福島みずほのどきどき日記

たくさんの涙に応えたい

 先の参院選では、新しい経験をした。街頭で多くの若い人の涙を見たのである。

 千葉県で街頭演説をしていたら、最後に若い女性に声を掛けられた。「学校を
卒業しても仕事に就けなくて。『自己責任』と言われてつらいんです」と、大粒
の涙を流した。

 横浜駅では、20代と思われる女性が「私、独りぼっちなんです。お父さんが
死んで、家族がバラバラ。仕事も首になってしまった」と話をすると、泣きだし
てしまった。

 「日本の母子家庭の貧困率は54・3%。こんな状況で、消費税を上げたらど
うなるか」。こう演説した高円寺駅では、またまた、若い女性が「私、母子家庭
なんです」と言うと、涙を止めどもなく流した。若いママさんではないか。生活
のことを考えながら生きているのだと考えさせられた。

 愛知県豊橋市では、派遣切りに遭った男性と会った。新宿駅では「何回となく
ハローワークに通っても仕事がない。もうじき、雇用保険が切れてしまう」と切
羽詰まった様子で男性が語った。年配の女性にも声を掛けられた。「息子が2人
いるけれども、2人とも正社員ではないんです。だから毎月の給料が乱高下して
不安定。アパートの家賃を払えないから、家を出て独立できない。若者の雇用問
題を何とかしてください」と。

 さらには大阪から東京に戻ってきたという50代の男性は「親の介護のために、
仕事を辞めて帰ってきた。でも、もう限界で施設に預けたくても預かってくれる
所がまだ見つからないんです」と語った。

 赤ん坊を抱っこした女性。「福島さん。障がいのある子どもでもこの社会で元
気に生きていけますか」。話し終わった後、彼女は赤ん坊を見せてくれた。鼻に
は医療用のチューブが通っている。私は政府の障がい者制度改革推進会議で取り
組んできたこと、これからの取り組みについて必至で話をした。

 たくさんの涙。政治は本当に一人一人にまだまだ、まだまだ、届いていない。
どれだけ多くの人が、さまざまな困難を抱えて生きていることか。

 私は、長年の政治、とりわけ小泉構造改革が雇用や社会保障を壊してきたと思っ
ている。雇用の劣化は続いている。人々はそんな政治を転換することこそを求め
ているのに、転換がなかなかできない。むしろ公務員の首を切れと主張するみん
なの党や自民党が躍進をした。民主党内の軸も大きく変わりつつある。

 小泉政権下で「切れ、切れ」とやって、地方の自治体病院では閉鎖するところ
が増えた。新自由主義、弱肉強食の政策が雇用の劣化を生み、医療をはじめとし
た福祉の切り捨てが進行してしまった。格差を是正、貧困を解決、生活を再建し
社会を立て直すことが、個人も社会も元気になるウィンウィン(互恵)の関係を
もたらすはずなのに、これ以上、生活を不安定にして一体どうしようというのか。

 労働者派遣法の改正や有期雇用やパート労働者の権利保護、正社員も含めた長
時間労働の規制こそ急務である。

 街頭での多くの人たちの涙に応えられる政治をやっていくこと。今回参院選で
3度目の当選を果たした私のこれからの6年間の課題である。

(共同通信社会員制情報誌「Kyodo Weekly」8月2日号より)

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