
11月24日(木)の参議院TPP特別委員会で、検疫を48時間以内に短縮することの危険性や、米国産サクランボ輸入に関して日本の農水省が米国の顔色を過剰に気にした事実をウィキリークスが暴露したことなどについて、質問しました。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
TPP協定に社民党が反対する理由の一つは、食べ物の安全や検疫がより壊れてしまうからです。今日は、そのことについてお聞きをいたします。
アエラが今年七月二十五日号で報じた情報によると、厚生労働省の輸入時における輸入食品違反事例、これは二〇一五年五月から一年間の結果ですが、百十七件もの有害物質検出事例があったとされています。そして、同じ条件下で複数回見付かったものは記載していないため、最も多かったアメリカの件数だけでも七十五件に上ります。
ところで、このTPP協定は、まさに第五・十条によって、「自国の関税法令の遵守を確保するために必要な期間内(可能な限り物品の到着後四十八時間以内)に物品の引取りを許可することについて定めること。」、四十八時間というのがあります。
ところが、今どれだけ時間が通関に関して掛かっているでしょうか。財務省の第十一回輸入通関手続の所要時間調査集計結果によると、二〇一五年、これは三月のある時期の平均ですが、輸入通関手続所要時間は、海上貨物で五十九・五時間、コンテナで五十一・二時間、コンテナ貨物以外で七十五・四時間です。だとすると、到着してから引き渡すまで四十八時間目指せということであれば、検疫、これがおざなりになると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) まず、先ほど資料をお配りをいただいて、違反事例についてお話をいただきました。
輸入食品の検査は、科学的根拠に基づいて、違反リスクに応じて実施をしております。これは、WTOの食品の安全に関する協定、いわゆるSPS協定、これによる国際的な共通ルールに基づく対応としてやらせていただいているわけでございまして、まず、全量をとどめ置いて行う命令検査などによって輸入時点で今御指摘をいただいたものの多くは発覚をしておりまして、国内へ流通はしていないということでございます。
また、一部国内流通を認めつつ、統計学的手法に基づくサンプル調査、これによって安全性を確認するモニタリング調査で今違反が発覚したものについても、違反食品の回収を図るとともに、全量をとどめ置いて検査をする命令検査、これに切り替えるというようなことなどの措置をとっておりまして、食品の安全確保に努めているところでございます。
健康被害事例は、今お配りをいただいたものに関して一件もございません。確認をされておりません。
そこで、今、四十八時間のお話をいただきました。TPP協定におきましては、自国の関税法令の遵守を確保するために可能な限り物品の到着後四十八時間以内に物品の引取りを許可することについての規定がありますけれども、引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではないということも明記を同時にされております。このため、食品衛生法に基づく審査や検査などを実施をした結果、到着後四十八時間を超えて輸入許可が行われたとしても、TPP協定違反になるものではございません。
また、近年、輸入食品の違反件数は減少傾向にありますけれども、輸入の届出件数は年々増加をしております。全国の港や空港の検疫所において、全ての輸入届出について原材料や製造方法などを審査するとともに、今のモニタリング検査あるいは命令検査など違反リスクに応じた検査を実施をしているところでございます。
厚生労働省としては……(発言する者あり)厚労省としては、今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえて、検疫所職員の資質の向上、必要な職員や検査機器の確保等、適切な監視、指導を徹底するための体制の整備を図って、引き続き輸入食品の安全性確保に万全を期してまいりたいと思います。
○福島みずほ君 四十八時間、原則として受け取って到着して引き渡すまで四十八時間であれば、明らかに今よりもかなり短くなるわけです。検疫がおざなりになる可能性は極めてあると思います。
