福島みずほのどきどき日記

平田仁子「3つの25%は可能だ」対談録

 福島
 本日は気候ネットワークの平田さんに来ていただきました。気候ネットワークは、ずっと地球温暖化防止の地道ないい活動をしているNGOです。
 私たちは、計画停電か原発か、あるいはCO2が増えるか、その選択肢しかないように思いこまされていますが、そうではなく、原発はやめて、でもCO2はきちっと削減し、そしてみな生きていける、というようにしていきたい。
 3つの25、3つの25%は可能だ、という、これは、4月19日に気候ネットワークとして出された「25%節電、温室効果ガス25%削減、再生可能エネルギー電力25%、は同時に達成可能」というすばらしい試算をされました。これはインターネット上も見られますので、どうか皆さん、見てください。
 この3つの25は達成可能だ、ということについて、社民党は脱原発ですが、それも含めて話をして下さい。

 平田
 今回の原子力発電所の事故で、多くの人は原子力のリスクや見えない恐怖を実感したわけですが、この原子力のもう一つの問題は、この十数年来叫ばれている地球温暖化対策のど真ん中に位置づけられてきたということです。 少し遡って1998年の京都会議で京都議定書ができて、日本が6%削減することが決まったわけですが、そのときの国内でどうやって達成するのかという政策の真ん中に、原子力発電所を2010年までに20基新たに作る、ということが前提として置かれていたんですね。
 その時点で、10年少々で20基新たに建設するということは、タイムスパン的にありえないような想定だったのですが、これはなんとしてもやるということを温暖化対策に織り込んだがために、それ以外の本来とるべきさまざまな省エネ対策とか、オルターナティブとして進めていくべき再生可能エネルギー政策が、あと延ばし、小手先対応で、ほとんど手を打たれなかったという状況があります。
 しかし、実際には、地元の建設反対とか、2003年の東京電力のトラブルで止まったとか、柏崎刈羽の原発が地震で止まったとか、想定どおりに進まないことがたくさんありましたし、新設という意味でも、この時期に新たに3基建ったというのみに終わっていますので、原発ができなかった分、CO2が、その分石炭をたいた、他の燃料で補填したということとあいまって、結果的にCO2は2008年、リーマンショックになる前まで全然減りませんでした。むしろ石炭を減らしてきたことで、二層の排出(?)は増えてきたという状況があって、原子力を進めるということで温暖化対策を進めるという政策は、温暖化対策自体が破綻しているということを、今までの実績が物語っていると思います。
 NGO としては、原子力は温暖化対策にならないということを過去の実績から言ってきて、政権交代があってからもその事実と共に指摘して来たのですが、2020年の計画、2030年の温暖化対策の計画も、やはり今までと同じような、むしろスピードアップするような勢いで原子力がCO2を出さないクリーンなエネルギーと位置づけられている状況で、これから先の温暖化対策も懸念していたところです。
 今回のことを受けて、本来とるべきCO2対策に立ち戻る必要があると思っています。
 今ご紹介いただいた「3つの25は達成可能だ」というのは、実は2009年に民主党政権が25%を掲げた時に、国内で25%削減というのは余裕を持って達成可能だということを実証するために私たちが試算をしたものの焼き直しなのです。その当時から原子力発電と再生可能エネルギーを両方進めるという選択肢はなくて、原子力からは離れていく方針で、40年で順次廃炉にしていく、新設しない、という前提を立てていたのですが、今回新たに福島の第一原子力発電所の6基、隣接の第二原子力発電所の4基、そして、福島さんが力説していらっしゃる、地震のリスクのある浜岡原発と柏崎刈羽の原発を止めて、かつ、40年経った原発は順次廃炉にしていくという前提に改めて置き換えて、温暖化対策が可能かという試算をしなおしたものです。
 それでしなおすと、2007年と比較すると、原子力による発電量は、2020年に半分くらいになる予定です。けれど、省エネ対策をしっかり取ることと、再生可能エネルギーを大幅に増やすこと、この2つの対策をしっかり織り込むことで、25%削減は達成可能だということが対策メニューからも試算できたので、今回報告しました。

 福島
 報道もありましたし、中味を見て面白いなと思ったのは、火力発電の中で、石炭だとCO2が増えるので、天然ガスを使うことでCO2削減もできるという提言をされていますね。

 平田
 天然ガスももちろん化石燃料なんですが、石炭と比べると二酸化炭素の排出量が半分くらいに抑えられるので、いつまでも天然ガスに頼っているわけにもいかないのですが、特に、原発で足りない分をどうするかという話があって、供給力を見ると石炭をあえて増やさなくとも、省エネをしていくことで東北でも東京でも電力量はまかなえると見ているんですが、それでも今ある石炭から天然ガスにシフトしていくことで、CO2を減らしながら必要な供給はまかなっていき、低炭素社会を描いていくことが可能だと見ています。ここで天然ガスを増やすとなると、供給は大変じゃないかという話もありますが、温暖化対策の大前提として、今壮大な実験に入っている節電とか省エネで、エネルギーの消費を少しでも小さくするということがあり、かつ、効率の良い発電所に更新していくことがセットになるので、割合としては2020年の天然ガスでの発電割合は増えるけれども、燃料の量は今とそんなに変わらないという試算になっています。

