福島みずほのどきどき日記

西尾漠さんとの対談録

【福島みずほ緊急連続対談3】西尾獏さん「自然エネルギーへの転換を」 (2011年4月11日収録)

 福島
 今日は原子力資料情報室の西尾獏さんに来ていただきました。ところでたった今、地震がありました。今日は4月11日の午後5時20分なんですが、直前にまた地震があって大変揺れましたね。被害が起きないようにと思っています。3月11日に地震があってちょうど一ヶ月がたちました。まだ避難所生活をしていらっしゃる方も多いですし、福島県の皆さん、県外に避難をしている方も大変多い。先日福島県に行きましたが、あちこちの学校の先生に、新学期をほんとにやっていいのか、子どもの命を守りたい、など直訴でいろいろな要望を受けました。ところで西尾さん、今回の震災、とりわけ原発震災、西尾さんはずっと原子力発電所のことに取り組んでこられましたので、この原子力発電所の事故についてどう思っていらっしゃいますか。

 西尾
 今、一ヶ月という話が出ましたよね。原子力発電所の事故の影響や被害が長く続くことはわかりきったことなんですけれど、事故そのものは一ヶ月続いて、まだこれから先も見えないのは、これは世界でも例のないことです。大変な事故だというのが一番大きな印象ですね。

 福島
 そうですね。今後、私たちはどうしていったらいいんでしょうか。

 西尾
 とにかくまず、この事故そのものを何とか一応の終息状態に持っていかないと何もならない。それにできるだけのことをするしか、さしあたりはない。そこにはもう原発を推進するも反対するもないわけで、何とかしてともかくこれを一段落させて、その上で長期的な対策を立てていくことだと思います。

 福島
 私も国会で質問しましたが、内部被曝や晩発性、時間がたったあとに被曝の結果が出てくるということなどを考えると、直ちに健康に影響ありませんという政府の発表はあまりに無視していると思いました。安全な被曝などない、海水・水・土壌・空気が汚染されて、放射性物質を多くの人が、生き物が浴びなくちゃいけない、これに対しては怒りもあるし、ものすごい悲しみもありますよね。社民党は脱原子力・自然エネルギー推進と言ってきた政党なんですが、今後の私たちの政策課題について話して頂けますか。

 西尾
 原子力発電所、ほんとうは今すぐに止めたいと思っているんですけれども、おそらくそれはなかなか難しい。それをできるだけ早く止めていくことをやはり考えていかないといけないと思うんです。特に今、浜岡とは、すぐにも危険が迫っているかもしれないものについては特にすぐに止める。そうでないものについては一応できるだけ、ほんとの意味で全く安全なんていうことはありえないわけですけれども、ともかく考えうる限り安全な形でまず維持をしていく。そのうえで、どんなに安全にしたところで事故は起こるかもしれないですし、廃棄物はたまっていきます。できるだけ早くそれを止めていく、ということだと思います。

 福島
 私は西尾さんのご本をたくさん読んできて、原子力発電所がなくてもこういう風に変えることで社会が変えられる、ということをたくさん書いていらっしゃいますね。

 西尾
 電力の需給だけで考えればそんなに難しい話でもないと思うんですね。ただ、地元の経済の話や、日本全体の経済の話とか、そういったことまで考えていくとすれば、やはりすぐに今五十何基あるものを止めるというふうにはならないと、それはできるだけうまくやらせていくことを考えたいと思います。

 福島
 新規の原発は建てない、老朽化していくものは廃炉にしていく、危険と言われる静岡の浜岡原子力発電所、それから柏崎刈羽の原発など、もんじゅ、六ヶ所などを止めるべきですし、すぐさま上関原子力発電所や大間原発は建設中止をすべきですよね。新規のものはありえないし、プルサーマル計画もやめるべきだと思います。ですから、できるだけ早く、それは十年くらいなのかよくわかりませんが、やはり、こういうふうになくしていく、そういう方向できちっと政策を変えるべきだと思いますよね。

 西尾
 いろんなシナリオが作れると思いますし、かといって、そのシナリオをどうやって上手に作るかということだけを考えていてもしょうがないので、まず、基本的な政策を決めて、そのうえでそれを実現するシナリオを考えていくことだと思います。

