
福島
こんにちは。ちょっと自己紹介をしていただけますか。
松本
リサイクルショップ「素人の乱」というのを高円寺でやっていて、普段は友達とカフェがあったり、飲み屋があったり、古着屋があったりでコミュニティ作り的なことをやっていますが、最近は、原発の事故がとんでもないとデモを起こしまくっています。
福島
今日はわざわざどうもありがとうございます。3.11原発事故以降、どう思っていらっしゃいますか。
松本
事故が起こったときは正直ほんと怖かったです。いきなり原発吹っ飛んだり、今までさんざん安全だと言ってたから、安全じゃないと思ってたけれどそこまでなんないだろうと思ったら、一気に大爆発したり、これはもう終わりでしょ、と最初はすごいびっくりしました。そのあとずっと事故の報道は続いているんですけど、だんだんうやむやになってくる、二週間三週間経つと事故があまり報じられなくなったり、長期化します、沈静化しますみたいな雰囲気が出たりして、あれが一番怖くて、実際危ないのは危ないし、沈静化なんか全然してないのにうやむやになっていくような感じだったので、これはちょっと原発良くない、って言わなきゃなんあいんじゃないか、とそのとき思いました。
福島
いろんな集会があったり、デモ、パレードとさまざまだったんですが、若い人たちがたくさん来るといういろんなデモや集会ですごいがんばってらして、そのことについて話してくださいますか。
松本
そんなに工夫したり考えたわけじゃないんですが、基本はいつも遊んでいるノリなんですね。いつもいろんなイベントをやったり、遊びに行ったりする、人脈だったり、いろんな人たちと一緒にやってるその勢いで、じゃないですけど、高円寺とかその友達との間で、原発ちょっと文句言ったほうがいいんじゃないかという話が出てきて、集まってやろうやろうとなって、いつものノリでわーっと広めて、そしたら意外とネットとかで勝手にめちゃくちゃ広がって、自然とという感じでしたね。
福島
6月11日に新宿に行って、いろんな年齢の方がいたけれども、私から見ると、若い人が多くて、みなやっぱり命を侵害する、命を脅かすものはいらないよという感じでしたね。特に又インターネットで壁にいろんなことを出していったり(松本:アルタ前広場で投射して)、こういうこともできるんだと面白かったです。
松本
最初高円寺でやったときに1万5千人くらい来たんですけど、すごいびっくりしたのは、デモ初参加の人がたぶん90%くらいいたと思う、ほとんどの人が(福島:初めてのデモ)。ちょうどその日、芝公園でも昔から原発のことをやっている人たちがやっていたり、いろんなところであって、けっこう前からやっている人はそっちの方に行ったりして、高円寺のデモは、今まで何をやったこともないし、何の組織にも入っていないけれど、とりあえず文句言いたいというひとたちがわーっと来て、あの人たちがすごい力を発揮したというか。
福島
根底のところにこれはまずいぞとか、ご自身の気持ちとか、こんな感じでやってるというのはありますか。
松本
やっぱり原発の事故って予想できないというか、人間の手に負えないものじゃないですか、そもそも原子力というのは。ああいうものが、しかも今回の津波や地震があって事故になって、とてもじゃないけれど絶対安全にするなんてできないと思うんですね。しかも事故が起こったときのリスクがハンパじゃない、水道ひねったら放射能が出てくるみたいな世界になるわけじゃないですか、そんなことが起きるリスクを持ってまであんなもの持ってる必要ほんとないな、と思うし、一回事故が起きると何万年だか知らないけれどものすごく長いじゃないですか。あれはやっぱり絶対あっちゃいけないものだなとすごく思うんで。
福島
そうですね、事故がなくても10万年、高レベル廃棄物はお守りしなくちゃいけないし、事故があったらほんとに放射性物質が広がっていく、事故があってもなくても人間の手に負えない。だから、安全な原発を作ろうなんて全く意味ないと思ってます。それで私は国会で、安全にやれ、安全が確認できない限り再稼働を許すな、と言うけれど、でも、安全な原発なんてできないんですよね。
松本
安全な原発ということが言葉の矛盾というか、原発自体が危ないんじゃないかと思いますけどね。
福島
若い人、初めてデモに来る人たちの気持ちとか、話したりしてどうですか。
松本
