福島みずほのどきどき日記

日本ブランド

 伊勢崎賢治さんはアフガニスタンで部族の武装解除に成功した人である。国際紛争
を解決し、国際平和学を教えている紛争解決のプロである。アフガンと部族の長たち
に「武装・動員解除、元兵士の社会復帰」(DDR)をしてもらい、武器を破壊させる
経過がとっても面白い。

 伊勢崎さんいわく「憲法9条のおかげである」と。日本は平和憲法を持ち、軍事力
をバックに他国に侵略戦争をしないという「美しい誤解」(伊勢崎さん)があって、
DDRに成功したそうな。

 確かに、中東などでは多くの人が親日的である。ポーランドでも中南米でも「ヒロ
シマ・ナガサキ」は知られている。戦後復興を遂げ、科学技術が発達した国として尊
敬もされてきた。

 わたしは、戦後、日本には良いところがいっぱいあったと思う。あると言うべき
か。他国で武力行使をしなかったこと、武器輸出三原則があって日本製の武器が世界
中の子どもを殺傷してこなかったこと、などが特に良い点だと思う。

 伊勢崎さんの話は「戦争をしない」と決めた憲法9条が日本のかけがえのない信
頼、ブランドになっているということである。グッチやシャネルではないけれど、ブ
ランドは一朝一夕ではできない。これはとても貴重である。

 オバマ米大統領がプラハで核軍縮に取り組むと言明した。「唯一の核兵器を使った
国として、核廃絶に努力する」という趣旨のことも言った。また、オバマ大統領の核
廃絶は二つあり、核兵器とプルトニウム利用の二つをともに問題にしている。核兵器
廃絶だけでは駄目であるとの認識は正しいと思う。

 日本は核兵器を使われた国として、もっと核兵器廃絶の先頭に立つべきである。日
本こそ憲法9条を基に平和に貢献すべしと思うが、日本の政治はそうなっていない。

 海上自衛隊がソマリア沖に派兵された。国会で首相に質問をしたが、首相答弁は
「まず、応急措置的に自衛隊を出し、その後、海賊対処法を作る」というものであっ
た。つまり、新たな立法措置を講じないまま海上自衛隊は海外へ出掛け、これから法
律を成立させようとしているのである。国会の事前承諾も一切ない。

 海賊対処法案は、別にソマリア沖に地域を限定していない。これなら「海賊」を名
目に、世界のどこの海にも自衛隊は出掛けることができてしまう。

 世界中には、日本人、日系企業、日本の製品があふれている。それを守れと出掛け
ることができるとしたら、いつでも、どこでも自衛隊が行けることになってしまわな
いか。邦人保護のための派兵ということなら、戦前の侵略戦争の論理とどこが違うの
か。海賊の次は山賊。山賊の次はテロとならないか。2005年に発表された自民党の新
憲法草案は必ずしも国会の事前承認がなくとも自衛隊を出せることになっている。海
賊対処法案の次は自衛隊派兵恒久法案にならないか―。

 前述の伊勢崎賢治さんは今回、「国益」を理由に自衛隊が派兵されたことを「戦後
最大の違憲行為」「憲法9条は日本人にもったいない」と言う。わたしは「ちょっと
待ってくれ。ちゃんと生かして輝かせるから」と言いたい。

【2009/05/18号「Kyodo Weekly」より】

PageTop