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福島みずほのどきどき日記

6月21日の厚生労働委員会議事録

6月21日の厚生労働委員会議事録をアップしました。

福島みずほ
 社民党の福島みずほです。
 今日は、それぞれ三人の参考人の皆さん、来てくださいましてありがとうございます。また、日ごろのそれぞれのすばらしい活動に関して心から敬意を表します。
 まず、佐藤参考人にお聞きをいたします。
 先ほど、釧路は水際作戦やっていないということで、ちょっと実は正直びっくりして。というのは、昨日もここの政府とのやり取りの中で、福祉事務所にあらかじめ申請書が置いてあるかどうか、何件置いてあるかというのは調べていませんということなんですね。私たちは水際作戦おかしいと思うんですが、役所側から見ると、いつでも窓口に申請書があれば誰でも申請ができて、書かれたものをあなた駄目と言うのが難しいので、相談という形で何とかもう排除しちゃおうというふうに思っていると思うんですね。
 釧路の場合はそういうことはないんですか。申請書というのは、もう誰でももらって書けるような中身になっているんでしょうか。
 あるいは、多分、水際作戦やっている人の心理の中には、そうやるといっぱい生活保護の申請して、それを駄目、駄目と言うのが大変だという意識もきっとあると思うんですね。その辺はどういうふうに解決されていらっしゃるんでしょうか。

参考人(佐藤茂)
 うちは、基本は窓口に置いてあります、用紙は。ただ、受付というところでは逆に、申請に来ました、でも、中身をやっぱりある程度聞かなければ調査の段階まで行けないというところがありますから、面談を行うということはしています。本人が申出によって要するに申請しますというものについては全部受けていますので。ただし、全部ないしょで金くださいという人は、お話ししましょうというふうにはなります。
 だから、当市としては、そのぐらいは、排除でもなく、何もなく、名前も中途半端で書かれても、誰にじゃお金を出すんですかという話になりますよという話はしますけれども、それ以外は、きちっと書いてもらうことによって受理はしますので、特に今まで、今日はあなたのやつは受け取れませんとかというのはないですね。
 基本的に、組関係の人ですね、関係の人については警察に確認させていただきますよという了解を得て、それは後日になりますというふうにはやりますけれども、それ以外は本当にないです。

福島みずほ
 多分、その申請書を置くと生活保護の受給者が増えるんじゃないかという恐怖心があると思うんですが、釧路の場合は他市に比べて、もちろんさっき産業のお話がありましたが、何か多いとか、何かいわゆる「不正受給」みたいなのが増えるというようなことはないんですよね。

参考人(佐藤茂)
 そうですね、特にそういうのは考えたこともないですね。ですから、何でしょう、水際でやるからとか、受給者が多くなったら大変というのは特にないですね。困っているんだからセーフティーネットを使うでしょうというだけの発想だと思いますけれども。

福島みずほ
 その話を厚労省に一生懸命したいと思います。
 ただ、生活保護の受給が増えるというわけでは、他市に比べて増えるとか、問題があるという認識もないんですよね。

参考人(佐藤茂)
 それはないですね。増えたとしても、それは私たちが調査をした結果で開始しているという自負はありますので。

福島みずほ
 自立支援をやっていらっしゃってケースワーカーや委託をしている人の役割が多いことがよく分かりましたが、どれぐらいの体制で、人数でやっていらっしゃるんでしょうか。

参考人(佐藤茂)
 自立支援は二人です。今年から自立支援担当というのを、ケースワーカーをしながら担当部署を設けてやっているんですね。実際にはケースワーカーが七十人で、標準数からいくとケースワーカーは九人ぐらい足りないです、まだ。
 ただ、仕事の楽しみみたいなのをやっぱり共有しながら、受給者に対しての見方ですとか、その変わった人を見る評価の仕方というのをみんなで考えながらやっていくと、意外と仕事って楽しいよねというのが今の状況になっているというのがもう実態論ですね。そうすると、意外と足りなくても工夫をすれば何とかできているというふうには自分たちでは思えてやっています。

福島みずほ
 工夫されているのはよく分かりました。学んでいきたいと思います。
 藤田参考人にお聞きをいたします。
 今回の生活保護の改正法案は、申請のやり方が変わることと扶養義務の強化になることが極めて問題だと思っています。
 昨日も議論をしたんですが、扶養義務者は民法の扶養義務者であるというふうにしているし、それから通知を出すということですよね。そうすると、家族関係が非常に壊れるんじゃないか、あるいは家族や親類に自分が生活保護の申請に行ったことそのものが分かれば嫌だから、そもそも生活保護の窓口に行かないということが起きると思いますが、その点についてどう思われますか。

参考人(藤田孝典)
 まさに、現段階であっても扶養義務者への照会は行われておりますし、それが最も大きな水際作戦としての効力を発揮しているということを現場では実感しております。
 要は、ケースワーカーさんに、生活保護を受けると、まずは申請が出されると家族に照会を掛けなきゃいけないので、それでいいですかということを聞かれますので、それはちょっとというような、家族に迷惑を掛けられないという方はもうその時点で申請を諦めてしまうということが、これはもう一般的なことですので、これを更に親族扶養の照会を強化していくということはどうなるかというと、さらに、今ですら生活保護を真に必要としている人が、これによって受けられていないものがより加速するだろうということはもう想像に容易であるということを私は思っております。

福島みずほ
 改正法案の六十条に、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。」というのがあるんですね。
 藤田参考人に、ここで描かれている被保護者って一体何なんだろうかと。あんたはこうしなさいと書いてあって、健康に努め、無駄遣いせずって、どうですか、この条文、どう思われます。

参考人(藤田孝典)
 そうですね、生活保護利用者の方にとっては、現時点でもう、健康に配慮しながら自分でできる範囲で努力されているんですね。これは、まずは、現時点で生活保護利用者は全て努力されているということを認めてもらいたいということを思っていて、それでもさらに、アルコール依存症、ギャンブル依存症、うつ病等で自分の生活が健康的にできないという場合には、それはやはりケースワーカーや支援者が支援の手を差し伸べるところだろうと思っておりますので、これは生活保護利用者に対する義務というよりは、どちらかというと福祉事務所側の責務、その人たちを丁寧に支援していくべきだろうという、そういった解釈をしていただけると有り難いと思っております。

福島みずほ
 扶養義務の強化の点なんですが、厚生労働省は、一年に一遍は扶養義務者にどうですかと言っているとか、いろんな答弁の中で出てきたんですが、その扶養義務者への通知に伴うことで、本人が嫌だとか、トラブルが生ずるとか、家族に問題が生ずるとか、あるいは障害のある方が頑張って独り暮らししようと思って、親の元に帰らなくちゃいけないとか、そういう扶養義務との関係での問題事例を御存じでしたら、藤田参考人、教えてください。

参考人(藤田孝典)
 私どものところには、生活保護を申請する方がたくさん来られていますが、特にうつ病や統合失調症によって、もうそうは言っても自分で生活したいという方の相談も非常に多く寄せられています。なので、そういった方たちは、家族にはこれ以上迷惑を掛けたくない、迷惑を掛けられないという中で、家から出たいということで保護申請に至るというケースもたくさんあります。
 なので、そういった方たちが、障害があっても、どういう状態であっても独り暮らしができるように、自分の自分らしい生活ができるように支援現場では配慮が必要だと思いますが、残念ながら今の現状、この親族扶養の強化がなされると、障害があっても、どういう状態であっても家族に面倒見てもらいなさいということになりかねませんので、その辺りは、本人、個別の事情に応じて対応いただけるように、附帯決議等で検討いただけたら有り難いと思っております。

福島みずほ
 生活保護の改正法案は、極めて扶養義務強化したり問題があると社民党は考えていて、ただ、もちろん自立支援法の方は意味がある面もあるんですが、ただ、生活保護に行かないように自立支援の方が強調されると、今日、藤田参考人がおっしゃった、とにかく就労というのが強くなるんじゃないかと心配をしております。
 それで、藤田参考人と佐藤参考人にちょっとお聞きをしたいんですが、藤田参考人の「ひとりも殺させない」という本を読みました。生活保護で稼働年齢層を納税者に変えていける、むしろ早く生活保護をやることで稼働者に変えられるんだという記載があるんですが、生活保護に行く方がいいのか、自立支援に行く方がいいのか、ケースごとでしょうが、その辺の振り分けなどが今後もしこの法律が成立したらどうなるのかとちょっと心配をしております。生活保護と自立支援、その両方に関しての見解、佐藤参考人、藤田参考人、教えてください。

参考人(佐藤茂)
 私どもが今考えているのは、両方が受付場所があることによって、逆に生活保護を受けたくないという人も行きやすい場がつくられるという逆の発想を持っています。
 実際には、民間的な発想をそこに組み入れてもらって、いろんな企業体と協議をして、就労であり、ボランティアでありという形の中でつくり上げていくことによって、最終的にそこで解決できないものが福祉事務所に落ちてくるというふうな格好でもいいじゃないのかなというふうには考えていますので、その人に合ったやり方の窓口が二つできるということは、最適な形の中で運べるというふうには理解しております。

参考人(藤田孝典)
 私は、非常に現場で危惧を持っておりまして、現状、釧路市のようであれば、全国の自治体がそれであればいいんですけれども、非常に私は釧路市を特別な自治体として見ております。なので、私は、この法律ができるとどうなるかというところですが、恐らく福祉事務所の現場で、一部かもしれないですが、責任放棄が発生しないかということを非常に危惧しております。
 これは、今ですら私たちが申請窓口に行くと、いや、あなたは社会福祉協議会に行ってみたらどうかとか、あなたはこちらのNPOにまずは相談してみて本当に困ったらまた来てくださいということを言われますので、またそういった水際作戦と言われるような窓口がもう一つできてしまうことによって、これは、本当に生活保護は、まず早めに救済されるべき人がたらい回しされて、結果、最後に行き着くということが相次いでおりますので、そうなったときには問題が更にこんがらがって、人間不信にもなって、支援が困難、時間を要するということがありますので、まずはちゃんとしたアセスメント、ちゃんとした支援ができる場所を、福祉事務所なり相談機関なりにそういった人材を配置しておかないと、単純に今の福祉事務所では、公的責任の放棄、生活保護はまだ早いよというようなことが行われないかということを非常に危惧しております。

福島みずほ
 藤田参考人にお聞きをします。
 この本の中でもケースワークの重要性と書いていらして、また、佐藤参考人からも釧路の中でのケースワーカーやいろんな人が頑張っているという話がありました。もしこの法律、とりわけ生活困窮者の支援法ができれば、物すごくそのマンパワーというかヒューマンパワーが必要だと思うんですね。
 さっきもちょっと佐藤参考人からありましたが、今警察OBを入れるということが多いんですが、むしろヒューマンパワーとしてのケースワークなどを多く増やさなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、その点についての藤田参考人の見解を一言お願いいたします。

参考人(藤田孝典)
 もうまさにおっしゃるとおりでして、現場はもう困窮者がどんどん来られていて、もう疲弊しているという状態ですね。これは、ケースワーカー、福祉事務所の現場に限らずNPOもそうですし、どこでも疲弊しております。
 なので、そこである種必要なのは、もうどういう状況であっても寄り添いながら支援していくという、支援の専門性を担保しないといけないですので、これはやはり、福祉事務所であれば一般事務職の公務員がなかなかやるということでは限度がありますので、ある種専門職を採用していくことであるとか、あとは民間とのネットワーク、これもずっと言われ続けていますが、民間とのネットワークもいまだにできている自治体は少ないですので、なので、そういった工夫が必要だと思っております。