原発に関しては、今までの政治問題と全然違って、自分の生活が脅かされるという意識がすごいダイレクトじゃないですか。他の問題も結局は遠回りして自分の生活に来るんですけれど、原発は一番ダイレクトに来るんで、冗談じゃないというか、しかも自分の子どもにも影響が出てくるから、とりあえず怒りが大きいですね、不安感と怒りが。
福島
放射性物質がそのまま自分に降ってくる、選択しようがしまいが、反対だろうが賛成だろうが降ってくる、という感じですものね。ダイレクトにやってくるというのはすごく思うし、子どもたちのことを心配しているママ、パパたちもたくさんいましたね。
松本
最初にデモを始めたときも、最初反応があるじゃないですか。そのときも、子どもがいるお父さんお母さんからの連絡がめちゃくちゃいっぱいあったんですよね、電話とかメールとか。それが今までのデモと全然違うなと感じましたね。
福島
直ちに健康に影響ありませんと、あるいはこれが基準値ですと言われたところで、子どもはできるだけ被曝ささせたくないとか、子どもが食べるものはほんとうに被曝を少なくしたいという気持ちはよくわかりますものね。
松本
今政府が言ってる安全基準はすごく嘘っぽい、でも、一般の人たちがみなそう思っているというのがすごい、みな政府の言っていることを信用してなくて、自分で調べたり、情報集めたりしなきゃだめだとけっこう自発的にいろいろやらなきゃという気持ちがすごくみなの中にあるというのが、事故以来、すごく変わっているなと。
福島
ドイツでもチェルノブイリの時に政府の発表をみな信用しなくて、それぞれが放射線計量器ではかって、みなでいろいろな地図を作ったり、それが今の脱原発のもともとになっているような感じもしますね。でも、今日来ていただいたのは、私もツィッターをしていますが、反応がダイレクトだし、デモに来るのもツィッターで来るとかありますね。新しい実感もあるし、そういうことを広げていってらっしゃるときに思うこととか、もっとこんなことをやりたい、みたいなことはありますか。あるいは今の政府に対して言いたいこととか、自由に話してください。
松本
とりあえずデモの広がりですが、今年に入ってから、中東、エジプトやチュニジアでいろいろ起こったじゃないですか。あれって、今までの革命のような社会が変わっていくのとは全然違うプロセスで社会が変わっていったと思うんですよ。ネットでわっと広まってみなが自然と広場に集まってきて、居座って要求して。昔みたいにすごいリーダー、すごい組織があってそれが群集を率いて一気にひっくり返すみたいなのじゃなくて、すごい自発的にわーっと集まってきて、ほんとに民衆の力みたいなのがあって、あれを見てたときには全然日本と違うなと思ってたときに原発の事故が起こって、そしていざデモやってみるとすごいそれと似たような現象が起こったというのがあって、今の人たち、特に若い人たちが政治に無関心だと言われがちですけれど、実際はものすごい政治に関心持ってて、ところがそれを発散する場が今まで全然なかった、それがネットとかの情報の伝わり方によってすごい来やすくなった、で変わってったというのがあって、で集まったんだと思うんですよ。
福島
もう一つ、放射能って見えないから、メルトダウン、メルトスルーって言われても、あそうかじゃないけれど、毎日すごいことが新聞に載ってても日常生活が過ぎてゆく。私自身は何とか再稼働はさせないとか、今まで推進してきたのを明確に政治の舵を切って違う社会を作るんだということをやりたいと思っていて、あせったりもしているんですが、そういう中で、今どういうことをしようと思っていらっしゃるか話してくださいますか。
松本
やっぱりやめてくれとしか言いようがないですね。原発側の人は電気が足りないとかいろいろ言っていて、それもどうかわからないですけれど、もうちょっと今までの生活スタイルも変えていかなきゃいけないんじゃないかと思っていて、原発ができてくるのもすごい経済優先だったり、金儲けとかしがらみとかいろいろあって、原発があんなに危ないのにできてきてるわけじゃないですか。
たぶん原発推進している人たちもうすうす思ってると思うんですよ、もしかして危ないんじゃないかなと。でもやっぱりやらざるを得ない環境になってるというのがすごい良くない。一市民というか、その辺をうろうろしている人も、なんでもかでもお金とか経済優先という生き方じゃなくて、もうちょっと自分達でできることをある程度どんどんやっていったりとか、もっとゆくうりしたライフスタイルをどんどん作っていったりとか、そうやっていかないとそもそも根本的に解決できない問題にもなっているのかなと思うんですね。
