
「安保法制違憲訴訟・女の会」の裁判が東京地裁で行われ、意見陳述をしました。
陳述書を読んでください。
意見陳述書
2017年11月15日
原告番号87 福島瑞穂
1. 準備書面(7)は、安保関連法について、2014年7月1日閣議決定から強行採決に至るまでの国会審議の経過及び内容を示したものです。憲法の基本を解釈によってねじ曲げ、違憲立法を強行採決をした事は、立憲主義を踏みにじるものです。私は、国会議員として、憲法99条に基づく憲法尊重擁護義務を負うものとして、違憲立法は許さないという立場で粉骨砕身努力してきましたが、安保法制を可決成立させたことによって、この国民から負託された義務を果たすことができず、また私自身の国会議員としての権利を踏みにじられました。
2. 2014年7月1日の閣議決定と本件法制については、国会においても元内閣法制局長官が、これまでの政府解釈を全く異なるものに変えてしまうもので憲法違反・立憲主義違反を犯すと指摘し、元最高裁判事や憲法学者も口をそろえて違憲であることを指摘してきました。政府が説明に使った砂川判決も、集団的自衛権行使を容認する判断ではないことが明らかになりました。
3. また、立法事実もないことは誰の目からみても明らかでした。
集団的自衛権行使を認めなければならないという説得力は政府には皆無でした。唯一必要だといったホルムズ海峡の機雷除去さえ、総理は、最後には「想定していない」と言い、米韓防護における日本人母子も必要条件ではないことが明らかになりました。集団的自衛権等の武力行使を認める正当性や基準はあいまいで、国会など民主主義的コントロールも効かないことも暴露されました。このように、立法事実は、国会審議を通じて雲散霧消してしまったのですから、その時点でこの法案は直ちに廃案にすべきでした。そうでなければ、これまでの審議で取り上げられなかった重要な課題についてさらに質疑がなされるべきでした。
4. 参考人質疑は、衆議院で2回、参議院では1回のみです。公述人と参考人には女性は1人もいません。9月16には、衆参女性国会議員有志により女性の意見を参考人及び公述人として聞くよう参議院特別委員会鴻池委員長に手渡しましたが、それは、私たち国会議員は国民全体の代表として、平和憲法下における女性参政権の意義を重んじ、国民の負託に応えるべき責任があるからです。女性の声が十分に反映されていないという点で、国会の審議手続きには瑕疵がありました。
5. 安保関連法の審議手続きの違法は、まだあります。私自身も含めて国会議員の質問権、討論権、表決権が侵害され、不利益を受けました。9月15日、参議院安保関連法特別委員会で中央公聴会が開かれました。そして、9月16日に、横浜で地方公聴会が開かれました。そして9月17日、特別委員会の委員長の不信任動議が否決され、委員長が着席した途端、強行採決になりました。
地方公聴会の後は1秒も審議はされていません。これは、憲政史上初めてのことであり、公聴会を冒涜するものです。そして、公述人の意見が、審議に反映される事はありませんでした。地方公聴会は、派遣された委員のみで行っているので、その結果を委員会に報告する手続きは必須であるのに、その報告がないまま採決するという憲政史上初めての暴挙がまかり通りました。議事録も掲載されていません。2015年10月に発表された議事録は、末尾に、地方公聴会の議事録が[参照]として掲載されていますが、報告もされていない内容を議事録にあったものであるかのように掲載するのは、違法を取り繕うものとしか言えません。
また、与党は、この日2時間の総理への締めくくり総括質問をセットすると伝えてきており、安保特別委員会の委員である私は質問を用意して待ち構えていたのですが、その質問権が侵害されました。国民の負託を受けて質疑をする国会議員としての基本的な権利が侵害されたことで、私は大きな不利益を被り、さらに強行採決は、私の討論権と表決権も奪っていきました。
6. 第二次世界大戦中の日本人の300万人、アジアで2000万人以上といわれる犠牲者の上に、私たちは、日本国憲法を手にしました。そして、憲法9条は、戦争しない、加担もしないという戦後を築いてきたのです。
このように、立憲主義が踏みにじられ、その過ちが司法によって糾されなければ、人々は憲法も法も司法も信じません。私は、憲法は権力者を縛るものというごく普通の憲法学にしたがって、弁護士として、国会議員として活動してきましたが、これほどの憲法と法の支配の危機を経験させられることになるとは想像もしませんでした。違法な手続きに基づく違憲立法は正義によって修復されなければなりません。その責任は、まさに司法にも問われるものであることを指摘して私の意見陳述とします。
以上
陳述書を読んでください。
