月号で、繰り返し同じことを聞かれているじゃないですか。この中で発言されています。
 では、続けます。
 今の発言の続きにこういう発言が続きます。「経済政策でもアメリカ流の金融グローバリズムや弱肉強食の自由主義、市場万能主義が日本の国柄に適うとは思えないし、世界を混乱させてしまうのではないかということを日本として言っていく必要があると考えています。しかし国防がすべてアメリカ任せという現状では、それができない。」。
 防衛大臣にお聞きします。国防は全て現状でアメリカ任せなんですか。

○国務大臣(稲田朋美君) 当時の、野党時代の発言であり、私自身は日本らしさを主張すべきであるということをその中で言っているのだろうと思います。もう全部読んでいないので分かりませんけれども。
 そして、アメリカ任せって、日本の場合は、我が国自身の防衛力、そして日米同盟の強化、さらには関係諸国との関連を強化する、この三つが必要だろうというふうに思います。そして、その発言をした当時に比べればずっと、安倍政権になってから平和安全法制の成立等、日米同盟は大変強化されているというふうに認識をいたしております。

○福島みずほ君 これ、ひどい発言ですよ、防衛大臣。「国防がすべてアメリカ任せという現状では、それができない。」、この後にこう続きます。「短・中期的には、アメリカの核の傘を頼る、あるいはシェアするということで乗り切るにしても、」、これ、核保有ということですよね、「長期的には日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべきではないでしょうか。」。私は別に切り取って言っていません。これは、あなたが実際発言しているんですよ。あなたの信念だったんじゃないですか。
 TPPに関したって、アメリカと違うんだったら、グローバリゼーションが間違っているんだったら、瑞穂の国は守れないじゃないですか。TPP反対で信念貫きなさいよ。
 そして、ここもひどいですよ。アメリカの進む道と日本の進む道は違う、しばらくはアメリカの核の傘に頼ってシェアするけれども長期的には日本独自の核保有をやるべき、「議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべきではないでしょうか。」。核武装論を言っているじゃないですか。これは、野党とか与党とか関係ないですよ。あなた自身の信念じゃないですか。それが、あっという間に変わるんですか。しかも、答弁すらしないじゃないですか。

○委員長(山本一太君) 福島みずほ君、時間が終わっておりますので。

○福島みずほ君 はい。(発言する者あり)はい。

○委員長(山本一太君) ここで終わってください。

○福島みずほ君 アメリカ任せが国防であると言う防衛大臣は、防衛大臣としての資格はない、辞めるべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
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5/17参予算委 震災補正予算 公務員削減など質問

5月17日(火)の参議院予算委員会で、震災関連の補正予算が審議され、給付型奨学金、熊本・大分大地震と公務員削減、水の供給、川内原発、伊方原発、パナマ文書について質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 返さなくてもよい奨学金、給付型奨学金について質問をし続けてきました。
 総理は、三月二十九日、給付型奨学金の創設を記者会見でおっしゃいました。ニッポン一億総活躍プランに給付型奨学金が盛り込まれるということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(馳浩君) これまでも議論してまいりました。一億総活躍国民会議において最終的にまた判断されることと、また当然、来年度の予算編成に向けての議論ということもございます。
 今までも、改めて申し上げますけれども、同世代の税の負担の公平性、分配の在り方という観点と、財源、対象をどうするか、給付の在り方をどうするかと、こういう観点から、私はやはり、特に低所得の世帯や児童養護施設のお子さんなどは中学生のときにもう大学進学を諦めざるを得ない状況のお子さんがいらっしゃるではありませんかと、ここにやはり着目すべきではありませんかということでの議論を私は進めてまいりましたが、これは政府全体の中で議論をした上で判断すべきものと思っております。
 引き続き関係各省と協議をしながら、最終的には総理が判断されると思いますけれども、私はそういうふうな議論が十分に詰められるべきと、こういうふうに考えております。

○福島みずほ君 総理が記者会見でおっしゃったわけですから、ニッポン一億総活躍プランに盛り込まれると確信をしております。そうでなければ記者会見がうそだったということになりますので、是非よろしくお願いします。
 次に、公務員の削減についてお聞きをいたします。
 熊本・大分地震なんですが、私は宮崎県出身です。でも本籍地がずっと熊本で、親類、知人、友人、大変な目に遭っています。改めて、被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 公務員の削減がずっと続いてきております。(資料提示)二〇〇〇年から二〇一五年までの十五年間、全国の都道府県職員数は一〇%減少し、市町村職員数も一九・二%減少をしています。それで、二〇〇〇年から二〇一五年までの十五年間で、熊本県職員は一般行政部門でこれも二〇・九%減少、そして大分県の職員もこれは一九・四%減少をしています。要するに、二割から三割、それぞれ減少をしています。
 地方公務員の削減によって、震災に極めて脆弱な地方都市がつくられてしまっているんじゃないか、総理、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 各地方公共団体の定員管理については、各団体において自主的に御判断いただくものでありますが、総職員数を抑制する中においても、防災対策に携わる職員や福祉事務所また児童相談所等の職員数は増加させるなど、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置が行われているものと承知をしております。

○福島みずほ君 いや、しかし実際、地方公共団体で職員が減って、やっぱり手が回らない、三割も減ったらやっぱり手も回らないというのが現状です。やはりこれは、公務員の削減やればいいんだということでは災害が、本当に弱くなると思います。
 罹災証明書の発行についてですが、この点について、今日も何度かありましたが、熊本県内全体の申請と発行を改めて教えてください。

○国務大臣(河野太郎君) 五月十五日現在でございますが、熊本県内で申請数が約十万件でございます。そのうち、一次調査が終了しているものが九万、交付済みが三万件となっております。

○福島みずほ君 益城町、それから南阿蘇村は今ゼロです。ですから、調査をしなければいけないというのは分かりますが、圧倒的にマンパワーが不足している。実際、被災した公務員が現地になかなか入れない、あるいは人が足りないというのが現状です。
 このことからも、やはり公務員三割とか十五年間の間に削減されている、これは問題ではないでしょうか。

○国務大臣(河野太郎君) 益城町は今、罹災証明の申請が一万二百件、南阿蘇は千七百件になっております。我々は順次罹災証明書を交付をしても構いませんということを申し上げておりますが、この二つの自治体は全部一括で調査をした上で一括で交付する方が事務の上で効率的だというお考えから、南阿蘇は五月十九日から、益城町は五月二十日から一斉に交付を始めるということでございますので、私どもとしてはそれでも構いませんということでバックアップをさせているところでございます。
 二つの自治体、今現在は交付件数はゼロでございますが、それはそういう理由からでございまして、五月中には罹災証明書の交付ができるのではないかと思っております。

○福島みずほ君 全国の自治体からの応援も、人員が減っている中で応援を出してくださっている。やはり災害などになるとどうしてもそれは本当に大変で、一方的にこの人員削減は問題があったと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、こういう異常事態においては、それはその体制を常に整えておくというのはこれは無理です。今回も、罹災証明書については、国から五十名、そして全国から六百名以上今現地に入っておりますが、それをでは常時抱えていろということであれば、これはまさに効率化の観点からいかがなものかと、こう思うわけでございます。
 言わば地方公務員も、公務員もそうでありますが、それぞれ地域の皆さんの税金によって地方公務員の皆さんの給与をこれは賄っているわけでございます。そうした観点からも、効率化を図りつつ、しかし、先ほど申し上げましたように、防災等については増員を行っているところもあるわけでございますし、基本的には各自治体で、効率化の観点から、そして現状の様々な変化の中から適切に対応していくことが求められているのではないかと、このように思います。

○福島みずほ君 水の供給についてお聞きをします。現在どうなっているでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 水道の問題でございますね。今回この熊本地震で、当初約四十四万六千戸が断水をいたしました。しかし、今、家屋等が倒壊をしているところで千七百五十五戸断水が続いておりますけれども、それを除くと三百六十一戸を残すだけで、九九・九%復旧をいたしました。
 いまだ断水が続いている水道の復旧の見込みとしては、小規模な漏水が原因であります三百三戸については今後一週間程度、それから周辺一帯の土砂崩れや水道施設の損壊等の事情がある五十八戸は約一か月程度掛かるということで、引き続いて一日でも早い復旧に努めてまいりたいと思います。

○福島みずほ君 厚生労働大臣、この熊本と大分の自治体職員推移数なんですが、まさに水道部門で、熊本では三四・四%減少、大分でも三一・一%減少です。全体の日本全国では三五・一%減少です。
 現場から人員削減やコスト削減を優先してきた政策は問題だったんじゃないか。あるいは、技術の伝承がとても大事で、これを本当にやっぱりやらなくちゃいけない。ですから、民営化なんてやれば全国で応援体制とかいうのも組みにくいわけですから、これについての厚生労働省のお考え、やっぱりこういう公共サービス、水道など応援すべきではないか、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 災害時の応急給水とか応急復旧におきましては、これを支える職員の確保、確かに非常に重要な問題であるわけであります。
 今回は、厚生労働省の職員も被災地の市町村をそれぞれ回って、支援要請をしっかりと聞いた上で、日本水道協会あるいは全国の管工事組合の皆さん方約千人体制で、今も六百人ぐらいの体制で当たっておりますが、被災地の水道が復旧を今進んでいるわけであります。
 こうした災害への対応を含めて水道事業を安定化させていくには、水道事業者の人材面、それから経営面の基盤が安定していることが大事でありまして、そこで、そのための有効な方策として考えられているのが今、水道事業の広域化でございまして、このために、平成二十七年度予算から水道施設整備の交付金のメニューとして広域化に資する施設整備を追加するなどの施策に取り組んでまいりました。
 また、水道施設整備予算については、事業仕分がございましたが、これを契機に、公共事業の削減という中で、平成二十一年度予算から最大三分の一にまで予算が激減をいたしました。今、平成二十七年、八年度と引き続きしっかり増額を図っているわけでありますけれども、この予算では老朽化の対策が遅れて、今回のように熊本市内でも至る所で漏水をまだしているという状況でございます。
 我々としては、厚生科学審議会生活環境水道部会の水道事業の維持・向上に関する専門委員会で、広域化を推進しようということで、都道府県が果たす役割などについて議論をしておりまして、広域化が更に推進するように頑張っていきたいと思います。

○福島みずほ君 障害のある人、高齢者、病気の人への避難所における対応についていかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど福祉避難所の話も出ましたけれども、現在、避難所に避難されている方が約一万人程度、そして避難生活が長期化する中で、特に避難をされている障害のある方、そしてまた高齢者の方々、そういった方々の健康管理は特に重要だと思っております。
 このために、現地の保健師に加えまして、全国の自治体から派遣をされた保健師のチームなどが中心となって、避難所それから公園、それから車の中で休んでいらっしゃる駐車場を巡回をいたしまして、障害のある方々、あるいは高齢の方も含めた避難者の健康管理、そして心のケア、医療、健康、福祉のニーズの把握を今全面的に行っているところでございます。
 このニーズに応じて、関係者と情報を共有をいたしまして、医療、福祉などの必要な支援につなげているわけで、特に今ますます重要性が増しておりますのは専門的な心のケア、精神科の医師等の派遣、いわゆるDPATによる支援を行っているわけでありまして、今、熊本県、厚労省、そしていろいろな関係団体によって、職員派遣・支援調整協議会をスタートさせておりますので、ここでしっかりとニーズを把握をして、そしてそれぞれ適切なサービスが行き届くように努力をしているところでございます。

○国務大臣(丸川珠代君) 地震発生直後に環境省の動物愛護の担当職員を熊本に派遣をいたしまして、県や市、町と一体となって対応を進めてまいりました。避難所でペットの飼育スペースを確保するためのケージを環境省から百二十基提供したほか、健康上の理由で一時的にペットを預かってもらわなければいけないというような方に対して無償で対応する事業を市の動物愛護センターと合同で九日から始めております。
 また、益城町においては、町や避難所の指定管理者とともに、避難者の皆様が無償で利用ができるペットの飼育専用施設を整備して、十六日に運用を開始しております。
 仮設住宅でのペットの飼育についても、熊本市長、また益城町長にも直接お願いをさせていただいておりまして、今後とも、熊本県とともに、関係の市町村に御配慮いただけるようにお願いをしているところです。

○福島みずほ君 今唯一動いている原発は鹿児島の川内原発です。今回はこれまでの地震学の知見を大きく覆す地震でした。複数の断層が連動した地震であり、繰り返し地震が起きています。余震の回数も過去に例を見ない頻度で続いています。地震学者たち、防災科学技術研究所の都司嘉宣客員研究員や渡辺満久教授など、川内原発への影響を危惧しております。
 川内原発は運転を中止すべきではないですか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) お答え申し上げます。
 今回起こりました熊本地震、布田川断層帯と日奈久断層帯の連動というようなことが言われていますけれども、私どもの審査におきましては、この二つの断層帯が同時に動くという、九十二・七キロメートルにわたって同時に動くということを仮定し、そのときのマグニチュードが八・一、その場合に川内原子力発電所に与える地震の影響は百ガル程度というふうに評価しております。今回、そういった様々な地震動を仮定して、川内原子力発電所に設定されております基準地震動の地震加速度は、水平で六百二十ガル、鉛直速度で三百二十四ガルになっております。
 実際に今回の地震によって川内原子力発電所で観測された地震加速度は、水平で数ガルから十数ガル程度、鉛直ではほとんど観測されていないという状況であります。原子炉は、そういった基準よりもずっと早い段階で原子炉が停止するように設定してありまして、それが八十から二百六十ガルで自動停止するようになっております。
 こういった状況を踏まえて、先月十八日に、原子力規制委員会の臨時会議を開きまして、その状況を検討して、現在のところ、川内原発を止めるだけの理由はないという判断をさせていただいたところでございます。
 今後、地震まだ続いておりますので、引き続き状況を注視して、適切な判断をしていきたいと考えております。

○福島みずほ君 基本的に地震の予知はできません。地震学者たちも警告をしています。私たちが本震と思ったのは前震だった。今も続いています。こんな状況で川内原発を動かしてはなりません。
 次に、伊方原発についてお聞きをします。
 これは、高知大学防災推進センターの岡村眞特任教授は、今回の震源の延長線上に中央構造線断層帯があり、伊方原発との距離が僅か六キロメートルと指摘をしています。伊方原発の再稼働は中止すべきではないですか。

○政府特別補佐人(田中俊一君) 伊方原発についてのお尋ねですが、伊方原発の基準地震動の設定に当たりましては、中央構造線断層帯全体と別府―万年山断層帯約四百八十キロメートルが一気に動いた場合も考慮して評価し、その基準地震動は六百五十ガルと仮定しております。なお、鉛直方向については、いわゆるこういった断層帯を仮定しない地震動というのもありますので、それを仮定して四百八十五ガルということになっております。
 また、南海トラフの巨大地震が心配されますが、これについては、M九という最大クラスの地震が起こってもその基準地震動を十分下回ることを確認しております。
 原子力規制委員会としても、こういった判断はしておりますけれども、最新の科学技術的知見を踏まえて、今後とも注意深くそういった周辺の地震動については判断していきたいと思っております。

○福島みずほ君 中央構造線においては、一五九六年に、九州、四国、近畿の三か所でマグニチュード七レベルの地震が連発をしました。今後、地震が中央構造線に沿って拡大する危険性を指摘する地震学者もいます。専門家が指摘し続けてきたことを無視した結果起きたことが福島東電原発事故です。ですから、やはり危険あるいは可能性がある、それを指摘する人があれば、謙虚に考え、川内原発は停止し、かつ伊方原発は再稼働すべきではありません。
 次に、パナマ文書についてお聞きをします。
 パナマ文書について、なぜ政府は調査をしないんですか。

○国務大臣(麻生太郎君) 個別のまず納税者に対して税務調査を行うかどうかということなんだということをお聞きになりたいんだと思いますが、これは、課税をいたします当局側としては、具体的な対応についてお答えするということは差し控えさせていただきます。
 ただ、一般論として申し上げさせていただければ、国際的な租税回避事案というものへの対応を専門に担当する部署というのを設置するなど体制の充実を図っておりますが、あらゆる機会を通じて情報収集を図って、問題のある取引というのが認められれば税務調査に入るということでありまして、これは適正、公平な課税の実現に努めるべきでありますし、そのように努めているものと承知をしております。
 また、先月ワシントンで行われましたG20におきましても、いわゆるパナマ文書に関連して、いわゆるBEPS、BEPSというのは税源浸食と利益移転のことですけれども、BEPSとか、非居住者の金融機関口座の自動的情報交換を、今加盟しておりますOECDの国より多くの国が着実に実施していくことの重要性が確認をされたところでありまして、私としては、三年前の五月のバッキンガムシャーでのG7での議論を取り上げたのが始まりなものですから、国際的な租税回避とか脱税の防止に積極的に取り組んできたんですが、今週末、G7の仙台の財務大臣会合においても、今後ともこの国際的な議論というのを引き続きリードしていかねばならぬと思っております。

○福島みずほ君 パナマ文書が提起している問題について、政府は全般的にきちっと調査し、何が問題か洗い出すべきではないでしょうか。
 私たちは、国民は、市民は、マイナンバーによって一人一人捕捉され預貯金も分かられる、ところが、とっくの昔に富裕層、大企業が海外に資産を移している。脱法ではないかもしれないけれど、ジャスティス、公正ではありません。これにやっぱりメスを入れるべきですよ。これにメスを入れなければなりません。
 トービン税、国際金融取引税など、きっちりこれを取れば、これを捕捉し税金を掛けることができます。是非、日本がトービン税掛ける、そしてパナマ文書に切り込んでいく、でないと富裕層、大企業に甘いというふうに思われますよ。これはきっちりメスを入れるべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。
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障害児保育、沖縄空襲で質問 5/10参厚労委

5月10日(火)の参議院厚生労働委員会で、障がいのある子どもの保育と沖縄空襲について質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 私は、本日は、障害のある子供の保育の問題と、空襲、とりわけ沖縄空襲の実相についての調査の要請の二点をお聞きしたいと思います。
 保育園落ちた日本死ねで、まさしく保活が大変で、待機児童問題は切実です。そして、障害のある子供を持っている親御さんがまさに大変で、私の知り合いにも、弁護士で障害のある子供が生まれた、障害が重いのでなかなか仕事に復職できない、やはり障害を持った子供の御両親、とりわけ仕事との両立が極めて困難になるということについて、これは是非、障害のある子供、今年の四月一日から障害者差別解消法が施行になりましたし、どうやって子供の赤ちゃんのときから一緒に生きていくのか、また親への支援も必要です。そのことを是非もっと取り組んでいただきたいということでお聞きをいたします。
 障害を持つ子供の保育の現状に関して、厚生労働省並びに総務省はどのように把握をしていますか。

○政府参考人(香取照幸君) 御答弁申し上げます。
 平成二十六年度の保育園におきます障害のあるお子さんの受入れ状況ですが、公立保育園、二十六年度九千七百六十五か所のうちで七千二百六か所、私立につきましては一万四千六百三十か所のうち八千二百二十三か所、合計しますと、全ての保育園二万四千四百二十五か所のうち一万五千四百二十九か所において、全体で五万六千九十六名の障害のあるお子さんをお預かりしております。
 お子さんの受入れに伴いまして実は保育士の加配ということを行っているわけでございますが、これにつきましては平成十五年度から一般財源化をしておりまして、地方交付税で措置をされておるということでございますので、そういう意味でいうと補助金という形で配っておりませんので、予算等々については一応確認は私どもではしておりませんが、平成十九年度からこの交付税措置の対象となる障害の程度を軽いお子さんにまで拡大をしておりまして、保育士の配置基準につきましても、こういったお子さんたちについては二対一で配置をするようにということで私どもの方で御指導申し上げているということでございます。

○政府参考人(内藤尚志君) お答えを申し上げます。
 私どもは、保育所におきます障害児の受入れについての経費につきまして、平成十五年度から一般財源化されておりますので、それを地方交付税できちんと措置をするという立場でございます。
 保育所運営費の一部としてこの障害児保育の経費につきまして措置しておりますけれども、具体的には、在籍児童一人当たりの単価を設定をいたしまして、その単価に在籍する児童数を乗じることで地方交付税の算定を行っているところでございます。その際、単価につきましては、通常の保育所運営に係る経費に一般財源化された障害児保育に要する経費を加算して設定しているところでございます。

○福島みずほ君 厚生労働省、総務省、人員配置及び職員の加配状況の把握はしていますか。

○政府参考人(香取照幸君) 今申し上げましたとおり、補助金との対応関係にはありませんので、一応基準はお示ししておりますけれども、障害児に特化した職員の配置がどうなっているかということについては私ども把握しておりません。

○政府参考人(内藤尚志君) 私どもの方も把握はしておりません。

○福島みずほ君 結局、障害児を保育する場合の基準はあるし、一般財源化でお金を出しているけれども、実際どれぐらい職員がいてどれぐらい加配しているかという実態は厚生労働省も総務省も把握をしていないんですね。つまり、本当にどこにニーズがあって、どこが足りなくてどうかという調査を両方ともやっていないんです。これはやるべきではないでしょうか。
 一体、本当にみんなが何に困っているか。障害児保育の経費が一般財源化され、地方交付税で措置されることによって保育所運営費全体の中に溶け込んでしまい、そのうち何%が障害児保育に使われているのか、どのような部分が不足しているのかが見えなくなっています。これを見える化して、しっかり障害児保育について問題を立てるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) 障害のあるお子さんの保育の実施状況につきましては、先ほど申し上げましたような形で各自治体に調査を行いまして、どのくらいの保育園が受け入れている、あるいは実際に受け入れているお子さんの数がどれくらいかということは毎年把握しておりまして、これは例年また今よりちょっとぐらいの時期に全国会議というのを行いますけれども、そこで公表しております。
 また、地方交付税上の措置ですとか、あるいは公定価格上の措置につきましても、先ほど総務省さんからもお話がありましたが、こういった内容につきましては自治体等に周知をしていると。
 今般、子ども・子育て支援制度が施行されまして一年を経過したということでございます。障害児については、何といいますか、通常のお子さんと同じような形で保育をする局面と、言わばそのお子さんに特化して手当てをする局面がありますので、人の配置も通常のお子さんと同じように配置をした上で加配をするという形になっているわけですけれども、新制度の下で実際、保育の実態がどうなっているのか、あるいはお子さんがどういった形で保育されているかについては、やはり一応私どもとしてもある程度実態をきちんと把握するということは必要ではないかと思っております。
 ただ、そこをどういった形で調査をするか、それと、今言ったような、交付税措置で措置されていることとの関係なんかも整理しなきゃいけませんので、調査のやり方、項目等々についてはしばらく検討のお時間をいただきたいと思いますが、実態把握についてはちょっと考えなければいけないというふうに思っております。

○福島みずほ君 実態調査が必要だという局長の答弁がありました。それぞれ保育園でどれだけ受け入れているかというデータはあるわけです。しかし、実際、加配状況はどうか、あるいはその保育園に入ることができない子供たちがどれぐらいいるか、親はどんなことが大変なのかということは、厚労省も総務省も把握していないんですね。これは本当に大事なことではないか。
 局長が実態把握に努めると今日答弁されたので、是非、障害を持つ子供の親の就労状況や経済状態、子供の保育、ニーズ、何が大変なのか、これは掘り起こすと本当にたくさんの課題が出てくると思いますが、実態調査が重要だという認識は今日示していただきました。逆に言うと、今まで実態調査をしていないことが問題ではないかとは思いますが、今日の答弁で実態調査をするということなので、いつ頃どういう形で、どう進めて、どう改善するか、意欲を示してください。

○政府参考人(香取照幸君) 先ほど申し上げたとおりなのでございますが、基本的に障害のあるお子さんの保育につきましては、保育士の加配は申し上げましたように二対一でお願いをする、一般財源化をするということになっておりまして、そういう形になっているわけですけれども、子ども・子育て新制度ができました後、消費税財源を活用して全体に質の向上を図るということで、こういったお子さんたちのための言わば療育支援加算というものを公定価格に乗っけて措置をしております。そういった形で私ども様々な手当てをしております。
 また、子ども・子育て新制度ができまして、いわゆる施設型の認可保育以外に地域型保育ということで小規模保育その他様々な多様な保育サービスを用意しましたが、こちらにつきましてもそれぞれ、障害児二人に対して保育士一人の加配というのができるような加算措置を講じております。
 こういった措置を私どもも講じておりますので、そういった措置が実際に現場でどのように生かされているのか、形になっているのか、どこが足りないのか、そういったことについては、先ほど申し上げましたように、どういう調査の仕方をするかはこれからちょっと少しお時間をいただかないといけないと思っておりますが、きちんと把握をして、必要な措置をこれから検討していけるように努力してまいりたいと思います。