福島みずほ
 今日はどうも本当にありがとうございました。

~休憩~

福島みずほ
 社民党の福島みずほです。
 まず冒頭、文科省に、生活保護の生活扶助費の引下げにより、連動して就学援助制度を利用できない人たちが出現するのではないか。二〇一二年度に就学援助を受けている人は、要保護者約十五万人、準要保護者約百四十二万人、合計百五十七万人です。来年度以降、このうち何人が影響を受けることになるんでしょうか。

政府参考人(関靖直)
 お答え申し上げます。
 就学援助につきましては、平成二十五年度予算におきまして、従来ベースの事業実施に必要な予算を措置しているところでございまして、子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないよう適切に対応していくこととしております。
 生活保護法に規定をいたします要保護者に対する就学援助につきましては、今般の生活扶助基準の見直しに伴いまして、これまで国庫補助の対象となっていた者の一部が対象とならなくなる可能性がございます。
 厚生労働省の調査によりますと、対象とならなくなる者は仮にいるとしても極めて少数と見込まれますが、平成二十五年度当初に要保護者として就学支援を受けていた者につきましては、引き続き要保護者として国庫補助の対象としてまいります。
 また、各市町村におきまして、要保護者に準ずる程度に困窮していると認め、地域の実情に応じ実施しております準要保護者に対する就学支援につきましても、見直しに伴い支援の対象とならなくなる可能性はございますが、これにつきましても、子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないよう、国の取組を説明の上、その趣旨を理解した上で各自治体におきまして判断をいただきますよう、五月十七日付けの通知で依頼をしているところでございます。
 子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないようにすることが何より重要であると考えておりまして、この基本的な考え方を踏まえまして、平成二十六年度以降も適切に対応していきたいと考えております。

福島みずほ
 しかし、旭川市の市教委の試算では、五百人が対象外になるとされていると。今、自治体に話をして子供の権利を侵害しないようにとおっしゃいましたが、自治体によって格差が生ずる恐れもあります。
 これは、来年度以降も適切に対処とおっしゃいましたが、実際にそれを保証される担保はないんじゃないですか。

政府参考人(関靖直)
 先ほども申し上げましたように、国の取組を説明の上、その趣旨を理解した上で判断していただくように五月十七日付けの通知で依頼をしているところでございます。
 この二十六年度以降につきましても、地方が行う事業も含めまして、子供たちの教育を受ける機会が妨げられることのないように、この基本的な考え方を踏まえまして、二十六年度以降も適切に対応していきたいと考えております。

福島みずほ
 じゃ、文科省、来年度以降、この就学援助を受けている人たちが排除されることはないということで責任取ってくださいますね。よろしいですね。

政府参考人(関靖直)
 各市町村が実施をしておりますものにつきましては、最終的には地方公共団体の判断となるわけでございますが、文部科学省といたしましては、先ほど申し上げましたような基本的な考え方につきましてよく各地方公共団体に申し上げて、その取組をしてまいりたいと考えております。

福島みずほ
 安倍内閣は地方交付税の削除と社会保障費の削除、二つを掲げていますよね。財政上の措置をしなければ地方は破綻するので、幾らそういうふうにやってくれと言われたって、財政措置やらなかったらできないじゃないですか。財政措置はおやりになるんですね。

政府参考人(関靖直)
 地方公共団体が行っております就学援助につきましては、要保護者につきましては国庫補助で行っておりますけれども、二分の一の国庫補助で行っておりますが、市町村が行っておりますものにつきましては地方財政措置で行っております。
 今後とも、文部科学省といたしましては、市町村による就学援助が引き続き適切に実施されるように、総務省とも相談をし、取り組んでまいりたいと考えております。

福島みずほ
 適切ということは、確保するという気構えを示してください。

政府参考人(関靖直)
 就学援助に係ります地方財政措置につきまして、文部科学省として、総務省とも相談をいたしましてその財政措置の充実には努力してまいりたいと考えております。

福島みずほ
 生活保護を引き下げることでやっぱりいろんなところに波及効果が起きていっています。それは逆に、文部科学省がしっかり財政措置をとるようにということを国会の中で応援しなくちゃいけないんですが、かようにやはり社会保障費を削減する方向、地方交付税を削減する方向を打ち出していることに強く抗議をしたいというふうに思います。
 次に、昨日の審議で生活保護の申請用紙を常備している福祉事務所がどのくらいあるのか調査されていないということが判明しました。今朝、釧路市の佐藤参考人の話で、釧路市は常備していると。とりわけケースワークをきちっとやれば、そのことによって生活保護が別に増えるということはないんだという話があったんですね。副大臣、うんうんと聞いてくださっていますが、もう常備するということでよろしいですよね。これ、パンフレットと申請用紙一式を置いてくださいよ。どうですか。

副大臣(桝屋敬悟)
 委員、昨日、この点お話をいたしました。これは二十四条第一項の今回の取扱いをめぐっての議論がずっと先ほどから続いているわけでありますが、委員、常備って、常備はしているんですよ。ですから、多分委員の御指摘は、申請用紙のない事務所なんかありませんから、窓口に配備して、来られた人がすぐ取れるかどうかという、その状態を御指摘されているのかなと。

福島みずほ
 はい、そうです。

副大臣(桝屋敬悟)
 そこまでの実態は我々としても把握していないと、こう申し上げたわけでありますけれども。
 それで、昨日も申し上げましたように、やはり申請と、申請書一式、申請書と、それから最初に相談に来られたときの相談、ここはやはりまず相談をしっかりお受けして、そして保護に至る前に使える社会的資源がないのか、様々な御本人の資力であるとか生活能力であるとか、そうしたことを十分相談をしながら、その上、本人が申請をしたいという意思があれば、これは申請権をいやしくも損なうようなことがあってはなりませんから、きちっとお渡ししているわけでありまして、どうぞ、そういう取組は何ら今までと変わっているわけではないわけでありまして、取り組みたいと思います。

福島みずほ
 今までと同じだと困るんですよ。申請して、そしてそこで議論すればいいわけじゃないですか。ケースワークを十分やればいいと、そして生活保護がそのことによって増えてはいないという、今日、参考人の答弁でした。ですから、とにかく申請用紙にたどり着くまでが大変という、水際作戦と非難をされるぐらいだったら、全部パンフレットと申請用紙一式を置いておいてくださいよ。どうですか。

副大臣(桝屋敬悟)
 私も福祉事務所の現場で働いた経験も持っておりまして、現実に御相談においでになる方、水際という言葉もありますが、担当のケースワーカーはおいでになった方に寄り添うように福祉に取り組むわけでありますから、真に必要な方についてはこれは是非申請書をお渡しするし、逆に、今委員がおっしゃったように、まず申請を受け付けてそれから全てスタートということであれば、中には、ああ、これは生保へ申請されない方が御本人のプラスになるというケースだってあるわけでありますので、そこはまずはしっかり御相談するということが私は福祉事務所の窓口業務としては私は重要な役割だと思っている次第でございます。

福島みずほ
 ただ、そこで申請してもまた議論をすればいいわけだし、それから、申請用紙が置いてあっても相談に来られる方だってたくさんいらっしゃると思うんですよ。ですから、なぜ釧路で申請用紙が置いてあって、ほかのところで置けないのか、申請用紙までたどり着けないのかというのはやっぱりおかしいと思うんですよ。
 大臣、これ、やっぱり変えてくださいよ。

国務大臣(田村憲久)
 必要な方が申請用紙をちゃんと手に取れるということは重要でございますので、そのような形で指導はしてまいりたいというふうに思います。

福島みずほ
 これだけに時間を使っているわけにはいかないんですが、でも、生活保護ってやっぱり必要な最低のセーフティーネットですから、窓口の中でくれないということで申請できない、しかも、今回の法律改正で、親族、三親等の親族まで調査が行ったり、あるいは申請したら共通番号制で資産の調査まで受けるわけじゃないですか。それで、いや、まあそれはちょっと余計なことかもしれませんが、申請用紙を是非置いてくださるよう強くお願いいたします。
 二〇一一年度の生活保護費に関する不正受給について、稼働収入の無申告、一万六千三十八件、各種年金などの無申告、八百八十、二十一件など、一件当たりの金額は四十八万七千円です。大きな金額に見えますが、不正受給金額帯や年齢などは調査されておりません。例えば、学用品を購入したり進学を目指す子供のアルバイトなどは収入認定除外されるため、厚労省も周知徹底を図っていますが、子供たちのアルバイト収入の収入認定除外は徹底されているんでしょうか。
 というのは、不正受給調査の中で、例えば高校生のアルバイトとか子供たちのアルバイト収入まで不正受給とされているのであれば、子供たちの貧困の抑止の観点からも不正受給から外すべきではないでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 生活保護受給世帯の子供の自立に向けた支援は、委員御指摘のように非常に重要なことだと思っております。
 高校生のアルバイト収入等については、なるべく自らの収入が手元に残りますように、収入に対して基礎控除に加えて未成年者控除を適用するとともに、修学旅行費あるいはクラブ活動など、高等学校就学費では支給対象とならない経費分について生活保護費と調整をしないというふうにしておりまして、本人の自立に向けて配慮をしているところであります。
 今委員からお話のございました不正受給でありますが、しかし、不正受給については、これは年齢とか収入の多寡にかかわらず、やはり基本的には生活保護世帯、ある収入についてはきちっと収入申告をしていただくと、しかる後に今申し上げたような生保の制度上の配慮をすると、こういうことでありまして、その点は御理解を賜りたいと思います。

福島みずほ
 現場のワーカーの話を聞くと、不正受給の四分の一ぐらいが高校生のアルバイトの未申告で、子供たちの問題というよりも周知徹底不足がほとんどなんじゃないかと。こういうことが起きないように是非よろしくお願いいたします。
 次に、法案の規定する生活困窮者とは「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」とありますが、自立相談支援事業の利用を求められるのは就労可能な層ですが、誰がどのような基準でその判断をするんでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 今お尋ねの自立相談支援事業でありますが、何らの支援を講じなければ生活保護基準を下回る可能性が高い状態にある者を広く受け止めながら、本人の状況を分析、評価し、この結果に基づいて新制度の各事業が実施される仕組みとなっております。
 具体的には、相談支援機関で対象者の直近の経済状況を中心といたしまして、これまでの就労状況でありますとか生活状況、健康状況、コミュニケーション能力、あるいは他制度の利用状況、これ、ハローワークでの支援とか障害者福祉制度による就労支援などを想定しておりますが、こうしたことを総合的に評価しまして、収入、資産、年齢要件などを勘案して、最終的には各事業の実施主体であります各自治体が判断をしていただくということになるだろうと思っております。

福島みずほ
 これから生活保護適用層と自立支援適用層と分かれることになるわけですよね。その基準が何なのか。基準がなければ福祉事務所対応、ソーシャルワーカーの恣意的な決定ということになっちゃうんではないかというふうにも思っています。
 それで、生活困窮者の中で生活保護受給を希望する場合は、申請権が侵害されることなく、自立相談支援事業を経由せずにストレートに受給申請ができるということでよろしいですね。

