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福島みずほのどきどき日記

愚直に、そして果敢に

 新防衛大綱に、武器輸出禁止三原則の見直しは明記されなかった。しかし、武器の
国際共同開発については「検討する」となっており、これからもまったく油断を許さ
ない。内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の外交公電によると、米国
は日米共同開発中の海上配備型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)の対ヨーロッパ
輸出を可能とするため、日本に武器輸出三原則の見直しを求めている。

 わたし自身が、武器輸出三原則を特にリアルに考えるようになったのは、クラス
ター(集束)爆弾の禁止に多くの非政府組織(NGO)の人たちと取り組むように
なってからである。投下後、1発の爆弾から多数の「子爆弾」が空中で分散するクラ
スター爆弾は不発率が高いとされ、紛争や戦争が終わっても、この子爆弾に触れた子
どもや市民を殺傷している。

 セルビア人のカペタノビッチさんは、このクラスター爆弾の処理技術者だった。爆
弾が爆発し、手足を失ったカペタノビッチさんが来日した際、わたしが教えていた大
学の授業で話をしてもらった。そして、みんなの努力でクラスター爆弾禁止条約がで
き、日本も批准をした。

 日本の自衛隊が保有しているクラスター爆弾の77%は国産だ。わたしは、その数字
を知って、本当にショックを受けた。こんなに造っているのかと。日本は、専守防衛
だから、自衛隊はそのクラスター爆弾を外国で使わなかった。しかし、もし日本に武
器輸出禁止三原則がなかったら、日本製の武器が世界に分散して、子どもたちを殺傷
してしまうだろう。

 クラスター爆弾を造っているのは、米国、フランスをはじめ世界の超大国である。
一方、爆弾で傷ついているのは、アフリカや中東など紛争や戦争があった国々の子ど
もたちや市民である。武器を造って売っている国の人々は傷つかず、造らず、もうけ
もしない国の人々が殺され、傷ついている。この非対称性にもショックを受ける。

 わたしたちは日本製の武器が世界中の子どもたちを殺すことを望むのかということ
が問われている。武器の共同開発をしなければ、乗り遅れるといわれることがある
が、そうだろうか。共同開発とは“奉加帳”にすぎず、各国からお金を集め、米国が
実際上はその利益を占めるという新聞報道があった。武器を輸出し、依存する経済を
いったんつくると、紛争や戦争を支え、継続させることになる。

 共同開発の後、第三国に輸出されることをどうやって制限していくのか。その後、
転売されることをどう食い止めるのか。武器は世界に流れていき、使われる。

 「自民党政治がやれなかったことをやるんだ」と民主党政権が大きく踏み出してい
くことを、いいことはいいが、問題があるものはダメとしっかり主張し、頑張ってい
くのが社民党である。その意味で、まさに社民党の出番だと思っている。

 わたしは、参院予算委員会のメンバーだが、失言とそれに対する批判が延々と続く
場に居ると、こんな議論を国民はちっとも望んでいないとつくづく思う。2011年
―。税制、景気回復、雇用・医療・介護の立て直し、子育て支援、男女平等、環境な
ど、国民の声をしっかりと受け止め、愚直に、そして果敢に頑張りたい。

(共同通信社会員制情報誌「Kyodo Weekly」1月3日号より)

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