○福島みずほ君 今まで実態調査がされなかったということは、ちょっと繰り返しですが、問題だと思います。
 私は、たまたま弁護士のときに障害のある子供の両親の離婚事件を立て続けに三件やりました。そのときに、親が、とりわけ母親がやっぱり全部抱えて髪振り乱してやっているということに本当に大変だと思いました。当時よりも今は改善されている面もあると思いますが、しかし、実態調査もされていない、結局やっぱり親が面倒を見なくちゃいけない、とりわけ母親が面倒を見ている。
 保育園落ちた日本死ねで、保育園に入れることそのものが大変なのに、障害を持っていたら本当にどこが引き受けてくれるんだと。しかも、保育園の民営化で、公立保育園の方が障害児を受け入れてきましたから、本当に誰だって障害のある子供が生まれる可能性もあるし、障害のある人とどう共生するかというときに、是非、障害児の保育について実態調査をして、親や地域の悩みや課題に厚生労働省が積極的に解決してくださるように心からお願いします。
 児童発達支援施設約五千百十か所のうち、保育所等訪問支援を行う施設は四百四十三か所とされています。拡充すべきではないでしょうか。

○政府参考人(藤井康弘君) 御指摘の保育所等訪問支援は、これは平成二十四年度に新たに創設をされた給付でございますが、議員御指摘の四百四十三か所は、これ平成二十六年一月時点の数でございますが、平成二十七年十二月時点で申しますと七百二十八か所と、着実にこれ増加はしてございます。
 また、先般の平成二十七年度の障害福祉サービス等の報酬改定におきましては、一つ、作業療法士や理学療法士等の専門性の高い職員を配置した場合に上乗せして評価をいたします訪問支援員特別加算ですとか、あるいは過疎地や離島、山間地域等への訪問支援を行った場合に上乗せをして評価いたします特別地域加算といったものを創設をしておりまして、保育所等訪問支援に関する多様なニーズに対応しているところでございます。
 今後とも、保育所等訪問支援の推進に努めてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 障害を持つ子供にも対応できる保育園を増やすべきではないですか。

○政府参考人(香取照幸君) 先ほど申し上げましたように、ベースの加算については一般財源化をしたわけですけれども、新制度が入りました後、申し上げましたように、療育加算あるいは障害児加算という形で、認可保育所あるいは新しく多様な保育サービスをつくりました地域型につきましても障害児の加算制度をつくって、できるだけ多くのお子さんたち、障害児のお子さんたちを受け入れるようにということで努力しております。
 それと、保育園のいわゆる調整の過程でポイントで優先順位を付けるわけですけれども、障害を持ったお子さんについては、一応極めて優先度が高い形で優先的に入所するということで、これは私どもからも各自治体に通知をしておりますし、自治体の運用でもそこはそのような運用がされておりますので、できるだけ障害児の方については優先的に受け入れるという形になっているというふうに思っております。
 それと、これは障害部の方の報酬でございますけど、二十七年度に障害者福祉サービスについての報酬改定の中で、児童発達支援を行っている事業所が、障害児のあるお子さんに、日々通う保育園などの関係機関と一定の連携を取ってお子様をお預かりするということをした場合に加算で評価をしていただくという制度を障害の方でおつくりをいただいたということで、私ども、発達支援事業所と保育所の間で連携を取りながら、切れ目のない御支援を申し上げるという形で手当てをしているところでございます。
 いずれにしても、障害児のある方の受入れというのは、保育所にとっては一つの大きな役割といいますか課題でもありますので、できるだけ今後とも積極的に障害のあるお子さんを受け入れるという形で、親御さんの支援、あるいは当該お子さんの保育の充実というものに努めてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 障害を持つ子供の親がフルタイムで働けるために、厚労省はどのような施策を講じていくおつもりでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) 今申し上げましたように、私どもとしては、保育サービスの一つの大きな、何といいますか、目的の一つは、保護者の方々が子育てをしながらきちんと働くことができるということが大きな目的でございます。そうしますと、お子さんが障害があるということが、文字どおりそれが障害になるということがないように一定の配慮をしなければならないということになっております。この点につきましては、私どもと文科省と内閣府、新制度を所管する三省で、保育所の利用に関しまして一つの考え方を示していまして、この中でやはり優先的に利用できる方の一つの類型としてお子さんに障害がある場合ということを先ほど御答弁申し上げましたように明記をしまして、そのような運用を各自治体にお願いしております。
 それから、加配につきましては、これも繰り返しになりますが、一般財源化をしていますが、その一般財源化の対象となる障害の範囲も拡大いたしました。二十七年度の新制度の中では、公定価格の中で、認可保育所については療育支援加算、地域型保育につきましては障害児保育加算というものを設ける形で更に御支援を申し上げるということでやっております。
 それから、先ほど御答弁申し上げましたように、障害児の方の保育の場での対応、それともう一つ、集団的な生活への対応ということで御支援をしている保育所等訪問支援事業、こういったものも保育所の中でやるということで、様々な形で障害のあるお子さんを保育所の中で安定的に受け入れることができるようなバックアップをしてきております。
 先ほど申し上げましたように、これから少し、新制度の中で様々な行った施策がどのように現場で生かされているかということも確認した上で、引き続き、障害を持ったお子さん、あるいは障害を持ったお子さんを抱えたお母さんたち、お父さんたちの就労支援のための環境整備というものに努めてまいりたいと思っております。

○福島みずほ君 大臣、障害の有無にかかわらず、障害のある子供もそうでない子供も共に育つ包括保育、インクルーシブ保育の重要性が指摘をされています。実際、たくさん保育園を行きますと、やっぱり障害のある子供がいて、みんなで育てているということにもよく出会うこともありますが、厚労省の認識、そして包括保育の推進のために厚労省はどのような施策を行うのか、是非意欲的な答弁をお願いします。

○国務大臣(塩崎恭久君) 保育園などにおきまして、全てのお子さんが日々の生活とか遊びを通じて共に育っておりまして、議員御指摘のとおり、障害のあるお子さんと他の障害のないお子さんが生活を共にして、遊びも共にして成長できるということを支援することは大事だというふうに思っております。
 その上で、障害のあるお子さんの保育に当たりましては、保育士等がお子さんが発達してきた過程とか心身の状態とか、これをしっかり把握をして理解をするということがまず第一だと思います。それで、家庭との連携を密にして、保護者との相互理解を共に図っていくということも大事であります。専門機関との連携というのも重要だろうというふうに思っておりまして、必要に応じて助言を得るということも必要であって、こういうことは保育所保育指針にももう既に定めてあるところでございます。
 子ども・子育て支援新制度がスタートしたわけでありますけれども、ここにおきましても特別な支援が必要な障害のあるお子さんなどを受け入れるなどした場合の公定価格の加算として、先ほど来話が出ている療養支援加算、これを新たに設けて、お子さんの特別なニーズにも十分に対応できるように支援を強化をいたしました。障害福祉施策においても、障害のあるお子さんが保育園等に通いやすくするための専門的な支援というのを行っておるわけであります。
 実態把握については先ほど御指摘のあったとおりでありますので、我々、更にしっかり実態を踏まえた上で、今お話しのような障害を持っていらっしゃるお子さんとそうじゃないお子さんが一緒に育まれることをしっかりと環境整備していかなきゃいけないというふうに思います。

○福島みずほ君 実態調査をこれからされるということで、私自身もいろんな声をもっと集めて、保育の問題は大事ですし、障害児保育について実態を踏まえて、もう切実な声に応えて厚労省も本当に本腰入れてここはやっていただいて、共にこの問題について改善を、目に見えるような形で改善をしたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いします。
 空襲についてお聞きをします。
 この委員会で空襲についてずっと聞いておりますが、今日はとりわけ沖縄のことについてお聞きをいたします。
 一九八一年度調査報告書、戦災により犠牲を被った児童の実情に関する記録の収集、一九八二年調査報告書、戦災により犠牲を被った孤児の実情に関する記録の収集、一九八三年度調査報告書、戦災により犠牲を被った婦人の実情に関する記録の収集のいずれにおいても調査対象が四十六都道府県とされ、独り沖縄県だけが除外をされております。
 照屋寛徳衆議院議員の昨年九月七日の質問主意書で理由を聞いたところ、答弁で、「当時の行政文書が残っていないことから、不明である。」ということです。ただ、空襲の実態については四十六都道府県でもなかなか分からないところもありますが、沖縄のみなぜやはりこの調査対象から外れているのか。これ、しっかり沖縄についても国が調査をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(佐伯修司君) お答えいたします。
 御指摘の調査は、旧総理府から委託を受けた旧日本戦災遺族会が戦災都市の協力を得て実施したものでございます。
 沖縄県が対象外とされた理由については、当時の行政文書が残っていないということで明らかになっておりませんけれども、沖縄の皆さんが非常に残念に思っておられるという気持ちは十分理解できるところでございまして、昨年十一月二十六日に、沖縄県における戦災の記録を残し後世に伝えるということを要請に見えた浦崎沖縄県副知事に私の方から直接お伝えしたところでございます。
 その際に、総務省のホームページに一般戦災死没者への追悼の意を表すための全国の戦災都市からの情報提供を受けた戦災の状況を掲載しておるということで、沖縄県も三つの市町を掲載させていただいておりますけれども、その延長線で沖縄県が音頭を取っていただき、情報提供いただければ掲載しますということで御提案しましたところ、沖縄県からも御協力いただけるということでございましたので、本年一月、総務省から沖縄県に対して沖縄県の戦災の状況について情報提供を依頼しております。まだ沖縄県からは出てきておりませんけれども、情報提供いただければ速やかに総務省のホームページに掲載してまいりたいと思います。
 こうした取組を通じて、少しでも沖縄の皆さんのお気持ちに応えていきたいと思っております。
 以上です。

○福島みずほ君 時間ですので、行政文書が残っていないとあるけれども、ほかの地域だって残っていないところもあると思うんですね。一県だけ除くということの意味が分かりませんし、沖縄県の協力は当然としても、やっぱり政府が本腰を入れて調査をしてほしい。
 そして、この委員会でずっと質問し続けておりますが、戦時災害保護法が一般市民に対する事実上の補償を……

○委員長(三原じゅん子君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。

○福島みずほ君 分かりました。規定しておりますので、是非補償が行われるようにと申し上げ、質問を終わります。
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熊本・大分被災地の感染症対策で質問 4/28参厚労委

4月28日(木)の参議院厚生労働委員会で、熊本・大分大地震の被災地における感染症対策、寡婦控除、一人親への就労支援、学校給食の無償化、同一労働同一賃金、子どもの貧困に関するOECDへのデータ提供などについて質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 質問の前に、熊本・大分大地震における感染症対策についてお聞きをいたします。
 熊本・大分大地震被災地におけるノロウイルス、インフルエンザなど、感染症に関する現状把握はいかがでしょうか。現地と連絡を取ったところ、ノロウイルスが出た、熊本はこれから暑くなっていくので大変心配だという声を受けたので、お聞きをいたします。

○政府参考人(福島靖正君) 感染症も含めまして、被災者の健康状態の把握のために保健師が避難所等を巡回しております。また、この健康状態の把握と併せまして、手洗い励行などのポスターの掲示などによる感染予防策の周知あるいは衛生資材等の配付を行っております。衛生資材等につきましては、関係省庁や地方自治体と連携して供給をしております。
 また、国立感染症研究所の専門家を派遣いたしまして、避難所の衛生状態などを専門的見地から確認をして、適切な消毒方法などについて避難所の管理者や保健師へ指導、助言を行っているところでございます。

○福島みずほ君 看護師さんに聞くと、やはりおにぎりをそのまま手で食べてしまったりするので、消毒液などの配付をしてほしいという要望も受けました。
 消毒液、消毒薬、手洗い用水、こういうものはいかがでしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 消毒薬につきましては約二万本を供給しておりまして、手洗い用水でございますけれど、まずは水道復旧に努めておりますが、今、総断水戸数は一万三千戸まで減少しておるところでございます。あわせて、手洗い用の水を入れる蛇口付きのタンクを約三百五十個供給をしております。

○福島みずほ君 水の供給について先日お聞きしましたが、もう一度、復旧はどのような状況でしょうか。

○政府参考人(福島靖正君) 水道の復旧状況でございますけれども、全国の自治体や管工事事業者の応援をいただいて、地元の水道事業者によりまして今復旧作業が鋭意行われております。総断水戸数、一番最大のときで四十四万六千戸ございましたが、昨日の九時の時点では一万三千戸まで減少をしております。

○福島みずほ君 ノロウイルスが出たということで、これは個別ケースとも言われておりますが、感染予防と感染拡大防止のため十分な必要物資を早急に更に送るべきではないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 被災地における感染症対策は、今申し上げたとおり、手洗いの励行、それからトイレの清潔保持などによる感染予防策の被災者の中での徹底というのが、まずお一人お一人を自ら守るということで徹底をしていくということ、それから、保健師さんが避難所等を巡回をしていただいていますけれども、被災者の健康状態を把握することによる患者の早期発見、そして早期対応が当然それでできるわけでありますが、患者が発見された場合の速やかな医療の提供と、それから患者を避難所内の別室に移すなどの拡大防止ということが、これは感染症の場合には隔離が原則だと思います。
 ですから、避難所で感染症対策に必要な衛生資材も合わせて、発生以来、今申し上げたとおり、現地ニーズを政府の現地対策本部で全部取りまとめた上で、先ほど局長から答弁申し上げたような、政府全体として、四月の二十五日時点で消毒薬を二万本であったりペーパータオルを六万五千本、あるいは仮設トイレを約五百基、手洗い用水として水タンクを三百五十個などを供給をしておりまして、引き続き、避難所の環境改善も含めた感染症の発生予防、患者の早期発見、治療、そして感染の拡大防止が適切に行われるように万全の体制を組んでいきたいというふうに思います。

○福島みずほ君 よろしくお願いします。
 寡婦控除についてお聞きをいたします。
 参考人質疑の中で、寡婦控除を非婚の母にも適用してほしい、そういう声がありました。いかがでしょうか。

○政府参考人(矢野康治君) お答え申し上げます。
 お尋ねの寡婦控除でございますけれども、夫との死別、離婚等の理由によって家族の生計を支えていかなければならない人に対して税制上の配慮を行うというものでございまして、これ自体、御指摘のような未婚の母、あるいは非婚の母、シングルマザーには適用されておりません。
 この控除につきましては、平成二十八年度の与党の税制大綱におきまして、家族の在り方にも関わる事柄であることや他の控除との関係にも留意しつつ、制度の趣旨も踏まえながら、所得税の諸控除の在り方の議論の中で検討を行うとされたところでありまして、与党における検討も注視しつつ、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 これは是非、参考人質疑でも出ていましたし、それから衆議院の厚生労働委員会、四月六日においても質問がされております。
 厚労省の二〇一一年度の全国母子世帯等調査によると、母子世帯のうち離婚で母子世帯になっているものが一番多いが、未婚の母の割合は七・八%、そして夫との死別の七・五%を上回ったと。死別よりも未婚の母の方が多いという実態があります。また、自治体、国の施策上の差別規定を自治体がカバーしていると言うべき状況も増えております。公営住宅法施行令改正により、本年十月一日からは、公営住宅の家賃計算に当たって、非婚の母や父に対しても事実上の寡婦控除が施行されるというものがあります。
 結局、離別、死別、非婚、未婚にしても、同じように母子家庭で困っているという状況は変わらない。むしろ、非婚や未婚の方が経済的には大変ということも考えられます。是非早急に是正すべきではないか、いかがでしょうか。

○政府参考人(矢野康治君) 今御指摘のように、自治体などの裁量によりまして様々な取組が行われているという福祉政策とは異なっておりまして、国民の皆様から法律に基づいて一律かつ強制的に徴収するという税制におきましては、きめ細かい配慮を行うことは相対的には難しい面がございます。
 例えば、一口にシングルマザーと申しましても、最初から自立して生計を立てて子育てをしておられる方や、実際には事実婚の状態にあって他の人と生計を一にしている方など、様々な人がおられますので、特に統一的かつ公正な適用を求められます税制におきましては、どのような事情まで配慮すべきかという線引きが難しくなるという問題がございます。
 そのシングルマザーを含めまして、所得の低い方あるいは子育て中の方に対する税制上の配慮の在り方につきましては、二十八年度の税制改正大綱にも示されておりますとおり、所得税の諸控除の在り方の中で検討を行っていくべき課題と考えております。

○福島みずほ君 是非よろしくお願いします。ただ、自治体は先行してやっているので、国がやれないことはないというふうにも思っております。
 次に、就労支援の成果についてお聞きをいたします。
 これも参考人質疑の中で、あるいはこの委員会の中でもほかの委員の方も質問されましたが、就業支援事業の効果検証、高等技能訓練促進費は、割とこれは積極的な効果があったんじゃないか。しかし、母子自立支援プログラム策定、自立支援教育訓練給付金など、これは周さんという、労働政策研究・研修機構、研究双書の「母子世帯のワーク・ライフと経済的自立」のこの効果検証なんですが、余り上がらなかったところもある。
 厚生労働省は、就労支援の成果についてどのように検証していらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) この点については、一人親家庭の支援、何度も申し上げていますが、就労による自立を中心に置いて、生活支援、養育費の確保、経済的支援等々を行うということで、就労支援については、そういう意味でいえば、これは一人親家庭支援の言わば一番大きな柱ということになります。
 成果といいますか、これまでの就労支援の実績ということで申し上げますと、マザーズハローワーク、御案内のマザーズでは母子家庭中心に支援を行っているわけでございますが、二十六年度の就職件数は七万六千百十九件となっております。今お話のあった福祉サイド、母子家庭等就労自立支援センターでの就職相談あるいは就職情報の提供に関しましては、こちらを経由した就職の件数は六千三百七十七件と。あと、今お話のありました高等職業訓練ですが、これにつきましては、二十六年度、この給付金を受けて就労された方は二千二百十七件ということになってございまして、私どもとしては、それぞれこれまでの施策については一定の成果はあっただろうと思っておりますが、全体、母子家庭の方々、百二十万いらっしゃって、八割の方が就労して、そのうち半分が非正規だということを考えますと、更なる充実が必要だということで、今般のすくすくサポート・プロジェクトの中でも、ちょっと詳しくは申し上げませんけれども、様々な高等職業訓練あるいは自立支援給付の訓練金等々の施策を新たに講じまして、引き続き就労支援について御支援を強化してまいりたいということでございます。

○福島みずほ君 是非、この就業支援事業がやはり余り効果が上がっていないのではないかという指摘もある中で、改善を是非よろしくお願いいたします。
 次に、給食費についてお聞きをいたします。
 私は、児童扶養手当やそういうものももちろん必要だと、しかし、子供の貧困と女性の貧困、それから子供のいる家庭の貧困ということを考えたときに、やっぱり現物支給、それから未来に対する投資としての教育や子供に対する予算をそこに積極的に配分していくことはとても必要だというふうに考えています。
 実際、とても貧困というわけではないけれども、子供が三人いる家庭とか、子供が何人かいる家庭の人に聞くと、体操着が要る、靴が要る、制服が要る、何とか費、キャンプ費、修学旅行費とか、次々にやっぱり子供、塾代とか、お金が掛かると。私は、せめて学校給食費は、これは無料化にしたらどうかというふうに考えています。給食しか主な栄養源がないという子供もいるという話も本当に聞きます。公立中学校・小学校の給食を無償化すべきではないか。
 現在完全給食が実施されている公立小中学校を無償化した場合、文科省の試算では、公立小学校三千二十九億円、公立中学校千四百十七億円で、合計四千四百四十六億円です。多額ではありますが、決して実現不可能な金額ではない、オスプレイ二機分ではないかという、二機分じゃないか、もうちょっとですね、十七機買うというのがありますが、決して実現不可能な金額ではない。
 文科省、是非、給食費の無料化、これは、教科書は無料化されておりますが、給食費の無料化、いかがでしょうか。

○政府参考人(藤原章夫君) お答えいたします。
 学校給食法におきまして、学校給食の実施に必要な経費のうち施設設備費や人件費等については学校の設置者が負担することとされているところでございますけれども、食材費については同法第十一条第二項に基づきまして保護者の負担というふうにされているところでございます。
 この食材費について試算をいたしますと、今先生から御指摘のありました四千四百六十億円の経費がおよそ掛かっているということでございまして、学校給食の無償化ということにつきましては、こうした財源の確保などの様々な課題があるというふうに考えているところでございます。
 一方で、生活に困窮している保護者に対しましては、生活保護による教育扶助等におきまして学校給食費が支給されるとともに、準要保護者に対しましても各市町村の定めるところにより就学援助の一環として学校給食費の援助が実施をされているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、学校給食が児童生徒の心身の健全な発達に重要な役割を果たすものであることから、学校給食の充実に努めてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 貧困対策ということももちろん重要だと思うんですが、一般的に子供に掛かるお金は、やはりできる限りというか、とりわけ子供が小さければ小さいほど無料化をしていったらどうかというふうに思っています。一々取るのも何か大変ということもあるし、就学援助の申請や、そういうことをやらない限りはもらえないわけですよね。逆に言うと、給食費は将来無料化するように是非文科省で更に検討していただきたいというふうに思います。
 同一労働同一賃金について先日もお聞きしましたが、変な結論が五月に閣議決定されないように、今から改めてまた申し上げたいと思います。
 政府は、五月に閣議決定するとされているニッポン一億総活躍プランにおいて、非正規雇用労働者の賃金を正規雇用労働者の七、八割程度まで引き上げると報じられております。七、八割で同一労働同一賃金が達成されるとは全く思えません。ノルウェーは、男性一〇〇で女性八五で、こんなのおかしいというキャンペーンを女性たちがやったわけで、七、八割程度まで引き上げればこれで足りるということは全くないと思います。この根拠は何なのでしょうか。

○政府参考人(大島一博君) 非正規雇用労働者と正規雇用労働者の賃金格差を見ますと、ヨーロッパ諸国、例えばフランスで八九%、ドイツで七九%、イギリス七一%であるのに対しまして、日本は五六・六%ということでございますので、差が大きいという指摘があると認識しております。
 こうした認識は持っておりますが、政府として非正規雇用労働者の賃金を正規雇用労働者の七割とか八割程度まで引き上げるということを目標とするといったことを決めたことはないところでございます。

○福島みずほ君 それでは、改めて、七、八割程度まで引き上げるという、逆に差別を一面肯定しかねない結論が出ることはないという理解でよろしいですね。

○政府参考人(大島一博君) 一億総活躍プランの策定に向けて今鋭意検討中でございまして、その中で適切に検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 ILO基準の職務評価システムにおける四大ファクター、知識・技能、責任、負担、労働環境といった国際水準で行うべきだということもこの委員会で何度も質問をしております。同一労働同一賃金といいながら、結局七割、八割ぐらいの程度の賃金でいいとすることや、評価に当たってILO基準すら満たさないといった閣議決定がどんなことがあってもされないように、ここは厚生労働省の腕の見せどころ、とりわけ厚生と労働がくっついているということは意味があると思いますので、厚生労働大臣、閣議決定で変な結論が出ないように頑張るという決意を是非よろしくお願いします。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、何ら事前的に決まっていることがあるわけではないので、非正規雇用で働く方々の処遇が改善をされるように、念頭に入れながら同一労働同一賃金に踏み込むと申し上げて、今議論を始めたところでございますので、一億総活躍プランの中で今後のあるべき姿というものをお示しができるように努力をしてまいりたいと思います。

