福島みずほのどきどき日記

国連の人権規約委員会勧告書

11月10日(月)
国連の国際人権(自由権)規約人権委員会が、日本の人権状況についての審査を行い
ました(10月15・16日)。これは、自由権規約を批准している国が定期的に受
ける審査です。今回は5回目。国連から、日本の人権問題について、これほどまで多
岐にわたって勧告をつきつけているのですが、今後の日本政府がどう対応していく
か、市民団体の皆さんとチェックしていく予定です。どうぞ、皆さんも注目してくだ
さい。

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規約第40条に基づき締約国から提出された報告の検討
  国際人権(自由権)規約委員会の総括所見 - 日本


(仮訳・暫定版です)

1. 委員会は、2008年10月15日及び16日に開かれた第2574回、25
75回及び2576回の委員会で、日本の第5回定期報告書(CCPR/C/JPN/5)を審
査し、2008年10月28日及び29日に開かれた第2592回、2593回及び
2594回の委員会で以下の総括所見を採択した。

A.序論

2. 委員会は、締約国が包括的な第5回定期報告書及び検討すべき課題一覧への書
面による回答を提出し、及び委員会の口頭による質問に対し、代表団が詳細に回答し
たことを歓迎する。しかし、この報告書は、2002年10月が期限であったにもか
かわらず、2006年12月に提出されたことを申し述べておく。委員会は、様々な
省庁の高官からなる大代表団や締約国の多くのNGOが対話に強い関心を示し出席した
ことに感謝する。

B.肯定的要素

3. 委員会は、男女同権を進める立法や制度上の施策が取られたことを歓迎する。
特に、以下について歓迎する。
(a)1999年に男女共同参画社会基本法が採択されたこと
(b)男女共同参画担当大臣が指名されたこと
(c) 2020年までに社会の全ての分野において指導的地位に女性が占める割合
を少なくとも30パーセントとすることを目的とする第2次男女共同参画基本計画が
2005年に内閣により承認されたこと
(d)男女共同参画基本計画を推進し、男女共同参画社会の発展のための基本政策を
調整する男女共同参画局が設置されたこと

4. 委員会は、(a)配偶者暴力相談支援センター、婦人相談所及び婦人保護施設
の設置、(b)改正配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の下での
保護命令件数の増加及び保護命令範囲の拡充、及び(c)人身売買を撲滅するため、
2004年に人身取引対策行動計画を採択し、人身取引対策に関する関係省庁連絡会
議を設置したこと等、家庭内暴力や性暴力及び人身売買等の性別に起因する暴力や搾
取の被害者を保護し、支援するために締約国がとった施策に留意する。

5. 委員会は、締約国が2007年に国際刑事裁判所ローマ規程へ加入したことを
歓迎する。

C.主要な懸念事項と勧告

6. 委員会は第4回政府報告書の審査後に出された勧告の多くが履行されていない
ことに懸念を有する。

 締約国は委員会が今回並びにこれまでの総括所見で採択した勧告を実施すべきであ
る。

7. 委員会は、規約の条項に直接言及した国内裁判所の判決に関する情報が、規約
違反はないとした最高裁判決以外には何もないことに留意する。(規約2条)

   締約国は、裁判官、検察官及び弁護士のための専門的教育の中で、規約の解釈
と適用を取り上げること、規約に関する情報が下級審も含めすべてのレベルの裁判官
に普及されることを確保すべきである。

8. 委員会は、締約国が、規約の第一選択議定書を批准しない理由の一つとして、
その批准が司法の独立を含む司法制度に問題を引き起こす可能性があるとしているこ
とに留意する。

締約国は、委員会の一貫した見解において、これは第四審ではなく、国内裁判所が行
う事実や証拠の評価、国内法の解釈適用に関する再審査は原則的に行わないとしてい
ることを考慮し、第一選択議定書の批准を検討すべきである。

9. 委員会は締約国が未だに独立した国内人権機関を設立していないことに懸念を
もって留意する。(規約2条)

締約国は、パリ原則(国連総会決議48/134・付属書)に則り、締約国が承認し
たすべての国際人権基準をカバーする幅広い権限と、公権力による人権侵害の救済申
立を取り扱いかつ行動する権限とを有する独立した国内人権機関を政府の外に設立
し、同機関に対して十分な経済的・人的資源を提供すべきである。

