
5月26日(水)の参議院厚生労働委員会で、安倍総理に対して患者申し出療養制度や社会保障の切り捨てについて質問しました。午後は対厚労省質問と、国民健康保険法改正への反対討論も行いました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
総理、患者申出療養制度を成長戦略と位置付けていますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 患者申出療養は、先進的な医療について、患者の申出を起点として、安全性、有効性を確認しつつ身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものであり、困難な病気と闘う患者の思いに応えると同時に、成長分野としての我が国の医療のイノベーションにも資するものであると考えております。
○福島みずほ君 成長戦略と位置付けてスタートしたこの制度、問題だと思います。所得の高い低いにかかわらずひとしく医療サービスを享受できるということがやっぱりこれで壊れていく、つまり、イノベーションあるいは成長戦略と位置付けたところからスタートが間違っているというふうに思います。
総理は、今日も度々、難病の患者の皆さんや患者の皆さんのとおっしゃいました。しかし、参考人は、難病・疾病団体協議会の会長さんは、保険収載のめどが立たず、結果として患者負担が増大すると反対の意思を表明されています。このことをどう受け止められますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこの制度は、患者の皆さんの先進医療を受けたいという申出を起点といたしまして、安全性において国がしっかりと責任を持つ中において、保険と言わば自由診療の併用において患者さんの負担も軽減をしていくと。同時に、そうした形で新たな先進的な医療へのアクセスが広がることによって、製薬メーカーを含め医療の提供側においても更にイノベーションを進め新しいものをつくっていこうと、こういうインセンティブが働いていくんではないかと、こう考えるところでございます。
患者の皆様方、患者団体の皆様方に対しましては、さらに今後ともしっかりと丁寧な説明をし続けていかなければならないと、このように考えております。
○福島みずほ君 現在、保険外併用療養制度の評価療養、選定療養があります。これらを改善していけば先進医療も未承認薬の使用も一定可能です。なぜ患者申出療養という枠組みを新設する必要があるんでしょうか。総理、お答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) これはもう委員会で何度も御答弁申し上げてまいりましたけれども、今回、先進医療の制度と異なるのは、何度も申し上げますけれども、まず第一に、患者の申出を起点とするということであり、それから、国が安全性、有効性を迅速に確認をしつつ、そしてまた地方でも身近な医療機関で受けられるようにすると。もちろん前提は将来的には保険収載を目指すということで、現在と、その点は先進医療と同じでありますけれども、今申し上げた三つの点ではやはり先進医療とは違うということで、新たなジャンルとしてこの患者申出療養というものを設けるということにさせていただいているわけでございます。
○福島みずほ君 患者申出療養制度をつくることが混合診療へ道を開く一里塚になるのではないかと思っております。患者申出療養制度における保険収載の見通しはどうなっていますか。現行の先端医療の保険収載はどうなっていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これも申し上げているように、必ず保険収載に向けて、臨床研究中核病院で作成をいたす計画の中でロードマップをきっちりと書いた上で保険収載のめどを明示をするということがなければこの対象になってこないということでございます。全く新しい案件の場合には原則六週間ということにしているわけでございますが、当然、しかし、それは安全性を大事にするという意味において医学的判断が分かれるというようなことは、それは当然あり得るわけでありますから、そのときは必ずしもこの六週間という期間で終わり切らないといけないということはないので、ここはしっかりと安全性は確保するということで、期間にはとらわれないということでございますが、しかし、今回、臨床研究中核病院にこの書類作成をお願いをするわけでありますから、原則六週間、今は大体六か月ぐらい掛かるところを六週間にするということで患者の思いにちゃんと応えるということでございます。
○福島みずほ君 現行の先端医療の保険収載は、先端医療百九件中、保険収載は八件しかありません。保険収載されていないんですよ。結局これからどうなっていくのか。お金のある人は未承認薬を求めていく、あるいは、ここの先端医療が使えますよという形で、今もありますが、民間保険がこの部分に入ってくる。しかし、保険収載は、現状でも、先端医療百九件中、保険収載は八件しかありません。結局お金の多寡が決まっていく。所得の高い低いにかかわらず国民皆保険の中でやれるということが崩れていってしまいます。
保険の中に入れば、公定価格ですから、一定程度リーズナブルな医薬品の値段になります。しかし、それに入らない医療を認めるわけですから、この部分でまさに混合診療に道を切り開くと思います。現状を見ても、患者申出療養制度の医療技術や医薬品が保険収載につながらずに保険外にとどまり続けるということは明らかではないでしょうか。国民皆保険制度の崩壊につながるおそれもあり、大問題です。
次に、国民健康保険について、今の現状の認識について総理にお聞きします。
そもそも国民健康保険料が高くて支払われない人々が増えております。保険料滞納世帯は三百六十万人、うち短期証や資格書の交付は百四十万世帯。国保料が高過ぎて支払われず必要な医療を受けることができない、このような事態をどう認識し、どう変えていこうとされているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国保は、医療費水準が高い一方で所得水準が低いなど、構造的な問題があります。このため、低所得者の保険料軽減措置等を講じるとともに、滞納者に対しては納付相談などを通じて個々の実情に応じたきめ細かな対応を行っています。
平成二十六年度には、消費税引上げによる財源を活用し、年約五百億円を投入し、低所得者の保険料軽減を拡大したところであります。今回の改革ではさらに、平成二十九年度以降、年約三千四百億円の財政支援を行うなど、財政基盤を大幅に強化することとしています。これによって保険料の伸びの抑制を図り、保険料を納めやすい環境を整えたいと考えています。
なお、保険料を滞納する世帯の割合は近年低下傾向にあります。平成二十三年度二〇%から二十五年度一八%と減っていっています。今後とも、こうした形でしっかりと所得の低い方々に対しましても保険がしっかりと行き届くようにしていきたいと、このように思っております。
○福島みずほ君 今回の改正で、国保の財政運営が都道府県に移行することによってお金の流れが変わります。市町村ごとの標準保険料率は従来のような一般会計法定外の繰入れを見込んでおらず、市町村の保険料の標準化は保険料の引上げにますますつながるのではないかという懸念もあります。ですから、そういう問題、解決していませんし、自治体が要求していた様々なものも、この法案の中に盛り込まれていないものもたくさんあります。
残りの時間、せっかく総理がおいでですから、社会保障の切捨て、何に私たちは財源を使うのかということについてお聞きをいたします。
この厚生労働委員会の中で、介護の切捨てや生活保護の本当に引下げ、年金の抑制、そういうことがどんどん法律で通ったり、議論をしてまいりました。社会保障の切捨て、こういう形でやったら生活が壊れるというふうに思っております。持続可能な社会保障制度と、それから格差のない豊かな社会をつくるためには、平和であり、格差をなくし、社会保障の充実を間違いなくしなければなりません。税金は極めて限られています。
そこで、どこに私たちはお金を、税金を使うのか。オスプレイ十七機の購入価格について米国防総省は、総計三十億ドル、三千六百億円と米議会に報告をいたしました。一機当たり二百億円であり、日本政府の発表した一機百億円から倍の値段に跳ね上がっております。こういうものをこれから長期に買っていく必要があるんでしょうか。また、本日、安保法制、私たちは戦争法案と言っておりますが、本会議で衆議院で始まります。集団的自衛権の行使を仮にし、後方支援という名の下に弾薬を提供したり発進する戦闘機に給油をする、自衛隊を派遣や派遣する、莫大なお金が掛かります。何にお金を使うか。社会保障費の削減ではなく、まさに社会保障にお金を充てるべきではないか、このことについて、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今いろんなことをおっしゃいましたが、社会保障に充てるべき予算はしっかりと社会保障に充てていくという方針には全く変わりはないということでございます。
○福島みずほ君 答えていないですよ。だって、一方で多額のものを買えば一方で社会保障費の削減になるじゃないですか。大砲よりバター、オスプレイより医療ですよ。現に、この六月末にまとめる財政健全化計画について議論している政府の経済財政諮問会議は、医療費抑制、年金、介護の見直しの議論が出ています。今まで社会保障費の削減をしてきたが、これから更に削減をしていくのではないか、医療が本当に傷んでいくと心配をしています。お金の使い道、総理、考え直すべきときではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障費については、いわゆる削減ではなくて、伸びが抑制されているわけでありまして、そこが違うんだということをまず申し上げておきたいと思います。
