福島みずほのどきどき日記

全ての子どもに確かなスタートを

先日、記者会見で「全ての子どもに確かなスタートを」ー子どもの貧困ゼロへーと題する社民党の提言を発表しました。乳幼児の子ども・家庭政策のを重点化や母子家庭への支援強化など5つの目標と、子どもの養育費を確保するための法制度強化など10項目の提言を行なっています。詳細は下記をご覧ください。

2009年4月28日
社民党 党首 福島みずほ

社民党の提言
「すべての子どもに確かなスタートを」
-子どもの貧困ゼロへ-


〔はじめに〕

■貧困は子どもの成長、健康、教育に深刻な影響を及ぼす
 行き過ぎた市場原理主義、雇用法制の規制緩和、さらに世界的な経済危機が追い打ちをかけ、格差が固定化し貧困層が拡大しています。特に、子どもの貧困は、その成長、健康、教育、生活習慣などに深刻な影響を及ぼし、子どもが自ら生きる力をつけていくことを阻害しかねない問題です。また、子どもの将来の職業や所得にも直結し、貧困の連鎖につながりかねません。

■子どもの貧困対策は、すべての子どもの幸せのため
 “子どもの貧困”問題は、個人家族の問題にとどまらず、国民の相互不信を招き、社会連帯感を崩壊させかねない社会的な問題でもあります。そのことに着目した英国のブレア政権は、1999年に「シュア・スタート」(就学前に焦点を当てた、すべての子どもに確かなスタートを保障するための総合的な福祉・教育・就労支援政策)、2004年に「全国児童ケア(保育)10か年戦略」を打ち出しました。良好な育成・教育環境を子どもたちに保障する政策は、すべての子どもの幸せのための政策です。長期的に見れば、社会の安定、発展のための社会投資でもあります。

■少なすぎる日本の公的給付
 日本の子どもの貧困率は徐々に上昇し、しかも国際的な水準に比べて高いことがOECD(経済協力開発機構)の調査から明らかです。多くの研究者が、日本は子どもや家族への公的給付や支援が不十分であり、社会保障や税制による所得再分配機能が働いていないことを指摘しています。

■母子家庭の貧困と子どもの貧困は表裏
 日本の特徴は、母子家庭の母親の就労率が高いにもかかわらず、母子世帯の貧困率が、OECD24カ国中23位と極めて高いことです。日本の母子家庭の母親の多くは、賃金や待遇の低い非正規労働に追いやられているうえに、公的な支援は不十分、さらにセーフティネットである国民健康保険、国民年金の保険料負担が重すぎて、逆に日々の生活を圧迫しています。母子家庭の貧困と子どもの貧困は表裏一体なのです。

■機能する政府と地方主権の確立
 国は、「小さな政府」を指向する構造改革によって、子どもの福祉や教育などに関する地方自治体の責任を重くし、政府の機能を弱めてきました。しかも、地方自治体が諸施策を担えるよう十分な税源移譲や支援を進めていないため、地方分権はままならない状態です。その結果、子どもの医療、保育、就学援助、ひとり親家庭への支援などについて、地域間格差が、非常に広がっています。また、「官から民へ」のかけ声のもと、公立保育所や学童保育の民営化が進み、保育の質や子どもの安全性確保、職員の待遇の悪化などが心配されています。
 子どもの生存権、子どもの人権を守るために、政府が正当に機能して、ナショナルミニマム(国が保障すべき最低限の生活水準)を確保することと、直接、子どもと家族に接する地方自治体の主権を確立することが必要です。

■本人の責任ではない格差を子どもに負わせない
 本人の努力では乗り越えられない格差の責任を子どもたちに負わせてはなりません。子の誕生、乳幼児期、就学期にわたる連続性をもった総合的な子ども・家族への政策を行って、“子どもの貧困”に取り組むことは、急務の課題です。
 社民党は、すべての子どもたちが、確実かつ最善の状態で人生のスタートラインを切ることができるように、そして、失敗しても、いつでも、やり直しができる社会を目差して、「5つの目標」と「10項目の提言」を示し、“子どもの貧困”をなくす政策に、積極的に取り組みます。