10. 委員会は、「公共の福祉」が人権に対して恣意的な制限を課す根拠とはなり
得ないとの締約国の説明を考慮に入れても、「公共の福祉」の概念は曖昧かつ無限定
で、規約の下で許される範囲を超える制限を許容しかねないとの懸念を繰り返し表明
する。(規約2条)

 締約国は、「公共の福祉」の概念を定義し、かつ規約が保障する権利に対する「公
共の福祉」によるいかなる制限も、規約が許容する制限を超えてはならないことを明
記する法律を制定すべきである。

11. 委員会は、民法中の女性に対する差別的な条項―6か月の再婚禁止期間や、
男女間の婚姻可能年齢の差異など―について、再度懸念を表明する(規約2条(1)、
3条、23条(4)及び26条)。

政府は、女性の再婚禁止期間の削除や男女の婚姻可能年齢の統一を期して、民法を改
正すべきである。

12. 委員会は、官公庁における女性の参画についての数値目標にもかかわらず、
女性が国会議員の中でわずか18.2%、中央官庁の課長級以上の地位の1.7%しか
占めておらず、女性の社会参加促進のための2008年計画の数値目標の中に、例え
ば2010年までに中央官庁の課長級以上の地位の5%を目標とするというように極
端に控えめであることを、懸念を持って留意する(規約2条(1)、3条、25条及
び26条)。

政府は、例えばクオータ制を導入したり女性の参画の数値目標を見直すことによっ
て、2005年に採択された第二次男女共同参画計画で定められた時間の枠内で、国
会及び官公庁の高い地位及び公共サービスの領域における男女共同参画を実現するた
めの努力を強化すべきである。

13. 委員会は、女性が民間企業の管理職的立場に占める割合がわずか10%であ
り平均して男性の賃金の51%しか受け取っていないこと、女性が非正規雇用労働者
の70%を占め休暇、母性保護、家族手当などの福利厚生から排除され、その不安定
な雇用状況のためにセクシュアルハラスメントに対して弱いこと、そして往々にして
生涯にわたってパートタイム労働者として働くことを余儀なくされるという報告を懸
念する(規約2条(1)、3条及び26条)。

政府は、(a)すべての企業に、女性に対する均等な雇用機会を実現するためのポジ
ティブ・アクションを取るよう求めること、(b)労働時間の長時間化をもたらした労
働基準の規制緩和を見直し、(c)女性が男性と同様にワークライフ・バランスを取れ
るように、との観点から保育施設の数をさらに増加させ、(d)改正パートタイム労働
法のもとでのパートタイム労働者に対する均等待遇の範囲を広げ、(e)職場でのセク
シュアルハラスメントを刑事処罰の対象とし、(f)雇用機会均等法のもとで禁止され
る間接差別の形態を、当該労働者が世帯主であるか否か、パートタイム労働者あるい
は契約社員であることに基づく異なる取り扱いにまで拡大し、間接差別を防止するた
めの実効的な措置を取ることを含む、女性の正規職員としての雇用を促進し、性別に
よる賃金格差を解消するための措置を取るべきである。

14. 委員会は、刑法177条の強かんの定義が男女間の現実の性交渉しかカバー
しておらず被害者による抵抗が要件とされていること、強かん及びその他の性犯罪が
被害者が13歳未満である場合を除き被害者の告訴なしには訴追されないことを、懸
念を持って留意する。性暴力化会社がしばしば公正な処罰を免れたり軽い刑にしか処
されないこと、裁判官がしばしば被害者の過去の性的経歴に不適切に焦点を当て被害
者に攻撃に対して抵抗したことの証拠を提出するよう求めること、改正受刑者処遇法
の監督と施行及び警察庁の被害者保護のための指針が非実効的であり、性暴力につい
て専門的な訓練を受けた医師と看護師が、NGOによるそのような訓練の提供に対する
サポートとともに不足していることも懸念される(規約3条、4条及び26条)。

政府は、刑法177条の強かんの定義を拡大して、現実の性交渉以外にも近親相か
ん、性的虐待が男性に対する強かんとともに確実に重大な刑事犯罪であるとみなされ
るようにし、攻撃に対して抵抗したことを立証しなければならないという被害者の負
担を取り除き、強かん及びその他の性暴力犯罪を職権で訴追すべきである。政府はま
た、裁判官、検察官、警察官及び刑務官に対する、性暴力についてのジェンダーに配
慮した義務的研修を導入すべきである。