○福島みずほ君 これは是非、同一価値労働同一賃金なので、単に同一労働同一賃金にならないようにお願いをいたします。
 OECDの子供の貧困に関するデータにおいて、日本の数字が掲載されていないのはなぜでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) OECDは、OECDのプロジェクトとしてファミリーデータベースというのを作成をしておりまして、こちらでは、一九七五年以降の子供がいる世帯の大人の人数ですとか就労の有無ですとか人数別の相対的貧困率といったもののデータを掲載するということで、加盟各国に照会が入っております。
 この相対的貧困率については、OECDの方で定めた定義に基づいて各国数字を出してくれと、こういうことになっておりまして、この相対的貧困率の考え方というのは実は様々な考え方がありまして、OECDはそのうちの一つの考え方となるわけですけれども、一応私どもはその定義に基づいた数字を使って算出をして先方とのデータのやり取りをしておりますが、OECDの基準自体が、各国それぞれ国が違ったり制度が違ったりするので、何といいますか、技術的な面で調整というかそろわないところがありますものですから、何度も先方から修正ですとか追加の作業の依頼がありまして、これは二十六年十月以降、何回かやり取りをしております。
 データのやり取りを、修正はある程度しているんですが、現在そのデータをやっている中で若干、何といいますか、異常値が出ていまして、例えば就業者がいる世帯の方が貧困率が高く、低く出るとか、ちょっといろいろそういう問題がありまして、更に今向こうと調整をしております。
 これは、調整が完了し次第、OECDの方には出したいと思っておりますが、いずれにしても、ちょっと正確な数字を出しませんと数字をどう解釈するかという問題にもなりますので、ここはできるだけ正確を期して登録をしてまいりたいと。諸外国の状況を見ましても、七五年以降のというOEDCの要求に応じてきれいに出せている国はほとんどまだないので、まだもうしばらくこの種のデータ、国際的な統計を作るには向こうとしても時間が掛かるのではないかというふうに思っております。

○福島みずほ君 子供の貧困がこれだけ問題となっている中で、OECDの中で日本のデータが開示されないということはやはり問題だと思います。政府が積極的な開示を速やかにするよう申し上げ、質問を終わります。
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震災での水供給、性暴力被害支援で質問 4/21参厚労委

 4月21日(木)の参議院厚生労働委員会で、熊本・大分大地震における水の供給問題と、被災した障がい者への支援、性暴力被害支援センターの関与の重要性などについて質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、熊本・大分大地震によって亡くなられた皆さんに心からお悔やみを申し上げ、また被災をされた皆さんたちに心からお見舞いを申し上げます。
 私は宮崎県出身なんですが、本籍地はずっと熊本で、ほぼ親類は熊本ですので、今回も具体的にいろんな話を聞いたり、非常に本当に心配をしております。
 そこで、厚労省も、本当に精いっぱいこのことに対応していただきたいというふうに思います。
 まず、被災地における水の確保はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。
 今回の地震で水道施設が損壊し、広範な地域において断水が起こっておりますが、水は生命の維持にとりまして不可欠なものでございまして、断水している地域の水の確保は極めて重要な課題と認識しております。そのため、断水が解消されるまでの間につきましては、市町村におきまして給水車やペットボトルの配布によります応急給水を行っております。
 厚生労働省としても、断水地域に水が十分に行き渡るよう、被害状況を把握し、被災地からの支援要請を積極的にお聞きした上で、日本水道協会を通じて全国の水道事業者へ給水車の派遣等を要請をしてございます。今朝現在で、九州及び中四国地方などから計八十八台の給水車が応援に駆け付け、応急給水を実施をしているところでございます。
 引き続き、必要な応急給水を行いながら、水道の早期復旧に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 以上でございます。

○福島みずほ君 個別地域の詳細な状況については把握していらっしゃいますか。

○政府参考人(福田祐典君) 個別地域の詳細な状況につきましても、断水の状況でございますとか、それぞれの地区にどの自治体から応急給水車が入っているか、それから事業者がどのような形で入っているか、また自治体からの応援がどのように入っているかというような点につきましては把握をいたしてございます。

○福島みずほ君 語尾が分からなかった、ごめん。

○政府参考人(福田祐典君) 把握をいたしております。

○福島みずほ君 はい、分かりました。
 水の供給に関して、復旧の見通しはどうなっていますか。

○政府参考人(福田祐典君) お答えいたします。
 平成二十八年熊本地震によります水道の被害状況につきましては、被害地域全域で約四十四万戸断水していたものが、自治体などの懸命な努力によりまして、本日の朝九時時点になりますが、約三万二千戸まで減少しているところでございます。熊本市内では、今週中には全戸で断水が解消される見込みでございます。その他の被災自治体につきましても、早急な復旧に向けまして、厚生労働省として全国の自治体の技術職員や管工事事業者の派遣を要請しているところでございます。
 水道の復旧は被災地の再建にとりましてもその基礎となる重要な問題でございまして、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

○福島みずほ君 自宅避難者に対する水の供給はどうなっているでしょうか。

○政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。
 自宅避難者も含め、被災された方々に水が供給されることは重要であると考えております。このため、現在市町村では、自宅避難者を含め、被災された方々に対して給水車によります応急給水やペットボトルの戸別配布などで生活に必要な水を供給しているところでございます。また、自宅避難者を含めた被災者がいわゆる応急給水所におきまして水を受け取ることができる時間と場所を正確に知ることができますように、厚生労働省から自治体に対して防災無線やホームページなどによってきめ細かく具体的に情報を発信していくことをお願いをしているところでございます。
 厚生労働省では、市町村からの要望を随時承っており、引き続き最大限の支援を行ってまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 給水車を行列をつくって待つことも非常に大変ですが、それができる人はまだいいのではないか。やはり自宅で高齢者やいろんな形で動けない人がいるので、その人は幾ら給水車に水を取りに来てくださいと言われてもなかなか行けないという状況もあると思うんですね。
 その自宅避難者で困難な人たちに給水というのはきちっと行っているんでしょうか。

○政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。
 例えばの例でございますけれども、これは御船町、これは全戸、断水が現在四千七百五十戸というところでございますけれども、御船町では地区ごとに対応してもらっておりまして、区長さんや、地区の区長さんですね、あと嘱託の職員などが直接水を渡しに行っているというような形で取り組んでおられるようでございます。
 いずれにしても、個々の皆様方に適切に水が渡りますように、今後も各自治体の様々な取組と連携をいたしまして、適切に水が供給されるように努めてまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 私に対しても水の要望というのは非常にあって、例えば病院で水がないとか、それから自宅でもトイレの水が流せないという一点においてもやっぱり物すごく大変で、命の水というか、食料ももちろん大事だけれど、それ以前に水の要望が大変多いです。
 熊本は水の都であって、熊本市は全域が地下水利用で、浄水場という施設はありません、県内には浄水場はありますが。したがって、今回の地震によって水が濁っても砂や泥を落とす設備がないという問題もあります。こういうところも早く、水道に砂が混じらないようにとか、こういうこともしっかりやっていかなければならないというふうに思っています。
 それで、例えば大津地区あるいは菊陽町では、少し古い話になるかもしれませんが、これはほぼ断水は解消したが勤務体制は当直制で、夜間については帰宅できるものの、危険地区に指定されている職員住宅も多く、車中泊で作業を行っている者もあると。ですから、修繕も今非常に必要で、漏水修繕作業をやらなければならないと二十四時間態勢で帰宅せず作業に掛かっている職員も多いというふうに聞いております。だから、熊本市上下水道局などではまさに復旧作業に帰宅せずに二十四時間やっていたり車中泊でやっていると。一方で、もっと職員がいたらとか、もっときちっと技術が継承、伝承されていたらという声も現場から出ております。
 熊本だけでなく全国的にも、まさに公務員をがんがん減らして民営化や民間委託の拡大、職員削減などが進んできました。災害に脆弱な公営事業体がつくられてしまっているのではないか、こういう災害のときこそ公共サービスやそういうものが極めて大事だと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。
 災害への対応を含めまして水道事業を安定して運営していくためには、水道事業者の経営面、また人材面の基盤が安定していることが大変重要と考えております。
 全国の水道事業者の約八割は、お話もありましたが、給水人口が十万人未満の小規模な事業者でございまして、事業基盤が安定させるための有効な対策の一つが、やはりスケールメリットによります財源の確保でございますとか地域単位での人材の確保、育成を可能とするための水道事業の広域化というふうに考えてございます。このため、現在、厚生科学審議会生活環境水道部会の水道事業の維持・向上に関する専門委員会におきまして水道事業の基盤強化に向けた具体的な方策等について議論を行っているところでございます。
 厚生労働省としては、専門委員会での議論を踏まえまして、広域化が更に推進されるよう検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 しかし、この間の政府の施政方針は、住民の福祉増進を図り地方自治の発達に資するはずの公営企業としての水道事業を、災害、非常時に強い公営水道をいかに確立するかではなくて、PFI、民営化や民間委託の拡大、一層の経営効率化を求めることに重点が置かれてきました。結局、効率化といって人が減るわけですし、それから技術の伝承もそうなると非常に難しくなってしまうと。こういうときにやっぱり災害が起きたら、本当にここは重要なところなので、まさに、もっと水が早く欲しいとか、きちっと修繕など技術もやるべきだというのがあります。
 是非、水や、こういうことに従事する公務員というのは極めて大事だという認識、是非、厚労省いかがでしょうか。

○政府参考人(福田祐典君) お答え申し上げます。
 水道の分野におきましては、現在、安全で、そして強靱で、そして持続可能なというところを目指して、いわゆる新しい水道ビジョンの中で検討を進めているところでございます。その中で、人材の確保そして育成というものは非常に重要であるというふうに認識をいたしてございます。
 いわゆるこの三十年間で水道の従事者といいますのは、全国的な傾向でございますけれどもやはり減少傾向にございまして、そういった中でより安定的に優れた人材をきちっと確保して、適切に強靱で持続的で安全な事業を維持するために、まさに今検討会におきまして検討させていただいているというところでございます。

○福島みずほ君 日本は、災害列島というか、災害が多いところで、一旦地震やこういう災害があれば全国からの応援体制をつくらなければならない。どこも人員がきちきちであれば応援部隊すら出せません。
 住民の生活、住民の安心、安全を、命を守る、これが自治体、公営事業の本旨です。そのための自治体経営、事業経営の強化する戦略こそが必要です。政府に求められているのはその強化を手助けすることで、公共サービスの産業化ではないというふうに思っております。改めて、基本的なこういう住民サービスについては責任持ってやるということを心からお願いをしたいというふうに思っております。
 次に、被災障害者の問題についてお聞きをいたします。
 熊本・大分地震により被災した障害者とその家族及び障害関連事業所などの実態把握を、自治体とも連携の上、行うべきではないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、発災直後から、福祉施設、今お話のございました障害者関係の施設、入所施設などについて直ちに調べたわけでございますけれども、これは人的被害は余り深刻なものはなかったということでございまして、建物について、一つの施設で一部の建物が損壊という物的被害を被ったところがございましたけれども、おおむね深刻な被害は少なかったというふうに思っております。
 避難所等での生活を余儀なくされている障害者の方々、これがこれから大変重要であり、また御自宅におられるかも分からないということもありますので、地方自治体において、ケアマネジメント等の支援を行う相談支援事業者、あるいは障害福祉サービス事業者などとしっかりと連携をして、個々の状況の把握に今取り組んで、その報告を受けているところでございます。
 引き続き、自治体そして関係団体などを通じて、障害のある方々の状況を把握をしっかりとするとともに、障害のある方の支援に適切につなげていくように、把握した情報をしっかり公開もしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 人口に対して障害のある方は大体六・五%と言われています。外国はもっとこれは高いですが、十万人が避難しているとすれば六千五百人が障害のある方が避難しているという計算になります。避難をしている、避難所に避難している障害者の把握は個々ちゃんとされているんでしょうか。あるいは、障害ゆえに避難所への避難がかなわず、やむを得ず在宅となっている障害者の実態、これは把握していらっしゃるんでしょうか。

○政府参考人(藤井康弘君) お答え申し上げます。
 避難所にいらっしゃる方、また在宅にいらっしゃる方も含めまして、被災地における障害者の状況につきましては、これ現在、自治体あるいは関係団体、それから地元の相談支援事業者等々を通じまして、私どもも活用できるもうあらゆるルートを通じまして把握に努めておるところでございます。その中で把握をしたニーズ、これ個別のニーズもございますけれども、自治体あるいは関係団体と情報共有をして、スタッフの派遣等の必要な支援につなげるような、そういう取組をしているところでございます。
 今後とも、避難所を所管している内閣府、あるいは自治体、関係団体等と連携の上、しっかりと実態を把握しながら、障害のある方々が必要な支援を受けられるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 東日本大震災のときに、発達障害児や自閉症障害の人たちがなかなか避難所に入れないということがとても問題になりました。自閉症障害や発達障害、重度重複障害者に不利益が生じないよう特段の施策を講ずるべきではないですか。

○政府参考人(藤井康弘君) 自閉症などの発達障害の方々につきましては、御指摘いただきましたように、避難所等において不利益が生じないようにすることはこれ極めて重要な課題だと認識をしております。
 私どもといたしましては、避難所等における発達障害児・者等への支援に関する事務連絡を既に自治体に発出をしておりまして、避難所等の支援に携わる職員あるいは心のケアを担当される職員に対しまして、災害時の発達障害者等への対応の仕方につきまして、これは改めて周知を促しますとともに、発達障害者等の状況、ニーズの把握に努めまして、ボランティアの皆様方あるいは当事者等と連携しながら、適切な支援がなされるように要請をしておるところでございます。
 また一方で、関係団体に対しましても事務連絡を発出しておりまして、被災した障害者等の受入れ、あるいは被災地域における障害福祉サービス等事業所への職員の派遣ですとかあるいは物資等の確保につきまして、必要な対応を取るように要請をしております。
 これ、引き続き、発達障害者等に対しまして適切な支援が行われるように、関係自治体あるいは現地で大変頑張っていただいております発達障害者支援センター、こういったところとしっかり連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 服薬を必要とする障害者に対して、医療機関等との緊密な連携を講ずるべきではないですか。

○政府参考人(藤井康弘君) 厚生労働省におきましては、水、食料、医薬品等の支援要望が集中している地域にございます障害者入所施設、これ、三か所の物資不足の状況につきまして、熊本県を通じて毎日把握をしておりまして、物資不足がある施設の情報につきまして、内閣府の防災担当にも伝えまして、必要な措置を要請することとしております。今のところ、熊本県からの情報では、これ、二十日までに医薬品が不足しているという施設はないものと認識をしております。
 引き続き、これ、物資不足の状況につきまして把握をいたしますとともに、もし物資不足のある施設を把握した場合には、内閣府や関係部局に伝えまして、必要な措置を要請してまいりたいと考えております。
 また、熊本県とか熊本市に対しまして、支援要望が集中している地域の障害者入所施設以外の障害サービス事業所等におきましても、医薬品等物資の不足があった場合には、私ども厚生労働省の方にも御連絡いただくように依頼をしておるところでございます。

○福島みずほ君 東日本大震災のときにも議論がありましたが、視覚障害者や聴覚障害者への情報保障について十分な配慮を行うべきではないでしょうか。

○政府参考人(藤井康弘君) これも大変大事な課題でございまして、被災された視覚障害者や聴覚障害者等に対しましては、これ、その障害の特性から、情報取得あるいは他者とのコミュニケーションに特に配慮が必要となってまいります。
 厚生労働省におきましては、四月十五日になりますが、被災した視覚障害者等への避難所等における情報・コミュニケーション支援に係る具体的な支援方法でございますとか配慮の例につきましての事務連絡を熊本県及び熊本市宛て発出をいたしまして、避難所等への周知をお願いをしたところでございます。
 あわせまして、管内の被災市区町村における避難状況等を踏まえまして、点字や音声、文字等による災害情報等の提供、あるいは手話通訳者等の派遣等の支援につきまして、視聴覚障害者情報提供施設ございますけれども、こういった施設あるいは関係団体等と連携をして万全の対応を期すように依頼をしておるところでございます。
 被災された視覚障害者、聴覚障害者につきましては、これ、特に情報・意思伝達支援が何より重要であると認識をしておりますので、厚生労働省といたしましても、引き続き関係団体等との連絡を密にしながら支援に努めてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 仮設住宅の設置に当たっては、構造面でのバリアフリーはもとより、入口までのスロープなど障害者や高齢者が利用しやすいものにするなどの措置を講ずるべきではないですか。

○政府参考人(中村裕一郎君) お答えいたします。
 今般の地震において被災された方々に対する今後の住まいのメニューといたしましては、公的な住宅や民間賃貸住宅の活用、応急仮設住宅の建設などが考えられます。
 災害救助法に基づく応急仮設住宅の建設に当たりましては、高齢者や障害者などの利用に配慮した住宅の仕様は誰にとっても利用しやすいものでありますので、通常の応急仮設住宅にあっても浴室、トイレ等に手すりを設置するなどバリアフリー仕様となるようできる限り配慮されることが重要と考えております。
 さらに、お尋ねのありましたように、段差解消のためのスロープですとか、あるいは生活援助員の部屋を設置するといったようなことで、高齢者などで特に日常の生活上の配慮が必要な方々に複数集まって生活していただく、いわゆる福祉仮設住宅と呼ばれる施設につきましても、応急仮設住宅として設置することを可能といたしております。
 かねてから地方自治体にはこうした指針をお示ししてきておりますけれども、今回、特に国としても熊本県と緊密に連携をしてまいりまして、避難者の方々の状況に応じた住まいの確保が適切に図られるように努めてまいります。

○福島みずほ君 被災した障害関連事業所の復旧に向けて、二〇一六年度補正予算を含めて万全の予算体制を取るべきではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 障害者の皆さん方にとって、今回、慣れ親しんで暮らしてこられた環境から避難所ないしは水が出ない自宅とか、かなりのストレスがたまる状況に置かれているということを我々は肝に銘じて対応をしていかなければならないというふうに思っています。
 被災された障害のある方々について、利用者負担をすることが困難な方に対して利用者負担の減免を行うということで、これ、市町村に特段の配慮をお願いをしつつ、あるいはあるわけでございますが、それと、避難所などでの生活の場合、特に必要なサービスを利用できるように配慮をしないといけないと、障害持っていらっしゃる方についてですね。
 ということで、自治体とここは先ほど来申し上げているように緊密な連携と、障害福祉サービス事業者などともしっかりと連携をしていかなければならないというふうに思っているわけでございまして、いずれにしても、その避難所などでは対応が難しいという場合には、これホテルや旅館というものも約千六百人分受入れ可能ということで無償で受け入れるという、そういう段取りもできておりまして、これからそういったところに行くことがふさわしい方を選びながら移っていただくということにしようと思って動いておりますけれども、そういう際に、やはり発達障害をお持ちの方とか、高齢の方とか、そういう方々を優先的に移すべきではないのかということで、今市町村とよく連携をしているところでございます。

○福島みずほ君 性暴力被害支援センターについて一言お聞きします。
 医療機関で採取された証拠資料を性暴力救援センター大阪、SACHICOなど被害者支援団体が保管しその後の警察への提供に備えるなどの仕組みが十都道府県、北海道、福島、東京、富山、兵庫、千葉、神奈川、愛知、広島、鹿児島で試行されているとされていますが、全国に広げていくべきではないでしょうか。

○政府参考人(露木康浩君) 警察庁におきましては、政府の犯罪被害者等基本計画に基づきまして、「医療機関における性犯罪証拠採取キットの試行整備」モデル事業を実施しているところでございます。これは、協力をいただける医療機関に対しまして、性犯罪証拠採取キットをあらかじめ整備し、警察への届出を行うかどうか迷っている性犯罪の被害者の方が当該医療機関を受診した場合に、医師等がその被害者の同意を得た上で、体などに付着した証拠資料の採取を行い、証拠資料の滅失防止や被害の潜在化防止を図るものでございます。
 現在、十都道府県に所在する十一の医療機関で試行整備しておりますが、今年度予算において更に数件の医療機関での試行整備を予定いたしております。今後、試行整備モデル事業の効果などを踏まえまして、必要な取組が推進されるよう、都道府県警察を指導してまいる所存でございます。

○福島みずほ君 終わります。ありがとうございました。
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GPIF5兆円損失、情報開示せよ 4/14参厚労委 確定拠出法案で質問

4月14日(木)の参議院厚生労働委員会で、GPIFの5.1兆円運用損失と情報開示問題や、確定拠出年金法一部改正法案について質問しました。採決では法案への反対討論を行いました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 GPIFは二〇一五年度の運用実績で五・一兆円の損失を出すという見通しが新聞報道で、これは野村証券の西川チーフ財政アナリストが出しているものですが、もう二〇一六年度に入っておりますので、五・一兆円の損失、この見通しで間違いないでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) GPIFの二〇一五年度の運用実績でございますけれども、民間専門家の方が御指摘のような試算をしているということは、報道を通じて私どもも承知をいたしております。
 二〇一五年度の年金積立金の管理運用実績の状況でございますけれども、これは従来と同様に、業務概況書という形でGPIFにおいて今後公表されるものと承知をいたしております。

○福島みずほ君 でも、見通しってあるでしょう。しかももう二〇一六年度になっているので、これは正しいのか正しくないのか、現状ではどれぐらいの損失が見込まれる見通しだと思っているのか、今の概算はどうなのか、教えてください。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 年度の年金積立金の管理運用実績につきましては、従来から業務概況書という形で、きちんとした分析とともに、また決算も経た上で確定数値としてGPIFから公表されるものでございますので、現時点におきまして私どもとして申し上げられるような見通しその他については持ち合わせていないところでございます。

○福島みずほ君 年金積立金の半分が株に投資をされているということは、国民のほとんど全てが、実は年金に入っている人全てが株の投資者です。株を投資している人間であれば、信託、あるいは銀行、あるいは証券会社に、私の株は損しているのか得しているのか、今幾ら損しているのか、今年、二〇一五年度で幾ら損しているのか聞いて教えてくれなかったら、それは真っ先に不信感を持つでしょう。どうして私は投資者なのに教えてくれないのか、何で教えてもらえないんですか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) まさに、年金保険料は国民からお預かりしております大事な将来の年金資産でございまして、GPIFがそれを将来の年金受給者のためにきちんと運用をするということでございます。
 その上で、従来から、GPIFの運用実績につきましては、国民に分かりやすい形で懇切丁寧にきちんとお示しをするべきである、こういった御指摘を各方面からいただいております。したがいまして、GPIFもこれに応えるということで、業務概況書としてきちんとした分析、国民の方々に、まさにお預かりをしているお金でございますので、分かりやすい御説明とともにお示しする、これを今GPIFにおいて準備をしていると、こういうように承知をいたしております。

