福島みずほのどきどき日記

河合弘之弁護士「脱原発弁護士、大いに語る」概要(7月8日)

 福島
 河合先生こんにちは。
 弁護士の先輩ですが、浜岡原発の訴訟団の弁護団長で、今高裁にかかっていますよね。
 浜岡原発のことや裁判のこと、その他の原発のことについて話してください。

 河合
 僕は約10年近く、浜岡原発の差し止めの訴訟で闘ってきているんですが、日本の原発についての私の基本的な考え方は、今度「脱原発」(作家の大下英治氏のインタビューによる共著、青志社)という本を書いたんですが、この141ページにある世界の地震の分布図の震源地のプロットでは、日本は国土の形が見えなくなるくらい地震が密集していることが分かります。世界平均で言うと150倍の率で地震が発生しています。フランスは全然地震がありません。アメリカで原発のいっぱいある東海岸も地震がない。
 この下の図が原発の配置図で、これを両方見ると、世界中で地震の多発するところで原発をやっているのは日本だけだということが分かります。地震と津波の巣で原発をやっている。他の国はともかく、日本だけは絶対原発をやっちゃいけない国だとずっと思っていて、その中でも特に危ないのが浜岡原発ですよね。僕は10年前にその思いを強くして、原告団を作ってもらうところから働きかけて、今日にいたっています。10年闘ってみて、やってもやっても負けて、徒労感と屈辱感でいっぱいでした。
 その基本は、日本のほとんどの人が、原発は危ないということを信じていなかった、裁判官も含めて。だから、僕ら反原発派の言うことはオオカミ少年と同じなんだと、ありもしないことを大げさに言っている変な奴らとほとんどの人が僕らを見ていたし、裁判官も市民の一人としてそう見ていた。そういうオオカミ少年的見方の理由は、数十年続いた電力側の安全・安心キャンペーンと、その前提としての、資源小国だから日本には原発が必要だというキャンペーンのせいなんです。それはもう恐るべき浸透度で、国民に浸透していたわけです。

 福島
 電源喪失があった場合、冷却ができない場合、使用済み核燃料ができない場合、あらゆることが裁判で争われてきていて、今回の福島原発事故は裁判で指摘されたことが起こる、高速増殖炉もんじゅのナトリウム火災事故も裁判で事前に指摘されたことがそのまま起きたわけですよね。みなさんに知って頂きたいことは、志賀原発が臨界事故を起こしたのを何年も隠していた、あるいは制御棒が脱落することなどたくさんいろいろな事故があったり、全電源喪失に近いことが起きたり、原発は、大惨事とはならなくてもギリギリの事故や飛行機事故でいうインシデント(重大事故に至る可能性がある事態が発生し、なおかつ実際には事故につながらなかった潜在的事例)のようなものは今までもたくさん起きているんですよね。ですから、今回の福島原発事故は隠しようもないくらい出てしまったけれども、今までも臨界事故は起きているし、たまたま大惨事にならなかっただけで、実は事故は起きてきているんですよね。

 河合
 実は僕は普段はビジネス弁護士なんです(福島:知ってます)。日本のビジネスの社会は非常にコンプライアンスとリスク管理に厳格な国なんです。ところがどういうわけか、電力だけは、その厳格なコンプライアンスとリスク管理からはずされていて、そのことに誰も文句を言わない。規則はちゃんと守らないといけなくて、規則違反が出て事故が起きたら、すぐに発表して真相究明して謝罪をして再発防止をする。例えば雪印だろうが不二家だろうがものすごい責任追及を受けますよね。
 でもあんなの、僕に言わせりゃ、電力のコンプライアンス違反に比べれば非常に小さなことです。賞味期限過ぎただけで、実際に大した被害は出ていない。なのにあれだけ経営陣が退陣させられ、会社がつぶれるくらい責任追及されるんです。ところが電力は規則違反やって、隠して、ようやくばれてもあまり言われない。電力がコンプライアンス、法令遵守から治外法権みたいになっている。それはメディアがすごく責任があると思う。そういう背景の中で、原発は安全でそして必要なんだというキャンペーンが行き渡っているので、裁判官を、いや、そうでもないですよという中間のところまで引き上げ、かつ、危ないから止めよう、というところまで持って行くのはものすごく大変なんです。だから、出ると負け、やると負け、3月11日までは。僕は疲れ切って、とんでもないことにかかわっちゃったなとずっと思ってました。

