福島みずほのどきどき日記

田中三彦さん対談概要「地震で揺れていた原発」(2011年6月16日)

 福島みずほ(以下「福島」)
今日は田中三彦さんに来ていただきました。サイエンティストライターとしてご活躍ですが、福島第一原発の4号炉の設計をされた、圧力容器の設計者(田中:もと、ですね)ですから、今回の福島原発の事故については、わが子が傷ついているような感じがされますか(田中:そういう感じは全然ないです)。
 今日は専門家の立場からじっくり話をお聞きしたいと思います。まず始めに、今回の原発事故についてどう思っていらっしゃいますか。

 田中三彦さん(以下「田中」)
 ショックですよね。津波と同時並行だったじゃないですか。見ながら、こういうものを見ていていいのかと思う心の片隅で、原発がどうなったかというのがありました。夕方、原発の調子が悪いというニュースが入ってきてそれからは原子力発電の方に心が動いて行きました。原発だけというよりは、石橋先生がおっしゃっていた原発震災というのがもろに起きたという感じで、どこをみていいのか、何を考えていいのか、不安がすごかったです。

 福島
 元設計者ということで、今回の事故の原因の、田中さんの分析はいかがでしょう。

 田中
 最初はそれほど思わなかったけれど、地震動が大きくて長かったので、これはどこかこわれたかもしれないなと、頭の中にありました。だんだんデータが出て来て水位があっという間に落ちるというようなことがわかってきて、これは地震でやられているなと、特に1号機についてそう思うようになりました。

 福島
 地震なのか津波なのかという点ではどうでしょうか。

 田中
 誤解のないようにきちんと言っておかないとなりませんが、津波がもしなければ、事態は大きく変わっていたと思います。けれど、地震でいったかどうかは非常に重要な問題で、地震でもし壊れているようなことがあると、特に配管が壊れてそこから冷却材が漏れるというような事故があれば、世界では初めてですから、そういうことがあってはならないと原発の設計者としてはいっしょうけんめいやるわけですが、それが起きたのではないかということになると、津波だけの問題ではなくて、それ以前の原発の耐震脆弱性の問題があがってくるので、これは津波のために護岸工事をするとか、電源車を配備するということだけでは済まなくなるので、全国の原発全体の耐震脆弱性という根本の問題となりますから、原発推進側にとっては触れたくない話、でも、触れないとならないのでは、と僕は言っているわけで、全部が全部、地震で起きたということを主張しているわけではありません。
 地震でも大きい問題が起きている可能性がある、それをきちんと調べる必要がある、と、できるだけ大きい声で言っているんです。

 福島
 中越沖地震の時はまさに地震で、私たちは地震の翌日に入って、かなりガタガタになっているのを見たんです。今度は、福島は、津波、津波と言われて、福島原発の場合、津波も大きいけれど、津波対策となっていて、いやそうじゃない、地震も大きな問題だと、両方問題にしなければならない。私自身は、ブルームバーグ社が報道した、地震のあと、津波が来る前に、放射線が漏れていてモニタリングポイントの警報が鳴ったというのがけっこう大きいと思っていて、放射線が漏れていた可能性があるんじゃないか、今回のIAEAの報告では、地震によって何が起きたかはきちっと調査しなければならないという記述になっているけれども、地震で何が起きたかはまだはっきり書いていないし、これからの検討事項になっていますね。

 田中
 IAEAに報告すること自体が、ある意味ではだめなことだと僕は思います。被害の報告などだといいと思うのですが、事故の原因にまで、暫定的とはいえ触れており、その中で、地震による被害はないと最初の方に明記しています。そういう事故調査はこれからやらなければいけないのに、なんでその原因まで予断のようなことを書いてしまうのか、僕はそれがいけなかったという気がしています。
 おっしゃるように、津波が来る前に、モニタリングポストが異常数値をキャッチしているとか、水位計の話とか、都合の悪いことになると、東京電力も国も、測定がおかしいんじゃないかとか(福島:エラーが起きた、とか)という話にもっていく傾向があって、それは事故調査として早合点、軽率という気がします。

 福島
 地震と津波で、地震によることはこれからも検討しなければならないというような記述になってはいるのですが、圧倒的に津波によるということが強い報告になっていますね。

 田中
 シミュレーションも、配管が破断したかどうかとかいろんなケースをシミュレーションするといいと思うのですが、あくまで配管は破断していないということでやるわけですね。どうしても一つ実現したいことがあって、どうやって格納容器の圧力が上がったかとか、専門的になりますが。