また、先ほど介護報酬についてお話がございました。介護報酬については、例えば介護報酬は、施設者の方々にとっても、私どももずっと日頃からお付き合いもございます。もちろん引き上げられれば引き上げたいという思いはみんなあるんですよ。しかし、ただ単純に引き上げれば、それは保険料が上がっていくことにもつながっていくわけでありますし、そこももちろん考えなければならないわけであります。その中におきまして私たちは適正化をしたということでございまして、そのように御理解をいただきたいと思います。
○福島みずほ君 抑制している、プラスやはり削減ですよ。介護報酬は引き下げるし年金は抑制するし、要支援一、二の通所と訪問サービスを地域包括移管にする、今度の法案にも、入院したときの食料費の値上げや大学病院に行くときの紹介料、盛り込まれているじゃないですか。お金のない人は医療にかかりにくくなる。明らかに医療を壊しますよ。
医療費適正化計画について、最後にお聞きをいたします。
医療費適正化計画は、指標を達成した場合の効果が曖昧、かつ、都道府県が管理できない要素が大きい医療費の増減について都道府県に責任を負わせようとするものと言えます。見直しの内容を見ても、国民の健康を増進する視点よりは、医療費の額を抑えることに重点が置かれております。問題ではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 都道府県が策定する医療費適正化計画は、現在、医療費の見通し、そして特定健診や保健指導の実施目標等を内容として五年を計画期間としています。医療保険制度を給付と負担のバランスの取れた持続可能なものとしていくため、医療費の適正化を進めることは重要な課題であります。
今回の改革では、医療費適正化計画について、将来のあるべき医療提供体制を示した地域医療構想を踏まえて、都道府県が医療費目標を設定するとともに、PDCAサイクルにより医療費の動向について要因分析や対策を行います。そして、後発医薬品の使用割合に関する目標を追加するなどを行うこととしています。
医療費適正化計画の見直しは、医療機能の分化、連携や予防、健康づくりを促進し、それによって医療費適正化を図ろうとするものであり、必要な人が医療にアクセスできなくなるという、そういう御指摘は当たりません。
○福島みずほ君 今の話を聞けば聞くほど、適正化計画がやはり医療費の抑制になるんじゃないか。今回も、例えば大学病院に行くときの紹介がなければお金を払うとか、やはりお金の多寡がその患者さんの医療のアクセスや保障とまさに密接につながっています。この医療費適正化計画については、数値目標を設定することから、都道府県からも不安の声が上がっています。
何に私たちは税金を使うのか、どんな社会を私たちがつくるのか。持続可能な社会保障制度をつくるためには、これは、混合診療に道をつなげる患者申出制度や、それからオスプレイや、そういうことにお金を使うのではなく、社会保障費にきっちり使うべきだと。経済財政諮問会議の社会保障費の削減としっかり闘うべきですし、お金の使い道について、しっかり、それは厚生労働省としても国会議員としても、ここにこそお金を使い、安心して医療にかかることができる国民皆保険制度の堅持こそすべきであるということを申し上げ、私の質問を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
評価療養のほかに、いわゆる患者申出療養というのをなぜ設ける必要があるのか、全く分かりません。
条文に基づいて質問いたします。
健康保険法の改正法案における今回この患者申出制度をやる、六十三条二項四号に患者申出療養があります。ここに「高度の医療技術を用いた療養」とありますが、定義を教えてください。
○政府参考人(唐澤剛君) 高度な医療については、これはもう医学的に決まるものでございますので、法律的に高度な医療とはこれというふうに規定はしていないわけでございます。これは医学の常識に従って決まっているということでございます。
○福島みずほ君 これは先進医療に限らないということですね。
○政府参考人(唐澤剛君) はい。必ずしも先進医療に狭く限らないということでございます。
○福島みずほ君 条文は「高度の医療技術を用いた療養」とあるので、がんの緩和や様々なものが入るということですか。これ、無限に拡大していく可能性がありますね。どうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 範囲が具体的に限定されていないということは、医療の内容につきまして、それは先生の御指摘のとおりでございますが、やはり先進医療で今取り組まれているものというのは、一定の範囲というのは実際には研究されている分野というものもございますので、それはそういう実際の研究の実情を反映した結果になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
○福島みずほ君 答弁が支離滅裂で、高度の医療技術を用いた療養には先進医療に限りませんねと言ったら、はいそうですと答えましたね。高度の医療技術を用いた療養というのはかなり広範囲じゃないですか。それはさっきお認めになられましたね。どこで限定するんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 高度な医療というものを、これこれと、この領域とこの領域とこの領域が高度という、そういうような定義はそれはされませんので、これは医学的に学会で決まっていくと、事実上ですね、というものでございます。したがって、線は引いていないわけでございます。
○福島みずほ君 先ほど先進医療に限らないというふうにおっしゃったので、そのとおりだと思います。
三号が評価療養の規定ですが、ここにも「高度の医療技術を用いた療養」とあります。三号の評価療養と四号の患者申出制度の高度の医療技術、同じものですか、違うものですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、法律の表現としては同じものであると考えております。
○福島みずほ君 同じものであれば、なぜ評価療養のほかに今回患者申出療養を設けるんでしょうか。
先日質問したら、三点、患者の申出が起点、迅速に審査を行う、身近な医療機関で受けられる仕組み、三点答弁がありました。
条文六十三条二項四号には、「当該療養を受けようとする者の申出に基づき、」と条文にあります。患者が申し出ないで医者が先に言ったら、この患者申出療養制度に該当しないということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、先ほどからも御議論がございましたけれども、物理的な順番ということよりも、患者さんがきちんと理解と納得をしたかということでございます。
それで、もちろん患者申出療養制度について、がんセンターで先日御覧いただいたように、あらかじめこういうことが考えられますということを出していただいているものもありますでしょうし、そうでないものもあろうと思います。
○福島みずほ君 条文に反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 条文に反するとは思いません。
○福島みずほ君 だって、条文に「当該療養を受けようとする者の申出に基づき、」と書いてありますよ。反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、当然、患者さんの申出書というのを添付していただくわけですから、それが申出のきちんと証明ですから、そういう意味で、当然、申出に基づいているわけです。申出がなければできません。
○福島みずほ君 そうしたら、それは厳密な意味での患者申出制度じゃないですよ。評価療養と一体どこが違うんですか。結局、患者さんはお医者さんと話をしながら決めることだってあるでしょう。
でも、結局、これずるいんですよ。患者が申し出たということを錦の御旗にしながら、条文にも患者の申出に基づきと書いているんですよ。でも、実際は医者がサジェスチョンするかもしれないし、一緒に決めるかもしれないんですよ。わらをもつかむ患者は同意するでしょう、自分が申し出ましたと。でも、そんなの意味ないですよ。患者の申出がメルクマールの大きな一つでしょう。でも、評価療養とどこが違うんですか。条文に反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、何度も御議論ございましたけれども、やはり患者さんの申出、思いというものを大切にするかどうかということが重要だと思います。
それからもう一つ、これは……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。一行しか答えられないので、ちょっと申し訳ございません。
やっぱり患者さんが医療の実情について全部知っているわけじゃありませんから、当然、お医者さんとは相談していただかなければいけませんし、その際に、先進医療というか高度な医療を担当している先生だけではなくて、ふだんから診ていただいている先生にも御相談をしていただいて支援をしていただきたいということを申し上げているわけでございます。
○福島みずほ君 いや、答弁がめちゃくちゃですし、条文にも合っていませんよ。
患者が何もかも分かっているわけではないと言っているでしょう。結局、これって選択療養を、選択療養というと、お金持ちは選択できる、お金のない人は選択できない、混合診療じゃないかと言われるから名前変えただけなんですよ。