 福島
 電力需給から考えて、今全部止めることは難しくないとおっしゃったことについてもう少し話していただけますか。

 西尾
 今やはり原子力発電所は五十何基もありますから、それなりの割合を占めているわけで、一番たくさん電気を使うピークの状態の数字の上で言うと、原子力発電所がないとやはり足りないと思います。おととしは冷夏だったので、火力発電所を、定期検査に入っているものは止めたままで、なおかつ原発を全部止めても大丈夫なくらいだったのですが、さすがにそれは去年みたいな暑い夏だとそうはいかない。それでも、原子力発電所の半分止めても、おそらく大丈夫なくらいだと。それは節電の努力をすれば、その半分を減らせばいいわけですからそんなに難しい話だとは思っていません。

 福島
 そうですね。節電と、それから他の原子力発電所以外のものを活用するとか、そういうふうにすれば夏場だってしのげると思いますよね。

 西尾
 さしあたり、今はやはり節電だと思いますけれども、将来的には節電よりは、エネルギーの利用効率を上げていくことや、自然エネルギーをもっと上手に使っていくことなどで十分に対応可能で、原子力発電やめたらその分火力発電を動かすというのでは何にもならないので、原子力発電をやめる、火力発電も増やさない、できれば減らしていくことをしっかりやっていきたいと思っています。

 福島
 他に何かご提案ありますか。

 西尾
 原水禁のエネルギープロジェクトとで、提言をまとめたりもしていますが、それをできるだけ大勢の人にきちんと訴えていきたいと思っています。

 福島
 今まで原子力発電所の危険性と問題点を指摘されてこられて、社民党もそうだったわけですが、今回の事故について、何が原因でどう思っていらっしゃいますか。

 西尾
 今回の事故について言えば、想定外想定外と言われているわけですけれども、本来ならちゃんと想定していなければいけなかったことを想定していなかったから想定外になったんだと思っています。やはりそれは、原発の大きな事故は起こり得ないと考えてきた、そうは言いながら実は今まで何べんも大きな事故が起きているわけです。そのたびに、反省します、教訓にしますと言いながら、実際には教訓化してこなかった。ついこないだの柏崎刈羽の中越沖地震での被害にしても、それを教訓化していれば今回のことはずいぶん違ったと思いますけれど。

 福島
 私もいろんなところの、例えば石川県志賀原子力発電所は臨界事故を起こしていたが、何年間もそれは全く報告されていなくて、臨界事故が起きていたということがわかった時点で志賀原子力発電所に行きました。ですからいろんな事故が今までも繰り返し起きていたり、臨界もあった。それから、柏崎刈羽の時だったと思うんですが、まわりのモニタリングポイントの電源が全部落ちてデータが取れないという、志賀原子力発電所のときもたしかそうだったんですが、あらゆることが、原子力発電所もモニタリングポストも、要するに電気で動いているので、データ下さいというと、申し訳ない、電源が全て落ちていたので、どれだけの放射線量が出たのかわかりません、と言うんですね。私はそんなばかな、と思って、今回の福島第一原子力発電所でも、まわりのモニタリングポストの電源が落ちましたと一切出て来ず、欠損となっているんですね。途中ではモニタリングカーで少しやってはいるんですが、それは電気でもう少し何か工夫をするとか、モニタリングポイントすら出てこない。ですから、前から言われていることが全く教訓化されていないんですよね。

 西尾
 電源が喪失する事故というのは海外でも起きているわけですし、それに対する対応はきちっとしておかなくてはならなかったわけですが、それをしてなかったのが一番大きな問題だと思います。今について言えば、20キロの範囲の中は全く測定がされていないわけで、ここはちゃんと丁寧な測定をしておく必要があると思います。

 福島
 国のレベルでの、避難訓練もそうですし、今回のようなひどい事故が起きることを念頭に避難訓練もしていないし、モニタリングポストもすごく少ないし、電源が落ちているのでデーターが出てこないんですよね。少し前に復活をしましたというニュースを見ましたけれど、ですから、私はやはり、原子力発電所は安全だ安全だと、保安院・経済産業省・原子力安全委員会、いろんなところ、それからもちろん電力会社が安全だと、自民党も民主党もそう言ってきて、安全だ安全だ大コールの中で守ってきたわけで、自民党政権が圧倒的に長いですけれども、その中で、こういう事故が起きても、深刻な事態に対応できていないと思います。

 西尾
 それを何とかしないといけないです。やはり、これだけの事故が起きてしまっているわけで、これを何とか早く解決に向かわせないといけない。それに対していろんな人から意見が出ていると思うんですけれども、それがきちんと取り入れられていない。そういう意味での問題もあると思います。

 福島
 青森県の原子力発電所も女川原発も、こないだ地震が数日前にあってその結果非常用電源が失われて、外部電力があったけれども、非常用電源がうまくつながってなかった綱渡りの中でやっと確保をした。女川も青森県の発電所も、福島第一のような事態は起こりうると思うんですよね。