 福島
 格納容器が7気圧まで高くなる、それはなぜか、ということですね。

 田中
 非常に重要なポイントで、東電の数値を言うと8.4気圧で、絶対気圧ということで、私たちは7.4気圧というのですが、中でどんな大きな事故が起きても4気圧前後にしかならないはずだったんです。それが7気圧以上になっている。このことを絶対に説明しないとならない。その一つとして、メルトダウンをあげて、原子炉圧力容器の底だか脇を抜いて、そこから高温で高圧のガスが外へ出てくるので、そうすると格納容器の圧力が7気圧以上になるということをめざした解析なんですね。だけれど実は7気圧に上がる理由は別の考え方もあって、地震によって、よく言われるけれどドーナツ型をしたサプレッションチェンバの中の構造が地震で破壊されると圧力がうまく抑制できなくなってしまって、蒸気が水の中に溶け込まないために格納容器の圧力が上がるという可能性があって、これは昔から指摘されていることで、それで説明することも可能です。
 そういうシミュレーションはしないとか、都合の悪いシミュレーションはしていない、自分たちの都合のいい結果を導くシミュレーションをやり過ぎている、それを仮とはいえ、報告する、国の名前で出して国際機関がそれを認めるという形を取りますので、非常に問題があると思っています。

 福島
 さまざまな解析やさまざまな写真やさまざまなものから、またいろんな可能性を全部洗い直さなければならないことですものね。

 田中
 事故のプロセスには、人間が必ずからんでいるので、事故調査とは、人間と機械の対話の結果みたいなところがあるわけです。飛行機だってフライトレコーダやボイスレコーダをすぐ回収して、どうして墜落したかとか解析しますよね。事故のプロセスは、今回で言うと、運転者の方と原発が対話した記録が水圧計とか水位計、圧力計に出ているわけだから、運転者の方のインタビュー、記憶が消えないうちに、どういう操作をしたのか、さっさとやらなければならなかったのだけれど、それと運転データの照合ですね、そういうものをきちんと分析することが重要ですね。
 コンピューターがないときはまずそういうことをやっていたのだけれど、すぐシミュレーションに走るという、それはあまりよくなくて、基本的なデータをきちんと固めるとか、運転者の人の記憶が消えないうちにやるというような、基本的な手続きをやっていかないといけないけれど、東電も国もやっているのかいないのかわからないし、はっきり運転者の人が出てこないですね。データ、情報の制限をしているという気がします。

 福島
 とにかく、国の安全指針が全くだめだったということが明らかになったので、安全指針を、耐震設計ももちろんだし、安全設計指針そのものをいろんな形で全部見直さないとだめですよね。それなくして再稼働はできない、と思います。

 田中
 僕も全く同じ立場です。耐震のこともきちんと調べると。これは学習ですからね。それはなかったと言って、3時37分だったか、その先のことばかり話をするのではなくて、2時46分に起きた地震から3時36、7分まで何があったか、是非、福島さんにも徹底的に追及して頂きたいと思います。

 福島
 がんばります。ところで、国家戦略室の素案で、原発も重要な戦略と位置付けていて、世界一安全な原子力行政というのに私はびっくりしました。安全な原発とか。今全部すぐ廃炉になるわけではないから、できるだけ安全にすることは大事ですけれども。IAEAへの報告は、問題もあることはあるが、たくさんのメニュー、28項目挙げていていろんなことが書いてあるわけです。一つ一つの原発を独立させる、電源も、中央制御室も万が一のときに放射線防護できるようにするとか、あの項目、教訓、と書かれているところを全部やったら莫大なお金がかかるし、じゃ、ほんとうにできるのか、使用済み核燃料が上にあるのを下におろせるのか、とか、安全な原発というのがそもそもあるのか、安全性の追求はもちろんだいじだけれど、莫大なお金がかかる。だとしたら、もう自然エネルギーや別のことにお金をふりむけるべきではないかと思うのですが、このことについてはどう思われますか。