○福島みずほ君 私は、せめて毎日出してほしい、あるいは一月ごとに示してほしいぐらいです。何でそんなに時間が掛かるのか分かりません。懇切丁寧な説明など要りません。結果の数字を教えていただくので国民は納得するというふうに思います。
 何で時間が掛かっているのか。二〇一五年度はもうだって終わっているわけでしょう。もう四月ですよ。何でこんなに遅れるのか。もし、これが普通の証券会社や信託、銀行だったら、ふざけるなと言われますよ、私の財産の、投資しているのを今すぐ教えてくれと。何でそんなに時間が掛かるのか、なぜ教えてくれないのかと言って出さなかったら不信感ですよ。
 だから、どうも怪しいというふうに思っていて、どうしてそれをすぐさま言わないのか。言うと国民が不安になるからじゃないですか。でも、国民は株の投資者にさせられているんですよ。塩崎さんが厚生労働大臣になって半分つぎ込んだから、それはもう前以上に株の投資者に国民がなっているんですよ。
 もし、これが五・一兆円の損失だったら、この規模で損失を出すのはリーマン・ショックのあった二〇〇八年度九・三兆円以来であり、まさにアベノミクス・ショックとも言うべきものです。今回の巨額損失の見通しに関する厚生労働大臣の見解はいかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは何度も申し上げてきたことで、年金は短期の運用でどうするこうするということではなくて、長期的な観点から運用をしていくということが極めて大事で、これは世界の年金の運用をしている機関は皆同じような発想でやっているわけであります。
 市場の動向によって短期的に損失が生じることもございますけれども、そのような動向はまず第一にほとんど大半は評価損益であって、プラスのときもマイナスのときもあるということで、実現損が出ているわけではまだないわけでございまして、これは長い目で見てどうするかということでございます。
 長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行うというのが重要であって、平成十三年度の自主運用開始から昨年の十二月末までの運用益は、これも何度も申し上げているように五十兆円のプラスになっているわけでありますし、平成二十四年度から二十六年度までの三か年では毎年十兆円を超えるプラスということになっているわけであります。
 これらをトータルで見ますと、年明けからの短期的な市場動向によって年金積立金の運用状況が大きく変化したものとは考えていないところでございます。長期的には年金財政上問題があるわけでは決してなくて、むしろ引き続き大幅なプラスを維持しているわけであります。
 御案内のように、資産は負債の、ニーズに応じた運用ということをやらなければいけないので、これは、GPIFに委託をしているのは、名目賃金上昇率プラス一・七というので回してくださいということをお願いをしているわけでございます。
 これは、デフレじゃなくなってきた中で、この名目賃金上昇率も今二%とか三%とかそういうことになっていますから、そうなると、それプラス一・七で回らないと長期的に見た年金に必要な資産が回っていかないということになりますので、そういう中で経済情勢に合わせてポートフォリオを変えたわけでありますから、もしこれを全額国債に投入をする、投資をするということになれば、明らかにこれは長期的な年金財政に必要な利回りは確保できないということになります。ただ一方で、株式市場に投入をする、あるいは価格変動の大きな、国債に比べれば大きな金融商品に投入をすれば、当然標準偏差は大きくなって、ぶれは大きくなります。
 大事なことは、年金でお約束をして支払うといったことが本当に実現できるかどうかが問題であって、仮にこの組合せでないということであるならば、是非どういう組合せだったら一番いいのかということを御提案し、また教えていただければ有り難いなというふうに思います。

○福島みずほ君 それは、こんなに株を投資しないことですよ。日本の株に占めるいわゆる官製相場は一二・七%を占めている。韓国に次いで二番目ぐらいじゃないですか。こんなに多額の株を支えていくのは間違っているというふうに思います。
 それから、なぜ早く出せと言っているかというと、二〇一四年十月、安倍政権は多くの国民の心配を押し切って基本ポートフォリオの見直しを強行しました。初年度からこのように多額の損失が出るということであれば、基本ポートフォリオの見直しは失敗だったと言えるのではないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) まず第一に、株を半分投資している国はないかのようなことをおっしゃいましたが、決してそんなことはございませんで、それは、まず第一にどこで運用するかにももちろんよります。それで、それによってそれぞれの国の公的年金は運用をされているわけでございまして、例えば、カナダでも国内株式と外国株式合わせて四九%、さらにそこに、いわゆるオルタナティブと言われているプライベートエクイティーがさらに一八%、約二〇%。ですから、これは恐らく先生の感覚からいけば非常にぶれが大きいものだというふうになりますけれども、そういうことには、そういう批判は余りカナダでも行われていませんし、スウェーデンでも国内、外国合わせて四六%の株式を運用をしているわけでございます。
 何度も申し上げますけれども、失敗とかなんとかおっしゃいますが、リーマン・ショックを含めた十年間を見ても、今のポートフォリオで回していった場合の利回りは四・三%で回るというふうに試算をされるわけで、変更前のポートフォリオだと三・二%でありますから、今のポートフォリオの方が、リーマン・ショックのような大きな、先ほど九・三兆円とおっしゃいましたが、これを含んだ十年でも今のポートフォリオの方が利回りは高くなるということでございますので、是非、株式をやめるということで御提案をされるならば、何をもってすれば名目賃金上昇率プラス一・七で回せるのかということを御提起いただくと大変勉強になるなというふうに思います。

○福島みずほ君 厚労省とやっていると、長期的に見れば大丈夫と。でも、俺を信じろ、俺に任せろって一番危険なんですよね。一番危険ですよ。悪いようにはしないと言う人は大抵悪いようにしますから、悪いようにはしない、俺に任せろというのは一番危険なんですよ。
 乱高下がある、でも長期的に見ればいいんだと言うかもしれないんですが、だったら出せばいいじゃないですか。一番の不信感は、乱高下している実際を出さないからなんですよ。俺は悪いようにはしないって、一番悪いようにするんですよ。出せばいいじゃないですか、乱高下している実際を。それを出すとみんなが不安がるから出さないというのはおかしいと思います。
 GPIFは、二〇一五年度運用実績を七月二十九日に公表するとしています。例年七月初旬に公表していることを考えると、参議院選挙の争点隠しにしかほかなりません。三月に締めて三か月以上の時間があるのだから、技術的にも何の問題もありません。公表を七月二十九日まで延ばす根拠はないのではないですか。そんなに長い時間がたつというのは、逆に、そうしたら無能の証明なんではないですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) これはもう何度も、先ほど小池先生にも御答弁申し上げたとおりでございまして、今回、初めて確定日付を事前に公表することによって不必要な臆測を呼ばないようにしようということで、GDPと同じような発表の仕方をしていこうじゃないかということで、いつもは七月末までということでありまして、皆さんそれで、いつだいつだということでいろいろな臆測を呼んだわけでありますが、今回は七月二十九日ということを事前に公表することによって確定日付を御提示を申し上げたということでございます。
 したがって、七月末までの発表ということでありましたが、先ほど小池先生がお配りをいただいた最近十何年間かの日付を見ても分かるとおり、いろいろな幅があって、なおかつ今回は保有銘柄の開示についても新たな開示の仕方をしようということで今やっておりますし、それから、何度も申し上げますけれども、十年の歩みですから、分析も今まで以上にやらなければいけないということで、事前に決めた日付までに確実な開示を行おうと思っておりまして、いろいろな形で推測をされる方々がおられて、それはそれで結構なことだと思いますが、私たちは別に隠す必要もないし、隠す意思もないし、普通に淡々と分析をした上で公表をしてもらうということを今前提として動いているところでございます。

○福島みずほ君 だったら七月一日にすればいいじゃないですか、確定日付を。何も問題ないですよ。どうですか。GPIFの運用実績については四半期ごとの結果が毎期おおむね二か月後には公表されております。第四・四半期の結果が四か月後の七月まで出てこないというのはおかしいですよ。
 そんなに損させないって胸を張られるんだったら出せばいいじゃないですか。出してくださいよ。だって過去の実績だから、臆測でも何でもない。七月一日に出せばいいじゃないですか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今大臣からも御答弁申し上げましたけれども、これ従来は七月末までということでございますので、従来から七月末までということでいろんな準備を勘案して、そのまでというものを設定をいたしているわけでございます。
 そこで、その上で、今回はなぜ確定日付にしたかと申しますと、従来から行われているのは、市場が無用な推測をして、それによる混乱を避ける、そういうことで確定日付で出すと。そして、確定日付で出すからには、きちんと今までのような国民に御納得いただけるような準備をした上で出す必要がある。そういう意味で、私ども、大臣が申し上げているように、隠すつもりもございませんし、きちんと公表したいと思っております。
 具体的にはGPIFから公表するわけでございますが、繰り返しになりますが、公表は数字だけではなく、やはり国民の方々が、どうしてそうなったのか、年金財政との関係はどうなるのか、そういうことをきちんと説明を添えて出すのがきちんとした公表である、こういった考え方でGPIFが七月二十九日というものを設定したというふうに承知をいたしております。

○福島みずほ君 国民のむしろ不信を買いますよ。どうしてここだけ先延ばしにするのか、自信があったら早く出せばいいじゃないですか。こんなに投入したポートフォリオは大成功だったんだったら早く出せばいいじゃないですか。争点隠しですよ。
 国家公務員共済年金の二〇一五年度運用実績は、第一・四半期がプラス千百九十六億円、第二・四半期がマイナス二千三百二十二億円、第三・四半期がプラス千八百六十七億円となっております。かなりの乱高下であり、極めて不安定な年金運用になっていると考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(可部哲生君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、国家公務員共済組合連合会の二〇一五年度の運用実績は、ただいま委員が御指摘になったような結果となっております。
 年金積立金の運用につきましては、市場の動向によっては短期的に損失が生ずることもございますけれども、そのような動向に過度にとらわれることなく、長期的な観点から安全かつ効率的な運用に努めていくことが重要であるというふうに考えております。

○福島みずほ君 いや、これ、国家公務員の人が、OBが、OBG聞いたらショック受けますよ。
 地方公務員共済年金の二〇一五年度運用実績は、第一・四半期がプラス五千七百四十七億円、第二・四半期がマイナス一兆五千二百八億円、第三・四半期がプラス五千二百八十六億円、つまりマイナス四千百七十五億円で、かなりの乱高下で極めて不安定な年金運用です。いかがでしょうか。

○政府参考人(北崎秀一君) 地共済の二〇一五年度の運用実績につきましては、先生御指摘のとおりの数字となってございます。
 私どもも、国共済と同様、年金積立金の運用は市場の動向によっては短期的に損失が生ずることもありますけれど、過度にとらわれることなく、長期的な観点から安全かつ効率的な運用に努めていくことが重要であると考えているところであります。
 以上です。

○福島みずほ君 私立学校教職員共済年金の二〇一五年度運用実績は、第一・四半期がプラス六百二十七億円、第二・四半期がマイナス千六百六億円、第三・四半期がプラス六百九億円となっています。これまたかなりの乱高下で不安定な年金運用になっていますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(杉野剛君) 私学事業団の二〇一五年度の運用実績につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
 私学事業団におきましても、年金積立金の運用に当たりましては、まずは安全かつ効率的な運用を行い、その結果、必要な年金給付を確保するということが重要でありますけれども、それは長期的な観点から対応すべき課題であると考えているところでございます。

○福島みずほ君 国家公務員、地方公務員、学校の先生たちのOBGの人たちは、この乱高下聞いたらやっぱりショックを受けるというか、長期に見れば大丈夫と言われるけれども、年金財政が本当に大丈夫かと。
 この運用について、今日それぞれ回答していただきましたが、やっぱりこれは私は基本ポートフォリオ見直しは失敗だったんじゃないかと思います。失敗じゃないと大臣がおっしゃるんだったら出せばいいじゃないですか、失敗じゃないって。失敗じゃないというのが参議院選挙後だというから、超怪しいというか、もう信じられないというふうに思っているわけです。
 GPIFの運用実績でも巨額の損失が見込まれる中で、本法案の一連の改正により国民の老後所得をリスクにさらすだけではないでしょうか。これでは、年金は一階から三階まで総ばくち状態ではないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 何度も申し上げますけれども、株式は一つの手段としてポートフォリオとして選ばれているわけでありますので、それに代わるということであれば、どういう組合せのポートフォリオで行くのが、先ほど申し上げたような年金の長期の運用として間違いなく確保しないといけない利回りというものを確保できるのかということを是非御提案をいただいて、我々に勉強させていただけたら有り難いと、こう思うわけでございまして、私どもは資産運用はあくまでも長期的な観点から安全かつ効率的に最大限の努力をしてやるという、それは経済情勢を前提にするわけです、デフレ時代のときと今は全く違うわけでございますので。
 元々、安倍内閣がスタートしたときは、株式市場は一万円ぐらいでありました。今は大体一万六千円台でありまして、そこから見ても時代は随分、経済状況は変わったわけですから、そういう中でどういうふうな組合せかということでポートフォリオを組ませていただいたわけであります。
 したがって、今回、一階、二階部分のことについては今御指摘のようなばくちでは決してありませんし、それから三階建ての、今回御提起申し上げております確定拠出型の年金制度についても、しっかりと投資教育もしながら、そして労使の話合いも大事にしながら、そして何よりも一人一人にお選びをいただくということを大事にしながら運用をしていただくような商品をそろえていただくようなことになっているわけでありますし、これは、自助、共助、公助の組合せでもって人生設計をしっかりと自ら組んでいただくという大事な手だての一つだと思っておりますので、三階までばくち状態だのようなことは全く当たっていないというふうに思います。

○福島みずほ君 アベノミクスが破綻をしたら、これもっとがたがたになりますよね。それから、株がなぜ上がったか。もちろんいろんな理由はあると思いますが、一つは株に大量に投入したからではないですか。これは循環していますよね。そして、やっぱり株はハイリターンの場合もあるけれどハイリスクの場合がある。だから、今日も来ていただきましたが、乱高下をしているわけです。ですから、私はやっぱりこのポートフォリオの見直しは失敗だったというふうに思います。
 繰り返しますが、失敗ではないというんだったら出してくださいよ。出せばいいじゃないですか、参議院選挙前に。私がやった基本的ポートフォリオの見直しは大成功でしたと出せばいいじゃないですか。何で出さないのか、本当にそう思います。
 公的年金では、老後の生活ができない高齢者が急増しております。老後に向けた継続的な自助努力の支援、結果として資産運用の活性化につながるという政府の政策は国民の納得が得られるんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいまの御指摘は、この法案の目的に関わる御質問だと思います。
 この法案は、先ほどから申し上げておりますように、ライフコースとか働き方の多様化が進む中で企業年金の普及拡大を図る、そして老後に向けた継続的な自助努力を支援するということでございまして、当然、資産運用の活性化というものを目的とするものではないわけでございます。
 今回の改正案の中には中小企業も取り組みやすいような様々な施策を入れさせていただいておりますし、それからまた、個人型の加入につきましても加入可能範囲の拡大をいたしております。その中では、対象となる専業主婦等の方々は、簡単なアンケート調査でも三割以上の方々が加入したいという御意向を示されていることから、これは国民の意向に沿った老後所得確保の支援、こういった取組であるというふうに考えております。

○福島みずほ君 本法案は、確定拠出年金における元本確保型商品の提供義務規定を削除することとしております。中小企業の多くは労働組合がなく、労使協議において労働者の意見が十分に反映されず、元本確保型商品の提供が確約される保証はありません。加入者はより高いリスクにさらされるのではないでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 確定拠出年金におきます運用商品でございますけれども、これ今回、元本確保型商品の義務規定を削除いたしました。商品の性格から申しまして、元本確保型の商品でございましても物価上昇等のリスクは当然あるわけでございまして、基本的にはリスク・リターン特性の異なる商品を組み合わせて提供する、それによって分散投資を通じて加入者の年金水準の確保にも資することとなる、これが基本でございまして、こうした考え方から、今般、元本確保型商品の提供義務を見直すとともに、その点につきまして、商品の選定、提示、これについて労使の判断に委ねる、こういうことにしたわけでございます。
 その中で、今御指摘ございましたように、労働組合のない事業所の場合、従業員による投票などによりまして過半数代表者を選出する、こういった仕組みでございます。この仕組みの中で、中小企業でありましても労働者の意見が十分にきちんと反映させる仕組みでなければなりません。そのために、労使による判断を尊重しながら加入者の意思を反映させる代表者の選出、これが適切になされているかどうか、これにつきましては、先ほど来御答弁申し上げているように、きちんと証拠の把握をいたしまして、必要に応じて指導監督もしてまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 今回のは確定拠出年金を拡大し、国民の資産で株価のつり上げを中心に景気対策を推進するのではないかというふうに思っております。
 厚生労働省には是非、七月二十九と言わず、確定日を早めて、私たちの政策は成功している、基本的ポートフォリオは大成功だったという成果を早く情報開示してくださるよう強く求めます。
 以上で終わります。

【反対討論】
○福島みずほ君 福島みずほです。
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、確定拠出年金法等の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。
 昨年十一月に発表された一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策には、企業年金、個人年金の普及拡大や公的年金の改革を進め、公私を通じた年金水準の確保を図ると記されています。また、二〇一四年の日本再興戦略改訂には、国民の自助努力促進の観点から、確定拠出年金制度全体の運用資産選択の改善が記されています。
 本法案に反対する第一の理由は、このように公的年金の給付削減を前提として、国民の自助努力、自己責任によって年金の三階部分を増やし、老齢期の所得の確保を国民に押し付ける内容だからです。
 国民年金法の第一条は、国民年金が日本国憲法第二十五条生存権の保障の理念に基づいて、老齢や障害などの場合に国民生活の安定を図ることを目的にしています。政府は、まずこの理念に基づいて公的年金の保障に努力をするべきです。
 二〇一四年度からの消費税増税の影響で年金は実質減少しています。また、昨年度はマクロ経済スライドが初めて発動されました。その上、デフレ下のマクロ経済スライドの適用、支給開始年齢の引上げが検討されています。
 このような状況で、確定拠出年金の拡大による老後に向けた継続的な自助努力の支援という政府の説明は納得を得られないものです。
 第二の理由は、中小企業対象の簡易型確定拠出年金制度の創設、個人型確定拠出年金の加入対象者拡大により、拠出金、つまり国民の資産を活用して株価の引上げなど、金融資本市場の活性化に利用しようとしていることです。限界が見えつつあるアベノミクスの一環であり、誰のための政策か疑問を持たざるを得ません。
 また、第三号被保険者、いわゆる専業主婦や厚生年金が適用されない短時間労働者について個人型確定拠出年金の加入を認めることについても納得がいきません。政府は、女性の活躍を推進するというのであれば、まず、短時間労働者の公的年金保険の適用拡大を積極的に進めるべきです。
 第三の理由は、確定拠出年金における元本確保型商品の提供義務規定を削除していることです。
 元本確保型商品の提供が確約される保障がなくては加入者はより高いリスクにさらされかねません。賃金の水準で年金給付の水準が決まります。雇用の安定と最低賃金の抜本的な引上げは急務です。
 私的保険の拡大で繕うのではなく、土台となる普遍的な社会保障と最低生活保障の仕組みが必要だということを強く申し上げ、私の反対討論を終わります。
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 4月9日(土)

今週は厚生労働委員会で次のような質問をしました。
 
◆3月31日(木)参議院厚生労働委員会で化粧品の動物実験禁止、公共事業における公契約法・公契約条例について質問しました。議事録を読んでください。
 http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-2980.html

◆4月5日(火)の参議院厚生労働委員会で、戦傷病者・戦没者の妻への特別給付金法一部改正案や、戦中、空襲被害者への補償を規定していた戦時災害保護法、長崎原爆の被爆地域外の住民に対して被爆者認定した長崎地裁判決などについて質問しました。
 http://mizuhofukushima.blog83.fc2.com/blog-entry-2981.html

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保育、犬猫殺処分、高市総務相発言で質問 3/29参予算委

3月29日(火)の参議院予算委員会で、保育士の処遇改善、犬猫殺処分、高市総務大臣の電波停止発言について質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、戦争法が施行されました。憲法違反の法律は廃止しかありません。廃止するために多くの皆さんたちと全力を挙げるということをまず申し上げます。
 まず、保育士さんの給料についてお聞きをします。(資料提示)国の定める俸給表で十九万七千二百六十八円ということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 保育士の本俸の基準額は、平成二十七年度の改定後で十九万九千九百二十円と、こういうことでございます。

○福島みずほ君 これやっぱり余りに低いんじゃないでしょうか。
 国の俸給表が十九万円なんですね。これは、実際にはこの六割から七割と言われております。このまず公定価格を引き上げるべきだ、これはいかがでしょうか。

○国務大臣(加藤勝信君) 保育士等の処遇改善につきましては、もう委員御承知のとおり、平成二十七年度当初予算で処遇改善等加算で三%分の対応、そして、今お話し申し上げましたけれども、二十七年度補正で平成二十七年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定に準じて引上げは行っているところでございます。また、この平成二十八年当初予算ではチーム保育推進加算等の工夫も入れさせていただいておりますが、ただ、いずれにしても、保育士の方々の給与を含め処遇については問題があるというふうに私ども認識をしておりまして、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のあるプランをしっかり示していきたいと、こう思っております。

○福島みずほ君 ただ、まず国が俸給表で十九万というふうに決めている、これやっぱり上げるべきだと思いますが、改めていかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 政府としては、与党の提言も踏まえて、今年度補正予算の一・九%の処遇改善を来年度以降も実施していくとともに、安定財源を確保しながらまずは二%相当の処遇改善を着実に実現をしていく考えでありまして、この春に取りまとめるニッポン一億総活躍プランの中で具体的で実効性のある待遇の改善策を示していく考えであります。

○福島みずほ君 これをちょっと見てください。保育士さんの給料で、まず、二十八万七千四百三十一、公立の常勤です。でも、私立だと常勤でも二十五万円、そして、非常勤だと公立も私立も十五万円になるんですね。十五万円だともう本当に食べていけません。国家資格を取って、本当に福祉の大事な仕事を担っているのに十五万円、この金額についてどう思われますか。

○国務大臣(加藤勝信君) 委員お示しの数字は、幼稚園・保育所等の経営実態調査結果ということだと思います。
 その場合の非常勤というのはフルに働いている決してわけではないので、同じようには比較できないんではないかというふうに思いますが、ただ、いずれにしても、先ほど総理からお話がありますように、常勤の方も含めて、処遇については、ニッポン一億総活躍プランの中において具体的で実効性のある方向性を示していきたい、こう思っております。

○福島みずほ君 ただ、三%ぐらいの、五%の賃上げでは十五万円の人が二十万円になるのに六年掛かるんですね。ですから、野党五党は、今四党ですが、五万円の保育所処遇改善法案、これを出す、上げるということを提案をしました。
 今まさにやらなくちゃいけない。徐々にではなくて、(発言する者あり)今そうですねという自民党からも声が上がりましたが、今やらなくちゃ、保育園問題は今でしょうですよ。だとすれば、これはきっちり今、待遇改善、本当にまさに今上げるべきだ。いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどお答えをいたしましたように、我々は、与党からの提案を受けて、安定財源を確保しながら、まずは二%相当の処遇改善を着実に実現をしていくことが大切ではないかと、こう考えております。

○福島みずほ君 今やるべきだと、五万円の引上げを言っていますが、幼稚園の先生あるいは学校の先生並みに給与を上げるべきだということを強く申し上げます。
 次に、犬猫殺処分をゼロを目指すことに取り組んでおりますが、本予算、どの程度計上されていますか。

○国務大臣(丸川珠代君) 御指摘の予算でございますが、ハードに対するもの、施設整備費補助金につきましては、平成二十八年度は昨年と同額でございます。また、ソフト事業を中心といたします適正飼養推進・基盤強化事業につきましては、昨年の九千七百万から増額をいたしまして、一億二百万円でございます。

○福島みずほ君 動物愛護センターを犬猫を殺す場所ではなくて譲渡の場所にする予算が約一億円なんですね。余りに少な過ぎる。これを是非もっと頑張って上げていただきたいと思います。
 次に、総務大臣の電波止めるぞ発言をめぐる議論について申し上げます。
 二月八日の日に、総務大臣はこのように言っています。電波の停止についてですが、これは、全く将来にわたってそれがあり得ないということは断言できません。電波を止めるということを言っているじゃないですか。放送局が行政指導に従わない場合は止めるって言っているじゃないですか。断言、あり得ないことはないと言っているんだから、電波止めるぞ発言以外のほか物でもありません。こんな発言していないというのは虚偽答弁じゃないですか。

○国務大臣(高市早苗君) 失礼いたしますが、三月十四日の参議院予算委員会で福島議員がおっしゃったのは、大臣が電波を止めるぞと言うのはおかしいですよという御発言でした。私が電波を止めると言ったこと、一度もございません。その日の答弁でも、ほぼ、そこまで極端な、電波の停止に至るような対応を放送局がされるとも考えておりませんと申し上げております。
 大変極端な場合に、非常に慎重に運用すべきであるということも含めて、平成二十二年、菅内閣のときのあの放送法改正時に、四条がこれは法的な、法規範性を持つということ、これに違反をしたときに、総務大臣が放送法百七十四条及び電波法七十六条、これを適用することがあるという場合、そして、それらの命令は極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、慎重な配慮の下運用すべきであるということを当時答弁をしておられるんですね、民主党の副大臣が。そして、その答弁があった日の採決で、社民党も含めて、日本共産党以外の全ての会派が賛成をしておられます。(発言する者あり)

○委員長(岸宏一君) 終わりです。福島さん、終わりです。
 以上で福島みずほさんの質疑は終了いたしました。
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介護休業、保育園で質問  3/24参厚労委