副大臣(桝屋敬悟)
 生活困窮者自立支援法は、先ほど申し上げましたように、生活保護の手前の層への早期支援を実施することでその自立を図ると、こういう性格でありますが、この新制度ができても、保護が必要な人には確実に保護を実施するという生活保護制度の基本的な考え方を変更するものではありません。このため、新制度や生活保護制度についてよく説明を行った上で、生活困窮者本人が生活保護受給を希望する場合は自立相談支援事業を経由せずに保護を申請、受給することが可能であると考えてございます。

福島みずほ
 午前中の参考人質疑の中で藤田参考人の方から、ジョブファーストではなくてウエルフェアファースト、つまり、仕事、就労支援がすごく先行するんじゃなくて、福祉、その人にとってどうか。あと、ケースワークの重要性は藤田参考人からも佐藤参考人からも非常に出たと思うんですね。
 ですから、今回のこの法案が非常に就労に追い込んでいくというような形になっちゃうんじゃないか、そこを丁寧にケースワークでやるためにはヒューマンパワーも大変必要だと思いますが、そこはどう理解していらっしゃるんでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 おっしゃるとおりでありまして、特にこの自立相談支援事業の相談支援員でありますが、これは、委員おっしゃるように、複合的な課題を抱える生活困窮者に対して包括的な支援を行うものであります。新法により必要となる人員でありますから、今後適切に養成をしていかなきゃならぬと思っております。
 今後の養成人数につきましては、二十七年四月の制度施行に向けまして、最終的には平成二十七年度の予算編成過程で決まるものでありますが、現段階においてお示しすることはなかなか困難でありますけれども、全国九百の福祉事務所設置自治体において生活困窮者への支援が適切に行える規模とすることが必要だと考えてございます。このため、今後、モデル事業を通して必要な人員体制を整理していきたいと考えております。また、相談支援員の質を確保するため、当分の間、国において計画的に養成していく予定でございます。頑張ってまいりたいと思います。

福島みずほ
 この法案で、生活保護に至る前に自立を促進するとしていますが、住居確保給付金で原則三か月、就労準備支援事業で六か月から一年程度の有期を想定しています。
 期間中に自立ができなかった場合には生活保護に移行するんでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 ここも何度も聞かれたことでありますが、生活困窮者自立支援法案で定めます各事業、相談支援事業のように一律の期間が設けられていないものもありますけれども、基本的には、今委員が言われたように、有期としているところでございます。これは、これまでの地域での実践を踏まえると、期間を定めて目標を設定し支援を行うことで最大効果を発揮できるということを踏まえたものであります。
 ただし、その期間については、住居確保給付金に関しては原則三か月の支給期間としつつも、本人の就職活動の状況いかんによってこれを延長できることとするなど、それぞれの事業の内容や本人の状況により一定の幅を持たせているところでございます。
 こうした取組によりまして、支援期間中にできる限り自立をしていただきたいと考えているところでございますが、就労できなかった場合などにおいて、生活保護の要件に合致すればこれは生活保護を適用するということになるわけでございます。

福島みずほ
 生活保護法の改正法案にまた戻って質問いたします。
 福祉事務所の不正、不適切受給に対する調査権限の拡大について官公署への調査というのが条文にあります。この場合も、共通番号制、マイナンバーを使うんでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 これは昨日も言われましたけれども、委員、結論から申し上げますと、番号制は生活保護制度、活用させていただこうと、こう思っておりますが、番号制度で新しいことをするということではないわけでありまして、今まで紙ベースで自治体等の関係部局に照会していたものがオンラインを活用してより効率的、効果的な方法で調査できるということが可能になると思っております。したがいまして、昨日も申し上げましたけれども、申請から決定までの期間の短縮でありますとか、ケースワーカーの負担軽減等にもつながるものだというふうに考えている次第でございます。そうした前提で、今回の改正においても番号制度を活用できるような必要な措置を行っているところでございます。

福島みずほ
 共通番号制で、昨日もちょっと質問したんですが、これは扶養義務者に対して通知、調査を掛けるときにも共通番号制使いますか。

政府参考人(村木厚子)
 共通番号制というか、官公署の回答義務のところですが、これは具体のところは省令等々でこれから定めていくことになりますけれども、今のところ私どもとしては、扶養義務者の情報をこのマイナンバーで取るということはやらない方がいいのではないかというふうに考えているところでございます。これは、報告を求めるときも回答義務を扶養義務者に掛けていないということもありますので、マイナンバーを使ってということは今のところやらない方向で考えているところでございます。

福島みずほ
 大臣、目をぱちぱちしていますが、それでよろしいんですか。

国務大臣(田村憲久)
 そうなんだろうなと。いや、そもそも今この新法で使えるのかどうか、ちょっと私も不安であったものでありますから、今の村木局長の答弁ならよろしいかというふうに思います。

福島みずほ
 法案六十条に、生活上の責務、被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生計の維持及び向上に努めなければならない。
 こんなこと普通の人もなかなかできないようにも思うんですが、この法案から漂うイメージは、健康管理や金銭管理ができず浪費するという受給者像じゃないかと。福祉事務所が家計管理を求めるのはどのような場合なのか、また、この条文、こういう条文を規定する趣旨というのは必要なんでしょうか。やっぱり、しっかりしろというのを入れるんだけれど、そこで描かれている受給者の像というのが余りにちょっと貧弱なんじゃないかと思いますが、いかがですか。

国務大臣(田村憲久)
 まあこれ、家計指導でありますとか健康指導というものは、基本的には十分できている方はやる必要ないわけでございまして、例えば、家計に対してのいろんな指導、助言をする場合は、自らで家計管理ができない方、そういう方は生活保護世帯にもおられます。もらった生活保護費を一月ずっと使えるというか、もう一定期間で全部使っちゃって足らなくなってしまう、こういうような方もおられますし、そうなってくれば当然健康にも支障を来してくるわけでございますから、そういう方にしっかりと助言をしていくという意味での話でございますので、全ての生活保護家庭の皆様方にこれをやるというわけではございませんから、そこは御理解をいただきたいというふうに思います。

福島みずほ
 分かりました。
 しかし、条文は全ての被保護者に健康管理やれとか全部入っているんですよね。これはちょっとやっぱりスティグマみたいなものを強くするんじゃないかというふうに私は懸念をいたします。
 次に、本人の責任に帰すことのできない難病や慢性疾患の受給者に健康保持や健康増進の努力義務を課すとしていますが、主治医の出番はないようなんですが、この効果は誰がどのように判定するんでしょうか。福祉事務所の人員体制を強化するとしていますが、専門的な健康支援が可能なんでしょうか。

副大臣(桝屋敬悟)
 今大臣も御答弁申し上げましたけれども、生活保護受給者の自立助長を図るためには、自らの健康管理に関する意識を持っていただくということも極めて重要であると思っております。したがいまして、健康管理を自らの責務として明確化するものでございます。何も特別のことではないというふうに大臣も御答弁をさせていただきました。
 今委員から主治医の出番がないという、そんなことはないわけでありまして、生活保護を受給されている方であろうとなかろうと、やはり主治医の存在というのは極めて大事でありまして、ケースワーカーの、あるいは福祉事務所の指導に当たりましては、主治医と連携をするということは実に大事でありまして、むしろその主治医と連携をするためにも、福祉事務所には、さっき保健師という話もございました、嘱託医も今までもおりましたし、そうした福祉事務所内での体制づくり、これは二十五年度の地方交付税で充実していきたいと、こう思っているわけでありますが、そういう意味では、基本的には、こうした健康の管理ということのその評価というのは、やはりずっと寄り添っておりますケースワーカー、福祉事務所が医療スタッフと、主治医も含めて御相談をしながらこれは評価されていくものだろうと、こういうふうに理解してございます。

福島みずほ
 生活保護レセプト管理システムの機能強化について、このシステムで抽出された不適正な医療機関や受給者への対応はどのようなことが想定されているんでしょうか。

国務大臣(田村憲久)
 医療扶助でありますけれども、もちろん不適切な医療扶助というような形になりますと、これは国民の生活保護に対する信頼というものがやはり揺らいでいくわけでございますので、例えば、平成二十四年十月と平成二十五年三月にこの機能改修を行いまして、特定の診療でありますとかまた検査が多く行われておる場合でありますとか、さらには一回のレセプト、一つ当たりといいますか、一レセプト当たり請求額が多いというようなそういう医療機関であります。また一方では、患者の側からすれば、多剤投与といいますか、いろんな薬を一遍に投与される、そういうものを実際問題今診断されておられる方でありますとか、更に言えば頻回診療を受けられているような方、こういう方々は抽出できるようになっております。
 ただ、それのみをもってすぐに不正だというわけではございませんので、どのような医療行為を受けているのかだとかそういう種々の状況をいろいろと勘案しながら、例えば医療機関ならば、本当にこの医療機関は大丈夫かどうかということを勘案しながらこれは調査をするわけでありますし、また、患者にしてみれば、やはり主治医といいますか、嘱託医等々含めて状況をいろいろとお聞かせをいただきながら、その上においてそれが不正なのか不正でないのかということを判断するわけでございまして、そういう意味では、あくまでも一資料というような形でこのレセプトというものを利用させていただくというような話になってきます。

福島みずほ
 これ、医療については、二つの病院にかかっているけど一つにできないかとか、身近な病院にかかれないかとか、いろいろ医療について言われるというアンケート結果を拝見をいたしました。医療がまた侵害をされないようにという面も必要だと思います。
 その点を強く申し上げ、そして、申請用紙は全ての福祉事務所に、窓口に置いてくれと、扶養義務のこの部分は納得できない、扶養義務の強化はおかしいということを申し上げ、質問を終わります。

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生活保護一部改正法案、生活困窮者自立支援法案議事録

 福島みずほ君社
 社民党の福島みずほです。  
 まず、修正提案者にお聞きをいたします。
 修正案二十四条一項のただし書の申請を要しない特別の事情とは、字が書けない場合のほか、申請書が交付されないために申請できない場合も含みますか。ほかにどのような場合を想定しているか。DVの被害を受けて体一つで逃げてきた場合、野宿をしていて証明するものを持たない場合、非識字の人などはこれに当たると理解してよろしいでしょうか。

 衆議院議員(山井和則君)
 お答えします。
 現在でも生活保護の申請については書面で行うことが原則とされておりますが、口頭による保護の申請も申請意思が明確である場合には認められております。修正案の趣旨は、その取扱いが一切この法改正によって変わるものではないことを条文上明確化するものであります。
 御指摘のようなケース、つまり、DV被害を受けて体一つで逃げてきた場合、野宿をしていて証明するものを持たない場合、非識字の人などのケースも含め、隠匿等の意思もなく必要書類を本人が所持していない場合等が該当するものと考えております。
 
 なお、申請意思が明確に示されたにもかかわらず申請書が交付されないことはあってはならないことであり、そのこと自体が正すべきことであると考えております。厚生労働省も同様の認識でございます。

 福島みずほ君
 申請用紙が全国の福祉事務所の中でどれほどきちっと窓口に置かれているんでしょうか。生活保護申請用紙は全国千二百五十一か所、全ての福祉事務所の窓口に置いてあるんでしょうか。