そして、米国産サクランボ購入をめぐるウィキリークスの暴露について見てください。スノーデンが明らかにしたもので、これは日本の中で様々な役所、例えば内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門など計三十五回線の電話が盗聴されてきたことが公表になっております。もっとされているとも言われています。
このウィキリークスなんですが、ここで驚くべきこと、役所の中でどんな議論をしていたのか。農水省の職員は近頃、米国産サクランボの輸入を遅らせるという農水省の決定に関して、米国との関係悪化を防ぐ方策を模索している。困ったと、アメリカが怒っているからどうしようと、輸入は開始できないという決定に対して米国農務省が強く抵抗したことに農水省はショックを受けたと。農水省が検討しているアプローチの二つ目、牛肉紛争のときと違って、現地調査の結果が確認され次第、すぐに輸入が開始される可能性があることを米国に通知する。どこの国の役人なんだと言いたいわけです。アメリカを怒らせたら大変だからスルーしちゃおうということじゃないですか。
これは、コトリンガというアメリカにいる害虫、ガです。日本にはいません。ですから、スモモや桃やリンゴや、そしてサクランボや、それが絶対日本に入ってこないように日本は検疫頑張ってきました。そして、これは臭化メチルという、まさに薫蒸、それをきちっとやって、絶対に害虫が入ってこないように頑張ってきたものです。しかし、それだと遅れて、これを緩和するというものです。農水省の役人がどっち向いて仕事しているか、実に残念ですよ、こういうのが暴露されて。それで、この結果、結局、二〇〇九年六月にこの基準を緩和をいたしました。アメリカからの圧力です。あっという間にですよ。これは問題です。
それで、お聞きをいたします。このウィキリークスの暴露は、これは本当ですか。そして、質問通告しております、これは事実ですか。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の米国産サクランボについて、我が国が国内への侵入を警戒しているコドリンガの寄主植物であるため、従来、昭和五十三年当時、臭化メチルで薫蒸処理を行ったのみ……(発言する者あり)いや、これは米国と正式にこのような事実があったことの確認はありません。
○福島みずほ君 でも、これはウィキリークスが内部告発で暴露していて、雑誌にも載っていて、報道されていて、そして質問通告をしています。おかしいですよ。もし、これがそうでなければ、農水省、おかしい、名誉毀損だ、問題にしたらいいじゃないですか。これで浮き上がってくるのは、日本の農水省がアメリカの顔をうかがって右往左往しているということなんですよ。
今、この状態で検疫を四十八時間原則って、その期間がですね、したら、一体、日本の食べ物の安全や検疫がどうなるでしょうか。今の答えで調査していませんときっぱりおっしゃったわけですが、調査していないのであれば、ということも問題ですし、それから、どっち向いて仕事しているんだということですよ。日本のこれで検疫がTPPで四十八時間、その通関時間がですね、というふうになることによって、より食べ物の安全が害されるというふうに思います。
TPPによって検疫体制はますます有名無実化されるんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これを読みますと、近頃の日本の政治家はサクランボの輸入を遅らせるという働きかけを行っていたということなんです。それに対して、農水省の職員は近頃という書き方をしているわけでございますが、これが本物かどうかということについては確認していないということでございますが、いずれにせよ、農業の交渉分野においてもお互いにお互いの国益を主張するのは当然のことであり、自分の国益を実現するために相手の国に対してあらゆるレベルで影響力を行使しようというのは当然のことであろうと、こう思います。
それに対して、その国との関係悪化を防ぎつつ、かつ国益を守っていくという努力もするのも当然のことであろうと、このように思うわけでありまして、いずれにせよ、我々の姿勢としては、各省がアメリカのために働いているということは一切もちろんないわけでありまして、日本の国益をいかにしっかりと守っていくかということで日夜努力を重ねていると、このように確信をしております。
○福島みずほ君 ウィキリークスが明らかにしたのは、アメリカに対して右往左往してどうしようかといって、結局、基準緩和をしたということです。