患者が申し出たということを錦の御旗にして、条文には患者の申出に基づきと書いてあるけれども、患者の申出がなくたっていいといったら、条文、何の意味があるんですか。
次に、保険収載へのロードマップとか保険収載という言葉がありますが、条文に一切そういうのがないですね。どこに書いてあります。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、元々の保険外併用療養制度の枠内でやっているわけでございまして、それで、評価療養は保険収載を目指しているわけでございますし、当然、これは私どもの方針として保険収載を目指すということでございます。
○福島みずほ君 迅速に審査を行うということで六週間ということがありますが、条文は「速やかに検討を加え、」としかありません。六週間なんて条文はありませんが、いかがですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、私どもの考え方として、原則として六週間で実施したいということを申し上げているわけでございます。
○福島みずほ君 先ほどもありましたが、結局、患者の申出が起点というけれども、それは、今の局長の答弁で、大した意味ない、条文にはあるけれども意味がないんですよね。迅速に審査とあっても、これは、条文には速やかに審査を加えとしかない。
三点目の身近な医療機関で受けられる仕組みというのが評価療養と違うんですが、むしろ、身近な療養機関で受けられる仕組みだったら、ましてや、先ほどもありましたが、評価やデータとしていいかどうかということで、評価療養よりもランクが落ちるじゃないですか。どうしてこれが保険収載につながるんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) ランクが落ちるかどうかは、私は分からないと思います、それは何をランクと呼ぶかによりますけれども。
ただ、先ほどからお話し申し上げておりますように、先進医療というのは実施患者数が非常に少ないものが多いのは事実でございます。それから、未承認、適応外についてもなかなか広がっていないというような実情がございます。
そうしたものにつきまして、それは患者さんがそういうものについて当然知ることもございますから、患者さんの方の申出を尊重して、そして普及をしていくという枠組みができれば、それはやはり保険収載につながっていくというふうに考えております。
○福島みずほ君 さっぱり答弁になっていないじゃないですか。患者の申出だったら何で保険収載につながるんですか。
しかも、局長、問題があると思うのは、先ほどから、先進医療じゃなくて、条文上も「高度の医療技術を用いた療養」とあって、先進医療に限らないと言いながら、すぐ先進医療とか言うじゃないですか。先進医療に限っていないでしょう。これ、どんどん拡大しますよ。だって、高度の医療技術を用いた療養なんて定義次第で幾らでも拡大しますよ。厚生労働大臣が認めれば幾らだってこれは拡大するんですよ。だから、混合診療に風穴を開けるものだと反対をしているわけです。なぜこれが保険収載につながるのか全く分かりませんし、条文上もその担保は一切ありません。
先進医療、現行の先端医療の保険収載が、先端医療は百九件中保険収載は八件ということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) これは先進医療Aのことをお話しされているんだと思うんですけれども、これは、ちょっと数字ですのでお待ちください。
先進医療Aの保険導入につきましては、これはそれぞれの時点でいろいろございますので、二十二年のときには八件保険導入されました、その前の、一年前の導入では九十でしたけど。それから、二十四年の改定のときには、その一年前は八十九ございましたけれども、そのうち二十三が保険導入をされております。それから、二十六年四月の診療報酬改定でございますけれども、そのおよそ一年前の時点の六十五という先進医療技術の中から八件につきまして保険導入をされているわけでございます。
それから、先進医療Bにつきましては、これはまだ最近でございますけれども、全体の先進医療技術、四十ほどございますが、そのうちで薬事承認、保険収載済みの技術というのは二という状況でございます。
○福島みずほ君 極めて少ないじゃないですか。
先ほどの保険収載八件は、先端医療の、それは百九件中八件ということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) 合計すればそういうことでございます。
○福島みずほ君 つまり、百九件中保険収載は八件なんですよ。だから、保険収載するするするすると言っているけど、するする詐欺みたいなもので、それはなっていないじゃないですか。
つまり、私たちが心配しているのは、保険収載になれば、それは公定価格になってきちっと国民皆保険の中でやれるし、患者さんの負担も減るんですよ。でも、保険収載目指すと言いながら、実際そうだと思いますよ、保険収載、先端医療だったら特にそうなると思います。そんなに保険収載できないですよ。だとしたら、それは自由診療というか、もう混合診療になるわけで、だとしたら金持ちしかそれはできないですよ。国民皆保険壊しませんか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは先進医療、確かにBは薬事未承認なんでなかなか難しい、越えなければいけないハードルがたくさんございます。Aの方では、午前中の御議論でも出ましたけれども、二十三件収載されたときがございます。ただ、ちょっと減っております。
しかし、いずれにしましても、きちんと保険収載を目指していくという原則はしっかり立てませんとこれは皆保険の原理を壊してしまいますので、それは私どもはいささかもゆるがせにするつもりはございません。
○福島みずほ君 保険収載を目指すと言いながら、先端医療で百九件中保険収載は八件、実際難しいというか、実際そうなんですよ。
だから、保険収載を目指すから見逃してくれというか、これ認めてくれと言われても、私たちはそれを信頼することはできないですよ。ということは、結局、これは保険収載されるものもあるが、ほとんど保険収載されないんですよ。どんどんどんどん高度な医療を用いた療養で患者が申し出たと、そうすればどんどんいろんなことをやって、これは国民皆保険の中では使えない、お金をがばっと払わなければこれは得られない医療なんですよ。これをつくったら駄目でしょう。保険の中でやるように厚生労働省はやるべきじゃないですか。順番が違うでしょう。テンポをアップさせるかもっと速くするか、こういうふうに抜け道をつくって、いずれ保険収載されるかもなんという話ではなくて、きちっと国民皆保険の中でやるべきでしょう。
混合診療に道を開かないというふうに答弁できますか。
○政府参考人(唐澤剛君) もちろんこれは混合診療の全面解禁のようなものに道を開くものではございません。これはもう何度も何度も大臣からもお話しされておりますけれども、これを緩めてしまいますと本当に日本の医療制度壊れてしまいますので、これだけは絶対守らなきゃいけない、私どもはそう考えております。
ただし、何でもすぐに保険に入るわけじゃございませんから、やっぱりプロセス、学会からストレートに保険収載に来るものもありまして、保険で適用するものもございます。ただ、やっぱり難しいものにつきましては、こういう先進医療のような高度な医療の部分のものは研究プロセスを通じて入ってくるというものもあるわけでございます。
○福島みずほ君 混合診療の全面解禁なんて言っていないですよ。部分解禁につながって、いずれそれは、部分解禁ということは、国民皆保険制度が壊れるから、そう言っているんです。
だって、今答弁されたとおり、先端医療は百九件中保険収載が八件だとしたら、ほとんど保険で使えないということじゃないですか。百一件は保険適用されない自由診療で、お金がなければ使えないんですよ。そういうものをつくっていくということじゃないですか。これは混合診療への解禁と言わないんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、先進医療については、これは診療報酬改定の年によって少し多めに保険に導入されたものもありますし、それから少ないところもあるんです。ただし、これまでの御審議の中で御指摘いただいたように、この先進医療に入っているものを更に保険導入するべく特例をすべきであるという御指摘はいただきましたので、それは私どももきちんと考えていかなければいけません。
いずれにしても、保険収載を目指すということについては全く変わりはございません。
○福島みずほ君 保険収載を目指すのは当たり前のことです。でも、それが今までの実例からいっても、例えば百九件中、繰り返して言いますが、保険収載が八件。百一件、ほとんど保険収載されていないんですよ。
だから、どうやっていわゆる患者申出制度をやって、患者さんの申出が余り、条文に反していると思いますが、この制度を導入した暁に保険収載を目指すとしても、保険収載されないものの方が多いかもしれないじゃないですか。結局、その部分は自由診療のまま残っていくんですよ。あるいは、保険収載されるものが一部分あるかもしれないけれど、どんどん自由診療の部分が拡大するんですよ。それは民間保険でしかやれません。国民皆保険のあなたの保険では駄目ですということじゃないですか。そういうものをつくっていいんですかということです。
大臣、これ、保険収載を目指すと答弁繰り返してありますが、どれぐらい保険収載される見込みですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来、この数については、事前的にそういうことをこの幅だというようなことで言うことはなかなか難しいということは繰り返し申し上げてまいったと思います。