3月24日(木)の参議院厚生労働委員会で、介護休業や保育園問題について質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 これは以前も介護休業法の改正法案に基づいて質問しましたし、今日も質問が出ていてダブるんですが、私自身の問題関心なのでやっぱりあえてまた質問させてください。
 介護休業について、九十三日ということ、まあ三か月ということだと思うんですが、この日にち妥当なのか。もう少しやっぱりこれ延長すべきでないか、いかがでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) この点はせんだっても御答弁申し上げましたが、基本的に介護に関しては介護保険制度、公的なサービスを利用する、介護の社会化ということを目指してつくった制度でございますので、こういった制度において、介護を行う言わば介護者が、労働者の方が直接自ら介護を行うことを前提とした制度にするということではないのであろうということで考えてございます。
 その意味では、介護保険制度を利用しながら、これを使いながら両立支援を図っていくということを前提に考えるということですので、そういう意味では、期間を長くするということよりはできるだけ使いやすくする、あるいは労働時間の調整等を選択させていくのと併せまして、全体として、介護保険制度を利用しながらできるだけ長く折り合いを付けながら就労を続けていただくという形にするというのが恐らく基本的な考え方であろうということでございます。
 九十三日につきましては、実際に介護を経験した労働者の方がどういう休業の仕方をしているかという意味では、二週間以内という方が七五%、あるいは回数が三回までという方が九〇%ということでございますので、基本的には事業主側の雇用管理の負担ということも含めまして、法律上定める、全ての企業に義務付ける介護休業の在り方としては、現行どおり九十三日で分割を三回、これを当該被介護者、要介護者の方が亡くなるまで、介護が終了するまでの間に取ることができるという形にいたしたところでございます。

○福島みずほ君 今、使い勝手がいいようにと香取局長は答弁されましたが、使い勝手がいいようにだとしたら、三回限りというのはやめるべきではないですか。
 というのは、子供は何歳になって大きくなるというのは分かりますが、介護は、私自身も母が介護保険のお世話になっていたりしているので分かるんですが、一体、というか、物すごく長生きしてほしいけれど、多分三回目使い切るときって物すごく勇気が要ると思うんですよ。これからだってもっともっともっと必要になることがあるかもしれない。九十三日あるのであれば、それをフルに本人がどう分割して使うか裁量にかなり任せたらどうですか。

○政府参考人(香取照幸君) そういう御意見、当然あろうかと思いますが、休業に関しては、今度は事業主側がその従業員の雇用の管理をすると、あるいはそれに併せて様々なシフトの変更でありますとかそういったことも行わなければならないということになりますので、事業主側の負担といいますか、事業主側の雇用管理の負担もある程度考えなければいけないということです。申し上げたように、労働法規ですので、定めますと全ての事業主が必ずこれは守らなければならない基準ということになりますので、そういう意味では、中小企業も含めて全体としてどこまで対応していただけるかということも考えた上で今回の規定を作ったところでございます。
 したがいまして、対応できる企業におきましては様々な形で上乗せを行うということについては、労使合意あるいは事業主の配慮によって行うことができるということになりますので、そこはむしろ努力義務、あるいは私どもの指導の中でそういった柔軟な制度については各企業で取り組んでいただくということで、それを即してまいるということになろうかと思います。

○福島みずほ君 ただ、局長は、これは介護をするのではなくて、例えば介護に必要な、例えば施設にどこか頼むとか、どこかリハビリテーション施設を確保するとか、そのためだから九十三日でいいんだとおっしゃったじゃないですか。私、事業主は三回が五回になったからといってそんな大した負担じゃないじゃないですか。大した負担じゃないですよ。
 これ、全部九十三回取るって言ったらちょっと大変かもしれないけれど、そんな大した負担じゃないですよ。介護離職ゼロというには三回はけちけちし過ぎていませんか。

○政府参考人(香取照幸君) やはり、これは実際にどのくらいの負担になるかというのは、その実際に負担する人の御見解というのもございますので、やはりこれは事業主側と、これはかなり時間を掛けて審議会でも議論させていただきましたので、三回と、最低基準としては三回ということになりました。
 あわせて、実は休業するしないということだけではなくて、やはり、例えば在宅で介護を続ける場合にはその労働時間、働き方の方を調整することによって在宅のサービスを利用しながら介護を続けると、仕事を続けるという意味で、今回、選択的措置義務ということで労働時間を様々に調整することができる措置を事業主側に義務付けると、こちらも九十三日の枠を外して三年間の間に取れるということにする、あるいは所定外労働の免除につきましてはもう介護が終了するまで労働免除が申請ができるという形で、そういった様々な施策も組み合わせて両立支援ができるようにということで、全体として配慮をするような制度改正をさせていただいたということでございます。

○福島みずほ君 実は、やっぱり最も納得できないのがこの三回限りなんですよ。これ、四回になったら大変なんですかと。
 介護っていつまで必要か分からないので、三回目取っちゃったら、あと日数がかなり残ってももう、例えば極端に言えば取れなくなるわけじゃないですか。それ、例えば近場だけじゃないんですよ。所定時間内の労働でできるんじゃなくて、遠隔地に親がいるかもしれない、飛行機に乗って帰って何日間か見なくちゃいけない、兄弟間で相談しなくちゃいけないなど、山ほどあるわけですよ。だとしたら、三回、これ三回目使うときって物すごく勇気が要りますよ。だって、もう使えなくなるわけですから。
 これは九十三日認めるのであれば、いや、私はこれ、無制限じゃなくても、せめて五回とか八回とか十回以内とかしてもそれはいいと思いますよ。だって、一回に三十日取るということは多分ないんですよ。やっぱり親の面倒だから、一週間地元に帰るとかということであれば、この三回というのは全くこの法律改正の中では納得がいきません。これで介護離職ゼロなんておかしいですよ。もっと柔軟に取れたら介護離職ゼロに近づくかもしれないけれど、三回だったら介護離職ゼロは実現しませんと思います。
 次に、有期契約労働者の育児休業取得についてお聞きをいたします。
 これについても、これは衆議院でも相当議論があったところですが、一歳六か月までの間に更新されないことが明らかであるものを除くについて判断する場合には、明らかであるものを除くとあるのだから、原則として契約満了が明らかではないと判断されるということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) これも度々御答弁申し上げておりますが、今回の趣旨は有期契約労働者の方でも育児休業はきちんと取れるようにという考え方ですので、お話のありますように、休業期間中である一年六か月の間に雇用契約が終了する、あるいはその間に到来する有期契約の終了日について更新されないということが明らかである、つまり育児休業明けの段階で雇用契約が終了しているということが明らかでない方については育児休業の取得の申請ができるという、そういう制度改正でございます。

○福島みずほ君 契約期間が三か月などの短期間で、かつ契約を更新しないなどの文言が契約書にあった場合のみ、過去、契約更新の実績があったり、同種の労働者が契約を更新して働いている場合、要件を満たす、あるいは業務の基本的な性質が臨時的、一時的でない場合には要件を満たすなど、育児休業が取得可能かどうか、実態に即して判断されるということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(香取照幸君) 先ほど申し上げました基本的な考え方に沿って、今後、法律の成立の後、指針等で御指導申し上げるわけでございますが、もちろん個別のケースによっていろんなケースがありますので、こういう場合は必ず、ざっくりくくってオーケーとかオーケーでないという書き方はできませんが、御指摘のように、今申し上げましたように、それぞれの実態なり契約の内容に即して、今申し上げましたように、雇用契約が一年六か月の中で終了することが明らかでないというものについてはできるということで指針等は策定して、御指導してまいりたいと思っております。

○福島みずほ君 いや、もうちょっと厳密なんですよ。つまり、例えば私の働き方が三か月おきだとしても、もう契約更新が結構されている、あるいは過去も契約更新をしてもらっている、あるいは基本的な性質が臨時的、一時的でない場合で要件を満たすと、つまり私が、あなたは三か月ごとの更新だから、あなたの一年半後だと、それはあなた、満たさないですよなんという言い方が現場で起きないという理解でよいかということです。

○政府参考人(香取照幸君) 今の御質問だと、更新を何回まで行うかということが明らかでないということになりますか。もしそうであれば、申請時点において一年六か月以内に雇用契約が終了することが明らかでないことになりますので取れるということになろうかと思いますが、例えば、契約上、例えば二回まで、あるいは三回までと書いてあると、だけど、周りの人は四回やってもらっているんだけど、私は明確に書いてあるということになりますと、申請時点でその契約が、当該個人に関して言いますと、契約が終了していることが明らかだということになりますので、結局、それはそれぞれのケースにおいてその人がどういう雇用契約で関係を結んでいるかと、その中で、今申し上げたように、その一年六か月以内の雇用終了が明らかであるかどうかということを判断すると。その意味では、それぞれの雇用実態に合わせて判断するということになろうかと思います。

○福島みずほ君 じゃ、これは、この法案が仮に成立した場合の指針を作るということでしょうか。あるいは、それがしっかりした、というか、明らかでないことが極めて限定的に、明らかである者を除くという場合に、明らかというのは極めて限定されるということでよろしいんですよね。
 つまり、私が三か月の期間であっても、実際上は更新されている、周りも更新されている、ですから、あなたは次回はもう更新しませんよという、不更新条項がどうかというのはこの委員会でも随分議論してきましたが、でも、そういう場合でない限りは明らかではないから、仮に私の契約期間が三か月であったとしても、まさにこの育児休業は取れるという理解でよろしいんですよね。

○政府参考人(香取照幸君) 個別のケースについて一〇〇%どうこうというのはちょっと今この段階では申し上げられませんが、もう一度、申し上げていますように、例えば短期間であった場合でも、例えばその間ずっと契約が続いていると、事実上続いているというようなケースもありますし、それから当該労働者、その過去の自分がどういうふうに更新してきたかということ、一種期待権が形成されている場合もありますので、そういったものに基づいて判断するということですし、考え方としては、できるだけ育児休業を取りやすくすると、取っていただくということが制度の基本の考え方ですので、その意味では、客観的にそういった状況をきちんと判断して、できるだけ取りやすいようにやっていただくということになろうかと思います。(発言する者あり)

○福島みずほ君 そうなんですね。
 なぜこういう議論をするかというと、派遣であれ有期契約であれ、なかなか育児休業なんて取れないよという世界だったので、今回の改正でそういう人たちも取れる、取れるんだと。仮に私の契約が三か月ごととなっていたとしても、一年半後にあなた雇われているかどうか分からないじゃないと言われても、でも私、契約更新されてきたし、一年半後に必ず首になることが、更新されないことが明らかでなければ育児休業取れるんですよね。

○政府参考人(香取照幸君) 今のケース、ちょっと余り無前提には言えませんが、今のケースですと、一年半の間に雇用契約を、あなたはもうやめますと、辞めてもらいますということが申請時点で明らかでないケースということになります、と思います、今の先生の例だと。とすれば、それは取れるということになろうかと思います。

○福島みずほ君 大臣と副大臣がうんうんと言っているので、これは取れると。あなたはこの一年半の間に契約更新されないということが明らかでない限り取れるということでこの委員会で確認して、また、重要なことは、経営者、中小企業の皆さんや大企業でもなかなか、あなた契約三か月なのに何で育児休業取れるのみたいな、現場で誤解が生じないように、今局長が答弁し、大臣と副大臣がうんうんと言ってくれたように、明らかでない場合というもののこの解釈に関してしっかり周知徹底していただきたい。どうでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) みずほ先生が、福島先生がそこまで確認をしたくなるということは、多分、国民全般もなかなか分かりづらいかも分からないという気がするんですね。
 この三つの要件のうちの一つを削って、これは雇用継続の見込みがあることというのを落として、それで一年六か月までの間に更新されないことが明らかでない者は皆さん大丈夫ですよと、こう言っているわけで、そういうことで、ひょっとすると雇用主側も今までのような発想でもってやるかも分からないということも十分考えられますから、同一労働同一賃金を実現しようと言っている私どもがやっぱりそこにはよく配慮をして、今までとは全然違うよということをはっきり広報していかないといけない、周知徹底をしていかないといけないし、ですから、そういうパンフレットだ、インターネットだ、ホームページだ、そういうことももちろんでありますけれども、事業主に対しても就業規則などで定めろというような、定めていただくように指導する、あるいはそういう指導を強化するというようなことをしっかりやって、今のような御質問が出ないようにしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

○福島みずほ君 有期契約の女性たちが、男性も、きちっと育児休業が取れる、結果が出るように是非よろしくお願いします。
 次に、シルバー人材派遣についてお聞きします。
 低賃金で劣悪な労働条件の雇用が拡大しかねないのではないかという点についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(広畑義久君) お答え申し上げます。
 今般の改正によりますシルバー人材センターの就業時間の要件緩和は、会員でございます高齢者の方々の適切な保護の観点から、シルバー人材センターが行う業務のうち、請負により高齢者に就業機会を提供する場合については要件緩和の対象とせずに、最低賃金や労働基準法などが適用され労働者としての保護が及ぶ派遣と職業紹介が行う場合のみを対象としてございます。
 また、シルバー人材センターの就業時間の要件緩和に当たりましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、都道府県知事は、その地域で働く方の就業機会や労働条件に悪影響を与えることがないことを具体的な指標を用いて判断することとし、指定に当たってはあらかじめ要件緩和を行おうとする地域の事業者や労働者を代表する方の意見を聴取しなければならないこと、さらに、委員ただいま御指摘いただいたような事態が生じた場合には都道府県知事は指定を取り消すこととするなど、地域の労働市場への影響に配慮した仕組みを設けているところでございます。
 こうした仕組みを有効に機能させまして、要件緩和を実施した都道府県と私どもと十分な連携を図りながら、御懸念のようなことが起きることのないよう、シルバー人材センターの適切な業務運営を確保してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 次に、高齢者の雇用保険適用について、給付が一回限りの一時金であることは問題ではないでしょうか。

○政府参考人(生田正之君) 六十五歳以上の求職者につきましては、これまで培ってこられた人間関係だとかあるいはスキルを活用して再就職される方も多く、就業希望ですとかあるいは就職に至る経路も非常に多様でございます。例えば、数か月先の就職を条件に知人から就職先を紹介されるような方も多くいらっしゃいまして、一律にハローワークに四週間に一回来所していただいて応募事業所の報告を求めるようなシステム、一般的な基本手当は全部そういう仕組みになっておるわけですけれども、それが必ずしも有効とは言えないのではないかということでございます。
 このような事情につきましては、昭和五十九年に高年齢求職者給付金という一時金制度をつくったわけですけれども、それほどその当時とこういうふうな仕事探しの方法については変わっていないという中で、一時金として支給することによりまして本人が自由に求職活動を行うことができるような仕組みにして、その上で年金と併給するという仕組みが適当であるというふうに考えてございます。この考え方につきましては、昨年の十二月に取りまとめられました労働政策審議会の雇用保険部会でも同じような考え方が取られているところでございます。
 なお、六十五歳以上の方がハローワークに来られた場合につきましては、二十八年度から六十五歳以上の再就職支援を重点的に行うための生涯現役支援窓口というのをつくりまして、積極的に職業相談、職業紹介などを行っていきたいと考えてございます。

○福島みずほ君 一時金のメリット、デメリットというのはあると思うんですね、割と雇用保険が早く払えるとか、認定が緩くなるとか。しかし、雇用保険はそもそも失業中、生活を支え、次の雇用に結び付けるという役割があるので、一回限りの一時金はその趣旨に反しないでしょうか。

○政府参考人(生田正之君) 繰り返しになりますけれども、昨年十二月に取りまとめられました労働政策審議会の雇用保険部会報告の考え方を踏まえまして、六十五歳以降に離職された場合につきましては、他の年齢層と比べまして求職活動が多様であるということなどから、一時金として高年齢求職者給付金を支給するということにいたしております。そして、その水準の設定につきましては、まず、基本手当につきましては年金と併給調整されるわけですけれども、年金と併給調整はしないということで、それがまずございます。それから、受給のために必要な被保険者期間、資格になる期間が一律六か月ということでございまして、一般の方は一年が原則ですけれども、そういった形になっているということ。あるいは、一時金として一度に全額支給されまして、定期的な失業認定が不要であるといったような様々な要素を勘案いたしまして、最大五十日分の給付ということで整理をされたところでございます。
 こういうふうな基本手当と違う給付ではございますけれども、高年齢者の求職活動の実態などに合った給付内容となっていると私ども考えてございまして、この給付によりまして、高年齢者の方の生活の安定あるいは再就職の促進を図ってまいりたいと考えてございます。

○福島みずほ君 次に、保育園の問題についてお聞きをいたします。
 今日、財務省に来ていただいておりますが、保育園、特養老人ホーム、福祉施設に対する国有地の貸与、売却についての実績を教えてください。

○政府参考人(中尾睦君) 国有財産についての御質問にお答え申し上げます。
 社会福祉分野につきましては、これまでも優先的売却や定期借地権による貸付けを通じ、国有地の活用を積極的に進めてきたところでございます。
 平成二十二年度から平成二十六年度末までの社会福祉分野における国有地の分野ごとの活用実績でございますが、一つ目に、保育施設として売却三十件、定期借地二十七件。二つ目に、特別養護老人ホーム等を介護施設として売却二十件、定期借地十一件。三つ目に、その他社会福祉施設として売却二十二件、定期借地六件となっているところでございます。

○福島みずほ君 この間、売却や、それから保育園の場合は定期借地権を付与してというのがあって、是非ここは頑張っていただきたいと思います。
 私は、少子化担当大臣のときに、国有地をとにかく貸与してもらおうと、都会にもう土地がないし、自治体は高い土地を買うお金がなかなかありませんから、国有地を貸与してもらう、第一号が世田谷、第二号が横浜でした。これはやっぱりそういうふうに国有地を貸与してもらいたい。
 それで、さっき、だから、売却の方が多くて二十七が貸与ということなんですが、賃料、定期借地権なんですが、これ少し安くしてもらえないでしょうか。

○政府参考人(中尾睦君) 委員お触れいただきましたように、定期借地権を活用した貸付けは平成二十二年度から開始した制度でございます。委員御承知のとおり、厳しい財政事情の下で、国民共有の共有財産でございますから、時価による対応を基本とさせてきていただいております。
 そういう中で、保育所につきましては、平成二十五年四月に取りまとめられました待機児童解消加速化プランを踏まえ、これまでに介護施設の二倍近い件数の国有地を提供してきておるところでございます。
 今後とも、保育所も含めまして、必要な社会福祉施設の整備に国有地が有効に活用されるよう、積極的に対応してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 ママやパパたちは無認可よりもやっぱり、まあ無認可で、私は自分の子供は無認可だったので、とってもいいところは山のようにあることはもちろん知っていますが、しかし認可に入れたい。その方が安いということもありますし。となると、やはりその土地がないんですね、正直、大都会は土地がない、空いている土地ががばっとあるわけではないので、それはもう財務省に頼るしかないと。
 時価というのは分かるんですが、私は、この御時世に、もちろん貴重な国有財産だけれども、定期借地権を安くしたとしても国民は怒り狂ったりしないと思うんですよ。いかがでしょうか。

○政府参考人(中尾睦君) 繰り返しになりますけれども、保育につきましては、待機児童解消加速化プランに基づきまして、廃止宿舎跡地等の情報を早期に地方公共団体に提供いたしますなど、積極的に、地方公共団体と連携しながら待機児童の解消に向けても寄与してまいっておるところでございます。(発言する者あり)基本的に、時価による対応を基本としながら対応させてきていただいておるところでございます。

○福島みずほ君 もう保活ママから涙の出るようなメールを山のようにもらって、この方は、十六園見た、でも認可が全て落ちて認証も駄目だったと。でも学校の先生で、仕事が復帰できないと退職するしかないという感じだったんですが、ようやく無認可で見付かったというメールが来ました。
 財務省、これ財務省にかなり頼るしかないんですよ。だって、認可の保育園建てるのに自治体土地がないんですもの。これは負けてくださいよ。どうですか。

○委員長(三原じゅん子君) 中尾次長、時間が来ておりますので。

○政府参考人(中尾睦君) 待機児童の解消に向けました取組につきましては、今後も広範な検討がなされるものと承知しております。
 そういう中で、ここについていかなる対応が適切か、適切に検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 よろしくお願いします。
 時間ですので、終わります。
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奨学金、ブラックバイで質問 7/14午前の参厚労委

2015年7月14日(火)参議院厚生労働委員会

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、奨学金、ブラックバイトについてお聞きをいたします。
 奨学金を受けている大学生の割合はどれぐらいか、文科省、お願いします。

○政府参考人(佐野太君) 独立行政法人日本学生支援機構の大学等奨学金事業につきましては、全学生数約二百六十八万人のうち約百四万人の大学生が貸与を受けておりまして、大学生への貸与率は平成二十六年度実績で三八・七%となってございます。

○福島みずほ君 奨学金の状況は随分様変わりをしています。学校の先生になればかつて免除がありましたが、あるいは大学の先生、そういうものはもうなくなりました。
 無利子と有利子の割合はどれぐらいですか。

○政府参考人(佐野太君) 日本学生支援機構の奨学金制度につきましては、平成二十六年度実績といたしまして、無利子奨学金は四十六・二万人に貸与しておりまして、有利子奨学金は約八十七・四万人に貸与しております。したがいまして、無利子奨学金と有利子奨学金の割合は約一対二となってございます。

○福島みずほ君 有利子が本当に多いわけで、その意味でも、教育ローンというかローンになっていると。
 それで、奨学金返済の金額と奨学生人数の分布についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(佐野太君) 日本学生支援機構の大学等奨学金事業におけます平成二十五年度末の返還金額と人数分布については、無利子奨学金と有利子奨学金の合計で貸与総額三百万円未満のものが約三百十五万人で八三%となっております。貸与総額三百万円以上五百万円未満のものが約五十七万人で一五%となっております。さらに、貸与総額五百万円以上のものが約七万人で二%となっているところでございます。

○福島みずほ君 高校で奨学金、大学で奨学金、大学院で奨学金、ロースクールに行って奨学金、司法修習生になっても最高裁から二百九十九万円貸与を受ける。私自身も、三百万、五百万、八百万、一千万、実は、たくさん大学院に行ったというので一千二百万とか借金があるという若者たちに会ってきました。結局、借金まみれというか、多額の借金を背負って社会人がスタートをすると。
 この返済困難者への支援等を行うべきではないでしょうか。文科省、いかがですか。

○政府参考人(佐野太君) 様々な事情によりまして卒業後厳しい経済状況に置かれ、奨学金の返還が困難な若者がいるということも確かでございます。そのような返還者に対しましては、回収に当たってはきめ細やかな対応や配慮が必要であるというふうに認識しております。
 このため、日本学生支援機構では、病気や経済的理由により返還が困難な人のために返還期限を猶予する返還期限猶予制度を設けており、また、毎月の返還額を当初の半額にして二倍の期間で返還できる減額返還制度や、死亡や心身障害の場合には返還を免除する制度などを設けているところでございます。
 さらに、平成二十六年度からは、延滞者の延滞金の賦課率を一〇%から五%へ引き下げることや、病気や経済困難を理由とする返還期間猶予制度の年数制限を五年から十年へと延長することなど、真に困窮している奨学金返還者に対する救済支援の充実を図っているところでございます。

○福島みずほ君 奨学金の借金の部分の実態を話していただいたんですが、結婚して両方とも奨学金の返済義務があれば借金が倍になるわけで、本当に、雇用の劣化もあるけれども、再生産不可能社会に若者たちはもう突入しているのではないかと思います。
 文科省にお聞きしますが、給費制と貸与制の割合を教えてください。

○委員長(丸川珠代君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(丸川珠代君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(佐野太君) 現在、給付型の奨学金は設けられてございません。

○福島みずほ君 そのとおりで、給付型の奨学金ってないんですよね。自治体で長野県などやっているところはありますが、貸与制しかないんですよね。給費制はありません。だから、有利子が多いですから、教育ローンなんですね。
 ですから、私は文科省に、給付型の奨学金はありませんという答弁だったんですが、給付型の奨学金、増やすべきではないですか。