〔5つの目標〕

1,貧困の連鎖を断ち切る。特に、乳幼児期の子ども・家庭政策を重点化する。母子家庭への支援を強化する。

2,無料もしくは低料金で利用できる良質な保育施設を十分に確保し、すべての親の就労支援をはかるとともに、貧困や虐待を早期に受け止め、予防する。

3,子どもが、同世代の仲間とともに、自ら育ち、本人が生きる力を身につけるための支援を強化する。子どもの声を聞く。

4,縦割り行政の弊害を排し、子ども・家族政策を一体的、総合的に推進するための国内推進機構をつくる。保育政策と幼児教育を一元化して保育の質を向上させる。

5,日本の経済規模に見合った財源を確保し、子ども・家族政策を底上げする。


〔10項目の提言〕

1,子育ての基盤となる乳幼児期の子ども・家族政策を重点化する

(1)家族や地域の子育て機能が低下するなか、子どもを育てる最も確実な手段として、乳幼児期の子ども・家族政策を重点化する。
(2)身近な地域で安心して豊かな出産ができる場所を確保する。妊娠や出産前後のケアを通して、切れ目のない施策を展開し、親の社会的な孤立を防ぐ。
(3)保育政策と就学前教育を統合して、子どもが遊びのなかから自ら学び、力をつけていけるように保育の質を向上させる。

2,行政が一体となって総合的な子ども・家族政策に力を入れる

(1)ナショナル・マシーナリー(政府内に充分な予算と職員を持った国内推進機構)をつくり、各省庁が一体となって総合的な子ども・家族政策に取り組む体制をつくる。
(2)子どもの健康、保育、教育、虐待・ネグレクト(無視)からの保護、社会的・経済的な施策を一本化して実効性をもたせる。
(3)「子どもの生存権」、「子どもの権利」の観点を政策に反映させる。子どものナショナル・ミニマム(国が保障すべき最低限の生活水準)を確保する。
(4)生活保護家庭、ひとり親家庭、児童養護施設の子どもたち、障害をもつ子どもたち、外国籍など、様ざまな困難を抱える子どもが、地域で一緒に遊び、学び、暮らすことを保障する。

3,安心して預けられる保育施設・学童施設の確保

(1)第一子を出産する際に、約7割の女性が離職していることに注目し、乳児保育を手厚くする。
(2)親が就労したり、教育訓練を受けている間、時によっては親が心身の健康を取り戻すために、子どもを安心して預けることができる保育施設、家庭的保育制度を十分に確保する。無料または低料金で利用ができるようにする。
(3)どの地域、どの施設であっても、一定水準の質を確保できるようにする。
(4)学童保育(放課後児童クラブ)は仕事と子育ての両立支援、放課後の子どもの生活、安全を守るために必要な施設である。量的な拡充を早急に行う。同時にガイドラインにゆだねるのではなく、国が学童保育の設置・運営について適切な基準を定め、一定水準の質を確保する。
(5)保育、学童施設について、地方自治体への財政援助を強化する。
(6)保育士、学童保育指導員などの働く条件を改善。保育内容の蓄積、向上のために常勤化を推進。虐待問題への対応などについて研修を強化し、キャリアと賃金のアップを図る。

4,仲間と共に学校生活を送るための支援強化

(1)勉強についていかれない、不登校など困難を抱える子どもを手厚く支援する。教員、養護教諭、図書館司書、スクールソーシャルワーカーなどの配置を強化する。
(2)学校生活(修学旅行、クラブ活動なども含む)をみんなと同等に送れるように、就学援助制度、生活保護の教育扶助の水準を上げる。プライバシーに配慮した申請方法にする。
(3)国公立高校授業料の無償化(私立高校授業料の負担軽減)。奨学金、修学資金貸し付け制度について、対象の拡大、金額の増額など、利用しやすい制度にする。
(4)大学や専門学校について、授業料の免除・貸与金、奨学金、修学資金貸し付け制度の拡充を行う。
(5)認可、無認可を問わず外国人学校への支援強化を行う。