 副大臣(桝屋敬悟君)
 今委員から全国の福祉事務所は千二百五十一か所、このうち、どれだけ窓口に申請書が置いてあるかというお尋ねでございますが、具体的に申請書がどこに置いてあるかというところまでは正直申し上げて把握していないわけでありますが、何度も答弁しておりますが、申請の意思が示されている場合は速やかに申請書
を交付するというふうにしているわけでございます。
 福祉事務所に来所される方の中には、いつも議論しておりますが、他の福祉施策を活用することなどによって最低限度の生活が維持できるという場合もある、あるいは、生活保護受給の要件を満たさない方もある。様々な形で福祉事務所に相談という形で窓口にいらっしゃる。まず、窓口において来所者の方々の相談に応じて、生活保護の仕組みについて御理解をいただき、必要に応じて利用可能な他の福祉施策の紹介をするということもあるんだろうと思っております。それがまた窓口のサービスということにもなるわけでありまして、そんなことで必要であれば申請書は相談の結果、本人が申請をされる意思をお持ちであれば申請書
を交付すると、こういう取扱いをしているものでございます

 福島みずほ君
 やっぱり変だと思うんですね。
 申請書を出して、そしてそれが満たしているか、満たしていないかということで、実はほとんど窓口には申請用紙が置いてないんですね。今後、こういうふうに文書でやれということをやるんであれば、窓口で福祉事務所できちっと用紙置くべきじゃないですか。それを是非検討してください。
修正案の方はもうこれで結構です。
 今回の法制、生活保護の改正案なんですが、生活保護の申請手続の実際は変更、それと扶養義務の強化という点で、極めて問題があるというふうに思っています。
 まず二十四条の一項五号の、その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省で定める事項って、一体何を想定しているんでしょうか

 副大臣(桝屋敬悟君)
 今委員のお尋ねのあったのは、二十四条第一項第五号の話ですね。その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生省令で定める書類と、こういうことなんでございますが、これは何を想定しているかということで、省令では、例えば要保護者の性別でありますとか生年月日等
を想定しておりますが、いずれにしても新たな書面で提出を求めるような事項はないというふうに考えてございます。

 福島みずほ君
 新たに求めるものがないんであれば、何でこんなわざわざ五号を入れるんですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 何度かこの問題について御説明を申し上げておりますが、二十四条の第一項で、一号から五号までの申請書に書き込む事項についてお示しをしております。これらについては、現状でも省令であったり通知であったり様々なものでいろいろな情報をいただいております。こういったものを法律の中に整理をして書いたということでございます。
 実際問題、私ども、今使っている様式についてきちんと検証をいたしましたが、こういった今使っている様式を変える必要はないというふうに判断をしておりますので、新たな調査項目が何か増えて新しい御負担を掛けるということはないというふうに考えているところでございます。

 福島みずほ君
 だとすれば、わざわざこういう条文を置く必要があるのかと思いますし、本当に増えないのかということもきちっと検証したいと思います。
 大問題なのは二十四条八項なんですが、通知しなければならない、扶養義務者に対して通知しなければならない、通知しないのは例外なんですね。
 扶養義務者ということについてお聞きをいたします。民法の扶養義務は、夫婦の間に扶養義務を認め、そして一項は直系血族及び兄弟姉妹、二項は三親等内の親族というふうにしていますね。どこまで入るんですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 まず、現行でも扶養照会をやっているわけでございます。この場合も、民法上は三親等まで特別の場合には広がりますが、実際に私どもがやっている扶養照会というのは、親子や兄弟姉妹という一般に扶養可能性が高いところを重点的に行うというのが今の実務でございます。 
 ただ、新たに設けました規定につきましては、何度か申し上げているとおり、扶養義務者の中で扶養の可能性があり、最終的には法律の七十七条を使って費用徴収を行うような、そういう蓋然性が高い方に限定的に行うということを考えているところでございます。

 福島みずほ君
 いや、よく分からないから聞いているんです。
 八百七十七条一項は、直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。そうすると、子供、孫、曽孫まで、直系血族だったら幾らでもできるんですよ。これは扶養義務者ということでよろしいんですね。
 そして二項は、例外的に家庭裁判所は三親等内の親族、おい、めいまで行っていますね。ですから、お聞きしたいんです。
 直系血族及び兄弟姉妹は扶養義務者に入るのか、入らないのか。この扶養義務者に三親等内の親族は入るのか、入らないのか。そこだけお答えください

 政府参考人(村木厚子君)
 民法上の扶養義務者が入ります

 福島みずほ君
 民法上の扶養義務者というと、二項の三親等内の親族ですよね。これも入るんですか。おい、めいも入るんですか
 
 政府参考人(村木厚子君)
 民法上の扶養義務者については両方入ります

 福島みずほ君
 いや、これ限定してくださいよ。
 こんなに広い扶養義務を規定している、そんな国は余りないんですね。三親等内の親族まで行ったら、おい、めい、全部入っちゃうんですよ。ここまで拡大するのか。扶養義務者ってやっているから、条文上何の限定もないんですよ。一項、二項、全部入っちゃう。とすると、扶養義務者が物すごく広くなっちゃうんですよ。
 そして、金持ちのおじさんがいたら、じゃ、そこに通知が行くんですよ、これ、そうしたら。そして、原則が通知じゃないですか。原則通知する。
 つまり、私が今生活保護を受けたいと言いに行ったら、私の三親等内の親族まで通知が行くかもしれないというふうに思えば、私行かないですよ。
 今回の法案は偉大なる水際大作戦なんですよ。
 誰も行かないですよ。いや、だって、大臣、家族の関係って微妙じゃないですか。あの息子が生活保護の受給を申請している、いや、東京に行っためいが何か生活保護の申請やったみたいだと言われるのが嫌だと思ったら、行かないですよ。

 国務大臣(田村憲久君)
 民法上の規定における扶養義務の範囲でありますけれども、三親等の親族のうち特別な事情のある者でございますから、そのような意味では、全ての三親等に行くわけではなくて、扶養義務を持てる可能性がある方、つまり、以前から三親等ではあるけれども扶養していただいていたような事実があるであるとか、そのような特別な事情のある方という話でございますから、全ての三親等内に通知が行くというようなものではございません。

 福島みずほ君
 いや、そうではなくて、これは今局長が答弁したとおり、一項、二項、全部入るんですよ。つまり、特別な事情というのはあるかもしれないが、行く場合はまだ分からないわけです。私が生活保護の申請に行く、その現場で、いや、三親等内の親族まで扶養義務者ですよとなれば、おじさん、めいまで行くわけですよ。行く可能性があるということが極めて重要で、だってそうじゃないですか、その答弁がそのとおりだから。
だとしたら、そんなに幅広い範囲で通知されると思えば誰も行かないですよ、誰も行かないですよ。
 これ、偉大なる水際大作戦ですよ。
 これ、通知が行くんですが、もう一つ、先ほどの報告、二十八条の扶養義務者に報告を求めることができるという条文がありますよね。何で扶養義務者に通知をするのかといえば、恐らくこうなると思うんですよ。あなたは扶養義務者です。あなたの息子である誰々が生活保護をどこどこに申請をいたしました。それで、資産について報告を求めることができるのでお聞きしますというふうに言って、あなたは扶養することはできないんですか、あるいは幾らだったら扶養することができますかという通知になるんじゃないですか。単にあなたのめいが扶養を申請していますなんて通知が行くわけないんです、無駄だから。そうじゃな
くて、それは嫌がらせだけですよね、そうじゃなくて、あなたは扶養義務者ですと、あなた自身は扶養できませんか、幾らなら可能ですかということを聞くんじゃないんですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 まず、ちょっと少し議論に混乱があるように思うので、もう一回申し上げます。
 生活保護法の中で扶養義務者と呼ばれる者はかなり幅広になっておりまして、先ほど申し上げたように民法上の扶養義務者、したがって、夫婦、直系血族及び兄弟姉妹、それから特別の事情がある三親等内の親族間というのが民法上の扶養義務を負わされております。それによって、生活保護でも扶養義務者というときには法律上はこの範囲が入るということでございます。これは今でもそういうことでございます。
 扶養照会を今もしております。その場合は、実務上は親子あるいは兄弟姉妹のように扶養の可能性が高い者についてやっているということでございます。
 今回の扶養義務者に対する通知を行うとか報告を求めるとかという新しい規定がございますが、これについては極めて限定的なものに対象をしたいということで考えているところでございます。
 実際には、政省令等々、運用に当たってそういう細かなルールを定めることになると思いますが、最終的には、裁判所を活用した費用徴収を行うような蓋然性が高いと判断できる方、明らかに扶養が可能であり、かつまた家族関係があると認められるような方に限定してということでございますので、御懸念のように、例えばおじ、おばのところとか孫だとか何だとかという幅広いところにいきなり通知が行くということを考えているわけではございません

 福島みずほ君
 いや、いいかげんなことを言わないでくださいよ。だって、法律上は扶養義務者と書いてあって、この扶養義務者は民法の二項の三親等内の親族も特別の事情によって入るって言っているわけじゃないですか。だから、今の答弁は、通常そんなことはしません、突然おいやめいや孫に行きませんと言っているが、法律上、だって法律というのは定義がはっきりしているわけですから、そこに係ることができるわけじゃないで
すか。通常は行きませんよと言ったところで、範囲として、だって、そうしたら、扶養義務者の範囲は二項の場合は入りませんよと、三親等内の親族は入らないってやらないわけじゃないですか。
 だって、ちょっとこのことに、実は私は狭めてほしいと思っているんですが、答弁がいいかげんですよ。だって、扶養義務者とは誰かと聞いたら民法上の扶養義務だと答えて、しかしそんなに幅広にはしませんと言ったところで、条文上扶養義務者としているんだったら、掛かる可能性があるんですよ。問題なのは、まずその人に行くかどうか。まず子供から行くでしょう、親に行くでしょう。でも、三親等内の親族に行く可能性が条文上あるということなんですよ。だって、法律が全てじゃないですか。だったら、それは駄目ですよ。
 じゃ、もう一つの質問に答えてください。
 通知が行くわけでしょう。何のために通知を出すか。あなたは扶養義務者です、あなたについてお聞きします、扶養義務者だったらあなたは扶養することはできませんか、幾らだったら扶養できますか、そんな通知を出す。あるいは、この報告にあなたの収入からいうとこれだけありますが、あなたは払えませんか、そういう形になるんじゃないですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 まず、今おっしゃったあなたはこの人を養えませんか云々というのは、今、扶養照会という形で、保護の申請があった場合に扶養義務者の方にそういう照会を実際に今掛けているんですね。それについて、さっき申し上げたように、親子とか兄弟姉妹についてそういうお尋ねをしているということはございます。
 今回の扶養義務の通知に関しては、これは、その後扶養義務者に対して報告を求めたりあるいは費用請求をする可能性があるので、あなたの扶養義務者である方が生活保護を受けることになりますということをお知らせをするというのがこの通知の趣旨でございます。
 念のために申し上げますが、極めて限定的な範囲の方に通知をするということを考えているところでございます。

 福島みずほ君
 違いますよ。条文上は「保護の開始の決定をしようとするときは、」だから、これから生活保護の申請をするかどうか、まだ決まりましたという通知ではないんですよ。条文上は「保護の開始の決定をしようとするときは、」と書いてあるわけだから、まだ決定していないんですよ。あなたの扶養義務者が生活保護の決定を受けましたという通知ではないんです。
 あなたの娘である福島みずほが生活保護に申請をしています、あなたは扶養義務者ですので通知をしますという通知をするんですか。でも、こんなのだったら誰も行かないですよ。だって、みんなにばれるというか、関係が悪くなっている家族関係において、こんな通知をされたら恥ずかしくて故郷に帰れないとか、それから、あんた何やっているんだと怒られるかもしれないし、若しくは、断絶している、それだけで勘当になるかもしれないんですよ。それだったら窓口に行かないですよ。
 何のためにこんな通知するんですか