福島
まるで原発事故などなかったかのように、あるいはこれほどまでに被害が起きているのに、やっぱり原発は必要だとか言うと、びっくりしちゃうんですよね。私自身は、原発は経済的にもわりが合わないと思っているんですよ、いったん事故が起きたらこんな損害賠償が。普通の保険会社が原発事故の保険リスクなんて引き受けないですよ。国しかない。そんなことをやって経済合理性も何もない、と思っているが、でも原発で一番大きいのは人間がコントロールできない、これほどまでに命を傷つけられるのはもうごめんだ、というのがストレートなんですよ。そう思わない人にも、経済的にもだめなんですよ、と手を変え品を変え説得しなくっちゃと思ってるんですけどね。
松本
事故のおかげで、経済的にもだめになったと。原発のメリットなんてもう一個もないじゃないですか。百害あって一利無しというか、あんなもの一刻も早くなくさなきゃと思ってます。
福島
今再稼働しなかったら、定期検査中のものが全部止まれば、今インチキに動かしてるのもあるけれど、来年の3月か5月には止まるんですよね。でも、今年の夏も来年の夏も原発がなくても大丈夫と試算してますからね。
松本
とりあえず、いつまでと言わなくてもいいから、原発は最終的にはなくなるという方向性くらい打ち出せないもんですかね。それなら納得できるじゃないですか。なくなるまで一時的にちょっと動かしますよだったらまだ納得できなくないですけど、そういうのもなく、ただ動かしときましょうなんてとてもじゃないけど。
福島
とりあえず動かして議論しましょう、って言ったって、動かしていくって感じだものね。
松本
今までの流れからすると又うやむやになるじゃないですか。
福島
みずみずしいというか、利権構造に関係ない人たちは、利権とかで目が曇ってなければ、ほんとに素直に考えたら多くの人たちが、余りに危険なものはいらないってなるような気がするんですけどね。まわりの若い人たちとかどんな感じですか。
松本
原発やめたほうが言いという人はすごい増えてるというか、今まで社会問題に関心ある人じゃない人もけっこう言ってるのがすごい良くて、その辺がすごい変わってきたというか。
福島
今おっしゃったように、政治がはっきり脱原発、あるいは脱原発依存くらいでもいいんですよ。切っていく、方向はこっちだよ、今まで北に向かって動いていたけど南にいく、舵を切る、それくらいは示してもらわないとおちおち安心して寝てられないという。それをぴちっとやるのが政治だと思ってるんですよ。そこに向かって、いろいろ歌で表現、ダンスで表現、デモで表現、いろんな表現形態あるだろうけど、テンションを維持して多くの人にできるだけ広げたいと思いますね。
松本
大騒動にならないと気づかないんだなと思いますね。
福島
報道とか。みんなが黙っていたら、みんながこれでいいんだと政治の場面で思っちゃうんでしょうね。
松本
もうちょっとデモやらなきゃいけないなと、ほんと最近思いますね。1ヶ月前くらいまでデモを何回かやってきて、それ以降なんだかだと、又動かすという話ばかりが出てきているじゃないですか。ほんとにみながどう思っているかと、全然考えていなんだなと思う。
福島
みながどう思っているか、みなの不安や命がだいじというのが、政治の意思決定を変えるところまで残念ながら来てないんですよね。だから嵐が通り過ぎればいいくらいに思ってるかもしれないし、冗談じゃない、政治の主人公はみんなだ、と言いたいですね。
松本
ほんとは、デモなんかやんなくてもいいくらいであるべきだと思うんですよ。事故が起こった瞬間に普通だったら全部止めるじゃないですか、これは危ないわと思って、政府自体がもう。事故が起こったらドイツも、あれも選挙対策とかあるのかもしれないですけれど、普通に政権の側から動かしていくのに、原発で被害まで受けて、福島の地域までめちゃめちゃになってそれでまだ動かそうとしている、ということ自体がわけわかんないですね。デモやんなくていいくらいであってほしいです。
福島