それで、今回の患者申出療養の対象となる医療は、もちろん今のように保険収載をすることを前提としてロードマップを作ってもらうということが多いわけでありますけれども、しかし一方で、もう一つは、先進医療を現在実施していない身近な医療機関でもできるようになるということもあります。
それから、先進医療の実施計画の対象外で年齢の幅が少し一、二歳はみ出るとか、そういうようなもので、例えば六十五歳までとなっているのを、六十七歳の方が今だと適格基準から外れてしまいますけれども、ここをどう考えるかということで、患者が自分のやっぱり思いとしてどうしてもこれをやりたいといった場合にも患者申出療養に入ってくるわけでございますので、そういうことも含めて今回は患者の思いを大事にして、しかし、新しいものであれば、保険収載をロードマップできっちりと書き切れるものでないとやっぱり対象にはならないということであり、その他のものについては、やはり、臨床研究中核病院で作られる計画の中で書き込んで、そしてもちろん本人の申出ということをエビデンスを付けて出してくるという中で認められていくというのは、これは国レベルの患者申出療養に関する会議でこれは審査をされるわけであります。
○福島みずほ君 評価療養でできるじゃないですか。評価療養で今十分できるんですよ。だって、保険収載を目指すというのは評価療養の中に入っているわけですし、それから、今大臣が答弁された何歳、何歳とかそういうものに関して言えば、別に法律にそういう規定が今あるわけではないから、厚労省が評価療養の中でしっかりやるんだと決断すれば、それはできることですよ。
確かに、今の評価療養制度は医療機関の手挙げ制です。しかし、それだって別に、法律改正で今度、患者申出制度という怪しいやつ、患者申出もどきですよね、患者申出がなくてもあったようにする患者申出制度を怪しくつくらなくても、評価療養制度をきちっとやればできるんですよ。納得できないのは、何でこういう怪しい制度を選択療養と言わずに持ち込むかなんですよ。これはやっぱり混合診療に道を開くというふうに思える、保険収載にロードマップ作るといったって、そんな道筋が全然見えないからこのことを言っているわけです。
こういう形で混合診療にずっとこの委員会も反対してきましたし、いろんな立場の人も反対をしてきました。こんな形で混合診療突破の一里塚をどさくさに紛れてやることは許せないというふうに思いますよ。実際、これをやれば、保険収載されない限りその部分は保険外で残り続けるわけですから、それは私たちは絶対にこういうのは認められない、廃案にすべきだというふうに思っています。厚労省、いろいろあるかもしれないけど頑張ってくださいよ。何で規制改革ごときに負けるのかというのがさっぱり分かりません。
それで、次、質問で、済みません、たくさん、参考人の方から協会けんぽについて、後期高齢者支援金の全面総報酬制の導入について意見がありました。協会けんぽへの国庫補助額の減額二千四百億円の七割に当たる千七百億円が国保の財政対策に優先的に投入されることについて、被用者保険団体から、これはおかしいと、被用者保険の負担増に転嫁するものだとあり、参考人からも意見がありました。厚生労働大臣の見解を教えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の改革では、後期高齢者医療制度をより安定的に運営をするというために、後期高齢者支援金につきまして、負担能力に応じた負担として被用者保険者の支え合いを強化する観点から、いわゆる全面総報酬割というのを導入をすることとしているわけであります。被用者保険者からは、全面総報酬割導入により生じる財源を国保の財源支援に優先投入するのは、国の財政責任を被用者保険の負担増に転嫁するものであるとの意見があること、我々は認識をしております。
しかし、国保は国民皆保険を支える重要な基盤でありまして、国保への財政支援を拡充し、都道府県が財政運営責任を担うということになって国保の安定化を図るということは、国民皆保険を維持するために重要な事項でございまして、国保への財政支援に全面総報酬割で生じた財源も投入するということに御理解を賜れればというふうに思っているわけでございまして、なお、全面総報酬割の導入に伴う健康保険組合の負担増の半額程度でございます約七百億円については、追加支援によって拠出金負担の重い健康保険組合に対して必要な負担軽減を実施をするということにしているところでございますので、御理解を賜れれば有り難いなというふうに思います。
○福島みずほ君 参考人の中から、これは納得できないというお答えがあり、確かによそから持ってくることについては納得がいかないというふうに思います。
それから、国保の財政運営、これ午前中も聞いたんですが、これは重要な問題だと思うので、午後も聞かせてください。
国保の財政運営を都道府県に移行することによってお金の流れが変わります。市町村ごとの標準保険料率は従来のように一般会計法定外の繰入れを見込んでおりません。つまり、各市町村はこれは繰入れが来ないのではないかと、各市町村の保険料の標準化は保険料の引上げにつながるのではないか。いかがでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、私どもは、国保の基盤強化で三千四百億円追加投入をいたします。それで、もちろん、標準保険料率は、各市町村で繰入れをするかどうかは各市町村の御判断でございますので、私どもが禁止するわけではございませんから、それをお示しすることはできませんけれども、いずれにしても、三兆円に対して三千四百億円程度の財政規模の支援ということになりますので、国保財政についてはかなり改善をされるのではないかと思っております。その上で、一般会計をどうするかということは、私どもは健全な運営をお願いしたいんですけれども、それは自治体の御判断ということになろうと思います。
○福島みずほ君 しかし、一般会計法定外の繰入れを見込んでいないために、実際、頑張る自治体がなかなか厳しかったり、お金が来ないわけですから、保険料の標準化が保険料の引上げにつながってしまうんではないかというふうに思っております。これは、なかなかこの点はやっぱり厳しい問題で、自治体が実は保険料の引上げがこれから起きるんじゃないかということについて、私たちはそれはおかしいということをしっかり言っていきたいと思っております。
様々な法案に問題がありますが、とりわけ、やはり患者申出制度でも、条文は患者申出になっているけれど、それは関係ないというか、最後に患者が納得すればいいという答弁は条文違反で、全く納得ができません。
こういう形で混合診療に道を開くんだと。保険外の部分がどんどんどんどん増えていく。それは、患者が申し出たからだという口実の下にいろんな病院もそういうものを取り扱うようになれば、やっぱり情報とお金がある人はその保険外のものをどんどんやっていく、お金と情報がない人は保険内でしかできない。お金がある人は民間の保険会社で保険掛けていって、様々な高度医療やがんや高度の医療技術を用いた療養、先端医療、民間保険にどんどん入っていく、しかし、そういうのができない人はできない。結局、国民皆保険制度は誰もが一定の負担をすればちゃんと医療を受けられるということを、こういう形でやっぱり崩してはいけないというふうに思っております。
この大改悪に関して断固反対で廃案しかないということを申し上げ、質問を終わります。
○福島みずほ君 福島みずほです。
私は、社会民主党・護憲連合を代表して、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案について反対の立場から、無所属クラブ提案の修正案に賛成の立場から討論をいたします。
本法案は、国民健康保険制度発足後の大改定であります。内容は、重要かつ多岐にわたるにもかかわらず、十分な審議が尽くされておりません。
本法案に対する反対の第一の理由は、国民健康保険制度の財政運営を市町村から都道府県に移行するに当たり、国民保険料の引上げや一方的な徴収強化が横行しかねないからです。市町村は保険料の収納状況に関係なく都道府県に納付金を一〇〇%納めなければなりません。都道府県が示す標準保険料率は、将来的な保険料負担の平準化に向け、一般会計の繰入れを反映しない、より高い料率が示されることが予想されます。保険料の引上げ、厳しい保険料の収納対策が推進されれば、三百六十万を超える保険料滞納世帯が更に増加しかねません。高過ぎる保険料が払えず、必要な医療を受けることができない国民の問題について、本法案は何ら応えておりません。
また、地方から見直しが求められている子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入、乳幼児医療費助成制度などの地方単独事業に関する国庫負担調整措置の見直しについて抜本的な改正を図るべきです。
第二の理由は、患者申出療養の導入です。
現行の保険外併用療養費制度に、なぜ新たに患者申出療養という枠組みが必要なのか、政府の説明では納得がいきません。適用の審査時間は非常に短く、持ち回り審査も可能とされているため、安全性、有効性が十分に確認できるのか、非常に不安です。また、患者が申出の起点であることから、患者保護、医療事故などが起きた場合の被害救済も薄弱です。さらに、保険収載がされず、患者負担が増大することも懸念されます。導入はきっぱりやめるべきです。
第三の理由は、入院時食事代の自己負担引上げ、紹介状なしで大病院を受診する際の定額負担の義務化、七十五歳以上高齢者の保険料軽減の特例の廃止など、全ての世代にわたり負担が増加することです。