 副大臣(桝屋敬悟君)
 先ほどからの議論でありますが、委員、まずは、今回の生活保護の見直しに当たりましては、生活保護制度の見直し、これは、多くの国民の皆さんの生活保護制度に対する信頼を維持しなきゃならぬということが第一点。
 そんな中で、今までも、委員も御理解いただいたと思いますが、現在までも、生活保護の申請をお受けすれば、受理をしたら、当然ながら民法上の扶養義務がある方については、これは扶養義務を果たしていただける、支援をしていただける方があれば、当然保護の支給に、その前提として支援をしていただく、これは当たり前でありまして、したがって、生活保護の申請が出れば、御本人からまず、扶養義務者の扶養ということが期待できますかということはまず相談の段階できちっと御本人から説明を受けて、その中で福祉事務所の判断で親子、兄弟姉妹ぐらいまでまずは扶養照会を今までもしているわけであります。
 今回の二十四条八項の規定については、やはり様々な厳しい国民の声もあるわけでありますから、家庭裁判所を活用した費用徴収ということもあり得るということで、御本人さん、申請者との協議の中で、ここは福祉事務所の判断として扶養をお願いしなきゃいかぬ、家庭裁判所を活用した費用徴収ということも想定し得るなという、ごく限られた事例だと思いますが、そういう方については事前にお知らせするということはあってしかるべきだろう、また、そうしなきゃならぬだろうという内容でございます。

 福島みずほ君
 いや、違うんですよ。今までは、実際、めいに月二千円送れませんかと事実上福祉事務所が聞くことはあったけれども、この法案が大問題なのは、条文上しっかりと「通知しなければならない。」というふうに、原則通知なんですよ。ごく例外的な場合に限りますと言われても、そんなの分からないわけですよ。また、あるいはAという人が福祉事務所に行けば、民法上の扶養義務者に対して通知が行く可能性があると思った
だけで人は行かないですよ。自分の三親等内の親族まで通知が行くかもしれないと思ったら、恥ずかしかったり、嫌だし、それからトラブルが起きるかもしれないから、結局こういうふうな規定を置くことが水際作戦なんですよ、生活保護の申請に行けなくなっちゃうんですよ。
 今までは、扶養は生活保護の要件ではないと御存じ、されてきました。しかし、生活保護を受ける前に扶養義務者に通知をしなければならない、条文では通知しなければならないとなっているわけですから、実際は扶養が生活保護の要件となっちゃうんですよ。しかも、これ報告を求めることができるとなっている。だって、条文変えるのはその意味があるわけでしょう。副大臣、いみじくもおっしゃったじゃないですか、国民の厳しい声があると。結局、これで家族の扶養義務を強調する、申し訳ないが、自民党の新憲法草案、家族が互いに助け合わなければならない、二十四条一項かと思いますよ。家族の扶養義務の強化ですよ。
 生活保護を受ける前に、扶養義務者よ尽くせという、そういう法案じゃないですか。

 じゃ、次に、いろんな、まあ水際作戦で、じゃ、そうしたらですね、今朝の東京新聞、生活保護を不当停止、平塚市の例で、ケースワーカーが働く意思ないとして生活保護を停止した四十代男性、栄養失調で搬送、強まる早期就労指導、まさに今回の法律を先取りしたような、現実にこういうことが起きているんですよ。どうですか、大臣。

 国務大臣(田村憲久君)
 まず、先ほどの件ですけれども、誤解があれば私ども御説明をさせていただかなければならないと思うんですが、要は、通知も含めて、全体として扶養ができる、つまり所得能力もある、それでいて人間関係もちゃんと要保護者とできている、そういう方がいる場合にはそこにはそういうような通知をしていくという話でありまして、それはもうごく当たり前の話であろうと私どもは思っております。御本人が、そもそも人間関係もできていないと、もう既に家族関係は壊れている、どうしても知られるといろんな問題が起こる、それはドメスティック・バイオレンスもあるんでありましょう、そういう場合に関してはそのようなことはしないわけでございますから、そこは一点誤解があるとすれば、どうか御理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、この平塚の件でありますけれども、これはいみじくも今委員がおっしゃられましたけれども、決して、現在法改正やっているものが、まだ通っているわけでもないわけでございまして、その中においてこのようなことが起こったというのであるならば、事実関係をしっかり確認した上でこれに対して我々はまた自治体に対して指導していかなければならぬというふうに思っておりますけれども、我々は決してこのような案件を起こすためにやっておるというわけではないわけでございまして、そこはしっかりと生活保護制度の中において、それぞれ必要なものは受けていただきながら、一方で自立ができる方々に関しましては、
しっかりと訓練を受けていただいて自立に向かって頑張っていただくということでございますので、何らこの問題と我々のこの今回出しております法改正案が関連性があるという話ではないというふうに思います。

 福島みずほ君
 いや、しかし、実は先取りしているんじゃないでしょうか。
 つまり、この人は、ケースワーカーは働く意欲ないとして生活保護を停止してしまった、早期就労をしろと言っていても、いろんな事情から働けなかったようですが、栄養失調で搬送されて、これについて平塚市が謝罪をしました。実際、働けというか、働けるのに働かない。今回の法律改正案がまだ成立していないにもかかわらず、実は先取りしているんではないか。
 それと、大臣、DVのときに夫に言ってくれるなというのはもちろんそうなんです。しかし、私は、日本人の家族というものに関して、知られたら、要するにその条文を見ただけで震え上がっちゃうというか、扶養義務者に通知しなければならないとなっていたら、自分が生活保護の申請をしたら、恐らく申請が出る前にいろんなところに通知が行く可能性があると思っただけで人はやっぱり嫌で行かないですよ。という想像力を是非持ってほしいということなんです。
 次に、身体障害者の自立生活運動は、昨日、障害者差別解消法が成立をして非常にうれしいですが、身体障害者の自立生活運動は、親族の反対を押し切り、生活保護を使う形で施設から出て地域での自立生活を獲得してきたという歴史があります。扶養義務の強化は、障害者を施設や家庭に押し戻すことになるのではないかという強い危惧感を持つ当事者も多いです。
 特に、仮に扶養義務者に収入、資産があったとしても、当事者の関係性から扶養を望まない場合には当事者の意思が尊重されるべきだと考えますが、いかがですか。

 国務大臣(田村憲久君)
 先ほど来申し上げておりますとおり、扶養義務者であったとしても、法律上の、実際問題、人間関係が壊れていて、そもそももう扶養に至らないというような場合に関しては、それは当然、これ実際問題、扶養が生活保護を受ける要件ではございませんから、生活保護は受けられるわけであります。
 我々が言っておりますのは、人間関係もしっかりできている、しかも、しっかりと扶養できるだけの所得もある、そういう場合に関しては、それは扶養義務があるわけでございますから、一義的にやはり扶養をしていただくということがあり得るわけでありますが、人間関係がそもそも壊れている場合に関しましては、それは扶養ができないわけでございますので、そのような意味からしたら、それは対象にならないという話になると思います

 福島みずほ君
 障害者の自立運動は、親元で暮らせというのじゃなくて、地域で生きようという運動だったわけですよね。ですから、親子関係がもうずたずたに壊れていなくても、やっぱり家族の扶養義務を強調をするということが自立を阻んでいくんじゃないかという懸念もあるので、そこは是非考えていただきたいと思います。
 ちょっとまた、扶養義務の履行のことにちょっと戻りますが、扶養義務履行の打診は生活保護受給の開始前、開始時のみならず、定期的に扶養義務者に行われ得るんでしょうか

 政府参考人(村木厚子君)
 扶養照会でございますが、これは保護開始時のみならず、定期的に年一回程度確認をするということが今の実務では一般的に行われているところでございます。今の実務で一般的に年一回程度の確認ということです。もちろん、これ全部にではなくて、先ほどから申し上げているように、親子とか兄弟姉妹という非常に近い関係の方に対して行われているというのが現状でございます。

 福島みずほ君
 だんだんそれが厳しくなるんではないかと。
 さっきのもう一つ、もう一回確認を取りたくて、私自身は、通知をするときに、あなたは扶養できませんか、幾ら可能ですかというのをその通知と一緒に聞くんではないか、あるいは、収入について報告を求めることができるという二十八条二項の規定によって、あなたにはこれだけ収入があるんだったらやってもらえませんかという、そういう通知を、いついつまでに回答してくれというのを出すんじゃないかとちょっと思っているんですが、そういうことはしないということでよろしいですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 この規定でございますが、今予定をしている通知内容は、保護決定する者の氏名や決定予定日等を考えているところでございます。

 福島みずほ君
 これは二十八条の調査や資料の提供、二十九条があるので、ちょっとお聞きをいたします。これは先日成立したマイナンバー、共通番号制、福祉事務所の調査権限の拡大について、親族や本人やいろんな人の資産を調査するのに共通番号制を使用するという予定はありますか。
 
 副大臣(桝屋敬悟君)
 たくさんの質問をいただいて。
 先般成立しましたマイナンバー制度でありますけれども、この社会保障・税番号の制度の導入によりまして、保護の決定等に必要な情報については、紙ベースでの照会から、オンラインを活用してより効率的、効果的に調査することが可能ではないかと考えております。また、このことは申請から決定までの期間の短縮、あるいはケースワーカーの負担軽減等にもつながるのではないかと考えております。
 生活保護法改正案により、福祉事務所の求めに応じ官公署が回答することになっております情報につきましては、基本的に番号制度を利用して情報提供できるような必要な法改正を行っているところでございます。

 福島みずほ君
 いや、社民党は共通番号制に反対だったんですね。それは、あなた、とても困っているでしょうから国がお助けしますということではなく、今みたいに、このおじさんは収入が幾ら、この人は資産が幾ら、この人は幾ら株を持っている、この人は、全部その人の三親等の親族、関係が悪くなければ、だって分かるわけじゃないですか、預貯金が幾らあるか。つまり、扶養義務の強調になる。
 あるいは、これは本人の資産評価についてもマイナンバー制を使う、それは両方使うという御回答でよろしいんですよね

 政府参考人(村木厚子君)
 御本人のいろいろな調査については、このマイナンバーを活用をしたいというふうに考えております。
 扶養義務者についてどうするかということについては、これは本人は保護を受けるときの要件ですが、扶養義務者についてはこれは要件ではなくて優先するだけということで、そこで少し法律的な差がありますので、これは実際にどういう情報をこの制度で取るかということは今後詳細を詰めることになっておりますので、扶養義務者についてはこの制度を使わないということも考えているところでございます