○政府参考人(佐野太君) 現在、大学院におきましては、無利子奨学金の貸与を受けた学生で在学中に特に優秀な成績を収めた大学院生に対しましては、貸与した奨学金の全額又は半額を免除する業績優秀者返還免除制度により、言わば給付的効果を図っているところでございます。
 先生御指摘の給付型奨学金につきましては、将来的な導入を目指し検討を進めているところでございますが、まずはこれらの施策の充実を図って、家庭の経済状況のために進学を断念することのないよう、今後とも、学生等への経済的支援の充実に努めてまいりたいと思ってございます。

○福島みずほ君 給費制奨学金を増やすべきだと。子どもの貧困対策基本法ができて、シングルマザーの年収が二百万をはるかに切っている中で、給費制がない、そういう奨学金がなければ、やっぱり子供たちは大学進学などを諦めると思うんですね。
 この委員会でオスプレイのことなんかをよく引き合いに出しますが、一機百八十六億ぐらい、十七機も、三千百六十二億も買うぐらいだったら給費制の奨学金を、今ゼロなわけですから、やるべきだと思っています。
 文科省、それは是非、奨学金制度の抜本的見直し、給付型奨学金を導入すると、今ないというわけですから、是非お願いします。
 学生の状況がそんな状況なので、学生はアルバイトをせざるを得ないと。ブラックバイトについてお聞きをします。
 現在、学生がアルバイトをすることにより、過酷な長時間労働や、ノルマをクリアできなかった場合に商品購入を強いられるとか、休憩時間が取れない、休日が取れない、サービス残業がある、たくさんの問題が出ています。ブラックバイトが横行しています。バイトリーダーなんという言葉があって、正社員って見たことがないという話も聞きますが、ブラックバイトに関する抜本的な対策が行われておりません。
 政府は、こうしたブラックバイトについてどのように認識をしているでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) アルバイトで働く学生についても適正な労働条件というのが確保されることが大事でありまして、学生がアルバイトをする際に、労働基準関係法令違反などによって、今御指摘がありましたが、様々なトラブルが発生しているということは問題であるというふうに思っております。
 このため、厚生労働省としても、アルバイトで働く学生に向けて法令等に関する知識の周知啓発などの取組を行ってきているところでございまして、言葉はともかく、バイトの学生が不当な扱いを受けないようにするためにも、自らの自覚を高めるべく、厚生労働省としても啓発に努めていかなければならないというふうに考えております。

○福島みずほ君 学生のアルバイトが気楽なものだという時代はもう過去のものになっていて、バイトリーダーだったり、バイトでシフトを組まなくちゃいけない、あるいは休めない、試験が受けられなかったり、ゼミの合宿に行けなかったり、学業にも本当に影響を及ぼすと。辞めたいと言うと、辞めさせてくれないとか、本当に大変な状況です。
 さっき、奨学金の話から始めたのは、今、授業料がいわゆる国立大学でも年間五十四万円、あるいは私立はもっと高いですし、大変な状況の中で学生が生きていると。ですから、バイトしないと大学に行けないけれど、バイトの状況が非常に大変だということを、厚労省、ここに是非力を入れてほしいと、ブラック企業の前にブラックバイトがあると。
 対策を打つにはまず実態調査が必要ですが、政府は六月二十九日に六人の学生からアルバイトに関する聞き取り調査を座談会形式で行ったと聞いております。その調査結果はいかがでしょうか。また、六人の座談会だけではなく、大規模な実態調査を是非していただきたい。いかがでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 先生がおっしゃいますように、アルバイトの問題は非常に重要だというふうに考えております。
 そういうこともありまして、今年度から「アルバイトの労働条件を確かめよう!」というキャンペーンをしております。その一環として座談会、私が主宰して六人の方に来ていただきました。
 ただ、これは六人の方から実態を全て聞こうということではなくて、キャンペーンの一環のものでございます。むしろ、そういったことで私もいろいろ知ったこともございますので、それを踏まえてどういう形で実態調査をしていくか、これはしっかりやった上で更に対策を進めていくということにしたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 改めて実態調査をした上で、例えばどういうことを今後、では、座談会を行われた局長は何をこれからやっていこうとされていますか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 先ほど先生からも御指摘がありましたけれども、やはりシフトの問題でありますとか、それから学習塾の関係の話は結構出ました。
 そういうことから、具体的に実際何が問題になっているか、特に幾つか問題のあるような業界の話も出ましたので、そういうところについてまずしっかりとした実態を把握していくということが重要だというふうに思っていますし、それを踏まえた対策を適時講じていくということにしていきたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 局長、実態を把握することが重要だとおっしゃいましたが、何らかの形で実態調査をされるということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 現在、実態調査の方法を含めて検討しておりますので、それはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 今、塾のことが出ました。
 厚労省は、基発〇三二七第二七号で、学習塾経営団体に対し、学習塾の講師に係る労働時間の適正な把握、賃金の適正な支払等について要請を行いました。
 経営団体は使用者ではなく、加盟学習塾への指導もあくまで任意にすぎません。全国労働基準監督署から学習塾経営者や事業所に直接点検、指導をしなかったのはなぜでしょうか。また、上記基発の発出後、フォローアップは行ったんでしょうか。変化しているんでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君) 学習塾の問題につきましては、これまでの監督指導の結果の中でも、先生御指摘の通達の中で示しましたけれども、問題点がございました。
 ある程度業界の中で同じようなことがあるのではないかということで、まずは業界団体を通じた指導をしたということでありますが、これでとどまるということではなくて、その状況も踏まえながら、かつ今回実態調査もしますので、その状況を踏まえながら、より必要な対応は今後考えていきたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 ブラックバイトの定義は学生であることを尊重しないアルバイトと、大内裕和教授は定義をしております。
 やっぱり厚労省が、いろいろホームページ上で、すごく漫画も入れた分かりやすい、労働のことを説明したりというのは分かっているんですが、やはり学生や若い人たちになかなか労働基準法、例えば生理休暇があるとか解雇予告手当があるとか、休憩時間があるんだよとか休日もあるんだよとか、サービス残業許されないんだよみたいなことが実はなかなか浸透しておりません。
 それで、文科省にも今日来ていただきました。文科省と厚労省がブラックバイトを根絶するために力を合わせてほしいと、それぞれ頑張ってほしい。文科省、例えば経団連や、経団連だけではありませんが、中小企業も含めて様々な経営者団体に対して、アルバイト学生に対して学業との両立が妨げられないように特段の配慮を行うように指導すべきだとも考えますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(佐野太君) 法令に反しましてアルバイトに従事せざるを得ないような状況に学生が置かれ、大学での学業にも大きな影響が生じているとすれば、教育上ゆゆしき問題であるというふうに文科省としても認識しております。そのようなことを防止するためには、まずは学生が労働法制を理解した上でアルバイトに臨むことが重要であると考えております。
 そこで、文科省といたしましては、厚労省からの協力依頼を受けまして、直近では平成二十六年十一月に各大学等へ通知を発出いたしまして、各大学において、各都道府県の労働局と連携して学生に対して労働法制の周知を図るセミナーや講義等を実施するよう促しているところでございます。
 こういったことを踏まえまして、例えば三重大学においては、労働局の担当者による労働基準法のアルバイトの関係などに関する講演を開催いたしましたり、弘前大学におきましては、キャリア教育を通じて学生に対して働く上でのルールの理解の促進を図るなどの取組が行われております。
 今後とも、厚労省とも連携いたしまして、大学の取組の一層の促進を促してまいりたいと思っております。

○福島みずほ君 セミナーをやっていらっしゃるんですが、まだ数が少ないですよね。
 一つは、学生に対する啓発もさることながら、このブラックバイトを辞めても、次ブラックバイト、次ブラックバイトだと、学生は幾ら知識があっても、サービス残業おかしいからお金払ってくださいとなかなか言えない状況があります。
 文科省は、経営者に対しても、是非学生と学業の両立を図るように考えてください、そういうことを働きかけるというのはいかがでしょうか。

○政府参考人(佐野太君) 文科省といたしましては、まずは現行労働法制に対する学生の理解促進のための取組を大学に対して促していくことが重要と考えておりまして、法令等に関する知識の周知啓発に引き続き努めてまいりたいと思ってございます。

○福島みずほ君 セクシュアルハラスメントやパワハラや労働基準法違反がそうですが、働く労働者に対する知識はもちろん重要ですが、やっている側の、相手方に対して警告を発しない限り、それはなかなかやまないわけですよね。やるべきはやっぱり使用者側だと思いますが、文科省、厚労省、いかがですか。

○政府参考人(岡崎淳一君) おっしゃいますように、一つは、働く方々にもしっかり知っていただく、そして問題があれば私ども含めて問題提起していただくというのが重要でありますが、一方では、当然のことながら、雇う側がしっかりと労働基準法令を守っていただくというのが言うまでもなく重要でございます。
 そういうことで、指導ではないかと言われましたけれども、学習塾の業界団体等を通じた話もしたわけでございますが、今後、実態把握をしていく中で問題があった部分につきましては、経団連というような全体の方がいいのか業界団体がいいのか、そこら辺は問題の状況を踏まえながらでありますが、そこもしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 文科省も、もうちょっとパンチのあること、これやりますと言ってくれませんか。

○政府参考人(佐野太君) 厚労省ともよく相談しながら対応していきたいと思っています。(発言する者あり)

○福島みずほ君 パンチないという声がありますが、というか、実は、厚労省は労働基準法を守ろうキャンペーンとかやっているんですね。ただ、今日なぜこういう質問をするかというと、奨学金のことを言ったのは、大学生の状況が、私たちの大学時代、つい最近ですが、年はサバ読めませんが、もう様変わりしちゃったんですよね。
 ですから、このブラックアルバイトの状況について厚労省と文科省が大きく動き出したというのを見せてほしいと思うんです。文科省そして大臣、ちょっと答弁お願いします。

○政府参考人(佐野太君) アルバイトにおいて不当な扱いを経験した学生の大半は、大学や専門的機関に相談することもなく何もしていないというような、そういうふうなことも言われております。
 まずは、先ほども申し上げましたように、法令に関する知識の周知啓発に引き続き努めてまいりたいと思っておりますし、厚労省ともこの辺は、先ほど先生がおっしゃられたようにきちっと連携しながらやっていきたいと思っております。

○国務大臣(塩崎恭久君) 若い学生がしっかりとしたいい仕事をしてもらって、不当な労働を強いられないということは大変大事であって、そういう意味では、まず学生が意識を高め、そしてまた、こちらの厚生労働行政としても、企業にリマインダーをやっぱり定期的に発していかなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますので、やはり厳格な執行というものも大事であって、いろいろな意味で、今厚労省もキャンペーンをやっておりますけれども、文科省とも連携して、若い人たちがそのような扱いにならないように、企業そしてまた学生の方にも、そして塾の話もさっきありましたけれども、そういうところにおける労働条件の問題については、私どもの方としても、しっかりとメッセージを発してみんなの意識をやっぱり高めていかないといけないと思いますので、できる限りの連携はしていきたいというふうに思います。

○福島みずほ君 これは質問通告しておりませんが、局長、ブラックバイトの根絶とブラック企業の根絶とはやっぱり地続きだと思います。新聞に、お子さんを亡くしてしまったお母さんが、求人票が正社員だと思っていたらアルバイトだったとか、求人票が違うということなどについて要望を出したというのが載っておりましたが、ブラック企業の根絶についての局長の決意をお聞かせください。

○政府参考人(岡崎淳一君) 私ども、ブラック企業とかブラックバイトという言葉は使ってはおりませんが、やはり過重な労働を強いているような企業等につきましても、これはしっかりと対応していかなきゃいけないというふうに考えております。働き方改革等をしっかりとやる中でやはり働きやすくしっかりと働けるような企業にしていくと、これはもう非常に重要だというふうに思っていますので、その点についてもしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 解雇の金銭解決についてお聞きをします。
 平成二十七年六月三十日に閣議決定された規制改革実施計画、日本再興戦略改訂二〇一五では、解雇無効時における金銭救済制度の在り方を含む予見可能性の高い紛争解決システム等の在り方について議論の場を立ち上げ、検討を進めることとされました。現在でも、裁判上の和解や労働審判制度において金銭解決を求めることは可能であり、このような制度の導入は、不当解雇が行われた場合における職場復帰の道を狭めることになって極めて問題ではないでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 御指摘の裁判上の和解や労働審判制度も含めた労働紛争解決システムに関する実態調査の結果によれば、いずれの解決手段においても、多くのケースで金銭解決が活用されているわけであります。
 一方、個別労働関係紛争が増加する中で、時間的、金銭的負担を考慮して、行政機関のあっせんによる解決を希望する方も多いわけでありますけれども、その場合、比較的低廉な額で解決をされているとの指摘、あるいは労使双方の事情から解雇無効判決後の職場復帰比率が低いといった指摘もございまして、こうしたことが人材の有効活用や個人の能力発揮を妨げているおそれがあるのではないかと思われます。
 このため、今御指摘をいただきました日本再興戦略改訂二〇一五及び規制改革実施計画におきましては、実態調査の結果を踏まえつつ、解雇無効時の金銭解決制度の在り方とその必要性を含め、予見可能性の高い紛争解決システム等の在り方について検討するということとしたところでございます。
 解雇無効時の金銭解決制度につきましては、導入するとの政府方針が決定したわけではないわけでありますが、今後の検討に当たっては、職場復帰を希望する方にも十分配慮をしながら、働く方の雇用の安定がいたずらに損なわれるようなことがないように留意をしながら対応してまいりたいと考えているところでございます。

○福島みずほ君 金銭さえ支払えば不当な解雇も可能になるという風潮が広まれば、不当解雇がとても広がると思います。
 産業競争力会議では、民間議員より、民法に基づく解雇自由の原則の明文化、解雇権濫用法理による解雇ルールの見直し等が提案された経過もあります。解雇は労働者にとっては死刑判決のようなものですから、不当な解雇をしてもお金さえ払えばいいんだとなれば、やっぱり解雇が横行するというふうに思います。解雇の金銭ルールのこういう制度化については断固反対ということを申し上げます。
 社会保障の切捨てについてお聞きをいたします。
 先ほども他の同僚議員からありましたが、六月三十日に閣議決定された骨太方針において、高齢化に伴う伸びを二〇一八年度までの三年間で一・五兆円程度に抑える目安が設けられております。社会保障の切捨て、極めて問題ではないでしょうか。
 先ほど、若者の雇用の劣化とブラックバイトとブラック企業の質問をしました。今、二十四から三十四歳の若者の中で四八%が親の何らかの援助を受けていると。若者はもう親の援助がなければ生きていけない。でも、親のすねもそんなにもたず、こんなに社会保障を切り捨てていっていたら、下流老人、要するに、もう中間層が没落し、未来の老後もないという状況が出現するんじゃないか。
 これ大反対ですが、いかがですか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど、小池議員の御質問に対してもお答え申し上げたとおり、過去の社会保障改革の教訓も踏まえた上で、今回の二〇一五年の骨太の方針の中では、かつてのようないわゆる伸びの抑制を機械的に行うというような発想ではなくて、一律ではなくて柔軟に対応するということを唱えているわけでございまして、もちろん、社会保障・税の一体改革というのは、これは自公民で合意を得たもので、これは確実に進めながら、一方で経済再生と財政の健全化というものも進めないといけない、そして同時に、社会保障につきましては制度の持続可能性の確保の実現というものも図っていかなければいけないと。
 こういう言ってみれば連立方程式をしっかりと解きながら国民生活の豊かさを更に増していくようにしていく、そして安心、安全を確保するということが大事だというふうに考えておりますので、今御指摘のような形での社会保障の改革を、あるいは削減を機械的にやるようなことを考えているわけでは決してございませんので、引き続き、今のような連立方程式を解く中で豊かさを増していきたいというふうに思います。
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機能性表示食品で質問 6/17地方消費者特委

6月17日(水)の参議院地方・消費者問題に関する特別委員会で「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」(閣法51号)と「地域再生法の一部を改正する法律案」(閣法53号)、機能性表示食品について質問しました。地域再生法改正法案の採決に当たっては、反対討論を行いました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案についてお聞きをいたします。
 これまで厚労省は、保育所型認定こども園について有効期間を定めるというふうにしていました。これはなぜでしょうか。

○政府参考人(満田誉君) 厚労省の方から承っておりますのは、仮に地域における保育需要が将来的に増加した場合に、保育に欠けない子供を受け入れていると、要するに通常の保育所の対象外である、言わば幼稚園対象者が入って定数を埋めていることによって、本来保育所に入るべき人が入れなくなるのではないだろうかと、そういうことで、保育義務の履行が妨げられるおそれがあるのではないかということで有効期間を定めることというふうにされたと、このように我々の方で承知しております。

○福島みずほ君 今回の有効期間廃止に伴い、保育に欠ける子供の利用が制限され、市町村による保育の実施義務の履行が妨げられるおそれはないでしょうか。

○政府参考人(満田誉君) 御指摘のその有効期間の設定問題につきましては、これは地方公共団体、特に複数の団体から提案をいただき、保護者にとって途中退所の不安というものがあるということ、あるいは認定こども園の事業者さんにとっても経営の安定を阻害するということで、これを廃止すべきとの提案をいただき検討したものでございます。
 そこで、御懸念の、委員御指摘の御懸念の点に関してでございますが、この四月に施行された子ども・子育て支援新制度の下では、市町村が策定いたします子ども・子育て支援事業計画、これにおきまして五年間の保育量の見込みを定める、このようになっております。したがいまして、将来の保育需要というのは見越した上でどのような形で保育需要に対応していくかという、言わば受皿の整備を行うということになったもので、したがいまして、保育所だの認定こども園だけ有効期限を定めるということをなくしたといたしましても保育に欠ける子供の保育利用には影響を及ぼさないと、このように判断をしたものでございまして、関係府省とも調整の上、法案に盛り込んで御審議賜っているものでございます。

○福島みずほ君 昨年の第四次地方分権一括法の成立により、国から地方公共団体への事務権限の移譲が実現しましたが、権限移譲に伴う財政措置、人的措置は行われているのでしょうか。国から地方公共団体に対する財源面及び人員面で具体的にどのような措置を行ったでしょうか。

○政府参考人(満田誉君) お答えいたします。
 第四次地方分権一括法及び平成二十五年十二月に閣議決定されました事務・権限の移譲等に関する見直し方針等に基づく地方公共団体への事務権限の移譲、これに伴いまして、国といたしましては、まず、マニュアルの整備、技術的助言、研修などの必要な支援を行ってきたところでございます。これは、ですから仕事をされる方々への支援ということになろうかと思いますが、こういうことを行ってまいりました。
 加えて、二十七年度からでございますが、地方公共団体において生じる経費につきまして、地方財政計画において十一億円の経費を計上したというふうに承知しているところでございます。

○福島みずほ君 人件費も入れて財政計画が十一億円というのはやっぱり大変少ないというふうに思います。今、どんどん地方にいろんなものを権限移譲していて、あるいは介護でも地域包括ケアシステムにいろんなものが流れ込んでいっているんですが、僅か十一億円、人件費も含んでというのでは、やっぱりこれ地方は権限は来るし仕事は増えるがお金がないという状況が広がっていくというふうに思っています。
 第五次地方分権一括法案も地方公共団体への権限移譲を含む内容となっていますが、各地方公共団体において移譲される事務に伴って、具体的にどのような財政措置、人員措置が行われているか検証できる仕組みが必要ではないでしょうか。しっかりその財政面も含めてやるべきである。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) この第五次地方分権一括法案に先立ちまして閣議決定をいたしました平成二十六年の地方からの提案等に関する対応方針、これは今年の一月三十日閣議決定したものでございますが、そこにおいては、委員御指摘のごとく、「地方公共団体において、移譲された事務・権限を円滑に執行することができるよう、地方税、地方交付税や国庫補助負担金等により、確実な財源措置を講ずるとともに、マニュアルの整備や技術的助言、研修や職員の派遣などの必要な支援を実施する。」と、こう書いてあるわけであります。
 今のところ地方分権につきましては多くの手が挙がっておるわけで、そういうような御懸念というか、大丈夫かねみたいなことはないだろうとは思っていますが、だろうでは仕方がないので、私ども内閣府といたしまして、この閣議決定に従いまして確実な財源措置が講じられるように所管する関係府省に働きかけていかねばなりません。その働きかける上においては検証というものも、それは悉皆的にできるかどうかは分かりませんが、実際にそれがきちんと閣議決定どおりに行われているかということは内閣府としてもやるべきことだと考えております。

○福島みずほ君 満田さんがうんうんとうなずいてくださっていますが、十一億円、人件費含むという事態にならないように、しっかりこの第五次地方分権一括法案の後、財源をきちっと確保するということを是非よろしくお願いします。
 次に、機能性表示食品についてお聞きをいたします。
 食品安全委員会の審査において安全性を確認できないと評価されたお茶の成分をサプリ形態にした製品が、今度は機能性表示食品として販売されようとしております。この委員会でもかつて取り上げられましたが、問題ではないですか。

○政府参考人(岡田憲和君) お答えいたします。
 四月十七日に届出情報を公表いたしました機能性表示食品につきまして、その類似食品が特定保健用食品として申請され、その審査におきまして五月十二日の食品安全委員会で安全性を評価できない旨の評価書が決定されたことにつきましては承知しているところでございます。
 機能性表示食品と特定保健用食品につきましては、安全性及び機能性の評価方法は基本的に異なるわけでございますけれども、関与成分が同じで同様の方法で安全性を審査、評価している場合には、一般論として申し上げれば、特保としての食品安全委員会の評価書が機能性表示食品としての安全性に係る科学的根拠の内容の評価に影響する可能性があるものというふうに考えております。
 なお、特定保健用食品の評価書におきましては、安全性を評価できないという表現ぶりになっておりまして、今後、消費者庁におきまして食品安全委員会に答申の趣旨を確認するなどして評価書の内容を精査し、消費者委員会における機能性及び安全性に関する審査を経て、最終的に消費者庁において許可の可否に係る判断を行うことになるというふうに考えておるわけでございます。
 一方で、機能性表示食品として届けられたものにつきましては、この特定保健用食品の審査の状況も踏まえつつ、消費者庁におきまして評価書の内容を精査し、必要な調査を行うこととしておりまして、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 特保で駄目ってなって、しかし単なる届出でいい栄養機能食品として売り出されると。極めて問題じゃないですか。もっとてきぱきと、例えばもっとできないんですか。

○政府参考人(岡田憲和君) 特保の方の評価書におきましては、現在安全性が確認できないといことではなくて、安全性を評価できないという表現ぶりになってございます。
 したがいまして、まず特保の方の判断をする必要があるということでございまして、消費者委員会における機能性、安全性に関する審査を経て、許可に関します可否に係る判断を行うということでございます。
 その上に立ちまして、さらに、機能性表示食品の方の食品につきましては、その審査の状況を踏まえつつ、内容を精査して必要な調査を行うということにしてまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 特保として安全性を評価できないものが栄養機能食品として出されるというのは問題だと思います。消費者はよく分からない、体にいいとか、例えばコレステロールが減るとかいったらいいかなというふうに思ってしまうので、このことそのものが問題ではないか。というか、機能性食品のこのことそのものが問題ではないか。
 今回の機能性表示食品制度では、企業は発売前六十日までに消費者庁に届け出、その届出情報はホームページに公開されるので、六十日の間、消費者の誰でもその内容を閲覧して、証拠の信憑性をチェックできるというものとなっております。
 しかし、ホームページでの情報公開までに一か月掛かる場合もあります。ホームページ公開日と届出受理日を同じ日にするなどの措置を講ずるべきではないですか。

○政府参考人(岡田憲和君) お答えいたします。
 機能性表示食品につきましては、食品表示基準において販売の六十日前までに消費者庁長官に必要な事項を届け出るということにされておりまして、届出資料が整った日から起算して六十日後から販売可能というふうにしておるわけでございます。このため、確認のために必要な作業がございますので、その間日数が空くということでございます。
 機能性表示食品制度は本年四月から新たに施行されたこともありまして、事業者が作成する届出資料の不備等が見受けられるところでございまして、こうした不備の修正、届出内容の再考を促すために、多くの事業者との間で届出書類の修正依頼、再提出のやり取りを行っておりまして、形式的な審査ではあるものの、審査に時間を要することになっているわけでございます。
 このため、消費者庁といたしましては、届出資料作成に当たっての留意事項を整理、公表するなど、事業者のミスを減らし、手戻りが少なくなるようにするとともに、消費者庁における資料の確認、公表作業につきましても更に迅速に行っているところでございまして、今後とも届出資料の確認、公表をスムーズに進めてまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 ホームページ公開日と届出受理日を同じ日にするなどの措置を講ずるべきだと思います。
 消費者団体から寄せられる疑義情報を本来なら食品表示法で調査義務が決められている申出として位置付けるべきではないですか。
 また、疑義情報の提供を受けた後、消費者庁が行った調査結果はどのような形で消費者に対してフィードバックされるんでしょうか。