5,子どもの健康格差をなくす

(1)誕生
①妊婦健診(14回分)と分娩費用の無料化。
②将来的に妊娠と分娩を健康保険適用し、妊婦健診(14回分)と基本的な分娩費用については、健康保険の自己負担分(3割)を公費負担として本人の負担を無料化する。
③児童福祉法にもとづく助産制度の活用を図る。

(2)医療
①国民健康保険の無保険者をなくす。国民健康保険料の均等割分(定額部分)を縮小して国民健康保険料の累進性を高める。
②国の制度とし就学前の子どもの医療費を無料化する。

6,子どもが育つ住まいの保障

(1)公営住宅の増設とひとり親家庭、貧困家庭の入所枠を拡大する。
(2)ひとり親家庭、貧困家庭に対する民間賃貸住宅の家賃補助制度を導入する。
(3)児童養護施設、母子生活支援施設の入所者への対応を改善する。
(4)保証人を得にくい家庭に対する公的保証制度を導入する。

7,効果的で利用者の立場に立った就労支援

(1)所得の低いひとり親について、職業訓練と生活支援(訓練費用、訓練手当、保育など)をセットにした就労支援を充実する。
(2)就業支援事業と就労あっせん事業を緊密に連携させて実効性を高める。
(3)DV、離婚などの問題を抱えた親ほど、時間的、身体的、精神的な余裕が持てるように、ワークライフバランスを確保する。
(4)男女間、正規・非正規間の賃金・労働待遇の格差是正。同一価値労働同一賃金の徹底。
(5)最低賃金の引き上げ。
(6)中卒、高校中退のひとり親に対する高校卒業資格取得のための支援制度をつくる。

8,経済支援の強化、税制・社会保険料のあり方を検討する

(1)経済的支援の強化

①児童扶養手当制度の改善
・受給5年後の支給停止(現在は事実上凍結)を撤廃する。
・2人目以降の加算額を増額(現在、年収入130万円以下の場合、月41,720円支給、子ども2人目は5,000円加算、3人目は3,000円加算)
・父子家庭も対象とする。
②生活保護の母子加算を復活する。
③児童手当にひとり親家庭の加算をつける。

(2)税制
①消費税の見直しと給付つき税額控除導入を検討する。
②保育所利用費等に対する税制上の優遇措置を講じる。
③寡婦控除(死別・離婚の母子世帯)の対象者を拡大し、ひとり親控除とする。

(3)保険料
①子どものいる低所得の世帯について年金・医療・介護保険料の軽減措置を検討する。

9,子どもの養育費を確保するための法制度を強める

(1)養育費の取り決めを確保する制度をつくる。
子どものいる夫婦が協議離婚する場合、離婚届提出に際し、養育費の額、支払い方法に関して合意書を届け出る制度などを検討する。
(2)養育費の額の妥当性を定期的に再検討する。

10,子ども・家族政策へ日本の経済に見合った国の財源を投資する

(1)日本の経済力に見合った財源を子ども・家族政策に投じる。
  〔各国の子ども・家族関係社会支出の対GDP比を比較するとスウェーデンやフランスが3%台であるのに対し、日本は米国と並んで0.7%台にすぎない。また、公的教育支出も先進国最低レベルで私費負担が大きく格差拡大の原因となっている〕

(2)国の支出を増やして地域間格差を是正する。
  〔社会保障給付費89兆円のうち70%は年金、医療、介護など高齢者に向けられ、子ども・家族関係は約4%(2006年度)。さらに、子ども・家族関係社会支出約4.3兆円のうち、国の負担は約1兆円(27%)に過ぎず、大半は地方自治体(54%)、事業主(12%)、本人保険料(8%)(2007年度)〕

(3)企業の社会的責任を重視する。
  〔企業は労働力不足を懸念して「少子化対策」を国に求めるが、日本の場合、家族関係支出に占める事業主の負担は1割程度と少ない。フランスは6割、スウェーデンは3割〕

(以上)

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