本法案は、国民皆保険制度を危うくするものです。いつでもどこでも安心して医療が受けられる国民皆保険制度は、世界に誇れる私たちの財産であり、更に維持発展させるべきであることを強く主張し、私の反対討論を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
総理、患者申出療養制度を成長戦略と位置付けていますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 患者申出療養は、先進的な医療について、患者の申出を起点として、安全性、有効性を確認しつつ身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものであり、困難な病気と闘う患者の思いに応えると同時に、成長分野としての我が国の医療のイノベーションにも資するものであると考えております。
○福島みずほ君 成長戦略と位置付けてスタートしたこの制度、問題だと思います。所得の高い低いにかかわらずひとしく医療サービスを享受できるということがやっぱりこれで壊れていく、つまり、イノベーションあるいは成長戦略と位置付けたところからスタートが間違っているというふうに思います。
総理は、今日も度々、難病の患者の皆さんや患者の皆さんのとおっしゃいました。しかし、参考人は、難病・疾病団体協議会の会長さんは、保険収載のめどが立たず、結果として患者負担が増大すると反対の意思を表明されています。このことをどう受け止められますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこの制度は、患者の皆さんの先進医療を受けたいという申出を起点といたしまして、安全性において国がしっかりと責任を持つ中において、保険と言わば自由診療の併用において患者さんの負担も軽減をしていくと。同時に、そうした形で新たな先進的な医療へのアクセスが広がることによって、製薬メーカーを含め医療の提供側においても更にイノベーションを進め新しいものをつくっていこうと、こういうインセンティブが働いていくんではないかと、こう考えるところでございます。
患者の皆様方、患者団体の皆様方に対しましては、さらに今後ともしっかりと丁寧な説明をし続けていかなければならないと、このように考えております。
○福島みずほ君 現在、保険外併用療養制度の評価療養、選定療養があります。これらを改善していけば先進医療も未承認薬の使用も一定可能です。なぜ患者申出療養という枠組みを新設する必要があるんでしょうか。総理、お答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) これはもう委員会で何度も御答弁申し上げてまいりましたけれども、今回、先進医療の制度と異なるのは、何度も申し上げますけれども、まず第一に、患者の申出を起点とするということであり、それから、国が安全性、有効性を迅速に確認をしつつ、そしてまた地方でも身近な医療機関で受けられるようにすると。もちろん前提は将来的には保険収載を目指すということで、現在と、その点は先進医療と同じでありますけれども、今申し上げた三つの点ではやはり先進医療とは違うということで、新たなジャンルとしてこの患者申出療養というものを設けるということにさせていただいているわけでございます。
○福島みずほ君 患者申出療養制度をつくることが混合診療へ道を開く一里塚になるのではないかと思っております。患者申出療養制度における保険収載の見通しはどうなっていますか。現行の先端医療の保険収載はどうなっていますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) これも申し上げているように、必ず保険収載に向けて、臨床研究中核病院で作成をいたす計画の中でロードマップをきっちりと書いた上で保険収載のめどを明示をするということがなければこの対象になってこないということでございます。全く新しい案件の場合には原則六週間ということにしているわけでございますが、当然、しかし、それは安全性を大事にするという意味において医学的判断が分かれるというようなことは、それは当然あり得るわけでありますから、そのときは必ずしもこの六週間という期間で終わり切らないといけないということはないので、ここはしっかりと安全性は確保するということで、期間にはとらわれないということでございますが、しかし、今回、臨床研究中核病院にこの書類作成をお願いをするわけでありますから、原則六週間、今は大体六か月ぐらい掛かるところを六週間にするということで患者の思いにちゃんと応えるということでございます。
○福島みずほ君 現行の先端医療の保険収載は、先端医療百九件中、保険収載は八件しかありません。保険収載されていないんですよ。結局これからどうなっていくのか。お金のある人は未承認薬を求めていく、あるいは、ここの先端医療が使えますよという形で、今もありますが、民間保険がこの部分に入ってくる。しかし、保険収載は、現状でも、先端医療百九件中、保険収載は八件しかありません。結局お金の多寡が決まっていく。所得の高い低いにかかわらず国民皆保険の中でやれるということが崩れていってしまいます。
保険の中に入れば、公定価格ですから、一定程度リーズナブルな医薬品の値段になります。しかし、それに入らない医療を認めるわけですから、この部分でまさに混合診療に道を切り開くと思います。現状を見ても、患者申出療養制度の医療技術や医薬品が保険収載につながらずに保険外にとどまり続けるということは明らかではないでしょうか。国民皆保険制度の崩壊につながるおそれもあり、大問題です。
次に、国民健康保険について、今の現状の認識について総理にお聞きします。
そもそも国民健康保険料が高くて支払われない人々が増えております。保険料滞納世帯は三百六十万人、うち短期証や資格書の交付は百四十万世帯。国保料が高過ぎて支払われず必要な医療を受けることができない、このような事態をどう認識し、どう変えていこうとされているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 国保は、医療費水準が高い一方で所得水準が低いなど、構造的な問題があります。このため、低所得者の保険料軽減措置等を講じるとともに、滞納者に対しては納付相談などを通じて個々の実情に応じたきめ細かな対応を行っています。
平成二十六年度には、消費税引上げによる財源を活用し、年約五百億円を投入し、低所得者の保険料軽減を拡大したところであります。今回の改革ではさらに、平成二十九年度以降、年約三千四百億円の財政支援を行うなど、財政基盤を大幅に強化することとしています。これによって保険料の伸びの抑制を図り、保険料を納めやすい環境を整えたいと考えています。
なお、保険料を滞納する世帯の割合は近年低下傾向にあります。平成二十三年度二〇%から二十五年度一八%と減っていっています。今後とも、こうした形でしっかりと所得の低い方々に対しましても保険がしっかりと行き届くようにしていきたいと、このように思っております。
○福島みずほ君 今回の改正で、国保の財政運営が都道府県に移行することによってお金の流れが変わります。市町村ごとの標準保険料率は従来のような一般会計法定外の繰入れを見込んでおらず、市町村の保険料の標準化は保険料の引上げにますますつながるのではないかという懸念もあります。ですから、そういう問題、解決していませんし、自治体が要求していた様々なものも、この法案の中に盛り込まれていないものもたくさんあります。
残りの時間、せっかく総理がおいでですから、社会保障の切捨て、何に私たちは財源を使うのかということについてお聞きをいたします。
この厚生労働委員会の中で、介護の切捨てや生活保護の本当に引下げ、年金の抑制、そういうことがどんどん法律で通ったり、議論をしてまいりました。社会保障の切捨て、こういう形でやったら生活が壊れるというふうに思っております。持続可能な社会保障制度と、それから格差のない豊かな社会をつくるためには、平和であり、格差をなくし、社会保障の充実を間違いなくしなければなりません。税金は極めて限られています。
そこで、どこに私たちはお金を、税金を使うのか。オスプレイ十七機の購入価格について米国防総省は、総計三十億ドル、三千六百億円と米議会に報告をいたしました。一機当たり二百億円であり、日本政府の発表した一機百億円から倍の値段に跳ね上がっております。こういうものをこれから長期に買っていく必要があるんでしょうか。また、本日、安保法制、私たちは戦争法案と言っておりますが、本会議で衆議院で始まります。集団的自衛権の行使を仮にし、後方支援という名の下に弾薬を提供したり発進する戦闘機に給油をする、自衛隊を派遣や派遣する、莫大なお金が掛かります。何にお金を使うか。社会保障費の削減ではなく、まさに社会保障にお金を充てるべきではないか、このことについて、総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今いろんなことをおっしゃいましたが、社会保障に充てるべき予算はしっかりと社会保障に充てていくという方針には全く変わりはないということでございます。
○福島みずほ君 答えていないですよ。だって、一方で多額のものを買えば一方で社会保障費の削減になるじゃないですか。大砲よりバター、オスプレイより医療ですよ。現に、この六月末にまとめる財政健全化計画について議論している政府の経済財政諮問会議は、医療費抑制、年金、介護の見直しの議論が出ています。今まで社会保障費の削減をしてきたが、これから更に削減をしていくのではないか、医療が本当に傷んでいくと心配をしています。お金の使い道、総理、考え直すべきときではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 社会保障費については、いわゆる削減ではなくて、伸びが抑制されているわけでありまして、そこが違うんだということをまず申し上げておきたいと思います。