 福島みずほ君
 使わないこともあり得るということですが、調査する資料の提供等、官公庁に求めるとあるんですよ。今日の答弁で、やっぱり思っていたとおりというか、やはり生活保護を申請しようとする人に対してマイナンバーというか共通番号制使ってその人の資産を洗うと、場合によっては、今のところは念頭に置いていないが、扶養義務者についても使うと、ということですよね。
 すると、将来、多分こういうことが起きると思うんです。扶養義務者、三親等の親族はすぐ分かりますから、マイナンバー掛けて、その人が一体幾ら資産を持って、幾ら収入があって、できるかどうか。関係が極端に悪くない以外はその人に対して通知が行って、誰々さんが生活保護の申請しましたとなって、その共通番号制がまさに生活保護を受けさせない、受けさせないというと悪いですが、削減する方向で使われるというふうに思います。今日の答弁でマイナンバーを使うということの答弁があったので、私はマイナンバーがいいことに使われるより削減の方に使われるなと実は思っていましたが、案の定というか、と思った次第です。
 次に、例えば、ちょっと稼働可能な人に対して、保護開始三か月から六か月段階で、本人の意思を尊重しつつ、これ私の質問は十七番ですが、先ほどたくさんとおっしゃったので、低額であっても一旦就労を基本的考えにするとしておりますが、労働基準法以下、最低賃金以下でも働くということになるんでしょうか。これは福祉に名を借りた国家による強制労働になりかねないのではないかという点はいかがでしょうか。

 国務大臣(田村憲久君)
 まず重ねて委員申し上げますけれども、扶養義務のある方は、要は、もちろん所得を一定程度持っていただいているということは前提でありますけれども、やはり人間関係ちゃんとできている方じゃないとそれはそもそも無理な話でございまして、今までの話の前提は、例えばマイナンバー、これは使うかどうか分かりませんけれども、お金があれば必ずそこに、三親等だからあなた扶養してくださいよという話じゃないんです。あくまでも、家事審判等々掛けてでもしっかりと責任を負っていただこうという方が対象であるということは御理解をいただきたいと、何でもいいから三親等ということではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
 その上で今のお話でありますけれども、当然これ、言っておるところは、例えば一日八時間でなくても、たとえ二時間でも三時間でも、一週間五日でなくても、たとえ二日でも一日でも、とにかくまずは仕事をする、生活のリズムをつくっていただくこと、これが大事でございますのでこのような考え方を今盛り込ませていただいておるということでございまして、当然それは就労でございますから最低賃金以下ということはあり得ないわけでございますので、ここで言っておる部分というのはそのように御理解をいただければよろしいかというふうに思います。

 福島みずほ君
 私は、通常であれば、親子関係でも兄弟姉妹でも、人間関係が良ければとっくの昔にお金借りたり手伝ってもらうということはあり得ているんですよ。でも、生活保護の窓口に来ざるを得ないというのはやっぱり事情がある。そこでお金を送ってくれと言えない関係があるから、助けてくれと言えない関係、しかも今はやっぱり家族関係も希薄なところもありますから、だから来るわけじゃないですか。
 日本の扶養義務は、直系血族及び兄弟姉妹は扶養する義務があると規定しています。しかし、例えば成人に達した兄弟姉妹は、それぞれ家計を持ち、別の世帯を持ち、別々に生きているから、お兄ちゃんを養え、弟を養え、妹を養えという、そういう関係にはないわけですよね、なかなか。幾らお兄ちゃんが失職したからといって、弟の家族が月、お金出せと言われても、それはなかなか難しいと。
 ですから、扶養義務どおりにはとてもいかないし、それから関係が、何というか、通常お金をくれ、月幾らずつ送ってくれというのがなかなか言えない関係だからこそ、こじれていなくてもですよ、だからこそ、生活保護に最後のセーフティーネットで窓口にたどり着くわけじゃないですか。
 そこで、誰に養って、というか、少なくとも通知が、ちょっと今日はこれは水掛け論ですが、水際じゃなくて水掛け論になって済みませんが、でも、そこが、私が生活保護を受けに行けば三親等内の親族にも通知が行く可能性があるということそのものが、生活保護を受けようとするときに物すごくストッパーになっちゃうんですよ。行けなくなっちゃうということは、厚生労働省は是非これは理解してほしい、その想像力を持ってほしいと思います。
 ところで、国連の社会権規約委員会は、第五十会期に採択された日本の第三回定期報告書に関する総括所見で、番号四です、生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳を持って扱われることを確保するための措置をとるよう、締約国に対して求める、委員会はまた、生活保護に付きまとうスティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行うよう勧告すると勧告が出ました。これを政府としてどう受け止めますか。
 小野市などのようにパチンコやいろんなことをしている人については住民が通報せよという条例を作ったところもあり、生活保護を受けている人をみんなが町じゅうで監視するようなそんな危険性もあると思いますが、この社会権規約委員会の勧告を政府としてどう受け止めますか。

 国務大臣(田村憲久君)
 今の事例は、みんなで自立を助けるというような意味合いの中でやられておられるというふうにお聞きをいたしておりますが、今国連の社会権規約委員会から日本政府に、日本政府の報告に対して総括所見が出されているということで、中身は今委員がおっしゃられましたとおり、申請手続、これは生活保護関係でありますけれども、この簡素化、それから申請者が尊厳を持って扱われること、さらには生活保護に付随するスティグマを解消する目的で国民の教育を行うことと、このような御指摘をいただきました。
 御指摘の趣旨も踏まえつつ、この生活保護制度は最後のとりででございますので、適切に保護がなされるように努めてまいりたいというふうに思います。

 福島みずほ君
 社会権規約委員会からこのような勧告が出ているんですが、私は、今回の生活保護法がこの形で改正されると、やっぱり通知が行くとか、親族にも、扶養義務者に調査が行くとか、あるいは自分に対してマイナンバーが使われるとか、やっぱり生活保護を受けることをちゅうちょする方向に行くと思っていて、生活保護を受けることはやはり三親等内の親族にまで通知が行って仕方ないことだと、これはやっぱりスティグマを
発生させるというふうに思っているんですね。
 というのは、諸外国はそんなに扶養義務が広くないですし、もちろんその扶養義務をそんなに優先させていないですから、日本が、扶養義務がやっぱり優先させている。そして、少なくとも扶養は生活保護の要件としないというのが今までの建前であったのに、実際は通知することから始まって要件と実質的になってしまうんじゃないかというふうに思っているんです。
 それで、最後に、自殺の白書がつい最近出ました。私は、これを見てとてもショックを受けたのは、厚労省の一一年の調査によると、二十代の死因のうち約四七%が自殺だったと。就職の失敗による自殺が、警察庁によると、二〇〇七年の六十人に対し、一二年は百四十九人に増加をしている。
 それから、これは仕事上の原因で亡くなっているという人も二十代、とても多いんですね。ブラック企業などがよく委員会で私も質問しておりますが、この二十代の死因のうち半数近く、四七%が自殺、そして生活保護がこういう形で親に連絡が行きますよという感じでやると、生活保護の窓口に行かずに、やっぱり最後のセーフティーネットが発揮されることなく死に追いやられる人が若い人で増えるのではないか。
 故郷のお父さん、お母さんのところに、あなたのところの息子さんは生活保護の申請しましたって行くのは嫌だなとやっぱり思ったら、生活保護の窓口に行かない。最低のセーフティーネットのところまで行き着かない。
 今、二十代の死因のうち四七%が自殺、これは雇用の問題もあると思いますが、最後のセーフティーネットはしっかり張るべきだと、扶養義務を優先するのはやめてくれと思いますが、大臣、いかがですか

 委員長(武内則男君)
 質問時間が来ていますので、簡潔にお答えください

 国務大臣(田村憲久君)
 本当に、二十代の自殺が増えておるということはゆゆしき問題でございまして、本当に痛ましい話だというふうに思います。
 やはり雇用という問題が非常に重くのしかかってきておるのは事実でございまして、卒業したけれども就職できないという中で、就職活動の中でいろいろと打ちのめされてそのまま死を選ぶというような若者がおられるとするならば、これは大きな問題でございますので、あの新卒応援ハローワーク等々、しっかりと若い人たちが未来に希望を持って社会で活躍し、そのような選択をしなくてもいいような、そんな社会をつくるように努力してまいりたいというふうに思います。

 福島みずほ君
 終わります。
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子どもの貧困対策推進法の議事録

 福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 子どもの貧困対策法、これは超党派で取り組み、また何度も何度もNGOの皆さんの議員会館の中での集会があり、外での集会があり、またデモなどもやり、ここにまとめ上げられたことに対して、当事者の皆さんやそれから国会議員の皆さん、各政党に心から敬意を表します。
 子供とは何歳から何歳までを指すのでしょうか。

 衆議院議員(薗浦健太郎君)
 先生にも各種集会等々に御出席をいただきまして、心から感謝を申し上げます。
 この法律における子供という意味では定義をしておりません。これは、先ほど来ありますように、私どもは、例えば大学に通う子供たちへの奨学金を何とかしたいとか、そういう意味でいろんな施策をやりたいと思っていますので、一律に十八歳とか二十歳とか打ってしまうとそこを超えている人たちへの支援を否定してしまうことになるという趣旨で、あえて年齢制限は設けておりませんので、御理解を賜りたいと存じます。

 福島みずほ君 
 ありがとうございます。
 子供の貧困率が今一三・七、一人親世帯の子供の貧困率は五八・七、諸外国に比べても極端に高いんですね。これを下げていくことが必要だと。
 提案者としては、いつごろ、どの程度下げるべきだと思います、山井さん。

 衆議院議員(山井和則君)
 例えば、今回の法案では、子供の貧困率や生活保護家庭の子供の高校進学率の改善を目指す施策を講ずるということになっております。
 具体的に言いますと、子供の貧困率は三年に一度しか発表されませんが、次は来年の夏になります。しかし、この来年の夏の数値には、今回の法施行後、大綱というのは間に合いませんから、そういう意味では、この法律が成立して、法が施行された後の初めて出てくる子供の貧困率、一人親世帯の子供の貧困率は四年後の夏になります。そういうふうに、また、それまでには生活保護家庭の子供たちの高校進学率も出てきますので、この法案の中でそれらの改善を目指す施策を講じるとなっている以上は、そのときにきっちり改善されているかどうか、この法律が作ってきっちりと実効性があるかどうか検証することができると考えております。
 
 福島みずほ君
 先ほども、この法律の施行を今年中にしたい、あるいは大綱も入れれば来年度、今年度中にという意見があるんですが、大綱がまだできていなくても来年度の予算に是非反映をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 衆議院議員(薗浦健太郎君)
 当然、例えば今年の四月から始まっている政策もいろいろありますし、可能なものは既に関係する役所の方々に十分に配慮してくれということを申し上げておりますので、配慮していただけるものだというふうに思っております。

 福島みずほ君
 子供の貧困対策は待ったなしということは間違いないですが、先行して決まった生活保護の生活扶助費削減は、都市部の子供のいる世帯で下げ幅が最も大きく、厳しい経済状況に暮らす子供たちの貧困を拡大することになるというふうに思います。
 子どもの貧困対策法には賛成なんですが、他方、生活保護を下げればその対象の子供たちが苦しくなるわけで、一方で頭をなぜて一方でひっぱたいているようなブラックジョークのようにも思うんですが、この影響は大きいと思いますが、いかがですか。