意見陳述書
2017年11月15日
原告番号87 福島瑞穂
1. 準備書面(7)は、安保関連法について、2014年7月1日閣議決定から強行採決に至るまでの国会審議の経過及び内容を示したものです。憲法の基本を解釈によってねじ曲げ、違憲立法を強行採決をした事は、立憲主義を踏みにじるものです。私は、国会議員として、憲法99条に基づく憲法尊重擁護義務を負うものとして、違憲立法は許さないという立場で粉骨砕身努力してきましたが、安保法制を可決成立させたことによって、この国民から負託された義務を果たすことができず、また私自身の国会議員としての権利を踏みにじられました。
2. 2014年7月1日の閣議決定と本件法制については、国会においても元内閣法制局長官が、これまでの政府解釈を全く異なるものに変えてしまうもので憲法違反・立憲主義違反を犯すと指摘し、元最高裁判事や憲法学者も口をそろえて違憲であることを指摘してきました。政府が説明に使った砂川判決も、集団的自衛権行使を容認する判断ではないことが明らかになりました。
3. また、立法事実もないことは誰の目からみても明らかでした。
集団的自衛権行使を認めなければならないという説得力は政府には皆無でした。唯一必要だといったホルムズ海峡の機雷除去さえ、総理は、最後には「想定していない」と言い、米韓防護における日本人母子も必要条件ではないことが明らかになりました。集団的自衛権等の武力行使を認める正当性や基準はあいまいで、国会など民主主義的コントロールも効かないことも暴露されました。このように、立法事実は、国会審議を通じて雲散霧消してしまったのですから、その時点でこの法案は直ちに廃案にすべきでした。そうでなければ、これまでの審議で取り上げられなかった重要な課題についてさらに質疑がなされるべきでした。
4. 参考人質疑は、衆議院で2回、参議院では1回のみです。公述人と参考人には女性は1人もいません。9月16には、衆参女性国会議員有志により女性の意見を参考人及び公述人として聞くよう参議院特別委員会鴻池委員長に手渡しましたが、それは、私たち国会議員は国民全体の代表として、平和憲法下における女性参政権の意義を重んじ、国民の負託に応えるべき責任があるからです。女性の声が十分に反映されていないという点で、国会の審議手続きには瑕疵がありました。
5. 安保関連法の審議手続きの違法は、まだあります。私自身も含めて国会議員の質問権、討論権、表決権が侵害され、不利益を受けました。9月15日、参議院安保関連法特別委員会で中央公聴会が開かれました。そして、9月16日に、横浜で地方公聴会が開かれました。そして9月17日、特別委員会の委員長の不信任動議が否決され、委員長が着席した途端、強行採決になりました。
地方公聴会の後は1秒も審議はされていません。これは、憲政史上初めてのことであり、公聴会を冒涜するものです。そして、公述人の意見が、審議に反映される事はありませんでした。地方公聴会は、派遣された委員のみで行っているので、その結果を委員会に報告する手続きは必須であるのに、その報告がないまま採決するという憲政史上初めての暴挙がまかり通りました。議事録も掲載されていません。2015年10月に発表された議事録は、末尾に、地方公聴会の議事録が[参照]として掲載されていますが、報告もされていない内容を議事録にあったものであるかのように掲載するのは、違法を取り繕うものとしか言えません。
また、与党は、この日2時間の総理への締めくくり総括質問をセットすると伝えてきており、安保特別委員会の委員である私は質問を用意して待ち構えていたのですが、その質問権が侵害されました。国民の負託を受けて質疑をする国会議員としての基本的な権利が侵害されたことで、私は大きな不利益を被り、さらに強行採決は、私の討論権と表決権も奪っていきました。
6. 第二次世界大戦中の日本人の300万人、アジアで2000万人以上といわれる犠牲者の上に、私たちは、日本国憲法を手にしました。そして、憲法9条は、戦争しない、加担もしないという戦後を築いてきたのです。
このように、立憲主義が踏みにじられ、その過ちが司法によって糾されなければ、人々は憲法も法も司法も信じません。私は、憲法は権力者を縛るものというごく普通の憲法学にしたがって、弁護士として、国会議員として活動してきましたが、これほどの憲法と法の支配の危機を経験させられることになるとは想像もしませんでした。違法な手続きに基づく違憲立法は正義によって修復されなければなりません。その責任は、まさに司法にも問われるものであることを指摘して私の意見陳述とします。
以上
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