また、先ほど介護報酬についてお話がございました。介護報酬については、例えば介護報酬は、施設者の方々にとっても、私どももずっと日頃からお付き合いもございます。もちろん引き上げられれば引き上げたいという思いはみんなあるんですよ。しかし、ただ単純に引き上げれば、それは保険料が上がっていくことにもつながっていくわけでありますし、そこももちろん考えなければならないわけであります。その中におきまして私たちは適正化をしたということでございまして、そのように御理解をいただきたいと思います。
○福島みずほ君 抑制している、プラスやはり削減ですよ。介護報酬は引き下げるし年金は抑制するし、要支援一、二の通所と訪問サービスを地域包括移管にする、今度の法案にも、入院したときの食料費の値上げや大学病院に行くときの紹介料、盛り込まれているじゃないですか。お金のない人は医療にかかりにくくなる。明らかに医療を壊しますよ。
医療費適正化計画について、最後にお聞きをいたします。
医療費適正化計画は、指標を達成した場合の効果が曖昧、かつ、都道府県が管理できない要素が大きい医療費の増減について都道府県に責任を負わせようとするものと言えます。見直しの内容を見ても、国民の健康を増進する視点よりは、医療費の額を抑えることに重点が置かれております。問題ではないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 都道府県が策定する医療費適正化計画は、現在、医療費の見通し、そして特定健診や保健指導の実施目標等を内容として五年を計画期間としています。医療保険制度を給付と負担のバランスの取れた持続可能なものとしていくため、医療費の適正化を進めることは重要な課題であります。
今回の改革では、医療費適正化計画について、将来のあるべき医療提供体制を示した地域医療構想を踏まえて、都道府県が医療費目標を設定するとともに、PDCAサイクルにより医療費の動向について要因分析や対策を行います。そして、後発医薬品の使用割合に関する目標を追加するなどを行うこととしています。
医療費適正化計画の見直しは、医療機能の分化、連携や予防、健康づくりを促進し、それによって医療費適正化を図ろうとするものであり、必要な人が医療にアクセスできなくなるという、そういう御指摘は当たりません。
○福島みずほ君 今の話を聞けば聞くほど、適正化計画がやはり医療費の抑制になるんじゃないか。今回も、例えば大学病院に行くときの紹介がなければお金を払うとか、やはりお金の多寡がその患者さんの医療のアクセスや保障とまさに密接につながっています。この医療費適正化計画については、数値目標を設定することから、都道府県からも不安の声が上がっています。
何に私たちは税金を使うのか、どんな社会を私たちがつくるのか。持続可能な社会保障制度をつくるためには、これは、混合診療に道をつなげる患者申出制度や、それからオスプレイや、そういうことにお金を使うのではなく、社会保障費にきっちり使うべきだと。経済財政諮問会議の社会保障費の削減としっかり闘うべきですし、お金の使い道について、しっかり、それは厚生労働省としても国会議員としても、ここにこそお金を使い、安心して医療にかかることができる国民皆保険制度の堅持こそすべきであるということを申し上げ、私の質問を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
評価療養のほかに、いわゆる患者申出療養というのをなぜ設ける必要があるのか、全く分かりません。
条文に基づいて質問いたします。
健康保険法の改正法案における今回この患者申出制度をやる、六十三条二項四号に患者申出療養があります。ここに「高度の医療技術を用いた療養」とありますが、定義を教えてください。
○政府参考人(唐澤剛君) 高度な医療については、これはもう医学的に決まるものでございますので、法律的に高度な医療とはこれというふうに規定はしていないわけでございます。これは医学の常識に従って決まっているということでございます。
○福島みずほ君 これは先進医療に限らないということですね。
○政府参考人(唐澤剛君) はい。必ずしも先進医療に狭く限らないということでございます。
○福島みずほ君 条文は「高度の医療技術を用いた療養」とあるので、がんの緩和や様々なものが入るということですか。これ、無限に拡大していく可能性がありますね。どうですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 範囲が具体的に限定されていないということは、医療の内容につきまして、それは先生の御指摘のとおりでございますが、やはり先進医療で今取り組まれているものというのは、一定の範囲というのは実際には研究されている分野というものもございますので、それはそういう実際の研究の実情を反映した結果になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
○福島みずほ君 答弁が支離滅裂で、高度の医療技術を用いた療養には先進医療に限りませんねと言ったら、はいそうですと答えましたね。高度の医療技術を用いた療養というのはかなり広範囲じゃないですか。それはさっきお認めになられましたね。どこで限定するんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 高度な医療というものを、これこれと、この領域とこの領域とこの領域が高度という、そういうような定義はそれはされませんので、これは医学的に学会で決まっていくと、事実上ですね、というものでございます。したがって、線は引いていないわけでございます。
○福島みずほ君 先ほど先進医療に限らないというふうにおっしゃったので、そのとおりだと思います。
三号が評価療養の規定ですが、ここにも「高度の医療技術を用いた療養」とあります。三号の評価療養と四号の患者申出制度の高度の医療技術、同じものですか、違うものですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、法律の表現としては同じものであると考えております。
○福島みずほ君 同じものであれば、なぜ評価療養のほかに今回患者申出療養を設けるんでしょうか。
先日質問したら、三点、患者の申出が起点、迅速に審査を行う、身近な医療機関で受けられる仕組み、三点答弁がありました。
条文六十三条二項四号には、「当該療養を受けようとする者の申出に基づき、」と条文にあります。患者が申し出ないで医者が先に言ったら、この患者申出療養制度に該当しないということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、先ほどからも御議論がございましたけれども、物理的な順番ということよりも、患者さんがきちんと理解と納得をしたかということでございます。
それで、もちろん患者申出療養制度について、がんセンターで先日御覧いただいたように、あらかじめこういうことが考えられますということを出していただいているものもありますでしょうし、そうでないものもあろうと思います。
○福島みずほ君 条文に反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) 条文に反するとは思いません。
○福島みずほ君 だって、条文に「当該療養を受けようとする者の申出に基づき、」と書いてありますよ。反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、当然、患者さんの申出書というのを添付していただくわけですから、それが申出のきちんと証明ですから、そういう意味で、当然、申出に基づいているわけです。申出がなければできません。
○福島みずほ君 そうしたら、それは厳密な意味での患者申出制度じゃないですよ。評価療養と一体どこが違うんですか。結局、患者さんはお医者さんと話をしながら決めることだってあるでしょう。
でも、結局、これずるいんですよ。患者が申し出たということを錦の御旗にしながら、条文にも患者の申出に基づきと書いているんですよ。でも、実際は医者がサジェスチョンするかもしれないし、一緒に決めるかもしれないんですよ。わらをもつかむ患者は同意するでしょう、自分が申し出ましたと。でも、そんなの意味ないですよ。患者の申出がメルクマールの大きな一つでしょう。でも、評価療養とどこが違うんですか。条文に反するじゃないですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、何度も御議論ございましたけれども、やはり患者さんの申出、思いというものを大切にするかどうかということが重要だと思います。
それからもう一つ、これは……(発言する者あり)ちょっと聞いてください。一行しか答えられないので、ちょっと申し訳ございません。
やっぱり患者さんが医療の実情について全部知っているわけじゃありませんから、当然、お医者さんとは相談していただかなければいけませんし、その際に、先進医療というか高度な医療を担当している先生だけではなくて、ふだんから診ていただいている先生にも御相談をしていただいて支援をしていただきたいということを申し上げているわけでございます。
○福島みずほ君 いや、答弁がめちゃくちゃですし、条文にも合っていませんよ。
患者が何もかも分かっているわけではないと言っているでしょう。結局、これって選択療養を、選択療養というと、お金持ちは選択できる、お金のない人は選択できない、混合診療じゃないかと言われるから名前変えただけなんですよ。
患者が申し出たということを錦の御旗にして、条文には患者の申出に基づきと書いてあるけれども、患者の申出がなくたっていいといったら、条文、何の意味があるんですか。