 福島
 すると、新規の原発は建てない、古いのは順に、30年から41年のが18基くらいですかね、止める、危ないのは、とりわけ危険の高い浜岡・柏崎刈羽は全部止める、ということですが、社民党はリアルな数字を電力会社ごとに供給と総電力量を出そうとしていて、総電力量は多いけれど、実際の供給は実は少ないので、東電は今の段階で福島第一・第二、柏崎刈羽も一部動いてない状況はあり、他の電力会社も、関電は原発の依存度は高いのですが相互に融通も利くわけだし、実は、今やってもできるんじゃないかというふうにも思っています。現に54基あるうち、今動いているのは22基なので、原発がフルに動いている状況でもないんですね。その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。

 平田
 基本的に設備はじゅうぶんあって、融通できないエリアどうしもありますが、エリアごとに見ても原子力発電を止めても、供給という意味では今止めても全く問題ないと私どもも思います。また、原子力ができないと石炭が増えるから温暖化は後回しにしようという、単純に原子力政策は見直さず、なぜか温暖化だけ見直す、どういうことかな、というのはありますが、そういう議論をする時には、省エネの効果を無視して、今と同じだけの需要があるという前提に立っていますので、これは相当省エネでカバーできるはずなので、危険な原発を検証できるまで待つというのではなく、今止めたうえで、地域の人たちにとっても安全で、地球環境にとっても安全で、未来を保証してゆけるエネルギーに舵を切るということが政治の位置で今必要になっていると思います。

 福島
 菅総理も、新規も含めて白紙です、原発事故が終息したら検討する、と言っていますが、今でもできると思います。ところで、25%節電、温室効果ガス25%削減、再生可能エネルギー電力25%、ヨーロッパも2020年までに20%としていますが、まず、節電について話していただけますか。

 平田
 この節電については、短期的に今年電力を節電することと、2020年に25%電力消費を減らす社会を作るということとは、時間の差があると思うんですが、今年、壮大な実験で15、20、25減らすということをいろんな工夫をしてすると思うんですが、家庭でも工場でもありとあらゆるところで、エネルギーの無駄がどこにあるかを総点検して、これからさき数年後に継続して省エネ型のビジネスなり暮らしができるような投資の機会を探ると思うんですね。それによって、今年は我慢かもしれないけれど、システムとして省エネが続くような、恒久的な省エネにつながていく機会にすることが大事だと思います。
 投資というと、お金がかかるという話があるんですが、3年とかの短い期間で投資と考えると高いかもしれませんが、家庭で使う機器が10年とか、もちろん、工場や発電所の設備だと何十年と使いますので、いったん省エネすると、燃料代・電気代が浮いてくるという、得になる、プラスのコストがあるので、そうした視点でどんな省エネの投資ができるかを考えて行動するのが、今年の重要なことだと思います。それが2020年に25%の節電につながるようになると思っています。

 福島
 気候ネットワークとしては、2020年が一つのポイントですね。この、25%節電、温室効果ガス25%削減、再生可能エネルギー電力25%、とりわけ、再生可能エネルギーは、ヨーロッパも2020年までに20%、もっと多く言っているところもあるので、これは実現が可能ではないでしょうか。

 平田
 そうですね。動きとしても、環境省のポテンシャルの試算もありましたけれども、これからは再生可能エネルギーで、ということは、技術的にも、意思決定さえあれば、ポテンシャルも含めてじゅうぶん可能だと思います。コストも、環境の価値と合わせて、長期的に見れば全く、むしろ原子力とは比較にならない安い電力費になると考えています。
 むしろ、がけっぷちかも知れないと思うのは、温室効果ガス25%削減ですね。これがどういうふうに転ぶのかが、政府の見解が見えないところなので、私たちの試算では、東北の復興とか、東京電力の供給を回復するということの効果を見ても、多少電力が上がるんじゃないかと言われるので、そういう効果を見ても、それほどの大きなエネルギーの増加、CO2の増加には短期的にはならない、京都議定書の達成に影響を与えるようなことにはならない、と。むしろ、これからどういうエネルギー源で電力をまかなっていくのかという、これは政策的判断なのでそれ次第で、温室効果ガス削減を見直す必要はまったくない状況かと思っていて、原子力がないとCO2を減らせないというのは、むしろ刷り込まれた一つの考え方でしかなくて、さまざまな手段があると思っています。

 福島
 CO2も困るけれど、原子力発電所から日常的に出る放射性物質。作業員で被曝する人たちもいるわけですし、今回の事故で、環境に優しくクリーンなエネルギーなんて口が裂けても言えなくなったので、CO2 も困るが、放射性物質も嫌だと、ちゃんと選択肢がある、と。そういうふうにすると、むしろ産業も発展すると思うんですね。