 田中
 何も学習していないですね。いつも、小さいのも大きいのもどんな事故でも起こると、安全な原発を作るとみな言うんですよ。今の原発そのものがどういう考え方で行くかというと、おっしゃったようにコストの話が必ず出て来ます。原発は地震などに対して、安全性を最優先して作っているかというと、まず思想が違うのです。地震のような滅多に起きないものに対して金はかけない、そのかわりに、原発は、中から放射性物質が飛び出さないように、歪んでもいいからぎりぎりのところで耐えてくれ、と。絶対に壊れないようにモノを作るなんてことは考えてなくて、歪んでもいいと考えているんですよ。
 それに対して、確率的には通常運転時間の方がずっと長いから、そのときに対してはしっかり安全性を保とうと。だけど大きな、40年に一回しか来ないような、あるいは確率的には千年に一回しか起きないような者に対して、徹底的に頑張ろうという姿勢は、もともと原発にはないんですよ。今54基の原発全ては、根本的にそういう設計、確率的に少ないものに対してはやむを得ない、白旗を上げますという設計の仕方です。徹底性を追求しようとしたら、今までの原発の設計思想と根本的に変わるので、全廃ということになりますね。

 福島
1990年の原子力安全委員会が作っている安全設計指針は、全電源喪失は配慮する必要がない、非常用電気ディーゼルも他のものもあると、はっきり書いています。福島原発事故ではまさにこのことが起きたので、考えてないということを、もう一回やりなおさないといけないですね。斑目さんが浜岡原発の2007年2月に、全電源が喪失したらどうか、非常用電気ディーゼルが失われたらどうかと言われて、そういうことは考えない(田中:割り切り、です)、そう、割り切らなければ原発ができない、と。
 後藤政志さんもおっしゃっていますが、ベントのときに、ドライベントとウェットベント、ドライベントの場合、水を通さないのでそのまま格納容器からパンパン出ちゃう、そういうものに関して、サンドベントすると莫大なお金がかかるからやらないと。今、田中さんがおっしゃったように、通常運転に耐えてくれ、と、事故、シビアアクシデントや、あまり起きないが起こりうること、は明確に切り捨ててきたんですよね。(田中:そうです)
 よく、車だってなんだって危ないじゃないかと言う人がいるんですが、それは全く違って、車は放射性物質を出さないが、原発は放射性物質を出し、極端に言えば、何十万、何百万、何千万の人の命を傷つけるという点では、桁が違い、全く違うんですよね。

 田中
 僕がいろんなところで言っていることですが、科学ジャーナリストでアーサー・ケストラーという人が、人類史上一番重要な日はいつかと問われたら、間違いなく8月6日と言う、と。なぜかというと、8月6日、広島の上空に太陽をしのぐ閃光が放たれて以来、人間の意識が変わった、と言っています。それまでは、自分個人が死ぬかどうかを心配していればよかったが、あの日以降、個人の心配ではなくて人類の絶滅の危機を意識するようになった、それが核の問題の一番根本的な問題だ、と。彼は、BCやADではなく、ポスト・ヒロシマPH元年と言え、というくらい、核は人間の意識を個人の死から人類の絶滅へと変えた、と言っています。
 まさにそれで、飛行機でも自動車でも死ぬかもしれないけれど、それは個的な死ですね。だけど、核は、間違うと人類が絶滅する可能性がある。それから、今回の事故でも、二代、三代と遺伝子を傷つけていきますね。核に反対するなら、じゃ、自動車に乗らないか、とか、そういうのとは全然話が違うんですね。

 福島
 危ないからやめるというなら、自動車だって事故がある、とかよく言いますが、違いますね。今回も、それにチェルノブイリのときも思いましたが、老若男女、胎児も、生き物全てが傷つけられ、原発に賛成の人も反対の人もあらゆるものが、人間だけでなく、魚も鳥も、牛も馬も。それからいろんなものが放射性物質に変わってしまう。例えば、遺体だって放射性物質になってしまうかもしれないし、近寄れない、ということが起きてしまうわけで、こんなに悲しいことがあるのか、つまりふるさとを失うのです。そして、日本だけでもなくて、県境もなく、世界中にこれが関係する。加害者にもほんとになりたくないですね。また、未来も傷つけますからね。

 田中
 連鎖しているものが違うし、規模も違うし、よく言われるように、パンドラの箱を開けてしまったんですね。これをどうしていくか、大きな問題ですね。全然違うレベルのものだし、個人で判断できないですね。飛行機は乗らない、と決めればいいのだけれど、こればかりはまきこまれていきますし。それにこれから怖いなと思うのは、どんなに安全な原発を作ろうとも、戦争のターゲットになるでしょうしね。(福島:テロのターゲットにも)戦争が起こったらまずそこを狙われますよね。

