
大阪地検特捜部元検事の前田恒彦被告が日付を書き換えていたという事件には、
本当にびっくりした。現在、上司の2人も逮捕、拘置され、関与の有無が焦点と
なっている。
自白の強要といったレベルではなく、自分のストーリーに合わせ証拠を捏造
(ねつぞう)するということであれば、極端に言えば、誰だって被疑者、被告人
にできることになってしまう。
わたしは、参院厚生労働委員会に属しているので、被害者の元厚生労働省雇用
均等・児童家庭局長の村木厚子さんを知っている。先日、久しぶりに会ったら、
元気な様子だったが、「体重が6キロやせた」と言う。彼女は、自白をせず、無
罪を一貫して主張し、認められた。これは彼女や弁護団の信念や努力に負うとこ
ろが大きかったからだと、わたしはつくづく思う。
事件については、現在、最高検の捜査が続いているが、これだけでは駄目であ
る。検察の、検察による、検察のための捜査や調査になりかねない。柳田稔法相
は、自分の下に第三者機関を設け、民間人も入れて、今回の問題にとどまらず、
検察の在り方全体にメスを入れるべきである。最高検も含めた全体を「検証」し
なければならない。
かつて名古屋刑務所で受刑者暴行事件が起きたとき、わたしは当時の森山真弓
法相に迫ったことがある。「法相の首をかけて、問題にメスを入れ、刑務所改革
を実現してください」と。法相の下に、行刑改革会議が設置され、その結果、監
獄法が約100年ぶりに改正された。
今回の検察庁の問題の発覚を契機として、第三者による検討会議を設け、メス
を入れ、報告書を作成し、必ず制度改革もすべきである。法相にこのことを要請
した。現在、柳田法相は民間人も入れた第三者による会議を設置すると約束をし
ている。わたしはしぶとくこの問題をフォローして、「検証」と「改革」を実現
していきたい。
今まで、多くの冤罪(えんざい)被害者たちと会ってきた。免田事件の免田栄
さんをはじめ、「死刑台からの生還」を果たした方たちの話を聴いてきた。
富山県の氷見事件の冤罪被害者にも会った。彼は強姦(ごうかん)罪で逮捕、
拘置され、実刑判決を受け、刑務所で何年も服役をして出所した。真犯人が現れ
たので、無罪が明らかになった。裁判の負担と刑務所での服役、出所後の困難な
ど、本人は大変な苦労をされてきた。真犯人が出てこなかったら、彼は一生、汚
名を着せられたままだった。
さまざまな冤罪事件が明らかになっても、まだ制度が改革されていない。英国
では、映画「父の祈りを」で描かれた冤罪事件が明らかになった後、捜査の可視
化などが実現した。
国会の中で、捜査の可視化や証拠開示の問題に取り組んできた。政権が代わっ
ても、内閣の方からこの件に関する法案が提出されないのは本当に残念である。
法務省などに対して迫っていくが、議員立法という形でも提出し、実現したいと
思っている。
わたしも狭山事件の再審請求事件にかかわっているが、ようやく一部証拠が開
示された。制度改革によって、「不条理」な捜査をなくすべきである。多くの人
たちと力を合わせて、捜査の可視化と証拠開示を実現したい。
(共同通信社会員制情報誌「Kyodo Weekly」10月18日号より)
本当にびっくりした。現在、上司の2人も逮捕、拘置され、関与の有無が焦点と
なっている。
自白の強要といったレベルではなく、自分のストーリーに合わせ証拠を捏造
(ねつぞう)するということであれば、極端に言えば、誰だって被疑者、被告人
にできることになってしまう。
わたしは、参院厚生労働委員会に属しているので、被害者の元厚生労働省雇用
均等・児童家庭局長の村木厚子さんを知っている。先日、久しぶりに会ったら、
元気な様子だったが、「体重が6キロやせた」と言う。彼女は、自白をせず、無
罪を一貫して主張し、認められた。これは彼女や弁護団の信念や努力に負うとこ
ろが大きかったからだと、わたしはつくづく思う。
事件については、現在、最高検の捜査が続いているが、これだけでは駄目であ
る。検察の、検察による、検察のための捜査や調査になりかねない。柳田稔法相
は、自分の下に第三者機関を設け、民間人も入れて、今回の問題にとどまらず、
検察の在り方全体にメスを入れるべきである。最高検も含めた全体を「検証」し
なければならない。
かつて名古屋刑務所で受刑者暴行事件が起きたとき、わたしは当時の森山真弓
法相に迫ったことがある。「法相の首をかけて、問題にメスを入れ、刑務所改革
を実現してください」と。法相の下に、行刑改革会議が設置され、その結果、監
獄法が約100年ぶりに改正された。
今回の検察庁の問題の発覚を契機として、第三者による検討会議を設け、メス
を入れ、報告書を作成し、必ず制度改革もすべきである。法相にこのことを要請
した。現在、柳田法相は民間人も入れた第三者による会議を設置すると約束をし
ている。わたしはしぶとくこの問題をフォローして、「検証」と「改革」を実現
していきたい。
今まで、多くの冤罪(えんざい)被害者たちと会ってきた。免田事件の免田栄
さんをはじめ、「死刑台からの生還」を果たした方たちの話を聴いてきた。
富山県の氷見事件の冤罪被害者にも会った。彼は強姦(ごうかん)罪で逮捕、
拘置され、実刑判決を受け、刑務所で何年も服役をして出所した。真犯人が現れ
たので、無罪が明らかになった。裁判の負担と刑務所での服役、出所後の困難な
ど、本人は大変な苦労をされてきた。真犯人が出てこなかったら、彼は一生、汚
名を着せられたままだった。
さまざまな冤罪事件が明らかになっても、まだ制度が改革されていない。英国
では、映画「父の祈りを」で描かれた冤罪事件が明らかになった後、捜査の可視
化などが実現した。
国会の中で、捜査の可視化や証拠開示の問題に取り組んできた。政権が代わっ
ても、内閣の方からこの件に関する法案が提出されないのは本当に残念である。
法務省などに対して迫っていくが、議員立法という形でも提出し、実現したいと
思っている。
わたしも狭山事件の再審請求事件にかかわっているが、ようやく一部証拠が開
示された。制度改革によって、「不条理」な捜査をなくすべきである。多くの人
たちと力を合わせて、捜査の可視化と証拠開示を実現したい。
(共同通信社会員制情報誌「Kyodo Weekly」10月18日号より)