 平田
 そうですね。むしろ、東北がモデルになるといいと思っているんですが、これから復興していろんなものが作りあげられるときに、温暖化防止に寄与するようなさまざまなビジネスとか、再生可能エネルギーの拠点を作っていくということで、新たな雇用を生み出していって経済発展のモデルにしていく、そして、CO2も出さないし、原子力も頼らないというようなモデルができれば、これは世界に本当に良いモデルとして示せることになると思いますし、実際に海外の再生可能エネルギーを進めているところで雇用がどんどん生まれているという実例もあるので、これはほんとうに震災復興と温暖化対策、原発に頼らない、ということを一体として、かつ、地域が自立してエネルギーをまかない、地方分散型の社会を作るということと、一体となってできる機会だと思います。

 福島
 岩手も増田知事のときに、とりわけバイオマスなどを非常に熱心にやっていて、東北の復興こそ、自然エネルギー、さっきもおっしゃいましたが、環境省からも、東北・北海道は自然エネルギーのポテンシャルが高いという報告書が出されましたので、いまどき出して拍手、と思ったのですが、環境省もがんばってもらいたいですね。

 平田
 がんばってもらいたいですね。ここ最近の方向性によっては、世界から、日本は仕組みを含めて変わっていくというふうに見られる機会にもなるでしょう。逆に、また元のエネルギーをたくさん使う社会を作ってしまった、石炭や原発に回帰してしまった、となると、あちらを立てればこちらが立たない、ということでは、今、いろいろな社会・時代の要請がある中では、きちんとした解にはなっていないと思いますので、ここはしっかりと両方を、温暖化対策と震災の復興とは共通点も多いと思いますので、あちらはあちら、こちらはこちらという変な議論にならないことを祈っています。

 福島
 そうですね。経済産業省がエネルギー政策をやってきたことが正しかったかどうかと私は思っていて、本来はエネルギー政策は環境省でやってもいい。ただ、もちろん、雇用や産業育成という合理的な面もあるので、必要な反面、原発政策を推進するという立場、そしてCO2を削減すると経済に悪いみたいな議論しかできないのは非常におかしくて、経済産業省がリードしてきた原発政策推進とCO2削減は経済にとって悪いという、この2つを根本的に改めない限りだめだし、経済産業省からエネルギー政策を引っぺがした方がいいんじゃないかと思っています。

 平田
 そういう動きは欧米でありまして、気候エネルギー省を作るとか、エネルギー政策と環境・気候の政策は一体なので、これはばらばらにやるわけにはいかないということで、気候省をエネルギー政策と一緒にやっているような国が、デンマークとかイギリスとかありますので、そういったことも合わせて一本化して、エネルギー政策に口を出せない環境政策というのはおかしな話なので、(福島:気候エネルギー・環境省としたらいいかもしれませんね)考え方としてはそういう方向を目指していくべきだと思いますね。

 福島
 気候エネルギー・環境省、いいですね、がんばります。気候ネットワークは、3つの25は達成可能だ、2020年に25%節電、温室効果ガス25%削減、再生可能エネルギー電力25%、そして原発に依存せず、CO2も減らしていく、そして、もちろん、節電・省エネでもビジネスを作っていく、地方分散型のエネルギーで、環境をどうしていくのかと産業・経済と、合理的なんだと、こういうふうに考える方が合理的な社会ができるのだという、きちっと資料もつけて出していただいたと思っています。やはり、地球温暖化も困るし、原発に依存する社会も困るし、この社会を、3.11以降ほんとに変えたいですよね。最後に一言どうぞ。

 平田
 今回感銘を受けたのは、もう少し増えたかもしれませんが、134カ国くらいの国から支援を受けて、うち93カ国はむしろ日本がODAで支援している国だということで、非常に貧しい国からも支援があったということですよね。そうした国々の名前を見ていると、気候変動が本当に厳しい、洪水とか旱魃の被害にあっている国々もあって、そういった国々との連帯感を感じることの一つのきっかけにもなったなと思っていまして、気候変動の問題は本当に世界の地球環境の問題、今回は自然災害がきっかけでしたが、自然災害はもっとひどくなると言われていることを抑えていこうという課題ですので、やはりここは、世界の人と共にある日本だということを頭において、気候変動と震災復興の対策とを一体として進めていってほしいと思います。
 G8で菅総理大臣が、新エネルギー・原子力構想を出されたいということが報道されていますが、新エネルギーを大幅に増やしていく、後に100%にするんだというような意思表示を是非してもらいたいですし、原子力について何かものを言うとすると、世界が大変注目しているので、中途半端なことでなく、原子力に依存しないということを世界に発信すべきだと、そうでなければ逆に批判があるだろうと思います。合わせて、これまでのG8の大変重要な課題であった、あり続けている気候変動の問題について、25%どうするんだということも世界は注目しておりますので、ここはしっかり25%は堅持した上で、両方しっかりやっていくということをぜひ出してもらいたいと思います。

 福島
 政権交代が起きたということは、今までの政官業癒着をやめて、もっと違う、環境と人間に優しい、そして、経済合理性もある社会を作るということなので、そこに向かって根性で頑張るべきですね。はっきり、原発には決別すると言ってほしいですね。依存はやめようと。

 平田
 そうでないといけないと思います。

 福島
 一緒に力を合わせて頑張りましょう。有難うございます。

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