 福島
 事故が起きてなくても微量の放射線が出ることもあるし、今まで日本では何百件と事故も起きている。志賀原発は臨界事故を起こしましたし、今回の事故でつくづく言いたいのは、実は事故は起きているということですね。制御棒脱落もいっぱいあるし、青森の原発でも非常用電気ディーゼルがうまく作動しないとか。今まで事故が起きなかったのはいろいろな偶然に支えられてきたわけだけれど、これからはいつ起きるかわからない。しかも、石橋さんの描いたように、日本はなまずの付いている「地震付き原発」だから、世界の原発の中でも真っ先にやめなくちゃいけないですね。
                  

 田中
 全くそうですね。今度わかったことは、日本に限らないけれど、同じところにいっぱい建つ、ということが、電源三法などの制度上の問題もからんでありますよね。(福島:新規増設した方が交付金が出るという)そういうところでずらっとならんでいる、そうするとこれまでは原発は一基壊れるくらいが関の山と大事故をイメージしていたけれど、日本はそうではなくて、3基、4基が一発でドーンと行く可能性を非常に秘めています。(福島:地震でも、津波でも、ですね)
 今回も、東海や女川ももしかすると入っていたんですね。すると日本列島の太平洋東海岸はみなとんでもないことになっていた可能性もあります。今回、同時多発事故が起こるということを教えられました。

 福島
 保安院が作った事故マニュアルがあるのですが、それをみると、1、2、3、4、5と建っていたら、1が壊れても電源を2からとればいい、みたいに書いてあって、あまりに牧歌的!と思いますね。だから、ステーションブラックアウトはほんとうに起きるし、地震、津波で一挙に全部だめになり、助けにも行けない、放射線量が高くて対応もできない、となります。

 田中
 福島さんは国会でも質問されていましたし、浜岡の裁判でもそれが問題になりましたが、それがあり得ない、あり得ないという仮定で来ました。アメリカは、あり得ない、と言いながらその先の対応を考えるということを比較的やります。日本は、あり得ないと決めると、本当に割り切って、その先の対応を何も考えない、それが怖いですね。

 福島
 田中さんがなぜ設計技師をやめたか、原発はほどほど、と言ってはいけないけれど、通常運転に耐えうるという程度で、もっともっと安全性を高めるという思想ではないですね。(田中:違いますよ)ここがやはりとても大事なことだと思いますね。

 田中
 それが技術革命だったんです。確率によって設計にかける安全性の集中度を変える、通常運転の確率が一番高いからそこをしっかりしよう、滅多に来ないものには言葉は悪いが手抜きをする、ということです。安全許容値も下げます。そうすることによって分厚いものにならないようにしている。千年に一回のものには耐えられない。原発はじゅうぶん持ちこたえられると言っていますが、そうなってはいなくて、通常運転中はなんとかなります、通常運転以外のものにはそこそこもつようにはしている、最低、内側から出ないようにはしている、そうすることでコストを下げる、というやり方です。

 福島
 千年に一回という話ですが、浜岡では100年から150年に一度だし、三連動はいつ起きるかわからないですね。百年に一度か千年に一度は明日かもしれません。それから、たしかに通常もイレギュラーはありますが、原発は事故が起きた場合の代償がものすごく高いのです。

 田中
 全くそうですね。確率と、社会的被害では、常に確率だけ優先されていて、被害の優先ということはなかったですね。

 福島
 確率の低いものは切り捨ててきたのですね。それからもうひとつ、保安院もゴーサインを出して、海に捨てますね。あれは希釈されるからいいと言っていますが、六ヶ所村のときにも沖合いにずっと出して、希釈されるからいいんだと。ですから、一つは、通常時に安全なら良くて、確率の低いものはそんなに考えなくていいという哲学。二つめは、希釈されるからいいんだという、これはずっとあった原発の思想なんじゃないかと思います。でも、広瀬隆さんがうまいことを言っていらして、じゃ、砒素を幾ら希釈したからといって飲むか、飲まないんですよ、そこは、海が傷つけられるとか、生き物が傷つけられるとか、食物連鎖とか、そういう痛みがないんですね。海に流せばドンブラコ、でも放射性物質は消えないんですよね。あと、大気中に流せば希釈される、みたいなね。
 
  田中
 しかし、デマが多かったですね。報道機関の責任はとても重要だと思います。

 福島
 どんなデマに怒ってますか。

 田中
 最初に、初歩的な間違いでNHKもやっていましたが、単位時間、1時間あたりのマイクロシーベルトというのと、総量とを間違えて比べるという。

 福島
 つまり、レントゲン検査で、レントゲンでやる場合の1時間あたりと、年間の総量の比較で、レントゲンを1日24時間撮る人なんていないのに、それを単純に言っている。それから、12だったか13だったか、原発はコントロールされています、というのも全く嘘だったわけですね。(田中:まったく嘘ですね)コントロールできないものをどうやってコントロールするか格闘していたのですね。それから、「直ちに健康に影響ありません」。