15. 委員会は、ドメスティック・バイオレンスの加害者に対する量刑が軽いと報
告されていること、保護命令違反者が度重なる違反のある場合または警告を無視した
場合にのみ逮捕されることを懸念する。委員会はまた、ドメスティック・バイオレン
ス被害者に対する長期的な支援が不足していること、外国人であるドメスティック・
バイオレンス被害者が、安定した雇用に応募し社会保障の恩恵を受けられるような在
留資格を付与することの遅延を懸念する(規約3条、7条、26条及び2条(3))。

政府は、ドメスティック・バイオレンス加害者に対する量刑政策を見直し、保護命令
違反者を勾留して訴追し、ドメスティック・バイオレンス被害者に対する損害賠償額
とシングルマザーに対する児童福祉手当額を増大させ、損害賠償と子どもの扶養に対
する裁判所の命令を実効化し、長期的なリハビリプログラムやリハビリ施設を、在留
無資格者を含む特別な必要のある被害者に対する援助と同様に強化すべきである

16. 実務上、殺人を含む犯罪に対してしか死刑が科されていないことに留意しつ
つも、委員会は、死刑を科すことのできる犯罪の数が依然として減少していないこ
と、及び、死刑執行の数が近年着々と増加していることへの懸念を繰り返す。死刑確
定者が単独室拘禁に付され、それがしばしば長期間にわたり、また死刑執行の日に先
立って告知されることなく処刑され、高齢者や精神障がいがあるという事実にもかか
わらず執行される例があることに対しても懸念を抱く。恩赦、減刑ないし執行延期に
関する権限が行使されていないこと、またこうした救済による利益を求める手続に透
明性が欠けていることも、懸念事項である。(規約6条、7条及び10条)

世論調査の結果にかかわらず、締約国は、死刑の廃止を前向きに検討し、必要に応じ
て、国民に対し死刑廃止が望ましいことを知らせるべきである。当面の間、規約6条
第2項にしたがい、死刑はもっともな深刻な犯罪に厳格に限定されるべきである。締
約国は、死刑確定者の処遇、高齢者ないし精神障がい者の執行に関し、より人道的な
アプローチをとるよう考慮すべきである。また締約国は、死刑執行に備える機会がな
いことにより被る精神的苦痛を軽減するため、死刑確定者及びその家族が、予定され
ている死刑執行の日時を適切な余裕をもって告知されることを確実にすべきである。
恩赦、減刑及び執行の一時延期は、死刑確定者にとって真に利用可能なものとされる
べきである。

17. 委員会は、上訴権を行使しないまま死刑を科され確定する被告人の数が増加
しているということ、裁判所が再審開始を決定するまでは死刑確定者と再審請求を担
当する弁護士との面会に刑事施設職員が立会い監視をすること、再審や恩赦の請求に
死刑執行を停止する効力がないことに懸念をもって留意する。(規約6条及び14
条)

締約国は、死刑事件においては、再審査を義務的とするシステムを導入し、再審請求
や恩赦の出願による執行停止効を確実にすべきである。執行停止の濫用を防ぐために
恩赦の請求については請求回数の制限が設けられてもよい。また締約国は、死刑確定
者と再審に関する弁護士とのすべての面会の厳格な秘密性を確保すべきである。

18. 委員会は刑事施設及び刑事被収容者処遇法のもとで、捜査と拘禁の機能が公
式に分離されたにもかかわらず、以下の懸念を繰り返す。代用監獄制度のもと、被疑
者は、捜査を容易にするために23日間にも及ぶ期間、保釈の可能性なく、とくに逮
捕後の最初の72時間においては弁護士へのアクセスも限定された状態で、警察の拘
禁施設に拘禁されうるものであり、代用監獄制度は、長期に及ぶ取調べと自白を得る
ための濫用的な取調方法の危険を増加させる。(規約7条、9条、10条及び14
条)

 締約国は代用監獄制度を廃止するか、あるいは規約14条に含まれるすべての人権
保障に適合させることを確保すべきである。取調べの最中であってもすべての被疑者
が弁護士に秘密にアクセスできる権利、犯罪嫌疑の性質にかかわりなく逮捕されたそ
の時から法律扶助が受けられる権利、自分の事件と医療措置に関わる警察の記録すべ
てにアクセスできる権利が保障されるべきである。また締約国は起訴前保釈制度をも
導入すべきである。