 西尾
 そうです。最初の3月11日のときに東海でもやはり電源が一つ落ちたということがありましたので、当たり前のこととして想定していないといけないと思います。

 福島
 でもそういうことは想定しない、そういうことは起こりえない、と言ってきたわけですからね。津波についても、浜岡原子力発電所を見に行くと堤防がなくて、小さな砂丘を堤防だと言ってきたに過ぎないわけで、また耐震設計も終了してないわけですよね、中越沖地震のあと。福島は一応終了したと保安院は言って、でもそれは今回想定外になったわけですけれど、今、新しい指針はできていないわけですよね。それは津波ではなく、浜岡原子力発電所などは直下型地震がおきてしまうと、全部壊れてしまうわけで、津波対策どうしようとか言っていても、それはもう違ってくる。いろんな形のいろんな災害、いろんな問題が起こりうると思います。

 西尾
 事故が起こると、その直接の問題になったことの対策をする、だけど、それもかなり不十分だと思いますし、あるいは今回の福島の事故について言えば、必ずしも津波だけじゃなくて、やはり地震そのものによる被害はあると思いますから、ただ、それにしても、津波の被害が大きかった、だから津波対策をします、その対策も非常に不十分で、それで本当に安全になるのか、ということをむしろもっと根本から考えねばならないと思います。

 福島
 そうです。浜岡原子力発電所は津波の対策は全くできていない。あの砂丘を堤防だと言えないし、今回新たな壁を作るといっているけれど、それだって高さがどうなのか、しかもまだできていないわけですから全く不十分なんですが、津波に気をとられているが、実は直下型地震が起きれば、あそこは全部非常用電源もヘッタクレもなく、だめになってしまうわけで、その点はほんとにだめだなと思いますね。浜岡原子力発電所できれいなパンフレットをもらって、原子力発電所は地震対策は安全ですと、つまり、自動停止します、と書いてあります。だから、地震があれば自動停止をする、というところで実際は終わっていて、それで大丈夫なように人々に思わせていたけれども、しかし、止まったあと、ずっと冷却しなければいけない。でも今回の福島第一はまともな形の冷却は全く出来ていない、熱交換器も壊れているわけですから、水をかけているだけで、ほんとの問題点は全く出ていないわけですからね。

 西尾
 昔は地震があっても原発は止まりませんでした。それが安全論議になって、そのうち、止まりました、だから安全です、となって、だけど、実際今度は止まっても、冷却ができない、放射能の放出が続いているということは、止まったことに何の意味もないわけですから、そういうことを繰り返しているという気がしますね。

 福島
日本は地震大国、極端に言えばどこで地震があってもおかしくないですし、それから地震学会から、活断層がもっとあるじゃないかとも言われています。原発を建てるために、活断層などが過小評価されるということもとても起きていると思いますが、いかがでしょうか。

 西尾
 それもあるし、活断層は必ずしも見つかるとも限らない、ないと思っていたところに実際はあったということもありうるわけですから。いずれにしても非常に条件の悪いところに、しかも1つの発電所に何基もの原発が並ぶ、今回にしても、1号から6号まで6基、第2まで合わせると4基という、それによってこういう大きな事故になったという側面もあるわけですよね。そういうことを考えると、やはりそもそもこういうことはやめなくちゃいけないし、危険性の多いところから止めていかなくてはならないと思います。

 福島
 保安院が平成14年に作ったいろんなアクシデントの場合というのだと、原発が集中しているのでAがだめになってもBから電力をもらえばいいとかずっと書いてあるんです。ああいう全く机上の空論、きれいごとを言って、これがあるから大丈夫大丈夫と言い募ってきたことはちっとも機能していない。ほんとうに空しくなりますね。安全だ安全だ、そういうことは起きないと言い募ってきた責任は大きいと、ですから津波はまさに天災ですが、今回の原発震災で、原子力発電所による震災はまさに人災だと思いますよね。

 西尾
 まさに人災ですよね。

 福島
 今回の被害について本当に心が痛みますよね。

 西尾
 何とかうまくおさまってほしいと思いますけれど。そのうえできちんと、これから原子力発電所をどうするのかという大きな議論をしていかないといけないと思います。

 福島
 今すぐ原発は止めようと。原子力発電所は私たちのコントロールできるものではないと、地震のある日本で、あるいはいろんな災害でコントロールできないわけですから、原子力発電所は止める。そのために今から何をやっていくか、危ない原子力発電所はすぐに止めてくれ、と思います。一緒にこれからがんばっていきましょう。

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