けれども、デモやったり、意思表示しないと政治もなかなか変わらない。でも、浜岡が止まったりと変わったのは、人々やデモの力だと思いますよ。やはりそういうのが報道されたり、みながそう思っていない限りは変わらないから。誰かが変えてくれるということはなくて、みながやらなくてはいけないんだなと。私はつい最近アテネに行って、これは世界の社会民主主義政党、75カ国90政党が集まったんですが、議題が3つあって、アラブの春という言われ方もしたけれど、チュニジアの26歳の女性が来て元気いっぱい発言していたんですが、そして中東和平、3つ目が原発エネルギー、福島の教訓、nuclear energy, the lessons of Fukushimaというタイトルだったんですね。そこで、わたしは社民党なので、福島のことについて発言をして、決議もばしっと出してもらいました。
発言した後に、イタリア、スペイン、ベネズエラ、メキシコ、キプロス、オーストリアの人たちが応援演説をしてくれたんですよ。イタリアなどは九十何パーセント、国民投票で反対となったし、みな決議がちゃんとSocialist Internationalで出たときは、良かったねと言ってくれたんです。ドイツ社民党も来てましたが、ドイツも止まったわけですし、みなが世界的に危機感を持って、福島の教訓と思っているのと、日本でまだこのままで動かせると思っていることの、すさまじいギャップを思いますよ。それを変えたい。ぜひぜひみなで、この社会を3.11前と後で違うと、危ないものはごめんだということで声をあげていきたいですね。最後にメッセージをばしん!とお願いします。
松本
メッセージ!3月以降ずっとデモをやってきて、ついこないだ台湾に行ってきたんですが、高円寺でやったデモの映像とか今はネットで広まりますから、台湾でも若い人たちがすごい見ていて、台湾も今新しい原発作るというのですごい揉めてて、若い人たちがそれで元気付いたらしくて音楽入りのサウンドデモみたなのをやって大成功したというのを聞いて交流してきたんですけれど、最近のデモとか、いろんな人たちのやる自発的な行動というのは、一瞬で国も超えるし、一瞬でいろんな地域とかも何も関係なくわっと広がるんで、潜在的な力がすごくあるんじゃないかなと思うので、今、政府が全然止める気がないようだし、こっちもなんかやらざるを得ない、もうちょっと景気よくこれからあと何ヶ月くらわして行こうかなとすごい思っているんで。
福島
また元気にやって行きましょう。ありがとうございました。
こんにちは。ちょっと自己紹介をしていただけますか。
松本
リサイクルショップ「素人の乱」というのを高円寺でやっていて、普段は友達とカフェがあったり、飲み屋があったり、古着屋があったりでコミュニティ作り的なことをやっていますが、最近は、原発の事故がとんでもないとデモを起こしまくっています。
福島
今日はわざわざどうもありがとうございます。3.11原発事故以降、どう思っていらっしゃいますか。
松本
事故が起こったときは正直ほんと怖かったです。いきなり原発吹っ飛んだり、今までさんざん安全だと言ってたから、安全じゃないと思ってたけれどそこまでなんないだろうと思ったら、一気に大爆発したり、これはもう終わりでしょ、と最初はすごいびっくりしました。そのあとずっと事故の報道は続いているんですけど、だんだんうやむやになってくる、二週間三週間経つと事故があまり報じられなくなったり、長期化します、沈静化しますみたいな雰囲気が出たりして、あれが一番怖くて、実際危ないのは危ないし、沈静化なんか全然してないのにうやむやになっていくような感じだったので、これはちょっと原発良くない、って言わなきゃなんあいんじゃないか、とそのとき思いました。
福島
いろんな集会があったり、デモ、パレードとさまざまだったんですが、若い人たちがたくさん来るといういろんなデモや集会ですごいがんばってらして、そのことについて話してくださいますか。
松本
そんなに工夫したり考えたわけじゃないんですが、基本はいつも遊んでいるノリなんですね。いつもいろんなイベントをやったり、遊びに行ったりする、人脈だったり、いろんな人たちと一緒にやってるその勢いで、じゃないですけど、高円寺とかその友達との間で、原発ちょっと文句言ったほうがいいんじゃないかという話が出てきて、集まってやろうやろうとなって、いつものノリでわーっと広めて、そしたら意外とネットとかで勝手にめちゃくちゃ広がって、自然とという感じでしたね。
福島
6月11日に新宿に行って、いろんな年齢の方がいたけれども、私から見ると、若い人が多くて、みなやっぱり命を侵害する、命を脅かすものはいらないよという感じでしたね。特に又インターネットで壁にいろんなことを出していったり(松本:アルタ前広場で投射して)、こういうこともできるんだと面白かったです。
