福島みずほのどきどき日記

武本和幸(原発反対刈羽村を守る会)対談録「断層と原発」(6月29日収録)

 福島
 こんにちは。今日は武本和幸さんに来ていただきました。武本さんとは長い長い付き合いで、新潟県の刈羽村に住んでいらして、柏崎刈羽の原発問題にずっと長年取り組んでこられた方です。三十年くらいですかね。(武本:いや、四十年)四十年を超えて、柏崎刈羽の原発問題に取り組んでいらっしゃいます。
 刈羽村でプルサーマル導入反対、これ、住民投票側が勝つんですが、そのときもご一緒しましたし、中越沖地震の後の柏崎刈羽原発の状況の調査など、たくさんのことを一緒にやってきました。今日はよろしくお願いします。
武本さん、四十年間活動してこられて、今回の東電福島原発事故をどう見ていらっしゃるか、話してください。

 武本
 地震が契機でとうとうこんなことを起こした。私が原発に反対したのは、原発がいやだったというのが最初ですが、そのあと柏崎刈羽というのは石油の発祥の地なんですね。それで石油関係の地質論文を手に入れて地盤に問題があるということを言い始めたのが1974年なんですよ。それからずっと、地震・地盤の問題を議論してきて、そういう立場から我々の力が至らなくて福島の事故を起こしてしまったという、そういう自責の念を持っているんですが、そんなこと言っていられない。
 今日は実は、3月11日からひと月後に福島県いわき市で地震がありまして断層が2本動いたんです。井戸沢断層と湯ノ岳断層というのですが、この湯ノ岳断層は活断層ではないといいうことになっていた断層なんです。それが動いたために国もあわてまして、4月28日に全国の原発で、同じように評価しなかった断層を至急調べて報告するように、ということで、それが5月31日に各電力から上がってくる、そうしたら全国に342本、類似の断層があるということになりました。
 柏崎ではそういう議論を最初からやっていたもので、柏崎でどういうふうにあがったかというと、原子炉の真下にある断層、炉心直下の断層、これを考慮していませんでした。敷地を貫く真殿坂断層も考慮していなかった。そのほか、敷地から10キロくらいの細越断層というのがあがっているんですが、そのうち私は、原子炉建屋、タービン建屋の真下にある断層を、こういうものの上に原発を作るなんて許せないと思っているんです。ただ、それがずっと柏崎では議論してきたんだけど、動かないから問題ないんだということで無視され続けてきた。

 福島
 活断層はあるんだけど、動かないと。

 武本
 いや、活断層ではないと。原発で対象にする断層は、以前の指針では、5万年より古いのは無視していいということだったんです。2006年に改訂になった指針では、後期更新世、13万年前と言われていますが、それ以降動いていなければ無視していいというのが今の基準なんです。それが動いたのが、4月11日のいわきの地震です。さっき言ったように、そういうものが全国にあるわけです。なかでも問題だと思うのは、原子炉の真下にある断層です。

 福島
 原子炉の敷地内にある活断層ですか。

 武本
 敷地内じゃなくて、施設の真下にある。これが動いたらもう原発アウトなんです。柏崎の場合、そういう議論をずっとしていたので、2004年に、もう亡くなりましたけれど、新潟選出の参議院議員の稲村稔夫さんに国会で議論してもらったんです。こういうものがあると。あって動いても安全なのか、動かないから安全なのか、と。すると、動いたらだめで、動かないから安全なんだと。動かない根拠は何だと言ったら、5万年より古いから。こういう言い方で整理が出来ていたわけです。そういうものが今回福島で動いたもので、それが私は今一番問題だと思っています。全国の原発で類似のものがあるんです。
 一番ひどいのは、青森の東通原発。東京電飾は今許可直前くらいですし、東北電力のは動いて2年くらい経っていると思うんですが、この下にこういうのがあります。それから敦賀原発にも同様のものがありまして、ところがそういうことが具体的にどこでも議論されていない。そういうことから、福島さんは福島の事故以降、国会で核心をついた議論をされているもので、是非この問題を知ってもらって、どうなるんだと。基本的には指針がまちがっていたわけですね。なぜかというのも大体見えています。
 今、全国で原発のサイトは22あるんです。そのうち4つが78年の旧指針ができた以降のサイトで、18は旧指針以前のサイトです。そうすると、指針を作るときに、許可になった原発は不合格という指針は作れませんから、全部が合格になるような指針を作った。これが78年で、95年に神戸の地震があり、地震学の知見がすごく拡充されました。旧指針ではだめだということで2006年に改訂になるわけですが、これも基本的にできたものをだめだったというわけにいかないから、目をつぶり、現実に合わない改訂だったことが間違いだというのが、4月11日の地震で、地震の問題は難しい問題なんですが、遠くの震源の地震でどれだけ揺れるか、揺れに対して耐えられるように、という考え方と、もうひとつ、地震が起きると地盤が変異するわけです。
 真下に断層があって施設が傾くとか引きちぎれるとか(福島:配管が切断するとか)、そういう具体的な問題ですから、そういうものが各地の原発にあるんだと、それも必ずしも整理はされていないと思うんです。柏崎にはあります。そういういくつかは今回の震災に上がってきていますから、その後の具体的な資料を求めて、浜岡に続いて次に止めるのは、そういう直下の断層があって、それを無視して来たものだと。そうでないと福島の二の舞がそれぞれの地域で起こるだろう。福島の大きな地震を契機に列島の応力場が変わっちゃっていろんな事が起きるというのは、地震の調査委員会が警告していることですから、もう福島だけではないんだということをぜひ知ってもらいたいと思います。