 国務大臣(田村憲久君)
 生活扶助の適正化ということでございますが、子供に対象にしたわけではありませんでして、地域性、それから年齢、さらには世帯の人数、これに合わせて適正化をする。もちろん物価分があるわけでありますけれども。でありますので、決してお子さんが多いからというよりかは、多人数世帯では比較すると今般適正化の率が高いという話になってくるんだと思います。
 一方で、学習支援でありますとか、様々なお子さん方に対する対応もしておるわけでございまして、もっとも教育扶助に関しましてはこれは適正化していないわけでございますから、そのような意味でいきますと、教育に対して引下げをしておるわけではないということもございます。
 あわせて、例えば勤めになられる場合に、例えばホームヘルパーさん、資格等々を取る場合なんかでありますけれども、そういう場合に関しましては、企業等々がそういうものに対して必要性を認めた場合に関しましてはそれに対する一定の補助が出るというような形にもしてあるわけでございますし、あわせて、大学を目指すというようなお子様方に関しましては、今までは貯金等々、そういって積み立てられなかったわけでありますけれども、その大学に行くような道もしっかりと開く中におきまして、子供の貧困というものが連鎖しないように対応もしておるわけでございまして、生活保護の生活扶助の適正化の部分とそれから子供さん方に対するいろんな支援の部分と、これは分けて考えておりますので、御理解をいただければ有り難いというふうに思います。

 福島みずほ君
 ただ、今回、一人親家庭のとにかく母子家庭の都会に住んでいる人が非常に打撃を受けるので、やはり子供の貧困という観点から見ると反しているというふうに思います。
 ところで、関係閣僚で貧困対策に関する閣議を設置するわけですが、この法律の所管官庁はどこになるんでしょうか。

 副大臣(伊達忠一君)
 所管はどこかということでございますが、子どもの貧困対策会議については、法案第十五条にあるとおり、内閣府に設置することが予定されております。
 本法律の施行に際しては、法案上明示されている内閣府、文部科学省、厚生労働省が中心になるものと考えております。

 福島みずほ君
 大綱の策定に当たっては当事者や支援者の意見を聞くべきだという、先ほどもありましたが、その点もよろしいですね。

 副大臣(伊達忠一君)
 これは先ほどもお答えしてございますが、衆議院での附帯決議を踏まえて、大綱を作成するに際しては、有識者や貧困状況にある世帯に属する者、そして今先生から御指摘ありました支援団体等の関係者の方々の意見をしっかりと聞いた上で進めていくことが必要だと考えております。
 具体的な検討に、在り方については法の成立後に検討してまいりたいと、こう思っております。

 福島みずほ君
 大綱に何を盛り込むかというのも随分議論になっています。子供の貧困率、生活保護世帯に属する子供の高等学校等進学率のほかにどのような指標を盛り込む予定でしょうか。厚労大臣。

 国務大臣(田村憲久君)
 子供の貧困に関する指標でありますけれども、これは、貧困対策の内容についてはこれから大綱の中で定めることというふうになっております。
 様々な指標が例えばあると思います。例えば、一人親世帯等の相対的貧困率、それから児童養護施設等の高校進学率、大学進学率、さらに一人親の就業状況、一人親の年間収入等々いろいろあるわけでございますが、いずれにいたしましても、大綱でこれから細部を詰めてくるということになろうと思いますので、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 福島みずほ君
 今、一人親の相対的貧困率というのが出ましたが、次のような指標も必要ではないか。例えば子供の貧困率について、世帯類型別、保護者の年齢階級別、保護者の就労の有無別、再分配前と後の貧困率など実態をとらえることのできる指標、あるいは児童養護施設等の社会的養護の施設で暮らす子供の保護者の所得階層、児童相談所に一時保護された子供の保護者の所得階層、児童養護施設等の社会的養護の施設で暮らす子供の高校・大学進学率、子供のいる世帯に対する国民健康保険証の資格証明書交付世帯数など、いかがでしょうか。厚労省。

 国務大臣(田村憲久君)
 それぞれ子供の貧困というものを測る指数、指標として検討には値するものだというふうに思いますが、いずれにいたしましても、今たくさんおっしゃられたので、また後ほどお教えをいただければ有り難いわけでありますが、これからしっかりと議論をさせていただく中で、私一人じゃ決められませんので、あの会議の中でも議論をさせていただいて、大綱の中にもしっかりとそのようなものが盛り込めればというふうに思います。

 福島みずほ君 
 ほかにも、これは総務省マターですが、就業構造調査による子供を持つ親世代の労働者の正規・非正規労働者の年収や労働力調査による子育て世代の失業者数など、是非大綱の中に盛り込んでいただきたいと思います。
 それで、この第六条で、政府は措置を講じなければならないとしておりますが、文部科学省は具体的にどのような事業や施策の財政上の措置をとることを考えていらっしゃるんでしょうか。

 副大臣(谷川弥一君)
 要保護者に対する就学援助については、国は市町村に対して二分の一補助しており、平成二十五年度予算においては約八億円措置しています。準要保護者に対する就学援助については、市町村が単独で事業を実施しているものであり、平成二十五年度予算額は把握していませんが、平成二十三年度実績では約千二十億円となっております。

 福島みずほ君
 下村大臣は集会に来られて、自分があしなが基金第一号だったということなども話していらっしゃるんですね。
 給付型の高校生への奨学金あるいは大学生への奨学金の検討など是非頑張っていただきたいと思いますが、大臣は意欲を集会では示されていたんですが、いかがでしょうか。

 副大臣(谷川弥一君)
 そのように、大臣のおっしゃっているとおり頑張っていきたいと思っております。

 福島みずほ君
 力強い、今日も、子供は大学生まで入るとか、給付型の高校生の奨学金、大学生の奨学金の検討というのでもう力強い文科省の答弁があったので、是非、来年度予算にやはり子供たちを応援するという意味で付けてください。よろしくお願いします。
 子供の貧困といいますが、やはり親の貧困の問題があると思っています。例えば、二人に一人以上が貧困線未満という一人親世帯の深刻な実態がありますが、二〇〇二年の母子家庭等自立支援対策大綱の策定以来、福祉から就労へという方針の下、就労支援は強化してきておりますが、母子家庭の、とりわけ生別母子世帯は百七十五万円です。二〇〇二年改革に基づき、児童扶養手当について五年支給一部停止措置が導入されています。やっぱり誰が貧しいかというと、やっぱり母子家庭なんですね。だから子供も貧困になると。
 是非、この適用除外措置をとっているから影響はないとも言われていますが、当事者からは是非これは撤廃してほしいという声が大きいのですが、いかがでしょうか。

 国務大臣(田村憲久君)
 この児童扶養手当の一部支給停止の問題なんですけど、基本的に、障害、疾病等そういう就業が困難な状況になくて、そういうものがなくて、その上で働く意欲、就業意欲がないというような方に関しては、どうしてもこれはやはりこれ一部停止をせざるを得ないということでございまして、逆に言えば、障害や疾病がなくて就労意欲のある方に関してはこれは支給停止にならないわけでございますから、そのような意味では、真面目にという表現がいいのかどうか分かりませんけれども、お体が悪ければそれはもう致し方がないわけでございますけれども、健康な方で真面目に働く意欲のある方に関してはそういうふうになっていないということでございますから、ここは御理解をいただきたいというふうに思います。

 福島みずほ君
 子どもの貧困対策法の後は女性の貧困対策法を作りたいと思うぐらいとりわけ母子家庭の年収はとても極端に低いわけで、これはさっきも川田委員からもありましたが、日本は八四%ぐらいですか、実は母子家庭働いているんですね。世界の中でも類を見ないくらい物すごく働いているんだけれども、残念ながら低賃金であると。その中でやっぱり児童扶養手当が命綱であるという面もあるので、是非それは再考していただきたいと思います。
 働く貧困層の労働問題について、是非最低賃金の引上げなどをやっていただきたいですが、一言、厚労大臣の決意をお願いします。

 国務大臣(田村憲久君)
 最低賃金は、先ほども御答弁させていただきましたけれども、中央最低賃金審議会に私も今年は参加させていただく中において、労使に御協力をいただきながら最低賃金の引上げについてお願いをさせていただきたいというふうに思っております。
 もちろん、その前提は、我々政府といたしまして最低賃金が引き上げられるようなそういう経済環境をつくるという責任があるわけでありまして、そこはしっかり果たしていかなきゃならぬと思っておりますけれども、私の方からもお願いをさせていただきたいというふうに思っております。

 福島みずほ君
 女性の正社員の平均月額の給料が史上最高二十三万三千百円ですか、やっぱり低いですね。非正規雇用の皆さんたちはもっと、女性は低いんですよね。社民党は中小企業に配慮しながら時給千円以上というのを訴えておりますので、是非、子供の貧困そして子供の貧困解消のために、親の労働条件の向上、賃上げをよろしくお願いいたします。
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5月9日の厚生労働委員会議事録

 5月9日(木)
 この間、問題になっている、生活保護の生活扶助費削減について質問をしました。

 福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。政府は、今年の八月から生活扶助基準額を三年間で総額六百七十億円削減することを決めました。
 削減額は平均六・五%、最大一〇%、生活保護受給世帯の九六%が減額をされます。社会保障審議会生活保護基準部会の報告書の議論が反映されたのは九十億円、削減額の九割はデフレ論です。
 これについて、質問主意書を二月十八日に出しました。お手元の資料にあると思いますが、厚労省は、物価が下落したので生活扶助費を引き下げると言います。しかし、二〇〇八年から二〇一一年にかけて食料品などは横ばいで、大幅に下落したのはビデオレコーダー、パソコン、ビデオカメラです。厚生労働省は、生活保護受給世帯がこのような電化製品を購入していると確認、把握しているんでしょうか。
 反貧困ネットワークあいち、生活保護問題対策全国会議の調査によれば、ビデオレコーダーは九〇%、パソコン九七%、ビデオカメラ九九%が購入したことがないと回答をしております。生活扶助相当CPIと言っていますが、でたらめじゃないですか。
 みんなが買わないものが下落していることを理由に生活費の削減、生活保護受給者の消費実態と全く懸け離れている、これを理由に、デフレ論を理由に削減することは許されないと考えますが、いかがですか。

 政府参考人(村木厚子君)
 お尋ねの生活保護受給世帯の電化製品の普及率でございますが、二十二年に調査がございまして、品目で申し上げますと、ビデオレコーダーが約七割、六五・一%、一般の低所得世帯が六八%に対して六五・一%、パソコンについては三六・一%、これに対する一般の低所得世帯の保有率は五九%というふうになっております。残念ながらビデオカメラについては、お尋ねの品目の中のビデオカメラについては数字がございません。

 福島みずほ君
 この件で、私が質問主意書を出したその答えには、生活保護受給世帯における家計支出の内訳を特定して考慮に入れることはしないと答弁をしています。しかし、生活保護受給者と一般の人では、買うものも違うかもしれませんし生活実態も違います。
 生活扶助相当CPIの計算に用いた一般家庭のウエイトと社会保障生計調査を比較すれば、この社会保障生計調査、毎年、千百世帯の生活保護受給世帯から家計簿を入手して比較すると。なぜ、そういう生活保護受給世帯の家計の実態を反映してというふうにしてないんでしょうか。

 政府参考人(村木厚子君)
 まず、生活扶助基準を決めるときというのは、一般世帯の消費実態がどうなのか、それを比較の対象にしながら、じゃ、生活扶助基準はどうあるべきかという議論をいたしております。そういう意味では、生活保護世帯の消費を元に生活保護世帯の扶助基準を決めるということはなかなか適当ではないというか、難しいというふうに思っております。
 それから、お尋ねの生活保障生計調査でございますが、これは生活保護世帯、世帯人員や居住地域など多岐にわたっております。そういう生活保護世帯のおおむねの消費傾向を把握をするというために実施をしております。したがいまして、調査対象の選定、サンプリングをするに当たっては、例えば都市部にたくさん住んでいるとか高齢者が多いとか単身世帯が多いといった、こういう生活保護世帯全体の特徴を反映した形でのサンプリングが行われておりません。その結果、生活保護世帯全体の消費動向を示すという統計調査としては用いることができないということで、この調査をもって生活扶助基準の見直しのベースにするということは難しいというふうに考えております。

