

誓いの言葉
わたしは社民党を代表して、戦争で亡くなったすべてのみなさんを心から追悼し、平和を実現をするという誓いと決意を、述べさせていただきます。
ここ千鳥が淵戦没者墓苑は、第二次世界大戦の犠牲者のみなさんの遺骨が、安置されている場所です。
アジアで亡くなった二〇〇〇万人以上のみなさん、日本人で亡くなった三〇〇万人以上のみなさんに対して、心から哀悼の意を表させていただきます。
そして、負傷し、心の傷を負い、家族や友人を戦争で亡くしたみなさんに対して、お見舞いを申し上げるとともに、二度と戦争の犠牲者を作らないようにしようと力強くよびかけます。
わたしは、ヒロシマ、ナガサキの平和祈念式典や沖縄の六・二三慰霊式に出席し、また、全国の空襲の被害を聞き、平和の資料館にいくたびに、そして、アジアの戦争の犠牲者の話を聞くにつれ、戦後六三年経った今も、戦争の傷は、全く癒えていないと痛感をします。
わたしは、戦後補償の裁判を弁護士としてやってきました。
「戦争はやっちゃなんでんだ。」それは、在日韓国人で、かつていわゆる慰安婦とされた宋神道さんが、集会のたびに、繰り返し、繰り返し、言うことです。
多くのことを教えてもらいましたが、わたしが,彼女たちから、学んだ最大のことは、戦争を決してやってはいけないということです。
国家による不条理な大量殺人をわたしたちは、決して許してはいけません。
この四年半の間、国会のなかでは、ひどい政治が進行をしました。
イラクに自衛隊が派兵をされ、防衛庁は、防衛省に昇格し、教育基本法と教育三法は、改悪され、国民投票法と在日米軍基地特別措置法が成立をしました。
横須賀港を原子力空母の母港にすることや沖縄の辺野古の沖に海上基地を作ることなどが、強行されようとしています。原子力潜水艦の放射能漏れなど、言後道断の事件も起きています。
ところで、いわゆる従軍慰安婦に対して、強制はなかったとする主張や、沖縄戦をめぐる高校日本史の教科書検定では、軍の関与を否定するなど、歴史の事実をねじまげようとすることに対して、大きな抗議の声が上がりました。
また、四月一八日には、名古屋高等裁判所で、自衛隊のイラク派兵を違憲とする判決が出されました。これは、日本政府が、憲法を踏みにじって、アメリカの戦争に加担し、イラクの人々を殺していることについて、裁判所が、「戦争に加担をするな」と言ったものです。
この判決のボールは、国会と国民に投げられています。
「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定をする。」と日本国憲法前文は、うたっています。
主権者である国民は、政府の行為によって、戦争が起きることがないよう全力を尽くさなければなりません。
それが、戦争で亡くなった人たちに対する生きているわたしたちの責任です。
今、北京オリンピックが開かれている折も折、グルジアで、戦争が起きました。
アフガニスタンやイラクへの空爆も続き、中東和平も実現をしていません。
20世紀は「戦争の世紀」と言われ、21世紀はそれを変えるはずだったのに、この8年間戦争が続いているではありませんか。
日本も戦争に加担し、より加担しようとしています。
今、世界も日本も、平和な世界を実現をするのか、それとも、戦争という手段を続けるのか、まさに、二つの潮流が激しく争っています。
どちらが、勝つべきか明らかではありませんか。
命以上に大事なものはありません。
今年六月、国連人権理事会で、平和への権利についての決議が採択をされました。
また、七月ギリシャで開かれた社会主義インターの世界大会で、「憲法九条を堅持しようとする日本を評価する。」との事務局長報告がなされました。
わたしは、これらは、憲法九条の意義が、世界に広がっていることを示すものだと思います。
日本国憲法を根拠に、わたしたちの先輩たちみんなが作り上げてきた「自衛隊の海外派兵は許さない」「非核三原則」「武器輸出三原則」を変えさせてはなりません。
だからこそ、憲法九条を変えさせてはなりません。
社民党は、憲法審査会の作動を許さず、また、自衛隊派兵恒久法案など、日本国憲法を踏みにじる法案を作らせず、在日米軍の強化をさせないために、全力を尽くします。そのために、ひとりでも多くの人に働きかけます。
どうか、亡くなられたみなさん、そんなわたしたちに、力を与えて下さい。
平和憲法を生かしていくことを誓い、わたしの追悼の言葉といたします。
二〇〇八年八月一五日
社会民主党党首
福島みずほ
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