福島みずほのどきどき日記

迷走の国家買収的事業

 国会の代表質問と予算委員会で、麻生太郎首相に質問をした。麻生氏が首相になっ
て2カ月になるが、正直、何をやりたいのかさっぱり分からない。この間、さまざま
な政策が提示されたが、迷走に次ぐ迷走を繰り返しているからである。

 定額給付金の問題―。初めは「定額減税」構想だったのに、いつしか「生活支援定
額給付金」となり、「定額給付金」となってしまった。所得制限を設けないと言って
いたのだが、「えっ、麻生さんも国会議員ももらうの?」という声が大きくなったこ
とから、突然、所得制限を設けることとなった。しかし、所得制限を設けるのは事務
が煩雑になるという意見が出るや、所得制限を設けず、年収1800万円以上の人
は、自主的に辞退をしてくれとなったのである。なぜ1800万円なのかもよく分か
らない。そして最終的には、所得制限を設けるかどうかは各自治体で判断をするとい
う。

 これはもう「政策」なんかではない。辞退する人と辞退しない人が出てくるだろう
し、まったく変な制度である。大金持ちは国民年金を受給するのはやめてくれ、と言
えるだろうか。どっちに転んでも問題が起きるから、責任を自治体に押し付けたので
ある。そして、高額所得者にも受け取るか、受け取らないかの責任を押し付けたの
だ。これで「政治」かと怒りが込み上げてくる。

 そもそも1回だけばらまいて、どんな効果があるのだろうか。地域振興券だって、
配布額7000億円に対し、配布費用700億円!景気への有効性はほとんどなかっ
たといわれている。今回の2兆円は全くの無駄遣いではないか。このお金は麻生首相
のものでも、自民党のものでもなく、国民の税金なのである。首相は「3年後には消
費税を上げる」と明言をした。定額給付金は1回だけだが、増税は一生である。

 地方への交付税についてもまったく同じく迷走に次ぐ迷走である。麻生首相は追加
経済対策として道路特定財源から1兆円を地方への臨時交付金に回すよう指示したも
のの、この1兆円に関して現行の地方道路整備臨時交付金7000億円を含むかどう
かが明確でない。1兆円なのか、1兆7000億円なのか―。ある知事は一緒になっ
た会合で「1回こっきりなんておかしいし、効果がない。1兆円の税源移譲をすべき
である」と言ったが、その通りである。

 定額給付金にしろ、地方への交付税にしろ、みそは「1回こっきり」ということ。
衆院選前の1回きりのばらまきである。国家的規模での公職選挙法違反の「買収」み
たいなものではないか。定額給付金はやめるべきである。

 オバマ上院議員が米次期大統領に選ばれた。沖縄では「オバマさんになって一体何
が変わるの?」という声を聞いた。もちろん、その通りの面もある。しかし、と私は
思う。米国民は戦争に「ノー」、そして格差と貧困を拡大する政治に「ノー」と言っ
たのだと。

 日本も利権政治、国民を苦しめる小泉構造改革、戦争に加担する政治に決別すると
きだ。新自由主義から社会民主主義の経済政策へ転換すべきときである。国会の「も
う政治とはいえない政治」を終わらせ、新しい政治を切り開いていく。

【共同通信社会員情報誌「KyodoWeekly」11月24日号より】

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