福島みずほのどきどき日記

「田辺聖子の人生あまから川柳」

田辺聖子の人生あまから川柳」
田辺聖子著、集英社新書刊

 田辺さんの「佳きかな、川柳。覚えておいて人生の中でハンカチみたいになんぼで
も使ってほしい」という言葉が帯に示されている。いろんな人の川柳が田辺さんの紹
介つきでのっている。うーん、長い命を持つ川柳という感じがする。時代が変わって
ても変わらない人間や人生の真実というか、あるおかしな面というか。

 田辺さんは、いろんな川柳の本を出していらっしゃる。
 ここで紹介をされている川柳は、ふふふ、はははと笑いたくなり、ほっかりとあた
たかくなるものである。
 
 「このご恩は忘れませんと寄りつかず」 佳凡

 「かしこいことをすぐに言いたくなる阿呆」 亀山恭太

 「ぼんやりとしていたほうがよく儲け」 八島白龍

 「この人も妻子が待つか手のぬくみ」 林照子
 
 「心中は出来ず勘定して帰り」 岸本水府
  
 なんかおかしいでしょう。
  
 わたしは、新聞に載る川柳を愛読している。
 各紙に載っているものは、どれも面白いし、おお、こう来るかと読んでいる。
 そのなかでも面白いのは、毎日新聞の川柳で、仲畑貴志さんが選んでいる「仲畑流
万能川柳」である。これがどれもすぐれものなのである。

 政治についてのものは、本当に面白い。
 そうだ、そうだと読んでいる。
 しかし、この川柳欄が面白いのは、人生の味や人の微妙な思い、複雑な感情、人生
の真実が込められているからである。

 「モト妻の趣味のカーテンはずす妻」 
 
 なんか風景が浮かんでくるではないか。気に入らなかったのでしょう。

 「夫臥し私だけの人になる」

 これは、遊び歩いていたか、恋人がいた夫に対する妻の川柳でしょう。しかし、こ
の川柳には、やっと私だけのものになったという妻の愛情も込められているように思
うけどな。
 
 「彼ふたり同じ映画を見る私」

 もちろん政治についての川柳が多くて傑作ぞろいなのだけれど、わたしは、仲畑さ
んのセンスに笑ってしまう。面白い。
 ここの川柳ではないけれど、

 「本物の息子が振りこめ言ってきた」

 というのもおかしかったな。
 親はとほほだなあ。

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