○政府参考人(岡田憲和君) お答えいたします。
 食品表示法に基づく申出制度につきましては、現に一般消費者の利益が害されていることが要件になっておりますことから、販売前の機能性表示食品につきましては申出制度の対象とはならないところでございます。
 このように、販売前の段階では申出制度の対象とはならないものの、一般的な疑義情報は常時受け付けておりまして、その内容に応じて必要な調査を行うなど適切に対応していくことになるというふうに考えております。
 調査の結果、指示等の食品表示法に基づく行政上の措置を行った場合にはその旨を公表することとしておりまして、申出者に通知せずとも措置の内容を確認できることになっているわけでございます。
 なお、申出者への調査結果の通知につきましては、公表されない場合の指導内容が申出者を通じて外部に伝わっていくおそれがあることから適切ではないというふうに考えているわけでございます。

○福島みずほ君 しかし、やっぱり問題がある、そして、とりわけ届出だけで済む話なので、そのことについてはきちっとフィードバックをすべきだというふうに思います。
 例えば、野菜も機能性表示ができますよね。野菜ってこんな機能性表示に適しているんでしょうか。

○政府参考人(岡田憲和君) 規制改革実施計画で位置付けられた際にも、生鮮食品というのは明示的に対象になるというふうにいたしております。
 私ども検討会を行った際にも、関係の農林水産関係の方にも参加していただきまして、どのようにすれば表示ができるかということについても検討させていただいておりますので、当然、野菜についても対象になるというふうに考えております。

○福島みずほ君 野菜は、体にいいものもあるでしょうが、食べ方にもよるし、タマネギがいいからといって何十キロも食べるわけにもいかないしということがあって、この野菜の機能性表示というのがどういう形なのかというふうには思っています。
 それで、例えば市民団体、食の安全・監視市民委員会は、六月一日、届出が受理された二十六商品のうち、少なくとも十七商品は健康への効果、機能性を示す科学的根拠が不十分だったり表示方法が不適切だったりするとして、消費者庁に疑義情報を提出をしております。例えば、機能性の根拠を示す臨床試験の論文で専門家の審査がされていなかったり、効果があったとする実験結果だけを届け出て、効果がないとする別の実験結果を無視していたりする例もありました。安全性の根拠には、食経験、これまで一般にどれだけ食べられてきたかを用いることができますが、一年未満など短期間の販売実績を根拠にしている商品がありました。
 それで、その団体は、都合のいい情報だけを提供している、こうした届出が認められると、安全性に問題があり効果もない健康食品が氾濫すると訴えていますが、どうお考えでしょうか。

○政府参考人(岡田憲和君) 市民団体の方から届出情報を契機として疑義情報をいただいていることは御指摘のとおりでございますけれども、こういった疑義情報につきましては、他の食品表示に関する疑義情報と同様に消費者庁において受け付けておりまして、その内容に応じて必要な調査を行うなどの対応を取るものというふうに考えております。
 調査の結果、必要な行政措置を行った場合には、当然その旨も公表されることになるわけでございますけれども、現時点で個別の疑義情報の対応につきましては言及は差し控えたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 特保と違って届出だけで表示がオーケー、機能性食品は体にいいということで出るわけですよね。でも、安全性に懸念もありますし、ビジネスチャンスは広がるかもしれないけれども、消費者という立場から見ればかなり問題があるというふうに思っております。
 今後、またこの委員会で質問したいと思います。ありがとうございます。

○福島みずほ君 福島みずほです。
 社会民主党・護憲連合を代表し、地域再生法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を行います。
 地域再生法は、昨年、いわゆるアベノミクスが当然の結果としてもたらす大都市と地方の格差拡大、大企業と中小企業の格差拡大を覆い隠すとともに、日本再興戦略改訂二〇一四において、「やる気のある地域に対して集中的に政策資源を投入する」とされたことなどを踏まえ、地方創生関連法として改正されました。
 しかし、そこには、高齢化や人口減で疲弊した地域をやる気がないと切り捨て、地方拠点都市にまち・ひと・しごとを集約してしまおうという意図が透けて見えます。さらに、なぜ地方創生が必要になったのかという原因分析が一面的であり、この間の平成の大合併や三位一体の改革などにより地方が疲弊したことへの検証は見受けられません。自治体における地方版総合戦略のプラン作りにおいても過去の検証は不可欠のはずです。
 本法案においては、東京一極集中是正のために企業の本社等が集中する東京二十三区から本社機能の移転を支援すると言いながら、一方ではまさにその東京などを国家戦略特区として指定するなど、地方創生とは名ばかりであると言わざるを得ません。
 以上を踏まえ、本法案は、いわゆるアベノミクスによる地方の更なる疲弊を覆い隠す対症療法にすぎないことから、反対であると申し上げ、討論を終わります。
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Suica情報のビジネス化は問題だ

 6月10日(水)の参議院地方・消費者問題に関する特別委員会で、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」、「地域再生法の一部を改正する法律案」そしてSuicaの乗降情報のビジネス化の問題点などについて質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律案についてお聞きをいたします。
 法案では、二から四ヘクタールの農地転用に係る国の協議を廃止するとともに、四ヘクタールを超える農地転用に係る権限について、当分の間、農林水産大臣との協議を付した上で都道府県知事に移譲することにしております。
 地方からの要望を受けて法案化したもので、より地域に近くなるという面はあるかもしれませんが、他方、一方でどんどん農地を転用できるということで、農地が守れるのかという意見も出ております。このような懸念にどう答えますでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) これは何度か申し上げておりますが、規制緩和を行うものではございません。権限移譲を行うものでございます。
 地方においていろいろな企業を誘致したい、そのためには農地転用が必要だ、しかしながらそれは四ヘクタールを超えている、国との協議ということをやっている間に時間が徒過をして企業が進出できなかったというような例が幾多ございます。そうしますと、その権限を都道府県知事、場合によってはそれ以下の自治体に落とすことによって時間の短縮というものを図ることができると思いますが、それを野方図に農地転用を認めるということを意味するものでは全くございません。
 ただ、国の関与というものをある程度残しておきませんと、それは自給力とか自給率とかいうものが瓦解するおそれがございますので、全く国の関与を外すものではございませんが、農地の総量確保あるいは自治体のスキルの造成、そういうものを図っていきながら、農地が壊廃が進まないように、それは今回の法改正におきまして最も留意した点の一つでございます。

○福島みずほ君 地方再生法の一部を改正する法律案についてお聞きをいたします。
 そもそも地方再生制度は、地方が行う自主的かつ自立的な取組を国が支援するといういわゆるボトムアップ型の施策でした。しかし、増田レポートに端を発した安倍政権による地方創生は、これは、例えば地方公共団体においては、国の長期ビジョンと総合戦略を勘案して、地域特性を踏まえた地方人口ビジョンと地方版総合戦略を策定するというふうになっております。既にコンサルに丸投げといった事態も指摘をされております。
 こうした中、国の総合戦略において、地方公共団体が作成する地域再生計画に企業などの地方拠点強化に係る事業を盛り込むことが規定をされました。言わば旧来型の企業誘致に頼る地方創生の手法でもあります。
 大臣は、地域を非常に、全国回ってボトムアップでやろうとしているというのも非常に見えるんですが、しかし、例えば里山などの地域資源を生かした地域の自主的、自立的な取組を支援するというスキームが事実上骨抜きになってしまったんじゃないか、国主導による地方創生ではないか、このことにどう答えられるでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) いろんな御指摘は謙虚に承りながら、正すべきは正していかねばならないと思っております。
 ただ、私ずっと申し上げていることですが、その地域のことはその地域でないと分からないので、都城のことは都城でないと分からないであろうと、あるいは出雲のことは出雲でないと分からないだろう。それは、やはり地域でいろいろな総合的な計画を、五年を目途として来年の三月三十一日までに作ってくださいということを法律の内容として盛り込み、昨年暮れ成立をさせていただいたところでございます。そこにおいて、国が押し付けとかそういうことはできるはずもございませんし、国がこのような形でやれと言ってそういうことになるわけでもございません。
 その地域における産業界であり、あるいは学問に携わる方であり、あるいは労働問題に携わる方であり、あるいは金融に携わる方であり、そういう方々が御議論をいただき、PDCAをワークさせ、KPIを設定するということにおいて、そこにおいて国が何かを押し付けるということには論理的にもならないものだと考えております。

○福島みずほ君 東京一極集中是正と言いながら、一方で東京など大都市圏を国家戦略特区に指定しております。私は、国家戦略特区というのは新自由主義のものだと思っておりまして、規制緩和が入っております。私は地方出身ですから、地方はやっぱり社会民主主義的な価値観で、ボトムアップで共生社会とやらなければ生きていけない、新自由主義で地方は滅びると実は思っております。
 その意味で、国家戦略特区の考え方と地方創生、一方で東京を国家戦略特区に指定しながら地方創生と言うことは、これは矛盾しませんか。

○政府参考人(若井英二君) お答え申し上げます。
 今、こういった地方創生の関係と特区との関係ということについてのお尋ねでございます。
 特に、この地域再生法改正法におきます地方拠点の強化施策につきましては、東京二十三区に集中をしております本社機能について、これを全国に分散をしていこうと、このように考えておりまして、こういったことを通じまして地方に安定した良質な雇用をつくっていこうと、こういう考え方でございます。
 他方、国家戦略特区というものにつきましては、国際競争力を強化すべき産業、業種というものにつきまして、やはり国の既に集積のございます東京でありますとか大阪、名古屋、こういったところが国際的な経済活動の拠点となって日本の経済の成長のエンジンとなると、こういった形で全体を引っ張っていくということでございますから、これは対象としております業種ですとか考え方それぞれに整理をして行っているものでございまして、当然に整合的に進めておるものでございます。

○福島みずほ君 ただ、国家戦略特区で労働法制の規制緩和をしたり、今度の法案の中に、例えば国家戦略特区で外国から家事労働者を導入するということなど、一方で労働法制を規制緩和するという面があると思うんですね。一方で、ある意味新自由主義的な手法を物すごく取りながら、一方で、地方創生は私も社会民主主義的な価値観でなければやっていけないと思っているんですが、これは明確に矛盾ではないか。東京から新自由主義で、それで全国展開、東京から発信していくことと哲学が矛盾しているのではないかというふうに思っております。
 次に、二〇一二年改正法で、コミュニティー再生のノウハウを蓄積したNPOや社会福祉法人を対象に地域再生推進法人制度が創設をされました。二〇一四年改正法で、営利を目的としない法人が削除をされました。今回の法改正で再度文言を復活されております。二転三転しているのはなぜでしょうか。一貫していないのではないですか。

○政府参考人(内田要君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、平成二十六年の、昨年の臨時国会でございますが、改正におきまして、まちづくり会社など、町づくりの担い手として活動している例が大変有用だということで、営利法人を一部追加いたしました。その際、非営利法人を削除したのではございませんで、まちづくり法人として活動実績のあるNPO法人、一般社団、一般財団ということで非営利法人を整理させていただいたわけでございます。
 それで、今般の改正でございますが、小さな拠点の形成に、例えば高齢者福祉施設を営む社会福祉法人でございますとか、あるいは農業に携わる農協というのが地域の生活サービスの担い手ということで大変有用である、重要であるという実態を踏まえまして、改めて範囲の見直しをさせていただいたところでございます。
 以上でございます。

○福島みずほ君 消費者の権利という観点から、パーソナルデータ、ビッグデータ、マイナンバーなどについてお聞きをいたします。
 匿名加工情報についてとりわけお聞きをいたします。匿名加工情報とは、「特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものをいう。」とされております。匿名加工情報の第三者提供に関する内閣官房、消費者庁の見解はどうでしょうか。

○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、個人情報保護法上、個人情報は特定の個人を識別することができるということが要件の一つになっておるところでございます。今回の法案におきます匿名加工情報は、個人情報を特定の個人を識別することができないように加工し、かつ元の個人情報を復元することができないようにしたものでございます。したがいまして、個人情報には該当しないものでございます。
 今回の法案におきましては、消費者保護にも配慮をいたしまして、データの利活用による新事業、新サービスの創出を促進するという観点から、新たに匿名加工情報を定義をいたしまして、委員会規則に基づく適正な加工とか、加工に関する情報等の安全管理措置などの一定の条件の下におきまして、本人の同意なく第三者に提供できるようにするものでございます。
 消費者保護にも配慮しながら、自由な情報の流通、利活用が促進されることを期待をしているところでございます。

○政府参考人(服部高明君) お答えさせていただきます。
 匿名加工情報は、個人情報を誰に関する情報であるか分からないように加工し、本人の権利利益の侵害のおそれを低減したものと承知しており、その前提において消費者の権利利益を害するものではないと考えております。
 また、改正法案では匿名加工情報の作成方法や安全管理措置の基準等が個人情報保護委員会規則で定められることになっているところ、消費者庁としては、匿名加工情報に係る制度設計が消費者の理解を得られるものとなり、消費者の安心、信頼を損なわないよう運用されることが重要であると認識しております。
 法改正後は、新設される個人情報保護委員会が個人情報保護法を所管することとなりますが、消費者庁としても、同委員会と連携しつつ、消費者の利益の擁護及び増進を図るべく必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 消費者の立場からすれば、自分のデータをビッグデータにしてそれを売買するということは予想していないと思うんですよ。そんなこと頼んでいないし、そんなこと同意していないよというのが消費者の立場ではないでしょうか。
 JR東日本と日立製作所の連携による四千三百万枚のSuica情報売買問題に関して、国土交通省はどのような注意、指導を行っているでしょうか。

○政府参考人(篠原康弘君) お答え申し上げます。
 御指摘の平成二十五年六月のJR東日本の事案でございますが、JR東日本によりますと、Suicaの旅客流動に関するデータの中で、氏名、連絡先、Suica番号等を削除して、個人が特定できないような加工をした上で日立製作所に提供したということでございましたが、国土交通省といたしましては、利用者の不安を惹起するおそれのあるデータの提供につきましては個人のプライバシーに配慮して慎重かつ丁寧な対応を行うことが望ましい旨の指摘を行ってございます。

○福島みずほ君 このSuica情報売買は、現行法において、適法なんでしょうか違法なんでしょうか。

○政府参考人(二宮清治君) お答え申し上げます。
 事案の発生当時、Suicaに関するデータにつきましては、氏名、連絡先、Suica番号等を除くことなどによりまして、個人が特定できないよう加工した上で日立製作所の方に提供されたものだというふうに承知をしているところでございます。
 個人情報保護法上、個人情報とは、特定の個人を識別することができるものをいい、他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含むというふうに規定をしているところでございます。
 他の情報と容易に照合できるかどうかにつきましては、当該情報にアクセスできる者の範囲、アクセス制限の技術的な措置等を踏まえて総合判断をする必要がございまして、御指摘の事案につきましては直ちに違法性があるとまでは言えないということで、このような事案につきまして、JR東日本を始め、グレーゾーンとして対応が困難という意見があるところでございます。
 したがいまして、現在、匿名加工情報という新たな類型を設けることといたしまして、法改正案を国会で御審議をいただいているところでございます。

○福島みずほ君 個人情報保護法の今回の改正案にも、大きく匿名加工情報についてできるというふうにやっているんですね。これは消費者の権利という観点から極めて問題ではないか。
 例えば、Suicaの情報は、池袋駅に夜六時に降りた人が二十代、三十代、四十代、男女別でどうで、どこから来ているかというのが全部分かるわけですよね。こういう情報って物すごくビジネスチャンスになるので、そういうことはSuicaを購入するときには考えていないが、自分の情報があらゆるビジネスに使われると、自分の承諾なくして、そんなことを、申し込んだときに同意なんかしていないよというのは多いと思うんですね。極めて匿名加工情報をビジネスに利用することは問題ではないか。
 マイナンバーにおいても、一つ、年金のだだ漏れ問題もそうですが、一つは今回医療情報も入っています。今回マイナンバーの中に特定健診とそれから予防接種が入っているんですね。でも、特定健診も予防接種も自分では持っているんですよ、その情報を。何でそれがマイナンバーに乗っかっていくのか、それが漏れたらどうなるのか。

○委員長(西田昌司君) 福島みずほ君、時間が来ていますので、おまとめください。

○福島みずほ君 はい、分かりました。
 漏れたらどうなるのかという問題と、それからそれがビッグデータとしてなると、今後それが特定健診でも心電図や血液や全部入りますので、今後医療情報に広がるとそれがビジネスに使われる、それから個人のデータが漏れると大変なことになる、その二つが極めて問題だと思います。またこの点については厚生労働委員会などでも質問させてください。
 以上で終わります。
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自殺対策決議で質問 6/2参厚労委

 6月2日(火)の参議院厚生労働委員会で、「自殺総合対策の更なる推進を求める決議」に当たって、厚労省や参考人の清水康之さん(ライフリンク代表)に質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 厚労省に移管するということで、厚生と労働を所管する強み、あるいはハローワークや医療機関と連携しながら、しっかり地に足の付いた形で取り組んでいかれるという決意表明が先ほど他の委員の答弁にもありました。
 厚労省に移管することで期待していることも大変あるわけですが、一方で内閣府の強みというのもあったと思うんですね。私自身もというか、今日は自殺がテーマでちょっと感無量というか、山本孝史先生、武見さん、尾辻さん、柳澤さん、津田さん、もう超党派で本当に初めから議員連盟をやってきて、そして私は二〇〇九年のときのまさに自殺担当大臣でした。そのときにやはり若者対策をやっていたので、若者と自殺、あるいはセクシュアルマイノリティーと自殺とか、あるいは文科省を呼ぶ、あるいは、さっきありましたが国土交通省に来てもらうとか、内閣府ってやっぱり横断的に様々なテーマを取り組むという、そういう非常に利点もあって、横断的に取り組むことができたと思っています。
 ですから、厚労省に移管することのメリット、それから横断的にやることも、他の省庁に働きかけるというのは内閣府が得意とするところなので、そういうことも生かしてやっていただきたい。その点、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 先生がおっしゃっていらっしゃるのは、各省庁の連携がいかに大事かということなので、今回、様々な御意見の上で法律でもって今まさに自殺問題については内閣府から厚労省に持ってこようということでありますので、先生が大事だと思っていらっしゃる省庁間の総合調整、これをいかにうまくやるかということでありますので、関係閣僚会議ができて、そこで調整をする、その中心が厚生労働大臣がやるということになりますから、そこの実効性をどう高めていくかということが先生の、内閣府の方が調整機能が強いんじゃないかというお話でございますけれども、必ずしも、何というか、どの役所ということではなく、やっぱりこの問題に応じて総合調整は、今回厚労省に移すということでもございますから、それをしっかりやっていくことが大事だということで、覚悟を持って厚労省は臨まないといけないというふうに思います。

○福島みずほ君 是非頑張ってください。
 自殺をなくすためには、過労や過労うつをなくすこと、長時間労働の規制こそ必要で、これは厚労省、これこそやるべきだ、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) そのとおりだと思いますし、それを心掛けて厚生労働行政をやっているつもりでございます。

○福島みずほ君 全会一致で過労死防止推進法が成立されましたし、塩崎大臣を本部長とする長時間労働削減推進本部も設置をされています。では、ホワイトカラーエグゼンプション、労働時間規制をなくす法案はこれに逆行するものだとやはり一言申し上げたい。厚労省は、長時間労働の規制こそすべき役所として頑張り抜いてほしいというエールを送りたいと思います。
 それで、私は担当大臣のときに、まさにライフリンクの清水さんなどに内閣府参与になっていただいて、啓発推進のためにいろんなこと、プロジェクトチームつくって様々な施策をやりましたが、啓発推進のためにとりわけやる必要があるとやりました。一つが、一番自殺が多い月である三月を自殺対策強化月間に決めてチラシを配ったり、駅の前でチラシを配ったりもしましたが、こういう強化月間や啓発のことについて、自殺対策の啓発に積極的に取り組むことの意味について、清水さん、いかがお考えでしょうか。

○参考人(清水康之君) 自殺対策を推進する上では、啓発と実務というのを、これ両輪でやっていく必要があると思います。畑仕事と同じように、枯れた土壌に幾ら種をまいても芽が出ないのと同じように、やはり自殺対策も、これを推進していこうという理解のない地域で実務を根付かせようと思ってもやっぱりうまくいきませんので、実務と啓発はしっかりと両輪でやっていく必要があると。
 しかも、その啓発をやる際には、多くの人ができるだけ共感してそのキーワードの下に結集できるような、そういうメッセージを掲げる必要もあると思います。例えば、響き方として、交通事故防止というのと交通安全の推進というと、やっぱり後者の方が何か前向きなメッセージとして受け止められて、いろんな関係者が結集しやすいと思うんですね。ですから、自殺対策においても、命支える自殺対策というようなメッセージを掲げて、既に自殺対策に関わっている関係者のみならず、企業やあるいはスポーツ団体とか、あるいは芸能関係者とか、そういういろんな人たちを巻き込んで、啓発、ひいては自殺対策を推進できるような、そういう状況をつくっていく必要があるんじゃないかと思います。

○福島みずほ君 ありがとうございます。
 確かに、その命を支えるというキーワードで命を支える自殺対策という、ポジティブというか、命を応援しますよという観点で自殺対策の施策を当時やれたことは大変よかったと思っています。また、先ほど福山さんの方からよりそいホットラインの話もありましたが、よりそいホットラインや、一つだけでなくて様々なことが相まって自殺をとにかくなくしていくということが可能だというふうにというか、それが必要だというふうに思っております。
 啓発活動の重要性について、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) 今、啓発活動についてのお尋ねでございますけれども、自殺予防に関して啓発活動をやるということについては、自殺総合対策大綱に、自殺等に関する正しい知識の普及を含む国民一人一人の気付きを促すと、それから、職場における普及啓発を含むメンタルヘルス対策の推進が当面の重点施策として示されておりまして、厚労省としてもこの二つを中心に進めてまいりたいと思っております。
 こういうことで、厚労省のホームページには、みんなのメンタルヘルス総合サイトというのを設けておりますし、若者向け、働く人向けのこれはポータルサイトでありますが、対象者に応じてきめ細かな啓発活動を行って、コミュニケーションをできる限り多層化するということかなというふうに思っております。
 また、先ほど来お話が出ている自殺予防総合対策センター、このウエブサイトにも、「いきる」というウエブサイトでありますが、自殺の現状、それから国、自治体の自殺対策について情報提供を行っておりまして、こういったことで国民各層の気付きを促す、こうした取組を更に多様化もし、積極化をしていきたいというふうに思います。

○福島みずほ君 清水参考人にお聞きをいたします。
 まず取り組んだことが、地域によっても自殺の理由が実は違う、割と主婦の方が亡くなっていたり若者が多く亡くなっていたり、いや、実は多重債務で亡くなる地域、秋田などそうだったと思うんですが、地域によっていろんな特色がある、それをきちっと踏まえて、それに適切に対応していくということなど大変必要だと思いますが。十年間を数分で話すのはちょっと難しいかもしれませんが、この間の自殺問題、人数を三万人切るなんて言い方はやめようと、当時担当大臣のときに、副大臣の大島さん、政務官の泉健太さんもすごい頑張ってくれたんですが、三万人切るという数字はやめようという話はしていたけれど、でも、この十年間の間にやはり二万五千人になった、でも、この二万五千人をどんどんやっぱりゼロにというか、自殺に追い込まれる人がなくなるようにしたいと思っているわけで、この間の取組でよかったこと、あるいはこれが課題だということをちょっと話していただけますか。