松本
最初高円寺でやったときに1万5千人くらい来たんですけど、すごいびっくりしたのは、デモ初参加の人がたぶん90%くらいいたと思う、ほとんどの人が(福島:初めてのデモ)。ちょうどその日、芝公園でも昔から原発のことをやっている人たちがやっていたり、いろんなところであって、けっこう前からやっている人はそっちの方に行ったりして、高円寺のデモは、今まで何をやったこともないし、何の組織にも入っていないけれど、とりあえず文句言いたいというひとたちがわーっと来て、あの人たちがすごい力を発揮したというか。
福島
根底のところにこれはまずいぞとか、ご自身の気持ちとか、こんな感じでやってるというのはありますか。
松本
やっぱり原発の事故って予想できないというか、人間の手に負えないものじゃないですか、そもそも原子力というのは。ああいうものが、しかも今回の津波や地震があって事故になって、とてもじゃないけれど絶対安全にするなんてできないと思うんですね。しかも事故が起こったときのリスクがハンパじゃない、水道ひねったら放射能が出てくるみたいな世界になるわけじゃないですか、そんなことが起きるリスクを持ってまであんなもの持ってる必要ほんとないな、と思うし、一回事故が起きると何万年だか知らないけれどものすごく長いじゃないですか。あれはやっぱり絶対あっちゃいけないものだなとすごく思うんで。
福島
そうですね、事故がなくても10万年、高レベル廃棄物はお守りしなくちゃいけないし、事故があったらほんとに放射性物質が広がっていく、事故があってもなくても人間の手に負えない。だから、安全な原発を作ろうなんて全く意味ないと思ってます。それで私は国会で、安全にやれ、安全が確認できない限り再稼働を許すな、と言うけれど、でも、安全な原発なんてできないんですよね。
松本
安全な原発ということが言葉の矛盾というか、原発自体が危ないんじゃないかと思いますけどね。
福島
若い人、初めてデモに来る人たちの気持ちとか、話したりしてどうですか。
松本
原発に関しては、今までの政治問題と全然違って、自分の生活が脅かされるという意識がすごいダイレクトじゃないですか。他の問題も結局は遠回りして自分の生活に来るんですけれど、原発は一番ダイレクトに来るんで、冗談じゃないというか、しかも自分の子どもにも影響が出てくるから、とりあえず怒りが大きいですね、不安感と怒りが。
福島
放射性物質がそのまま自分に降ってくる、選択しようがしまいが、反対だろうが賛成だろうが降ってくる、という感じですものね。ダイレクトにやってくるというのはすごく思うし、子どもたちのことを心配しているママ、パパたちもたくさんいましたね。
松本
最初にデモを始めたときも、最初反応があるじゃないですか。そのときも、子どもがいるお父さんお母さんからの連絡がめちゃくちゃいっぱいあったんですよね、電話とかメールとか。それが今までのデモと全然違うなと感じましたね。
福島
直ちに健康に影響ありませんと、あるいはこれが基準値ですと言われたところで、子どもはできるだけ被曝ささせたくないとか、子どもが食べるものはほんとうに被曝を少なくしたいという気持ちはよくわかりますものね。
松本
今政府が言ってる安全基準はすごく嘘っぽい、でも、一般の人たちがみなそう思っているというのがすごい、みな政府の言っていることを信用してなくて、自分で調べたり、情報集めたりしなきゃだめだとけっこう自発的にいろいろやらなきゃという気持ちがすごくみなの中にあるというのが、事故以来、すごく変わっているなと。
福島
ドイツでもチェルノブイリの時に政府の発表をみな信用しなくて、それぞれが放射線計量器ではかって、みなでいろいろな地図を作ったり、それが今の脱原発のもともとになっているような感じもしますね。でも、今日来ていただいたのは、私もツィッターをしていますが、反応がダイレクトだし、デモに来るのもツィッターで来るとかありますね。新しい実感もあるし、そういうことを広げていってらっしゃるときに思うこととか、もっとこんなことをやりたい、みたいなことはありますか。あるいは今の政府に対して言いたいこととか、自由に話してください。
松本
