福島みずほのどきどき日記

共に生きる社会へ

1月11日(日)
 NHKの日曜討論に出る。

 地下鉄に乗っていたら、人身事故のため、電車が止まってしまった。
 最近、「人身事故で、電車が止まります。」とか、「電車が遅れます。」というアナウスを以前より聞くようになった気がする。
 自殺をする人に対して、死ななくていいよ、死なないでと、すぐそばに行って言ってやりたい気がする。映画「アンジェラ」は、パリのセーヌ川に、にっちもさっちもいかなくなって、飛び降り自殺をしようと飛び込んだ男を天使が救うという話である。どうしようもなくて、人生がめちゃくちゃになっているし、いいかげんで、でたらめなんだけれど、すぐそばに天使がいて、彼のことをしっかり見守っていることで、彼自身が変わっていく。男が鏡をみながら、自問自答し、自分自身の心を見つめて涙するところは、圧巻である。道徳的ではない映画で、ぶっとんだ天使なので、おかしくて、シュールで、笑えるのだけれど。
 この映画を見ながら、人間一人ひとりに、ぴったりと天使がついていて、励ましたり、力になったり、あなたはそれだけで大事な存在なんだよって、ささやき、励まし続けることが、できていたらみんな寂しくて、自分を失って、自殺をしたりしないで済むのになと心から思った。
 みんなこんな天使のような存在が欲しくて、恋愛をしたり、結婚をしたり、いろいろするのだ。

 1998年、今から10年前の3月、決算期のときに、それまで2万人だった自殺者が、ばーんと3万人に増える。
 山一証券の倒産など、一挙に経済が悪くなったときだ。

 今回の不況で、自殺者が増えるのではないかと正直心配をしている。
 現に、派遣村には、派遣切りで自殺をはかって、助けられて来た人がいた。

 自殺の問題に取り組むNGO「ライフリンク」の清水さんの話を聞く機会がある。
 わたしは、授業にも来てもらった。
 彼もとても心配をしている。
 わたしは、超党派の自殺を考える議員の会にはいっているけれど、できることは何でもやりたいと思っている。
 
 一緒に対談の本を出した雨宮さんの「生きさせろ!」やアニメ「もののけ姫」のコピー「生きろ」ではないけれど、今は、「生きろ!」「死なないで」ということをメッセージで、出していきたいものだ。
 みんなぎりぎりのところで、閉塞感のなかで、生きているんだもの。

 人を物扱いをするこの社会を作り直すということをいろんな人と全力でやっていくが、「みんな生きてていいんだ。」というメッセージを同時に一人ひとりに向けて、ささやきたいと思っている。
 あきらめの社会から希望の社会へ。
 わたしは、天使という柄では全くないので、「アンジェラ」みたいには、いかないけれど。まあ、「アンジェラ」だって、変な天使だけれど。

 派遣村に、4日間通った。
 ボランティアには、知り合いも、初めて会った人もいた。スタッフは、友人たちが多く、みんな必死で動いている。
 1700人の人たちが、ボランティアで来ていた。
 知り合いの工藤さんは、学校の給食を作っている人だが、しっかりボランティアに来て、炊き出しをしていた。なるほど。大量の食事を作るのは、プロ中のプロ。みんなてきぱきと適材適所でみごとに働いている。知り合いの女性たちも炊き出しをするのに、実に手際がいい。もちろん炊き出しを男性もやっていたけれど。

 音楽をする人、歌を歌う人、みんないろいろ。
 しかめっつらしくないところが、派遣村の良さ。
 歌なんてという雰囲気ではないのだ。

 わたしは、派遣村で、政治の原点をしっかり確認をするような思いがした。
 そして、おかしな言い方だが、わたし自身すごく励まされたのだ。
 しっかりがんばれと。
 実際、多くの人たちに、がんばってと励まされた。

 わたしは、実は、派遣村でいろんな物をいろんな人からもらった。
 寒いでしょとホカロンをもってくれる人やりんごやクッキーをくれた人。
 日本で、あめ細工の職人はもう数十人しかいないのですよと言って、あめ細工で、キティちゃんとパンダを作って、わたしにくれた人。
 毎日会うので、顔見知りになり、わたしのこった肩や首を指圧をしてくれた人。あの人は、ボランティアなのか、炊き出しを待っている人なのかわからなかったが。
 炊き出しを待っている女性は、なんとわたしに、小さなイヤリングをくれた。
 「ありがとう。」と受け取った。
 わたしは、派遣村を歩いていると、いろんな人から、いろんな物をもらってしまった。
 そして、もちろん、なぜわたしが、政治をやるのか、政治で、何をやらなければならないのかということを再確認をしたようにも思う。
 そして、励ましてもらい、元気と力をもらった。
 死に物狂いで、派遣法の改正や労働法制をつくることや生存を支えていくことをやろうと改めて、改めて思った。

 励まして、政治の力でやれることをやろうと行ったが、逆に、わたしが政治をやっていく力をもらった面がある。
 見たこと、感じたことは、忘れないぞって。いろんな活動の底流として、心のなかにしっかりいつも持っているぞって!

 大分キヤノンの派遣切りで、地元の役所は、何とか雇用をしようとすぐ動き出した。
 匿名で、100万円、カンパをした人がいる。
 そして、高校生は、街頭で、カンパ集めをしたのである。

 京品ホテルの闘争だってそうだ。
 みんな手をさしのべてくれる。
 
 多くの人が、「他人事」ではないと感じてくれているのだ。

 派遣切りは、政治災害である。
 怒りを感じている。
 大企業だって、社会的責任があるだろうと怒っている。

 それと同時に人間って捨てたものではないと思っている。
 派遣村の村長の湯浅誠さんをはじめ、多くの人たちのものすごい努力と気持ちはすごいものがある。
 みんなみんなほっとけないと思ったのだ。

 この社会に住む人たちが、「ほっとけない」と思い、こんな社会を変えたいと思い、動き始めたとき、この社会は、確実に変わっていく。
 連帯とか、共に生きる社会ということが、本当にリアルに感じ取れるようになってきている。
 それだけ状況はシビアになっているのである。
 しかし、何とかしたい、自分も何かしたい、何ができるだろうかという人々の気持ちに、この派遣村たけでなく、今、全国で起きているいろんなことに、わたしは、希望を見る。
 変な言い方だが、「日本って捨てたものじゃない」としみじみ感じている。

 共に生きるということの素敵さを大事にして、これからも、活動をしていきたい。 
 
 
 
 

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