○参考人(清水康之君) 課題としては二つあると思っています。
 一つは、自殺対策に万能薬はないと腹をくくることですね。地域によって自殺の実情が違うということもそうですし、恐らくこれ時代によっても自殺で亡くなる人の数やあるいはその背景というものも変わってくると思うんですね。ただ、常に重要なのは、今一体何が起きているのかというその実態をしっかりと踏まえて、その実態に基づいて戦略を立てて、その戦略の下、しかるべき連携を図りながら関係者が実行して、その実行した結果をまた検証して、その検証の結果を政策に反映させていくという、一発勝負ではなくてそういうふうに継続的に対策を進化させていくということが必要だと思いますので、そうした意味で、万能薬はないんだ、粘り強くただ確実に進めていかなければならないと、このことを共有するのが一点と。
 あともう一つは、私は政治の関わりだと思っています。自殺対策の最前線というのは、これは個々人への対人支援です。言うまでもなく、一人一人の命とどう向き合うかと、そこが問われるわけですね。今日、今この瞬間においても、全国各地でいろいろな命を支える活動が行われています。いろんな支援者が奮闘しています。ただ、それを美談で終わらせるのではなくて、そういう人たちがちゃんと支援しやすいような、安心して支援に取り組めるようなその枠組みをつくるというのは、これは政治の仕事ですし、政治にしかできない仕事だというふうに思いますので、私は、支援から置き去りにされて自殺に追い込まれる人がいない社会を実現するためには、自殺対策は政治の仕事、そういう認識の下、今後も国会議員の皆さん、政府の皆さんにしっかりと関わり続けていただくと、これも非常に重要な課題だというふうに思っています。

○福島みずほ君 塩崎大臣、いかがでしょうか。移管された後、厚労省の責任というか役割がとても大きくなると思うんですね。
 私も、万能薬はなく、あらゆることをやるべきで、例えば、ちょっと細かいことですが、若者と自殺、あるいはセクシュアルマイノリティーと自殺、セクシュアルマイノリティーの人はやはりこの社会でより生きづらいために自殺をする人が十代で多いと。今、文科省がLGBTに関する手引を作ろうとしていたり、いろいろ頑張っている面もあるわけですよね。ということは、大きな大局的なことをやること、予算を付けることと同時に、きめ細やかにもやっていかなければならない。厚生労働省として、どんなスタッフで、これからのことですが、どんな形でやろうとお考えなのか、お聞かせください。

○国務大臣(塩崎恭久君) これは先ほど来申し上げているように、自殺をお考えになっていらっしゃる方々というのはまずどこにおられるか分からないことが多いわけで、お役所仕事というのは大体待っているというスタイルでありますけれども、それでは間に合わないわけです。
 したがって、先ほど来申し上げているように、一人公的な部門のお役所の人たち、国も都道府県も市町村のレベルも、それぞれのネットワークはフルに活用して、言ってみれば受ける体制はつくっておきながら、やっぱりアウトリーチをするためには、民間のやっぱりこの道の御専門の一番詳しい方々ともしっかりと言ってみればパートナーシップを組んでアウトリーチをして、そして専門家の医療あるいはPSWを含めて、そういった方々と連携をしながらやっていかなければならないので、そういう言ってみれば総合調整、まさにさっきのお話のとおりで、それは霞が関の省庁だけではなくて地方の様々な行政のレベル、それから民間の方々との連携をしっかりと組めるようにやっていかなきゃいけない、そういう総合調整も必要なんだろうというふうに思いますので、そういうことによって、これは一人親家庭への支援とか子供の貧困の支援とか、こういうものも同じだと思います。しっかり出ていって、早め早めに手が打てるような体制を、官だけでやろうとしないでしっかり連携を取って、ネットワークでもってやる努力をしないといけないのかなというふうに思っております。

○福島みずほ君 最後に、清水参考人に、先ほど政治の責任ということをおっしゃったんですが、足立区やいろんなところの自殺対策、自治体や、あとNGOで全国頑張っている人のことなどもよく御存じで、東尋坊で頑張っている人とか、私も何度もお会いしていますが、今ここは国会ですので、政治でこういうことをやってほしい、厚労省に言ってこういうことをやってほしい、提言をお聞かせください。

○参考人(清水康之君) 関心を持ち続けるという、もう一言で言うと、それに尽きると思います。その際には、やはり、先ほども少し触れましたけれども、自殺対策の現場、最前線というのはもう対人支援です。ですから、その現場で何が起きているのか、その現場で取り組んでいる人たちがどういう仕組みをつくれば、どういう体制をつくれば支援しやすくなるのかという、その現場を踏まえたシステムづくり、これはどちらかではなく、それは両方セットだと思いますので、これをしっかりとやっていただくために、やっぱり現場と国会と引き続き連携してやらせていただければというふうに思います。

○福島みずほ君 ここは厚生労働委員会なので、厚生労働省に自殺が移管して、私たちもその責任をより強く果たしていかなければならないと思っています。ですから、先ほど、長時間労働の規制こそ必要で、ホワイトカラーエグゼンプションは逆行するでしょうと申し上げましたが、まさに厚生と労働と両方頑張らなくちゃいけない。経済財政諮問会議の社会保障の切捨てなど、ゆめゆめそんなことが起きてはいけないと。社会保障の充実と労働のきちっとした規制、これも厚労省の大きな役割で、それが長期的に見たらやっぱり命の支援になるということで、厚生労働大臣、その立場でどうか頑張ってください。
 以上で終わります。
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盗聴法、道徳の教科化で決算委質問

5月18日(月)の参議院決算委員会で盗聴法、道徳の教科化について質問しました。

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず初めに、盗聴法、捜査のための通信傍受法の改正法案についてお聞きをいたします。
 今回、詐欺罪、窃盗罪なども対象犯罪に拡大をしております。また、元々の法律にありました立会人も廃止をされます。今日お聞きしたいのはメールや電話についてのことです。
 一旦全通信を記録した後、暗号化して、そして事後的にスポット再生を行うことになります。しかし、電話や、それからメールや、いろんなものに関して、全部取った後に事後的にそれを再生をするというのは、それは可能なんでしょうか。どういう形で、例えばAという人の長い会話の中のどこに犯罪が入っているのか、例えば窃盗でもいいですよ、どうやって見極めるんですか。

○国務大臣(上川陽子君) 一時的な保存方式ということでの御質問であるというふうに思っておりますけれども、一時的に保存される通信につきましては、通信事業者等によりまして暗号化をされて、そして保存をされるということでございます。したがいまして、復号をしない限りは内容を知ることは物理的に不可能であるということでございます。
 そこで、復号した通信ということでありますが、現行通信傍受法の下での傍受をする場合と同一の内容、範囲でしか再生、すなわち聴取することができないということになっておりまして、現行通信傍受法の規定による傍受の場合とこの通信の秘密に対する制約の程度に実質的な差異は生じないということでございますので、現行通信傍受法の規定による傍受と同様に許容されるということでございます。
 また、令状主義におきましても、それに反しないということでございます。

○福島みずほ君 いや、全く変わるんですよ。
 今まで、一九九九年のときの法務委員会にずっとおりましたので、よく覚えています。例えば覚醒剤について話しているが、途中で普通の会話になる、それは取らない、覚醒剤になったら取る、またというふうなことの説明を受け、例えば何でも関係ない天気の話になったら、もうそのときは通信傍受、盗聴を遮断するとか言われました。
 しかし、今度は、この改正法案によれば、全部記録するわけですよね。全部、メールも電話も、一旦記録された全通信が暗号化されるとはいえ保存されると。記録された全通信が適法、適切に処理する担保はどうやってやるんですか。

○国務大臣(上川陽子君) ただいま立会人の御指摘もございましたけれども、先ほどのお話で、スポット傍受というシステムの中でシステムは動いているということでございます。一旦記録に残したとしても、復号をすることによりまして同様の趣旨の適正化が図られるというシステムの組立てをしているところでございます。
 また、傍受の実施におきまして、立会人ということで、今回、その立会人のところにつきましては、特定の電子計算機を用いての通信傍受の実施の手続をしっかりとしていくということでございまして、この立会人に要求されている内容につきましては、電子的な手法にのっとって適正にその手続が、立会人と同じ手続がなされるという機能が果たされるというふうに考えております。

○福島みずほ君 質問に答えていないですよ。
 つまり、全記録を全部取るわけですよね、電話であれメールであれ、全部。後からどの部分に犯罪があると事後的にスポットで当てられるんですか。神業でもない限りそんなことできないですよ。全部聞かないと分からない、あるいは、ある程度聞かないと分からない、ある程度見ないと分からない。どうですか。

○国務大臣(上川陽子君) 先ほどシステムの方式につきまして少し説明をさせていただきましたけれども、まず、通信の暗号化によりまして一時的に保存をするということでございます。したがいまして、事後的にその内容を聴取する方法による通信傍受を行う場合でございますが、通信事業者により暗号化されたものをベースにその復号をした通信ということでございまして、現行の通信傍受法の下の傍受と同一の内容、範囲でしか再生することができないという、そういう仕組みになっているところでございます。
 再生されない通信につきましては、捜査機関がその内容を知ることなく全て消去されるということでございまして、そういう意味では通信秘密の制約の程度に実質的な差異はない、そうした技術的な対応をしていこうというものでございます。

○福島みずほ君 いや、これ極めて問題です。つまり、今までと違って、全てのメールも全ての通信も、一旦全部記録し全部保存するんですよ。事後的にスポット的にやると言うけれども、神業でもない限り、どの部分に犯罪があるかなんてそんなの確認できないですよ。結局全部読むことになる、メールを読むことになるというふうに思っています。
 では、お聞きしますが、LINEやスカイプ、フェイスブックも捜査の対象になりますね。

○国務大臣(上川陽子君) 今回の部分のみならず、これまでの現状のシステムにおきましては、通信ということでございますので、その意味ではLINEあるいはスカイプなどにつきましても通信傍受の対象となるということで、可能であるということでございます。

○福島みずほ君 フェイスブックの場合、五千人友達がいる、あるいはメッセージのところに書く、この部分に犯罪があるかもしれない場合、どうやってその犯罪の部分を特定するんですか。全部読まないと分からないですよね。

○国務大臣(上川陽子君) 個々の通信手段についての通信傍受について技術的な可否がございます。具体的な捜査手法に関わることでございまして、お答えにつきましては差し控えさせていただきたいと存じます。

○福島みずほ君 納得ができません。結局、全ての通信、スカイプもLINEもフェイスブックもメールも電話も、全部一旦記録して全部保存するんです。後からどこかに犯罪があるかと事後的にスポット的にやると言うけれど、そんなことできないですよ。フェイスブックであれLINEであれ、結局全部読まないと分からない。Aという人とBという人の間で起こったことでも、ほかの人のメールの中でも読むかもしれない、あるいは同一人物が違うメールアドレスでやっているかもしれない。結局、相当読むことになるんじゃないですか。

○国務大臣(上川陽子君) LINE等の電話以外の通信手段につきましての先ほどお尋ねがございまして、これについての通信傍受を行うに際しましても、電話に対する場合と同様にこの傍受を適正に確保する手続を取ることが必要であるということでございまして、こうした手続によりまして傍受の適正が確保されるというふうに考えているところでございます。

○福島みずほ君 質問に答えていないですよ。
 Aという人がBという人にメールを送った。でも、Aという人のアカウントやメールアドレスは様々かもしれない。どうやってこのAとB以外のものを見ないということができるんですか。

○国務大臣(上川陽子君) 通信を一時的に保存する方法によりましての通信傍受を行う場合でありましても、捜査機関がその内容を知り得る通信の範囲でございますけれども、現行の通信傍受法の規定による傍受の場合と異なることはございませんので、通信の秘密に対する制約の程度には実質的な差異は生じないというふうに考えております。
 全ての通信を一時的に保存をしていく、事後的にその内容を聴取することにつきまして、現行通信傍受法の規定による傍受と同様に許容され、令状主義に反するものではないというふうに考えているところでございます。

○福島みずほ君 全く駄目ですよ。今と全く違うんですよ。大改悪です。今までは犯罪に関係ないことがあれば通信を切ると答えていたんですよ。一九九九年の答弁を読んでくださいよ。
 ところが、今度は全ての通信、電話もメールも、あらゆるものも一旦全部保管するんです。それを見ていない、違うところを見ていないということの担保はできないんですよ。それは俺を信じてくれということだけの話であって、どういうことが起きるかも分からない。第三者委員会もないんですよ。証拠開示もされないんですよ。だとすれば、これは大悪法で、今までの法律も大反対ですが、これは大改悪で、全部取る、全部一旦取って保存することには、これはもう大改悪で駄目だということを申し上げます。
 次に、道徳教育についてお聞きをいたします。
 学習指導要領がありますが、今度道徳が教科になって、そして、検定教科書を使い、かつ評価をすると。五段階評価ではないけれども、文言によって、言葉によって評価するということなんですが、小学校学習指導要領をお手元にお配りいたしました。
 私は、例えば家族愛、家庭生活の充実のところで、「父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること。」と書いてあります。でも、お父さんがお母さんを殴っているかもしれない、おじいちゃんから性暴力を受けているかもしれない、家庭の中に虐待があるかもしれない。問題がある家庭だってあるじゃないですか。なのに、楽しい家庭をつくることとあるけれども、楽しい家庭をつくることは親や社会の責任ですよ。子供はいろんな家庭に育っている。私は家族はいいものだと思いますが、子供たちの周りにある大人たち、人は全員善人であるわけではありません。また、お父さんはこういうところはいいけどこういうところは問題だよね、お母さんはこういうところはすてきだけどこういうところはちょっと大人だけど改めてほしいな、子供はそう思って成長するわけです。このこと、極めて問題だと。
 問題を抱えている子供も、というか、問題のある、あるいはどんな家族も何らかの問題を抱えているかもしれない。そのときに、敬愛し、敬愛できないかもしれないじゃないですか。DVがある家庭で子供は悩んでいるかもしれない。明るい家庭を、楽しい家庭をつくること、これはありもしない家族を、というか、私、子供にとってはとても残酷なことになりませんか。

○国務大臣(下村博文君) 学習指導要領に規定されております父母、祖父母を敬愛することは、これは基本的には普遍的な、道徳的な価値であるというふうに思います。学校において、例えば日頃の父母や祖父母の様子を知ることから敬愛の念を育て、家の手伝いなどを通じまして家族の一員として役に立つ喜びを実感できるように指導することなどは、これは当然のことではないでしょうか。
 一方で、子供たち一人一人の状況を踏まえた配慮が、御指摘のようなことはありましたが、それは言うまでもなく、学習指導要領解説においても、多様な家族構成や家庭状況があることを踏まえ十分な配慮を欠かさないようにすることや、人権や個人情報に係る問題、人間関係に係る問題等への配慮が必要であるということもこれは明記をしております。また、子供たちをDV等の被害から守るため、家庭に問題を抱える子供については学校や地域の人々が連携して必要な支援をしていくことが重要であると考えます。
 このような配慮が行われるように今後とも指導することとしておりますが、多様な家族構成や家庭状況があることから、父母、祖父母を敬愛することを道徳科の内容項目とすることが問題の隠蔽につながるとの御指摘は、これは当たらないものと考えます。

○福島みずほ君 「私たちの道徳」、小学校一・二年、三・四年、五・六年、中学生、四冊の本を読みました。
 例えば、中学校のときに、家族との出来事や語らいで印象に残ったことを書き留めておこう。それはそれでいいのかもしれませんが、例えば家族に問題があったり家族に悩みがあったり、やっぱり全てとてもいい家族ばかりではないわけですよね。こういうのを記述として書かせるときに、本当に子供が、お父さんがお母さんを殴っている、DVがあるなんて書けるんでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) どういう記述かどうかというのはそれぞれの子供たちのそのときの心情だと思いますから、一概に書ける書けないというのはちょっと申し上げることはできないと思います。

○福島みずほ君 子供は、親を尊敬したり、好きだったら尊敬しますよ。おじいちゃん、おばあちゃんだって本当に大好きで、敬愛するときは敬愛するんです。でも、子供を取り巻く環境は様々なので、学習指導要領で祖父母、父母を敬愛し、明るい、楽しい家庭をつくることと言われても、できない子供がいるということです。例えば、DVやそれから子供への性暴力は大変大きな問題です。子供たちには、嫌なものは嫌、あるいは逃げよう、大人たちがこれは秘密だよと言っても、話してもいいんだよということがあるわけじゃないですか。
 しかし、この道徳の学習指導要領も、それから私自身も「私たちの道徳」を読みましたが、うそをついてはいけない、明るい素直な心で生きようとか、だから、子供を取り巻く環境が決して全て健全ではない、いい大人ばかりではないときに、人権や、それをどう乗り越えるか、どういう問題があるかということを教えるべきであって、感謝の気持ちで大人を尊敬しようというだけでは問題は解決しない。大人に対して嫌なものは嫌と言える力だって子供には必要だと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(下村博文君) しかし、基本的に祖父母や父母に対して敬愛の念を持つということは、これは否定すべきことではないというふうに思います。また、感謝の思いを持つということも子供たちに教えることは必要なことだと思います。
 ただ、「私たちの道徳」を読んでいただいたということで、ありがとうございます。今までの道徳とこれから特に特別の教科化を目指す道徳というのは、今までは、教師がその物語を読んで、一方的にこれはこういうふうに読み取るべきだというふうな価値観を教えるということだけに終始した道徳でしたが、これからの道徳というのは、例えば正義も立場によっていろいろの考え方があります。子供たちに議論を、道徳の場等でアクティブラーニング等をする中で、何が道徳なのかというのは人によって違う部分があると。しかし、反社会的とか非社会的は別ですけれども、一つの価値観の中でも見方が違うねということの中で多様性をお互いに認め合う、そういうことで、一方的な価値観を教師が教えるというような教科書にするということは全く考えておりません。

○福島みずほ君 多様性という言葉がありましたが、この「私たちの道徳」では、お父さんとお母さんがいて、例えば弟がいるとか。でも、御存じ、今離婚の家庭も増えておりますし、一人親家庭もあります。両親が離婚して祖父母に育てられている子供だって私たちの周りにもたくさんおります。子供を取り巻く環境は様々です。
 この教科書、この考えは、一つのやっぱり家庭像を押し付けることになるのではないかと思います。例えば、一人親、障害のある人、性的マイノリティー、貧困などの状況にある子供の設定や配慮というものは一切ありません。子供を取り巻く貧困の問題も、そういうものも一切ありません。少数者への視点に欠けているのではないか。
 この中に、中学校に「異性を理解し尊重して」という項目があります。一見いいとは思いますが、私、スウェーデンの社会科の教科書を読んだときに、セクシュアルマイノリティーのこともちゃんと書いてありました。様々な子供に対するそういう配慮は本当に必要だと思います。ほかに、勤労や奉仕を通して社会に貢献する。しかし、何のために働くかといえば、まず第一に食べるため、生きるためです。勤労や奉仕を通して社会に貢献すると。
 この教科書や、教科書というか、「私たちの道徳」もそうですが、国、社会、職場、学校、家族に問題があるという立場に立っておりません。例えば、学校のところでも、この学校のいいところはどこだろうということだけなんですね。でも、学校のこういう問題はもっと解決、例えば学校のところで、小学校五・六年のところ、自分の学校について考えてみましょう。この学校の自慢、この学校の好きなところ、こんな学校にしたいとあるんですが、やっぱり、この学校のこういうところは問題ではないか、こういうところはこうしたいとか。まず自慢と良いところというところから始まるわけです。
 国も、愛国心を持とうというのはありますが、国、社会、職場、学校、家族に問題があるときに、それをどう解決していくのかという視点が極めて弱いと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(下村博文君) たまたま五月にフランスに行ったときに、日本人学校でその五、六年生の道徳の教材を使って、私たちの学校について、良いところ、それからもっと良くしたいところということを、道徳の時間、視察に行きました。私たちの学校に対していいところというのを子供たちに議論させて、それぞれがみんな書く、また今後のもっと改善、もっと良くすべきところも書くということについては、これは子供たちも素直に、いいところもあれば、もちろん自分たちの学校の課題もあるということで、多面的な見方で、なおかつそれは、みんなそれぞれ、子供たちがそれぞれ書いていて、それに対して教師も、その考え方は正しいとか、その考え方は正しくないと言っているわけではなくて、それぞれの主体性の中でその教材を使ってやっているわけでありまして、そういう視点から、改めて自分たちの学校は自分たち自身もつくっていくんだということでは、私はすばらしい授業をしているなというふうに思いました。使い方の問題だと思います。

○福島みずほ君 規則や決まりを守りましょう、それはそれで正しいんですが、規則やそういうものが本当に正しいのか。かつて、丸刈り訴訟というのもあったり、女の子の制服が下から何センチというのが問題になったこともあります。
 規則や決まりが本当に正しいのか。つまり、何が教育にとって必要かといえば、自分の頭で考えて、自分の言葉を持ち、自分で行動し、そして現実を変えられる力を持つことではないかと思うのですが、これは、うそをついてはいけません、そして素直な明るい心で生きましょう、感謝の気持ちを持ちましょうと言って、だから、変えていくという視点、権利という視点がやっぱり弱いというふうに思っています。
 家族について、私は、大人はもし敬愛してほしければ、そうしていれば子供は敬愛してくれるというふうに思います。子供に感謝や敬愛せよと言うよりも、そういう社会を大人こそつくるべきであると。
 この学習指導要領は様々な点で問題がありますし、子供が、お父さんのこういうところは嫌だ、お母さんのこういうところは嫌だという自由記述が書けるんでしょうか、本当のことを書けるんでしょうか。子供は良い子を演ずるようになっちゃうんじゃないかということを非常に懸念しております。
 以上をもって私の質問を終わります。
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2015年度政府予算案に反対討論

4月9日参議院予算委員会で、2015年度政府予算3案に対して反対討論を行いました。

○福島みずほ君 福島みずほです。
 社会民主党・護憲連合を代表し、二〇一五年度政府予算三案に対し、反対の立場から討論を行います。
 まず、歳入面の前提となる二〇一五年度税制改正によって、消費税率一〇%への増税を二〇一七年四月から実施することが決定されました。さらに、法人実効税率の引下げや贈与税の減税を始めとする大企業・資産家優遇税制が拡大をされました。こうした不公平税制によって、税制の所得再分配機能が低下するとともに、税収に占める消費税の割合が二年連続で最大となる消費税依存税制となっています。
 さらに、昨年四月からの消費税増税分は全額社会保障として国民に還元すると言いながら、その実態は社会保障切捨てのオンパレードです。昨年六月のいわゆる骨太の方針で、社会保障費について自然増も含め聖域なき見直し、徹底的に効率化、適正化するとされ、概算要求段階で約八千三百億円見込まれていた社会保障の自然増分が、本年度予算案では約四千二百億円に圧縮されました。介護報酬の大幅な減額や生活保護の見直しなども併せ、小泉構造改革で社会保障費を毎年二千二百億円カットしたことをほうふつさせるとともに、消費税増税分が国民に還元されているとは到底言えません。
 社会保障が聖域なく見直しされる一方、防衛費の聖域化はますます進行しています。前年度補正予算と合わせた十五か月予算として見れば防衛費は五兆円を突破、中期防衛力整備計画の枠すら上回るのは必至です。オスプレイやステルス戦闘機F35、イージス艦の建造など過剰な装備が増えることは専守防衛の国是に反するとともに、防衛調達について長期のローン契約を結ぶことは継続的な軍拡と歳出の硬直化を進めるものと批判せざるを得ません。
 また、辺野古新基地建設費を増額する一方、沖縄一括交付金を減額したことは沖縄県への圧力ではないでしょうか。
 さらに、九州電力川内原発の再稼働が狙われている中、再稼働容認自治体に配る交付金の創設は、地方創生どころか、原発マネーに依存する地方を生み出し、地域資源を生かした地域の再生に反するものです。
 以上、軍拡の一方で、消費税増税や社会保障の削減により国民生活が疲弊することは明らかであり、いわゆるアベノミクスが当然の結果としてもたらす大企業と中小企業の格差、都市と地方の格差、正規雇用と非正規雇用の格差、富裕層と低所得者層の格差を是正し、貧困をなくす施策こそが今求められているという立場から、政府予算三案へ反対すると申し上げ、討論を終わります。(拍手)
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