とりあえずデモの広がりですが、今年に入ってから、中東、エジプトやチュニジアでいろいろ起こったじゃないですか。あれって、今までの革命のような社会が変わっていくのとは全然違うプロセスで社会が変わっていったと思うんですよ。ネットでわっと広まってみなが自然と広場に集まってきて、居座って要求して。昔みたいにすごいリーダー、すごい組織があってそれが群集を率いて一気にひっくり返すみたいなのじゃなくて、すごい自発的にわーっと集まってきて、ほんとに民衆の力みたいなのがあって、あれを見てたときには全然日本と違うなと思ってたときに原発の事故が起こって、そしていざデモやってみるとすごいそれと似たような現象が起こったというのがあって、今の人たち、特に若い人たちが政治に無関心だと言われがちですけれど、実際はものすごい政治に関心持ってて、ところがそれを発散する場が今まで全然なかった、それがネットとかの情報の伝わり方によってすごい来やすくなった、で変わってったというのがあって、で集まったんだと思うんですよ。
福島
もう一つ、放射能って見えないから、メルトダウン、メルトスルーって言われても、あそうかじゃないけれど、毎日すごいことが新聞に載ってても日常生活が過ぎてゆく。私自身は何とか再稼働はさせないとか、今まで推進してきたのを明確に政治の舵を切って違う社会を作るんだということをやりたいと思っていて、あせったりもしているんですが、そういう中で、今どういうことをしようと思っていらっしゃるか話してくださいますか。
松本
やっぱりやめてくれとしか言いようがないですね。原発側の人は電気が足りないとかいろいろ言っていて、それもどうかわからないですけれど、もうちょっと今までの生活スタイルも変えていかなきゃいけないんじゃないかと思っていて、原発ができてくるのもすごい経済優先だったり、金儲けとかしがらみとかいろいろあって、原発があんなに危ないのにできてきてるわけじゃないですか。
たぶん原発推進している人たちもうすうす思ってると思うんですよ、もしかして危ないんじゃないかなと。でもやっぱりやらざるを得ない環境になってるというのがすごい良くない。一市民というか、その辺をうろうろしている人も、なんでもかでもお金とか経済優先という生き方じゃなくて、もうちょっと自分達でできることをある程度どんどんやっていったりとか、もっとゆくうりしたライフスタイルをどんどん作っていったりとか、そうやっていかないとそもそも根本的に解決できない問題にもなっているのかなと思うんですね。
福島
まるで原発事故などなかったかのように、あるいはこれほどまでに被害が起きているのに、やっぱり原発は必要だとか言うと、びっくりしちゃうんですよね。私自身は、原発は経済的にもわりが合わないと思っているんですよ、いったん事故が起きたらこんな損害賠償が。普通の保険会社が原発事故の保険リスクなんて引き受けないですよ。国しかない。そんなことをやって経済合理性も何もない、と思っているが、でも原発で一番大きいのは人間がコントロールできない、これほどまでに命を傷つけられるのはもうごめんだ、というのがストレートなんですよ。そう思わない人にも、経済的にもだめなんですよ、と手を変え品を変え説得しなくっちゃと思ってるんですけどね。
松本
事故のおかげで、経済的にもだめになったと。原発のメリットなんてもう一個もないじゃないですか。百害あって一利無しというか、あんなもの一刻も早くなくさなきゃと思ってます。
福島
今再稼働しなかったら、定期検査中のものが全部止まれば、今インチキに動かしてるのもあるけれど、来年の3月か5月には止まるんですよね。でも、今年の夏も来年の夏も原発がなくても大丈夫と試算してますからね。
松本
とりあえず、いつまでと言わなくてもいいから、原発は最終的にはなくなるという方向性くらい打ち出せないもんですかね。それなら納得できるじゃないですか。なくなるまで一時的にちょっと動かしますよだったらまだ納得できなくないですけど、そういうのもなく、ただ動かしときましょうなんてとてもじゃないけど。
福島
とりあえず動かして議論しましょう、って言ったって、動かしていくって感じだものね。
松本
今までの流れからすると又うやむやになるじゃないですか。
福島
みずみずしいというか、利権構造に関係ない人たちは、利権とかで目が曇ってなければ、ほんとに素直に考えたら多くの人たちが、余りに危険なものはいらないってなるような気がするんですけどね。まわりの若い人たちとかどんな感じですか。
松本
原発やめたほうが言いという人はすごい増えてるというか、今まで社会問題に関心ある人じゃない人もけっこう言ってるのがすごい良くて、その辺がすごい変わってきたというか。