次に、保険収載へのロードマップとか保険収載という言葉がありますが、条文に一切そういうのがないですね。どこに書いてあります。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、元々の保険外併用療養制度の枠内でやっているわけでございまして、それで、評価療養は保険収載を目指しているわけでございますし、当然、これは私どもの方針として保険収載を目指すということでございます。
○福島みずほ君 迅速に審査を行うということで六週間ということがありますが、条文は「速やかに検討を加え、」としかありません。六週間なんて条文はありませんが、いかがですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、私どもの考え方として、原則として六週間で実施したいということを申し上げているわけでございます。
○福島みずほ君 先ほどもありましたが、結局、患者の申出が起点というけれども、それは、今の局長の答弁で、大した意味ない、条文にはあるけれども意味がないんですよね。迅速に審査とあっても、これは、条文には速やかに審査を加えとしかない。
三点目の身近な医療機関で受けられる仕組みというのが評価療養と違うんですが、むしろ、身近な療養機関で受けられる仕組みだったら、ましてや、先ほどもありましたが、評価やデータとしていいかどうかということで、評価療養よりもランクが落ちるじゃないですか。どうしてこれが保険収載につながるんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) ランクが落ちるかどうかは、私は分からないと思います、それは何をランクと呼ぶかによりますけれども。
ただ、先ほどからお話し申し上げておりますように、先進医療というのは実施患者数が非常に少ないものが多いのは事実でございます。それから、未承認、適応外についてもなかなか広がっていないというような実情がございます。
そうしたものにつきまして、それは患者さんがそういうものについて当然知ることもございますから、患者さんの方の申出を尊重して、そして普及をしていくという枠組みができれば、それはやはり保険収載につながっていくというふうに考えております。
○福島みずほ君 さっぱり答弁になっていないじゃないですか。患者の申出だったら何で保険収載につながるんですか。
しかも、局長、問題があると思うのは、先ほどから、先進医療じゃなくて、条文上も「高度の医療技術を用いた療養」とあって、先進医療に限らないと言いながら、すぐ先進医療とか言うじゃないですか。先進医療に限っていないでしょう。これ、どんどん拡大しますよ。だって、高度の医療技術を用いた療養なんて定義次第で幾らでも拡大しますよ。厚生労働大臣が認めれば幾らだってこれは拡大するんですよ。だから、混合診療に風穴を開けるものだと反対をしているわけです。なぜこれが保険収載につながるのか全く分かりませんし、条文上もその担保は一切ありません。
先進医療、現行の先端医療の保険収載が、先端医療は百九件中保険収載は八件ということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) これは先進医療Aのことをお話しされているんだと思うんですけれども、これは、ちょっと数字ですのでお待ちください。
先進医療Aの保険導入につきましては、これはそれぞれの時点でいろいろございますので、二十二年のときには八件保険導入されました、その前の、一年前の導入では九十でしたけど。それから、二十四年の改定のときには、その一年前は八十九ございましたけれども、そのうち二十三が保険導入をされております。それから、二十六年四月の診療報酬改定でございますけれども、そのおよそ一年前の時点の六十五という先進医療技術の中から八件につきまして保険導入をされているわけでございます。
それから、先進医療Bにつきましては、これはまだ最近でございますけれども、全体の先進医療技術、四十ほどございますが、そのうちで薬事承認、保険収載済みの技術というのは二という状況でございます。
○福島みずほ君 極めて少ないじゃないですか。
先ほどの保険収載八件は、先端医療の、それは百九件中八件ということでよろしいですね。
○政府参考人(唐澤剛君) 合計すればそういうことでございます。
○福島みずほ君 つまり、百九件中保険収載は八件なんですよ。だから、保険収載するするするすると言っているけど、するする詐欺みたいなもので、それはなっていないじゃないですか。
つまり、私たちが心配しているのは、保険収載になれば、それは公定価格になってきちっと国民皆保険の中でやれるし、患者さんの負担も減るんですよ。でも、保険収載目指すと言いながら、実際そうだと思いますよ、保険収載、先端医療だったら特にそうなると思います。そんなに保険収載できないですよ。だとしたら、それは自由診療というか、もう混合診療になるわけで、だとしたら金持ちしかそれはできないですよ。国民皆保険壊しませんか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは先進医療、確かにBは薬事未承認なんでなかなか難しい、越えなければいけないハードルがたくさんございます。Aの方では、午前中の御議論でも出ましたけれども、二十三件収載されたときがございます。ただ、ちょっと減っております。
しかし、いずれにしましても、きちんと保険収載を目指していくという原則はしっかり立てませんとこれは皆保険の原理を壊してしまいますので、それは私どもはいささかもゆるがせにするつもりはございません。
○福島みずほ君 保険収載を目指すと言いながら、先端医療で百九件中保険収載は八件、実際難しいというか、実際そうなんですよ。
だから、保険収載を目指すから見逃してくれというか、これ認めてくれと言われても、私たちはそれを信頼することはできないですよ。ということは、結局、これは保険収載されるものもあるが、ほとんど保険収載されないんですよ。どんどんどんどん高度な医療を用いた療養で患者が申し出たと、そうすればどんどんいろんなことをやって、これは国民皆保険の中では使えない、お金をがばっと払わなければこれは得られない医療なんですよ。これをつくったら駄目でしょう。保険の中でやるように厚生労働省はやるべきじゃないですか。順番が違うでしょう。テンポをアップさせるかもっと速くするか、こういうふうに抜け道をつくって、いずれ保険収載されるかもなんという話ではなくて、きちっと国民皆保険の中でやるべきでしょう。
混合診療に道を開かないというふうに答弁できますか。
○政府参考人(唐澤剛君) もちろんこれは混合診療の全面解禁のようなものに道を開くものではございません。これはもう何度も何度も大臣からもお話しされておりますけれども、これを緩めてしまいますと本当に日本の医療制度壊れてしまいますので、これだけは絶対守らなきゃいけない、私どもはそう考えております。
ただし、何でもすぐに保険に入るわけじゃございませんから、やっぱりプロセス、学会からストレートに保険収載に来るものもありまして、保険で適用するものもございます。ただ、やっぱり難しいものにつきましては、こういう先進医療のような高度な医療の部分のものは研究プロセスを通じて入ってくるというものもあるわけでございます。
○福島みずほ君 混合診療の全面解禁なんて言っていないですよ。部分解禁につながって、いずれそれは、部分解禁ということは、国民皆保険制度が壊れるから、そう言っているんです。
だって、今答弁されたとおり、先端医療は百九件中保険収載が八件だとしたら、ほとんど保険で使えないということじゃないですか。百一件は保険適用されない自由診療で、お金がなければ使えないんですよ。そういうものをつくっていくということじゃないですか。これは混合診療への解禁と言わないんですか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、先進医療については、これは診療報酬改定の年によって少し多めに保険に導入されたものもありますし、それから少ないところもあるんです。ただし、これまでの御審議の中で御指摘いただいたように、この先進医療に入っているものを更に保険導入するべく特例をすべきであるという御指摘はいただきましたので、それは私どももきちんと考えていかなければいけません。
いずれにしても、保険収載を目指すということについては全く変わりはございません。
○福島みずほ君 保険収載を目指すのは当たり前のことです。でも、それが今までの実例からいっても、例えば百九件中、繰り返して言いますが、保険収載が八件。百一件、ほとんど保険収載されていないんですよ。
だから、どうやっていわゆる患者申出制度をやって、患者さんの申出が余り、条文に反していると思いますが、この制度を導入した暁に保険収載を目指すとしても、保険収載されないものの方が多いかもしれないじゃないですか。結局、その部分は自由診療のまま残っていくんですよ。あるいは、保険収載されるものが一部分あるかもしれないけれど、どんどん自由診療の部分が拡大するんですよ。それは民間保険でしかやれません。国民皆保険のあなたの保険では駄目ですということじゃないですか。そういうものをつくっていいんですかということです。
大臣、これ、保険収載を目指すと答弁繰り返してありますが、どれぐらい保険収載される見込みですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほど来、この数については、事前的にそういうことをこの幅だというようなことで言うことはなかなか難しいということは繰り返し申し上げてまいったと思います。