19. 委員会は、警察内部の規則に含まれる、被疑者の取調時間についての不十分
な制限、取調べに弁護人が立ち会うことが、被疑者を説得し、真実を明らかにさせる
という取調べの機能を傷つけるとの前提のもと、弁護人が取調べから排除されている
こと、取調べ中の電子的監視方法が、しばしば被疑者による自白の記録に限定され、
散発的かつ選択的に用いられていることに懸念をもって注目する。また、主として自
白に基づく非常に高い有罪率についても繰り返し懸念を表明する。このような有罪に
死刑判決が含まれることに関して、この懸念はさらに深刻なものとなる。(規約7
条、9条及び14条)

 締約国は、虚偽自白を防止し、規約14条のもとに保障された被疑者の権利を確実
にするために、被疑者への取調べの時間に対する厳格な時間制限や、これに従わない
場合の制裁措置を規定する法律を採択し、虚偽の自白を防止し、取調べの全過程にお
ける録画機器の組織的な利用を保障し、取調べ中に弁護人が立ち会う権利を全被疑者
に保障しなければならない。
また締約国は、刑事捜査における警察の役割は、真実を打ち立てることではなく、裁
判のために証拠を収集することであることを認識し、被疑者の黙秘はとがめられるも
のではないことを保障し、裁判所に対して、警察における取調べ中になされた自白よ
りも現代的な科学的な証拠に依拠することを奨励するべきである。


20. 委員会は、刑事施設視察委員会、及び2006年の刑事施設及び刑事被収容
者処遇法のもとで設立された留置施設視察委員会、法務大臣によって棄却された不服
申立を再審査する刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会、さらに被留置
者によって申請された審査の申請、苦情の申出、事実の申告を再審査する責任を有す
る都道府県公安委員会もまた、効果的な刑事施設及び留置施設の外部査察・不服審査
メカニズムとして必要な独立性と人的資源、権限を欠いていることに懸念を有する。
この点に関して、2005年から2007年までの期間に、暴力又は虐待の罪によっ
て、有罪判決又は懲戒処分を受けた拘禁施設職員がないことが注目される。(規約7
条及び10条)

締約国は、以下のことを保障すべきである。
(a)刑事施設視察委員会及び留置施設視察委員会はその負託を効果的に果たすため
に、十分な人員配置がなされ、またすべての関係する情報に完全にアクセスすること
ができなければならない。さらに、その委員は、刑事施設ないし留置施設の管理者に
よって任命されるべきではない。
(b)刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会は、十分なスタッフが保障
され、その意見は法務省を拘束するものでなければならない。
(c)被留置者から提出された不服申立を再審査する権限は、都道府県国家公安委員
会から、外部の専門家からなる独立の機関に移されなければならない。
 締約国は、次の定期審査報告書の中には、受刑者及び被勾留者から受けた不服申立
の件数及びその内容、違法行為をおこなった行為者に科せられた刑又は懲戒措置、被
害者に提供された補償の内容を盛り込むべきである。


21. 委員会は、死刑確定者が、精神的及び情緒的な安定性を確保するという名目
により、昼夜単独室に拘禁されていること、また無期刑受刑者の中にも長期間にわた
り単独室拘禁に付されている者がいることに懸念を有する。委員会はまた、被収容者
が事前に医師の診察なく保護室に拘禁されることができ、その期間は当初72時間で
あり無制限に更新可能であるという報告、また、一定の範疇の受刑者は、分離された
「収容区画」に収容され、その措置に対して不服申立をする機会が与えられていない
という報告に懸念を有する。(規約7条及び10条)

締約国は、死刑確定者を単独室拘禁とする規則を緩和し、単独室拘禁は限定された期
間の例外的措置にとどまることを確実にし、保護室への収容には期間の上限を設け、
事前に身体及び精神面の診察を行い、明確な基準ないし不服申立の機会もないまま一
定の受刑者を「収容区画」に隔離する実務を廃止するべきである。

22. 委員会は、政府が依然として第二次世界大戦中の「慰安婦」制度に対する責
任を受け入れようとしないこと、加害者が訴追されていないこと、被害者に提供され
た賠償が公的基金ではなく民間の募金によって賄われていて額が十分でないこと、
「慰安婦」問題について言及した歴史教科書がほとんどないこと、政治家やマスメ
ディアがこの事実を否定することによって引き続き被害者の尊厳を損なっていること
を、懸念を持って留意する(規約7条及び8条)。