福島
今おっしゃったように、政治がはっきり脱原発、あるいは脱原発依存くらいでもいいんですよ。切っていく、方向はこっちだよ、今まで北に向かって動いていたけど南にいく、舵を切る、それくらいは示してもらわないとおちおち安心して寝てられないという。それをぴちっとやるのが政治だと思ってるんですよ。そこに向かって、いろいろ歌で表現、ダンスで表現、デモで表現、いろんな表現形態あるだろうけど、テンションを維持して多くの人にできるだけ広げたいと思いますね。
松本
大騒動にならないと気づかないんだなと思いますね。
福島
報道とか。みんなが黙っていたら、みんながこれでいいんだと政治の場面で思っちゃうんでしょうね。
松本
もうちょっとデモやらなきゃいけないなと、ほんと最近思いますね。1ヶ月前くらいまでデモを何回かやってきて、それ以降なんだかだと、又動かすという話ばかりが出てきているじゃないですか。ほんとにみながどう思っているかと、全然考えていなんだなと思う。
福島
みながどう思っているか、みなの不安や命がだいじというのが、政治の意思決定を変えるところまで残念ながら来てないんですよね。だから嵐が通り過ぎればいいくらいに思ってるかもしれないし、冗談じゃない、政治の主人公はみんなだ、と言いたいですね。
松本
ほんとは、デモなんかやんなくてもいいくらいであるべきだと思うんですよ。事故が起こった瞬間に普通だったら全部止めるじゃないですか、これは危ないわと思って、政府自体がもう。事故が起こったらドイツも、あれも選挙対策とかあるのかもしれないですけれど、普通に政権の側から動かしていくのに、原発で被害まで受けて、福島の地域までめちゃめちゃになってそれでまだ動かそうとしている、ということ自体がわけわかんないですね。デモやんなくていいくらいであってほしいです。
福島
けれども、デモやったり、意思表示しないと政治もなかなか変わらない。でも、浜岡が止まったりと変わったのは、人々やデモの力だと思いますよ。やはりそういうのが報道されたり、みながそう思っていない限りは変わらないから。誰かが変えてくれるということはなくて、みながやらなくてはいけないんだなと。私はつい最近アテネに行って、これは世界の社会民主主義政党、75カ国90政党が集まったんですが、議題が3つあって、アラブの春という言われ方もしたけれど、チュニジアの26歳の女性が来て元気いっぱい発言していたんですが、そして中東和平、3つ目が原発エネルギー、福島の教訓、nuclear energy, the lessons of Fukushimaというタイトルだったんですね。そこで、わたしは社民党なので、福島のことについて発言をして、決議もばしっと出してもらいました。
発言した後に、イタリア、スペイン、ベネズエラ、メキシコ、キプロス、オーストリアの人たちが応援演説をしてくれたんですよ。イタリアなどは九十何パーセント、国民投票で反対となったし、みな決議がちゃんとSocialist Internationalで出たときは、良かったねと言ってくれたんです。ドイツ社民党も来てましたが、ドイツも止まったわけですし、みなが世界的に危機感を持って、福島の教訓と思っているのと、日本でまだこのままで動かせると思っていることの、すさまじいギャップを思いますよ。それを変えたい。ぜひぜひみなで、この社会を3.11前と後で違うと、危ないものはごめんだということで声をあげていきたいですね。最後にメッセージをばしん!とお願いします。
松本
メッセージ!3月以降ずっとデモをやってきて、ついこないだ台湾に行ってきたんですが、高円寺でやったデモの映像とか今はネットで広まりますから、台湾でも若い人たちがすごい見ていて、台湾も今新しい原発作るというのですごい揉めてて、若い人たちがそれで元気付いたらしくて音楽入りのサウンドデモみたなのをやって大成功したというのを聞いて交流してきたんですけれど、最近のデモとか、いろんな人たちのやる自発的な行動というのは、一瞬で国も超えるし、一瞬でいろんな地域とかも何も関係なくわっと広がるんで、潜在的な力がすごくあるんじゃないかなと思うので、今、政府が全然止める気がないようだし、こっちもなんかやらざるを得ない、もうちょっと景気よくこれからあと何ヶ月くらわして行こうかなとすごい思っているんで。
福島
また元気にやって行きましょう。ありがとうございました。