 福島みずほ君
 デフレ論で九割引き下げるわけですよね。生活保護受給世帯をやはりきちっと丁寧にフォローして、どういうふうに問題が起きるのかということをきちっとやるべきであって、生活保護受給者の消費の在り方を全然見ないで今回決めたという、これは大問題だと思います。
いかがでしょうか。大臣、どうですか。

 国務大臣(田村憲久君)
 これは今、村木局長からも話があったんですが、生活保護世帯も、世帯構成、年齢、住んでいる地域によって消費の実態は全然違うんですよね。ですから、それぞれのところに合わせてばらばらの基準作って、それで生活扶助を上げたり下げたりというようなことはこれは実態できないわけでありますから、そういう意味ではやっぱり何かの一つの指標を使うというのが考え方であります。
 その中で、消費者物価指数の中から実際問題生活扶助の中でしか買えないもの、つまりそれ以外のものは除いたものの中において今回の数字を出してきたわけでございまして、申し上げれば、年金やいろんなものも同じようにいろんな世帯があると思いますけれども、しかしCPIを使って増減するというルールになっておるわけでございますから、同じような考え方の下におきまして、今回の生活扶助に関しましても適正化をさせていただくということでございます。

 福島みずほ君
 今回の生活保護の引下げが九割デフレ論も理由にしているので、その実態もやはりきちっと生活保護受給者の実態がどうかということでやるべきだと思います。
 二〇〇八年は一番物価が高いときなんですよね。
 ですから、なぜそれでやるのか。今回の下げ幅はこれまでに例を見ない大幅なものなので、基準決定方式の抜本的変更ではないか、社会保障審議会本体での議論、なぜこれを行わなかったんでしょうか。

 政府参考人(村木厚子君)
 今回の基準の見直しは年齢階級、世帯人員、級地別に基準額と消費実態の乖離について基準部会で検討をいただいたものでございます。
 基準部会は、生活保護基準の定期的な評価、検証について審議をする専門の部会として社会保障審議会において設置を承認をされたもので、この部分の担当は生活保護基準部会ということで任されているものというふうに考えております。

 福島みずほ君
 違いますよ。生活保護基準部会の報告書の議論が反映されたのは九十億円で、あとデフレ論が削減額の九割は付け加えたものなんです。
 そして、生活保護受給者の生活実態を、それはやっていないというふうに言っているわけで、こういうやり方でこれほど下げていいのかということなんです。生活保護の扶助基準を下げれば、あといろんなものにも反映するので、これはナショナルミニマムの大幅な削減なわけですから、きちっと全体の社会保障審議会本体などできちっと議論すべきだというふうに考えます。
 アベノミクスで物価上げるって言っているわけですよね。デフレ論で九割下げるというのは幾ら何でも乱暴だと思います。生活扶助基準額の見直しの具体例で、引下げの影響は子育て世帯を直撃をいたします。例えば、夫婦と子供二人の世帯は二十二・二万円から二十・二万円で二万円減少すると。なぜ子供のいる世帯の下げ幅が大きくなっているんでしょうか

 国務大臣(田村憲久君)
 今回の見直しの一つの考え方、基本的な考え方というのは、要は他の低所得世帯と比べてどうなんだというような公平感のところがございました。
 そこで、比べてみますと、第一・十分位というところでありますけれども、やはり世帯数の多いところ、これは生活保護とかなり乖離があるということで、それにやはり合わせていかなければ公平感ということは保てないであろうと。ですから、多世帯のところに比較的多く削減幅が出たと、それから都会中心にやはり削減幅が出たというような形になっております。
 なお、そうはいいましても、一〇%を上限にいたしましたのは、それ以上実は乖離したところがあったんですけれども、それはさすがにそこまでということは広いであろうということで一〇%を上限にしたのと、もう一方はいきなりというのは確かに問題あります。今委員おっしゃられましたとおり、物価が上がっていく可能性もあるわけでございますから、三年間にわたって三段階でこれを引き下げる。その間に当然物価が上がって民間の消費支出が増えれば、また見直しでこの基準というものを引き上げることもあるわけでございますから、そういうことを勘案して、三年間にわたって今回の適正化を果たさせていただくということでございます。

 福島みずほ君
 結局、高齢者は老齢加算年金なくしたりしたので、結局今回直撃するのは子育て世代、子供のいる世帯なんですね、今大臣おっしゃったとおり。でも、子供の貧困ということがこれだけ問題になっているときに、やはり子供の世帯がやはりこれだけ直撃するというのは本当に問題だというふうに思います。子供の貧困の連鎖がこれで拡大するんじゃないか。これから三年間掛けて見直すといいますが、これから三年間の間に何が起きるか。物価が上がって、消費税が八%になるわけですよね、その後一〇%、上がるのに生活保護の基準だけ下がるというとんでもないことが起きるんではないかというふうに思います。
 生活扶助以外の扶助の基準引下げについては、基準部会でも行われておりません。大臣は、生活扶助だけでなく医療扶助や教育扶助なども合わせた生活扶助全体として見れば削減率は約二・三%で、二〇〇八年から二〇一一年にかけての通常のCPI下落率、二・三五と同じになるというふうに答弁をされていますが、生活扶助以外の扶助の基準引下げについては基準部会でも行われておりません。他の扶助を持ち出して二・三%という説明をするのはおかしいと思いますが、いかがですか。

 国務大臣(田村憲久君)
 まず、物価が上がったりだとか消費税が上がって、当然消費の支出が、民間の消費支出が増えますから、そうなってきたときには毎年度の見直しの中でそれを勘案して扶助基準が見直されるということでございますから、全く下がっていくままということではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。
 それから、今の二・三%の話なんですけれども、一般の消費者物価指数というのは、これは、全て医療から何から全部入っているわけですね。それで合わせて何%だ、二・三幾つという数字が出てきているわけであります。
 しかし、今回の生活扶助は、そもそも住宅扶助でありますとか、教育扶助でありますとか、もちろん医療扶助もあります、そういうものは抜かれているわけでありますから、全体のものじゃない中においてこの数字が出てきたと。
 じゃ、全体を入れればどうなるのかということを考えれば、生活保護の全体の支出、二・九兆円ですね、国費ベースで。この中から今回三年掛けて削減するのが六百七十億円ですから、ちょうど比率が二・三%。つまり、全ての生活で見ると二・三%。これは恣意的にやったわけではありません。削減を適正化をしたら、そうしたら結果的
に大体二・三%、消費者物価指数ベースといいますか、そういう形で見れば二・三%であったということでございますので、後から検証する中において、まあ適切な数字であったのかなというような感想を持たせていただく数字であったという、そのような報告をさせていただいたわけであります

 福島みずほ君
 生活保護の基準の引下げについては、やっぱりもっと丁寧にきちっとやるべきであると、きちっと生活保護受給者のデータを調査して、本当にこれに耐え得るのかということをしていない点で、これは凍結すべきだというふうに考えます。
 
 女性手帳の問題についてお聞きをします。
 命と女性の手帳の作成、配付等ということで、妊娠、出産に関する知識の普及、教育ということを今、少子化タスクフォースで打ち出しております。しかし、これ、何で女性だけなのかということと、避妊とかもちゃんと教えるべきであると思うんですね。
 子供を産まない人、産めない人、ハンディキャップのある人、性的マイノリティー、いろんな人がある、いろんな生き方があるにもかかわらず、これ、精神的なプレッシャーや偏見、一歩間違えると女は子供を産む機械、卵子が新鮮なうちに子供を産めというようなことになりかねないんじゃないか。
 厚労省がやるべき、政府がやるべきことは、待機児童の解消であり、雇用の、労働の場の、変えることじゃないですか。何で成人式や企業就職時などにこんなものをもらわなくちゃいけないのか、さっぱり分からない。いかがですか。

 国務大臣(田村憲久君)
 子供を産み育てたいと思っておられる方々が安心して子供が産み育てられるような環境をつくる、これは大変重要なことだというふうに思っておりまして、そういう部分では我々厚生労働省も各省と協力をして進めてまいりたいというふうに思っています。
 一方で、加齢とともにやはり出産がしにくくなる、そしてまた、リスクがいろいろと増えるということも事実でございまして、そういうことを知らなかったというような声もいろいろあるわけでございますから、そういう部分に関しては我々としては情報提供をしていくということも重要でありますし、当然ライフプランを考えていただく上においてそのような知識を持っていただくことは大事であるというふうに思います。
 そのような意味からいたしまして、妊娠、出産、不妊等々、こういうものに対しても、言うなれば知識の啓蒙、普及というものはやっていかなきゃならないというふうに思っていますが、この女性手帳に関しましては我が省は所管外でございますので、ちょっと内閣府の方にお聞きをいただければ有り難いと思います。

 政府参考人(伊奈川秀和君)
 今先生の方から御指摘のございました手帳でございますけれども、これは、先日開かれました少子化危機突破タスクフォースにおいて、その中の妊娠・出産検討サブチームというのがございまして、そちらの方からの報告でございます。したがいまして、まだ、現時点において何か決まっているというわけではございませんけれども、そのサブチームの提言の、報告の趣旨といたしましては、今厚労大臣からございましたように、基礎的な知識ということを伝えていくということが非常に重要ではないかと、そういった問題意識で出されたものと理解しております。
 また、内容あるいは対象でございますけれども、まず、こういった妊娠、出産だけではなくて、例えば人生設計とかあるいはライフプランニングと、そういった視点も重要ではないかといったような点、あるいは男性についても普及啓発が必要ではないかといったようなことが指摘をされております。
 今後タスクフォースにおいては取りまとめに向けて更に検討がされると思っておりますので、その中でどういう形になるか、今後検討されると思っております。

 福島みずほ君
 そのライフプランニングというのが分からないんですよ。十代の女の子は無限に可能性がある、あるいは働き続けることもできるよ、こういう生活もあるよというなら分かるんですが、妊娠、出産に向かって女性だけ命の手帳というのを配るというのは、やっぱりこれは国として上から目線、やり過ぎじゃないかと。しかも女性だけというのが分からない。相手がいなきゃ子供はできないわけですし、ライフスタイルを国家が節目節目に配るというのは行き過ぎではないか。あるいは学校の性教育やいろんなところでちゃんとやるべきだと思います

 委員長(武内則男君)
 時間が来ていますので、簡潔に答えてください

 政府参考人(伊奈川秀和君)
 はい。
 この手帳については、女性だけではなくて男性ということも検討課題となっております。また、妊娠、出産ということではなくて、いろいろなライフステージにおいて自分の人生を選択していくということで提言をいただいているものと理解しております

 福島みずほ君
 別に百歳になって結婚したっていいし、十六で結婚してもいいし、子供を持っても持たなくてもいいし、持てない人……

 委員長(武内則男君)
 時間が来ていますので、お願いします
 
 福島みずほ君
 はい。
 ですから、国がやるべきことかと思います。以上、終わります。
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