政府は、法的責任を受け入れて被害者の大多数に受け入れられるようなやり方で「慰
安婦」制度について留保なく謝罪し、被害者の尊厳を回復し、まだ生きている加害者
を訴追し、すべての生存被害者に対し権利の問題として十分な賠償を行うための速や
かで実効的な立法的・行政的措置を取り、この問題について学生及び一般大衆を教育
し、被害者の尊厳を損なったりこの事実を否定したりするいかなる企てに対しても反
駁し制裁を与えるべきである。

23. 委員会は、締約国へ及び締約国を通じて人身取引される(推定)人数につい
て政府による統計的なデータがないこと、人身取引関連犯罪の加害者に軽い刑しか科
されていないこと、公的または民間のシェルターで保護される人身取引被害者の数が
減少していること、通訳サービス、医療、カウンセリング、未払賃金や損害賠償を請
求するための法的支援やリハビリのための長期的な支援を含む被害者への包括的な支
援が欠けていること、在留特別許可が加害者を有罪とするために必要な期間しか与え
られずしかもすべての被害者には付与されないことを懸念する(規約8条)。

政府は、人身取引被害者を見つけ出すための努力を強化し、締約国の領域内へのまた
は領域を通じての人身取引のデータを体系的に収集することを実現し、人身取引関連
犯罪の加害者に対する量刑政策を見直し、被害者に保護を提供する民間シェルターを
支援し、通訳、医療、カウンセリング、未払い賃金や損害賠償を請求するための法的
支援、リハビリの長期的支援、すべての人身取引被害者の法的地位の安定化を保証す
ることによって被害者支援を強化すべきである。

24. 委員会は、「研修制度」「教育実習制度」のもと締約国に来る外国人が締約
国の労働立法や社会保障から排除されていること、彼らがしばしば有給休暇もなく単
純労働で搾取され、最低賃金を下回る研修手当の支払を受け、時間外賃金の支払もな
く時間外労働に従事することを強制され、しばしば使用者に旅券を取り上げられるこ
とを懸念する。(規約8条及び26条)

締約国は、外国人研修生・教育実習生に対する最低賃金や社会保障を含めて最低限度
の労働基準について国内法により保護し、外国人研修生・教育実習生を搾取する使用
者に適当な制裁を課し、現行制度を彼らの権利を適切に保護し、低賃金労働力確保よ
りも能力向上に焦点をあてる新しい制度に改めることを検討すべきである。

25. 委員会は、2006年改正出入国管理及び難民認定法が拷問の危険がある国
への難民申請者の送還を明文で禁止していないこと、難民申請の数に比して難民認定
の割合が低いままであること、難民申請者がその間就労を禁じられあるいは限られた
扶助のみを受け取ることになる難民申請手続にしばしばかなりの遅延があること、審
査に関して法務大臣に助言する難民審査参与員は独立して選任されずまた拘束力のあ
る決定をする権限がないので、難民不認定に対する異議の申立てが独立した機関によ
る審査を受けないことに懸念を表明する。最後に委員会は、難民不認定となったもの
が異議を申し立て退去強制命令の執行を延期する前に退去強制された報告に懸念す
る。(規約7条及び13条)

締約国は、拷問その他の虐待の危険がある国への難民申請者の送還を明文で禁止する
という観点から出入国及び難民認定法の改正を検討し、全ての難民申請者が、手続の
全期間にわたる適当な国庫による社会的援助あるいは雇用の確保のみならず、弁護
士、法律扶助及び通訳人を確実に利用できるようにすべきである。締約国は、法務大
臣によって「テロリスト容疑者」とみなされた難民申請者も利用しうる完全に独立し
た不服申立審査機構の創設もすべきであり、行政手続の終了後難民申請者がその難民
不認定の決定に対する裁判を提起しうる前に直ちに退去強制されないようにすべきで
ある。

26. 委員会は表現の自由と公的な問題に関する行動に参加する権利に対して加え
られた、公職選挙法のもとにおける戸別訪問の禁止や選挙運動期間前に配布すること
のできる印刷物の数と形式に対する制限などの不合理な制限に懸念を表明する。
   さらに、住居侵入罪もしくは国家公務員法に基づいて、政府に対する批判の内
容を含むビラを郵便受けに配布する行為に対して、政治活動家や公務員が逮捕され、
起訴されたという報告に懸念を有する。(規約19条及び25条)
 
締約国は、規約19条及び25条のもとで保護されている選挙運動やその他の活動を
警察、検察官及び裁判所が過度に制限することを防止するため、その法制度から表現
の自由及び選挙運動の自由に対するあらゆる不合理な制限措置を撤廃しなければなら
ない。