 福島
 中越沖地震のときに、当日行った近藤正道さんたちと一緒に翌日私も行き、現地で本当に驚いたのは、敷地がデコボコなのと、建物と敷地がずれてましたね。つまり、今回の東電福島原発事故は地震と津波で遠くから来ていたけれど、柏崎刈羽の場合は直下型で、ガーンと起きるとマグニチュードが9とか8とかではなくても、地盤がガッタガタになれば確かに建物は傾くわけですし、たくさんいろんな機具・設備・配管で原発は成り立っていますから、制御棒が脱落したり、入らない、スクラムが起きない、ということなどでガタガタになると。私もほんとに今回驚いたのは、原発の建物の活断層について、冒頭おっしゃったようなことが新たに出てきたことなんですね。

 武本
 柏崎ではその議論をずっとやってたわけです。他のところでは、地震も少ないですが、地質学は今、高校の教科書の中で、物理・化学・生物学は大勢の人が専攻しますが、地学は、天文・気象・地質とあってマイナーな領域でなかなか地学を勉強する人が少ないんですね。そういうことをある程度踏まえないとついていけない議論なんですが、ただ問題は単純で、福島では実際に断層が現れるわけです。それが原子炉の真下で現れる、そのときにどうするかという単純な問題ですから、ぜひそれを主要な問題として、次の原発、とりあえず今やばいのはどれなんだ、こういうものがあるのはどれとどれなんだという整理もまだ必ずしもできていません。そういうことを今日は訴えたいと思っています。

 福島
 活断層がどうかという議論があったり、あるいは政府はこれまでこれは活断層じゃないという言い方をしてきたものもありますからね。ですから、浜岡もそうですが、防潮壁を創るとか、非常用電気ディーゼルを車でするとか高台に置くとか言っていますが、そんなのは直下型が起きてズタズタになって配管が切断されればだめなんですよね。原発敷地内どころか、原発の建屋の真下に活断層があると言われていて、そうなったら大変なので、私は浜岡は廃炉にすべきだと思いますが、柏崎刈羽も含めて、これからやらなきゃいけません。それから最後に、柏崎刈羽は中越沖地震があってそのあとずっと具合が悪いというか、トラブル続きですよね。それもまた危ないなと思っているんですけれどね。

 武本
 修理して動かし始めたのが4基あります。これからが3基なのですが、柏崎の現状を言いますと、柏崎にいた東電社員も関連会社社員もかなり福島に動員されています。そんな中で、彼らの言う復旧作業は遅れていますし、8月には動いていたものが2基、定期点検で止まります。止まると、今のような問題を解消しない限り、再開できない。今の許可は、運転時に以前の基準で再開したので。そういう状況ですので、この問題を大きくして、13ヶ月の運転を終わって定期点検に入る炉から順番に止めていくことになろうと思います。

 福島
 確かに福島原発の対応に追われていて、働いている人たち、作業員の人たちもかなり来ていて、各地の原発で十分定期検査ができるのかということも言われていますね。(武本:大変だと思いますね)まあ、起きないんじゃないのと言われていたら東電福島原発事故が起き、柏崎刈羽はずっと活断層の論争があるわけですし、それから六ヶ所も東通もそうで、各地で。

 武本
 地震列島に原発を作るというのが、最初のボタンの掛け違えで、繰り返し繰り返し自然から警告があったわけで、そのときに反省して見直しておけば、今日の福島は防げたという思いですし、われわれもそう言っていたんですが、力及ばずして今日の事態を招いた、至らなかったという反省はいつもしているところです。

 福島
 日本ではどこも新たな活断層や知見が出てくるのかわからないし、今ある原発の中でとりわけ危険なもの、柏崎刈羽は止めよう!というところで一緒にやって行きたいと思います。建屋の下に活断層があるという柏崎刈羽の現状を一人でも多くの人に知ってもらいたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

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