TPPは、たとえ発効しなくても批准するというのは邪道です。まさに、今国会、批准しないように心から私は強く申し上げ、質問を終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
TPP協定に社民党が反対する理由の一つは、食べ物の安全や検疫がより壊れてしまうからです。今日は、そのことについてお聞きをいたします。
アエラが今年七月二十五日号で報じた情報によると、厚生労働省の輸入時における輸入食品違反事例、これは二〇一五年五月から一年間の結果ですが、百十七件もの有害物質検出事例があったとされています。そして、同じ条件下で複数回見付かったものは記載していないため、最も多かったアメリカの件数だけでも七十五件に上ります。
ところで、このTPP協定は、まさに第五・十条によって、「自国の関税法令の遵守を確保するために必要な期間内(可能な限り物品の到着後四十八時間以内)に物品の引取りを許可することについて定めること。」、四十八時間というのがあります。
ところが、今どれだけ時間が通関に関して掛かっているでしょうか。財務省の第十一回輸入通関手続の所要時間調査集計結果によると、二〇一五年、これは三月のある時期の平均ですが、輸入通関手続所要時間は、海上貨物で五十九・五時間、コンテナで五十一・二時間、コンテナ貨物以外で七十五・四時間です。だとすると、到着してから引き渡すまで四十八時間目指せということであれば、検疫、これがおざなりになると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩崎恭久君) まず、先ほど資料をお配りをいただいて、違反事例についてお話をいただきました。
輸入食品の検査は、科学的根拠に基づいて、違反リスクに応じて実施をしております。これは、WTOの食品の安全に関する協定、いわゆるSPS協定、これによる国際的な共通ルールに基づく対応としてやらせていただいているわけでございまして、まず、全量をとどめ置いて行う命令検査などによって輸入時点で今御指摘をいただいたものの多くは発覚をしておりまして、国内へ流通はしていないということでございます。
また、一部国内流通を認めつつ、統計学的手法に基づくサンプル調査、これによって安全性を確認するモニタリング調査で今違反が発覚したものについても、違反食品の回収を図るとともに、全量をとどめ置いて検査をする命令検査、これに切り替えるというようなことなどの措置をとっておりまして、食品の安全確保に努めているところでございます。
健康被害事例は、今お配りをいただいたものに関して一件もございません。確認をされておりません。
そこで、今、四十八時間のお話をいただきました。TPP協定におきましては、自国の関税法令の遵守を確保するために可能な限り物品の到着後四十八時間以内に物品の引取りを許可することについての規定がありますけれども、引取りのための要件が満たされていない場合において物品の引取りを許可することを要求するものではないということも明記を同時にされております。このため、食品衛生法に基づく審査や検査などを実施をした結果、到着後四十八時間を超えて輸入許可が行われたとしても、TPP協定違反になるものではございません。
また、近年、輸入食品の違反件数は減少傾向にありますけれども、輸入の届出件数は年々増加をしております。全国の港や空港の検疫所において、全ての輸入届出について原材料や製造方法などを審査するとともに、今のモニタリング検査あるいは命令検査など違反リスクに応じた検査を実施をしているところでございます。
厚生労働省としては……(発言する者あり)厚労省としては、今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえて、検疫所職員の資質の向上、必要な職員や検査機器の確保等、適切な監視、指導を徹底するための体制の整備を図って、引き続き輸入食品の安全性確保に万全を期してまいりたいと思います。
○福島みずほ君 四十八時間、原則として受け取って到着して引き渡すまで四十八時間であれば、明らかに今よりもかなり短くなるわけです。検疫がおざなりになる可能性は極めてあると思います。
そして、米国産サクランボ購入をめぐるウィキリークスの暴露について見てください。スノーデンが明らかにしたもので、これは日本の中で様々な役所、例えば内閣府、経済産業省、財務省、日銀、同職員の自宅、三菱商事の天然ガス部門、三井物産の石油部門など計三十五回線の電話が盗聴されてきたことが公表になっております。もっとされているとも言われています。