27. 委員会は、男児及び女児が13歳という低い年齢から性的同意ができること
を懸念する。(規約24条)

締約国は、子どもの正常な発達を保護し児童虐待を防止するため、男児及び女児の性
的同意年齢を現在の13歳から引き上げるべきである。

28. 委員会は、婚外子が国籍取得、相続権及び出生届などの点で差別されている
ことを繰り返し懸念する(規約2条(1)、24条及び26条)。

締約国は、出生届においてその子が「嫡出子」であるか否かを記載しなければならな
いとする戸籍法49条1項1号、国籍法3条、民法900条4項を含む規定から、非
嫡出子を差別する条項を削除すべきである。

29. 委員会は、婚姻したあるいは婚姻していない異性のカップルに対してのみ適
用され、婚姻していない同性のカップルが公営住宅を賃借することを確実に妨げてい
る公営住宅法23条1項や、同性のカップルの一方をDV防止法の保護から排除されて
いることのように、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル及び性同一性障がいの人々
に対する雇用、居住、社会保険、健康保険、教育及びその他の法によって規制された
領域における差別があることを懸念する(規約2条(1)及び26条)。

締約国は、委員会の規約26条についての解釈に沿って、性的嗜好が禁止された差別
の根拠に含まれるとの観点から法律を改正し、婚姻していない同居している異性の
カップルに付与されている恩恵が、婚姻していない同居している同性のカップルに対
しても付与されるよう保証すべきである。

30. 委員会は、20歳から60歳の間に最低25年間保険料を払わなければなら
ないという規定との関連で1982年国民年金法の国籍条項の削除の不遡及の結果、
1952年に日本国籍を喪失した多数の外国人、主要には韓国・朝鮮人であるが、か
れらがこの国民年金制度の下での年金が実際には受領できないことを懸念する。委員
会はまた、国民年金法から国籍条項が撤廃されたとき20歳を超える外国人は障がい
年金給付が受けられないという規定により、1962年前に生まれた障がいを持つ外
国人にも同じことがあてはまることを懸念する(規約2条(1)及び26条)。

締約国は、外国人を国民年金制度から差別的に排除しないため、国民年金法の年齢制
限規定の適用を受けた外国人のため経過措置を講ずべきである。

31. 委員会は、朝鮮学校に対する補助金が通常の学校に対する補助金より極めて
低額であり、私立学校やインターナショナルスクールへの寄付と違い税金の免除や減
額が認められない私人による寄付に朝鮮学校をして過度に依存させていること及び朝
鮮学校の卒業生が自動的に大学受験資格を取得しないことを懸念する。(規約26条
及び27条)

締約国は、公的補助の増額並びに他の私立学校と同様の税務上の優遇措置を朝鮮学校
への寄付に認めることによって朝鮮学校の財政的支援をすべきであり、また朝鮮学校
卒業生に大学受験資格を認めるべきである。

32. 委員会は、アイヌ民族や琉球民族を特別な権利や保護の資格がある先住民と
して締約国が公式に認めないことを懸念する。(規約27条)

締約国は、アイヌ民族と琉球民族を国内法で先住民と明確に認め、彼らの継承文化や
伝統的生活様式を保護、保存及び促進する特別な措置を講じ、彼らの土地についての
権利を認めるべきである。締約国はまた、アイヌ民族や琉球民族の子に彼らの言語に
よってあるいは彼らの言語についてまた彼らの文化について教育を受ける適切な機会
を提供し、正規の教育課程にアイヌ民族と琉球民族の文化と歴史の教育を組み込むべ
きである。

33. 委員会は、日本の第6回定期報告書の提出日を、2011年10月29日と
定める。締約国の第5回定期報告書及び本総括所見が、日本語、そして可能な範囲に
おいて、国内少数言語で、司法、立法、行政機関同様、国内社会に公表され、かつ広
く伝播されるよう、要請する。また、第6回提起報告書が市民社会及び締約国内で活
動するNGOに入手可能とされることを要請する。

34. 委員会手続規則71パラグラフ5に従い、締約国は、委員会による上記パラ
グラフ17、18、19及び21の各勧告について、1年以内にフォローアップ情報
を提供しなくてはならない。委員会は、締約国が次回定期報告書に、残された勧告及
び条約全体の履行状況に関する情報を記載するよう、要請する。

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