それで、今回の患者申出療養の対象となる医療は、もちろん今のように保険収載をすることを前提としてロードマップを作ってもらうということが多いわけでありますけれども、しかし一方で、もう一つは、先進医療を現在実施していない身近な医療機関でもできるようになるということもあります。
それから、先進医療の実施計画の対象外で年齢の幅が少し一、二歳はみ出るとか、そういうようなもので、例えば六十五歳までとなっているのを、六十七歳の方が今だと適格基準から外れてしまいますけれども、ここをどう考えるかということで、患者が自分のやっぱり思いとしてどうしてもこれをやりたいといった場合にも患者申出療養に入ってくるわけでございますので、そういうことも含めて今回は患者の思いを大事にして、しかし、新しいものであれば、保険収載をロードマップできっちりと書き切れるものでないとやっぱり対象にはならないということであり、その他のものについては、やはり、臨床研究中核病院で作られる計画の中で書き込んで、そしてもちろん本人の申出ということをエビデンスを付けて出してくるという中で認められていくというのは、これは国レベルの患者申出療養に関する会議でこれは審査をされるわけであります。
○福島みずほ君 評価療養でできるじゃないですか。評価療養で今十分できるんですよ。だって、保険収載を目指すというのは評価療養の中に入っているわけですし、それから、今大臣が答弁された何歳、何歳とかそういうものに関して言えば、別に法律にそういう規定が今あるわけではないから、厚労省が評価療養の中でしっかりやるんだと決断すれば、それはできることですよ。
確かに、今の評価療養制度は医療機関の手挙げ制です。しかし、それだって別に、法律改正で今度、患者申出制度という怪しいやつ、患者申出もどきですよね、患者申出がなくてもあったようにする患者申出制度を怪しくつくらなくても、評価療養制度をきちっとやればできるんですよ。納得できないのは、何でこういう怪しい制度を選択療養と言わずに持ち込むかなんですよ。これはやっぱり混合診療に道を開くというふうに思える、保険収載にロードマップ作るといったって、そんな道筋が全然見えないからこのことを言っているわけです。
こういう形で混合診療にずっとこの委員会も反対してきましたし、いろんな立場の人も反対をしてきました。こんな形で混合診療突破の一里塚をどさくさに紛れてやることは許せないというふうに思いますよ。実際、これをやれば、保険収載されない限りその部分は保険外で残り続けるわけですから、それは私たちは絶対にこういうのは認められない、廃案にすべきだというふうに思っています。厚労省、いろいろあるかもしれないけど頑張ってくださいよ。何で規制改革ごときに負けるのかというのがさっぱり分かりません。
それで、次、質問で、済みません、たくさん、参考人の方から協会けんぽについて、後期高齢者支援金の全面総報酬制の導入について意見がありました。協会けんぽへの国庫補助額の減額二千四百億円の七割に当たる千七百億円が国保の財政対策に優先的に投入されることについて、被用者保険団体から、これはおかしいと、被用者保険の負担増に転嫁するものだとあり、参考人からも意見がありました。厚生労働大臣の見解を教えてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回の改革では、後期高齢者医療制度をより安定的に運営をするというために、後期高齢者支援金につきまして、負担能力に応じた負担として被用者保険者の支え合いを強化する観点から、いわゆる全面総報酬割というのを導入をすることとしているわけであります。被用者保険者からは、全面総報酬割導入により生じる財源を国保の財源支援に優先投入するのは、国の財政責任を被用者保険の負担増に転嫁するものであるとの意見があること、我々は認識をしております。
しかし、国保は国民皆保険を支える重要な基盤でありまして、国保への財政支援を拡充し、都道府県が財政運営責任を担うということになって国保の安定化を図るということは、国民皆保険を維持するために重要な事項でございまして、国保への財政支援に全面総報酬割で生じた財源も投入するということに御理解を賜れればというふうに思っているわけでございまして、なお、全面総報酬割の導入に伴う健康保険組合の負担増の半額程度でございます約七百億円については、追加支援によって拠出金負担の重い健康保険組合に対して必要な負担軽減を実施をするということにしているところでございますので、御理解を賜れれば有り難いなというふうに思います。
○福島みずほ君 参考人の中から、これは納得できないというお答えがあり、確かによそから持ってくることについては納得がいかないというふうに思います。
それから、国保の財政運営、これ午前中も聞いたんですが、これは重要な問題だと思うので、午後も聞かせてください。
国保の財政運営を都道府県に移行することによってお金の流れが変わります。市町村ごとの標準保険料率は従来のように一般会計法定外の繰入れを見込んでおりません。つまり、各市町村はこれは繰入れが来ないのではないかと、各市町村の保険料の標準化は保険料の引上げにつながるのではないか。いかがでしょうか。
○政府参考人(唐澤剛君) これは、私どもは、国保の基盤強化で三千四百億円追加投入をいたします。それで、もちろん、標準保険料率は、各市町村で繰入れをするかどうかは各市町村の御判断でございますので、私どもが禁止するわけではございませんから、それをお示しすることはできませんけれども、いずれにしても、三兆円に対して三千四百億円程度の財政規模の支援ということになりますので、国保財政についてはかなり改善をされるのではないかと思っております。その上で、一般会計をどうするかということは、私どもは健全な運営をお願いしたいんですけれども、それは自治体の御判断ということになろうと思います。
○福島みずほ君 しかし、一般会計法定外の繰入れを見込んでいないために、実際、頑張る自治体がなかなか厳しかったり、お金が来ないわけですから、保険料の標準化が保険料の引上げにつながってしまうんではないかというふうに思っております。これは、なかなかこの点はやっぱり厳しい問題で、自治体が実は保険料の引上げがこれから起きるんじゃないかということについて、私たちはそれはおかしいということをしっかり言っていきたいと思っております。
様々な法案に問題がありますが、とりわけ、やはり患者申出制度でも、条文は患者申出になっているけれど、それは関係ないというか、最後に患者が納得すればいいという答弁は条文違反で、全く納得ができません。
こういう形で混合診療に道を開くんだと。保険外の部分がどんどんどんどん増えていく。それは、患者が申し出たからだという口実の下にいろんな病院もそういうものを取り扱うようになれば、やっぱり情報とお金がある人はその保険外のものをどんどんやっていく、お金と情報がない人は保険内でしかできない。お金がある人は民間の保険会社で保険掛けていって、様々な高度医療やがんや高度の医療技術を用いた療養、先端医療、民間保険にどんどん入っていく、しかし、そういうのができない人はできない。結局、国民皆保険制度は誰もが一定の負担をすればちゃんと医療を受けられるということを、こういう形でやっぱり崩してはいけないというふうに思っております。
この大改悪に関して断固反対で廃案しかないということを申し上げ、質問を終わります。
○福島みずほ君 福島みずほです。
私は、社会民主党・護憲連合を代表して、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案について反対の立場から、無所属クラブ提案の修正案に賛成の立場から討論をいたします。
本法案は、国民健康保険制度発足後の大改定であります。内容は、重要かつ多岐にわたるにもかかわらず、十分な審議が尽くされておりません。
本法案に対する反対の第一の理由は、国民健康保険制度の財政運営を市町村から都道府県に移行するに当たり、国民保険料の引上げや一方的な徴収強化が横行しかねないからです。市町村は保険料の収納状況に関係なく都道府県に納付金を一〇〇%納めなければなりません。都道府県が示す標準保険料率は、将来的な保険料負担の平準化に向け、一般会計の繰入れを反映しない、より高い料率が示されることが予想されます。保険料の引上げ、厳しい保険料の収納対策が推進されれば、三百六十万を超える保険料滞納世帯が更に増加しかねません。高過ぎる保険料が払えず、必要な医療を受けることができない国民の問題について、本法案は何ら応えておりません。
また、地方から見直しが求められている子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入、乳幼児医療費助成制度などの地方単独事業に関する国庫負担調整措置の見直しについて抜本的な改正を図るべきです。
第二の理由は、患者申出療養の導入です。
現行の保険外併用療養費制度に、なぜ新たに患者申出療養という枠組みが必要なのか、政府の説明では納得がいきません。適用の審査時間は非常に短く、持ち回り審査も可能とされているため、安全性、有効性が十分に確認できるのか、非常に不安です。また、患者が申出の起点であることから、患者保護、医療事故などが起きた場合の被害救済も薄弱です。さらに、保険収載がされず、患者負担が増大することも懸念されます。導入はきっぱりやめるべきです。
第三の理由は、入院時食事代の自己負担引上げ、紹介状なしで大病院を受診する際の定額負担の義務化、七十五歳以上高齢者の保険料軽減の特例の廃止など、全ての世代にわたり負担が増加することです。
本法案は、国民皆保険制度を危うくするものです。いつでもどこでも安心して医療が受けられる国民皆保険制度は、世界に誇れる私たちの財産であり、更に維持発展させるべきであることを強く主張し、私の反対討論を終わります。
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