このウィキリークスなんですが、ここで驚くべきこと、役所の中でどんな議論をしていたのか。農水省の職員は近頃、米国産サクランボの輸入を遅らせるという農水省の決定に関して、米国との関係悪化を防ぐ方策を模索している。困ったと、アメリカが怒っているからどうしようと、輸入は開始できないという決定に対して米国農務省が強く抵抗したことに農水省はショックを受けたと。農水省が検討しているアプローチの二つ目、牛肉紛争のときと違って、現地調査の結果が確認され次第、すぐに輸入が開始される可能性があることを米国に通知する。どこの国の役人なんだと言いたいわけです。アメリカを怒らせたら大変だからスルーしちゃおうということじゃないですか。
これは、コトリンガというアメリカにいる害虫、ガです。日本にはいません。ですから、スモモや桃やリンゴや、そしてサクランボや、それが絶対日本に入ってこないように日本は検疫頑張ってきました。そして、これは臭化メチルという、まさに薫蒸、それをきちっとやって、絶対に害虫が入ってこないように頑張ってきたものです。しかし、それだと遅れて、これを緩和するというものです。農水省の役人がどっち向いて仕事しているか、実に残念ですよ、こういうのが暴露されて。それで、この結果、結局、二〇〇九年六月にこの基準を緩和をいたしました。アメリカからの圧力です。あっという間にですよ。これは問題です。
それで、お聞きをいたします。このウィキリークスの暴露は、これは本当ですか。そして、質問通告しております、これは事実ですか。
○国務大臣(山本有二君) 御指摘の米国産サクランボについて、我が国が国内への侵入を警戒しているコドリンガの寄主植物であるため、従来、昭和五十三年当時、臭化メチルで薫蒸処理を行ったのみ……(発言する者あり)いや、これは米国と正式にこのような事実があったことの確認はありません。
○福島みずほ君 でも、これはウィキリークスが内部告発で暴露していて、雑誌にも載っていて、報道されていて、そして質問通告をしています。おかしいですよ。もし、これがそうでなければ、農水省、おかしい、名誉毀損だ、問題にしたらいいじゃないですか。これで浮き上がってくるのは、日本の農水省がアメリカの顔をうかがって右往左往しているということなんですよ。
今、この状態で検疫を四十八時間原則って、その期間がですね、したら、一体、日本の食べ物の安全や検疫がどうなるでしょうか。今の答えで調査していませんときっぱりおっしゃったわけですが、調査していないのであれば、ということも問題ですし、それから、どっち向いて仕事しているんだということですよ。日本のこれで検疫がTPPで四十八時間、その通関時間がですね、というふうになることによって、より食べ物の安全が害されるというふうに思います。
TPPによって検疫体制はますます有名無実化されるんじゃないでしょうか。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これを読みますと、近頃の日本の政治家はサクランボの輸入を遅らせるという働きかけを行っていたということなんです。それに対して、農水省の職員は近頃という書き方をしているわけでございますが、これが本物かどうかということについては確認していないということでございますが、いずれにせよ、農業の交渉分野においてもお互いにお互いの国益を主張するのは当然のことであり、自分の国益を実現するために相手の国に対してあらゆるレベルで影響力を行使しようというのは当然のことであろうと、こう思います。
それに対して、その国との関係悪化を防ぎつつ、かつ国益を守っていくという努力もするのも当然のことであろうと、このように思うわけでありまして、いずれにせよ、我々の姿勢としては、各省がアメリカのために働いているということは一切もちろんないわけでありまして、日本の国益をいかにしっかりと守っていくかということで日夜努力を重ねていると、このように確信をしております。
○福島みずほ君 ウィキリークスが明らかにしたのは、アメリカに対して右往左往してどうしようかといって、結局、基準緩和をしたということです。
TPPは、たとえ発効しなくても批准するというのは邪道です。まさに、今国会、批准しないように心から私は強く申し上げ、質問を終わります。
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