 田中
 直ちに、・・・あれは今年の流行語大賞になりますね。考えてみたら、念のため、念のため、それから、直ちには、そういう言葉ばかりで、NHKはなんだかだ言いながら情報をいっぱい持っているんじゃないかと錯覚も与える放送局ですからしっかりやってもらいたいのに、出てくるのは御用学者さんばかりで、念のため、と言っているうちに、そこには人がいなくなり、小学校の問題も出て、野菜の話や、何年も先の被曝まで心配しないとならない状況ですね。
 当時言っていたのと今との間にあまりにも落差がありすぎて、大げさにものを言うと人をパニックに陥れる、という言い方がされましたが、控えめに言う、それも一種の流言飛語ですよね。今回、報道は御用機関化したところが多かったと思います。
 僕は、NHKの記者さんからは、はっきり「反原発の人からはコメントはとらない」と言われましたしね。そういう、古い「反原発」というような枠組みの中で議論するのはもうやめようじゃないかという気がしますけれどね。

 福島
 むしろ、危険性を指摘してきた人たちは、私の周りの人もそうだったんですが、みな必死で、恐ろしい、大変なことになったと、すさまじい危機感で生きてきたので、そういう警告は本当に必要ですよね。(田中:絶対必要ですね)私たちは脱原発だけれども、むしろ、命を守るために、日本の社会で産業がちゃんとあって人間が生きられるためにどうするかについては、ほんとに安心な原発はないと、思想を変えないといけないですね。

 田中
 そこが問題で、枯渇型ではなく、循環型・再生エネルギーに移行するのは当然ですが、技術だけの問題ではなくて、暮らしぶりやものの考え方が重要ですね。僕らがエネルギー中毒にかかっているという自覚がまず必要で、簡単なことを言うと、みながほんとにきりつめてエネルギーを節約するライフスタイルを選択すれば、原発の数基分はあっという間になくなるんですよね。そういう選択がまず効果的です。

 福島
 原発はたかだか電気を生む手段にしか過ぎないのに、原発がなければダメだという原発依存症的なものも知る込まれていて、それも変えないとならないですね。

 田中
 われわれは、原発はいらないと言っていて、望んだことではないのに、いつのまにか原発へのエネルギー依存度は3割とか高くなっている。ここに来て事故が起きて自然エネルギーにしてくれというと、すでに30%に達しているのに、どうやってやるのか、案も出せないのにえらそうなこと言うな、と言われます。自分達が勝手に進めてきておいて、解決策がわからないから、おまえらがやれという投げやりな言い方はないなと思いますけれどね。

 福島
 いや、火力、水力の余力があって全然大丈夫ですし、解決策はあると思いますよ。社民党は「脱原発アクションプログラム」を作りましたし、また、今日はドイツの緑の党のもと環境大臣とも話しましたが、自然エネルギーでたくさん雇用もできているし、日本は太陽光発電で世界一だったのが、ドイツに抜かれたのですよね。あと、ライフスタイルを変えるというのはいいと思います。
 先日、田中さんにお電話したときに、お母さまが92歳でゆっくり散歩をするのに、事故がないように付き添っておられるというのをきいて、何と優しい人だろうと思いました。

 田中
 当然、重要なことですからやりますけど。

 福島
 私たちは、今、生き物としてのみずみずしさと生き物としての他者への想像力をもってやるべきで、原発なくてどうするという人も、生き物なのだからということを思ってほしいですね。

 田中
 今度の避難も、動物、かわいそうだったですね。いたましくて、大変でした。

 福島
 犬も猫も・・・。「週刊金曜日」の表紙にあった、昔の日本の雑種のワンちゃん、どうしているだろう、何を食べているだろう、と思いますね。

 田中
 人間ばかりでない、その怖さですね。因果関係で動いている生物界がみなひどい目にあったわけで、その辺が普通の事故と大きく違いますね。

 福島
 石橋さんが、地震が本気出すと怖いと、今回のいろんなことが全部警告ではないかと言っておられて、今回の警告を日本できちっとそうだと思って変えて行かないと、大変なことになると思っています。

 田中
 全くそう思います。石橋さんはそれをずっと主張されていますよね。

 福島
 今日はどうもありがとうございました。

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