 福島
 もんじゅの高裁判決は勝ったりしていますし、志賀原発も一審では勝ってますよね。私も、全国の原発裁判で何十年もの原告の皆さんの苦労も弁護団の苦労も思うんですが、もしそういう裁判がなかったら、地元の人も記者の人も裁判のことを、原発の問題点を知らない、だから突然事故が起きても何だろうとなるけれど、その意味では、これは問題だと、しかも法廷ではある意味対等な議論ができ、しかも斑目さんの中部電力浜岡の証言など記録として全部残っている、それはひとつのだいじな場だと思います。ただ、おっしゃる意味はわかります。私も浜岡原発の一審判決で負けたときの法廷にいて、弁護士の近藤正道さん、当時参議院議員と一緒に行ったんですが、裁判官が「差し止めを認めない」と言ったときに、事故が起きたらどうなるんだ、と一緒に叫んだのを覚えてますよ。

 河合
 今、福島さんが言ったことの中で重要なのは、僕は確かに疲弊し、徒労感にあふれていましたが、僕らは闘うことで勝っているんだと言っていた。というのは、僕らが闘っていなければ、もっと安上がりにもっと原発がいっぱいできて今頃100基位になってますよ。

 福島
 もっと秘密裡になって、もっと手抜きもしているでしょうし、ベントなんかつけないかもしれない。それからいろんな事故があったことを隠してましたし、真実究明ももっともっと遅れたんじゃないでしょうか。それから、やはり原発問題だという火が全国でずっと燃え続けていたというのが重要で、裁判だけではなくて、祝島で三十何年間がんばってきた人たちにも、彼らが頑張って原発を建てさせなかったからふるさとを守れたと思います。

 河合
 僕は、裁判と住民運動のことをいつも考えるんです。どっちかだけじゃだめで、両方、両輪なんですよね。裁判闘争至上主義も間違いだけど、市民運動唯一至上主義も間違いで、裁判闘争と住民運動はお互いに戦線を共有し、助け合いながら車の両輪でやっていくのが一番効果があると思っていますね。

 福島
 裁判だけだとしんどくなる面もあるし、でも、公開の論争の場はとても必要ですね。私たちも裁判とは違うけれど、もんじゅの事故はどうだとか、国会の中でずっと行政交渉を繰り返してきて、祝島、もんじゅ、六ヶ所、JCO、プルサーマルなどあらゆることをやってきて、シュラウドのひび割れなど10年ほど前にまさに東京電力に公開質問状を出して、当時の勝俣社長が社民党本部に来て説明するなんてこともやりましたからね。そういう異議申し立てをする人たちがなければもっともっと怖いことになっていたと思いますよ。

 河合
 僕はこれからのことをお話したいんですが、3月11日からの福島原発事故の惨状がまだ収束していないという深刻な状況を踏まえて、僕は日本中の原発が止められる気運が非常に強い勢いでできてきていると思う。菅さんが浜岡原発を止めたのは歴史的な偉業だと思うし、今回、玄海の問題についてもストレステストが必要だ、そうでなければ安全性が確認できたと言えないじゃないかと、それも終わらないで再開するのは変だからいったんストップしろというのは、それを非難するほうがおかしくて、当然の決定ですね。
 むしろ、海江田さんと経産省が何の根拠もなく先走ったことの方が非難されるべきです。福島原発がなんであんなことになったかの真相究明が終わってなくて、何で安全宣言ができるんですか。海江田さん、僕の選挙区ですけどね、次のときは、彼の落選運動やろうと思ってますよ。とんでもない人ですよ。自分の頭で考えず、経産省の言いなりになっている。自分の頭で考えればわかるじゃないですか、福島原発の真相究明と対策が終わらずに、何で他の原発は安全だといえるんですか。そういう政治家はやめてもらいたい。
 菅さんはいろいろ言われているけれど、浜岡原発を止め、再開はストレステストが終わってからという、極めて当然の、しかし非常に反対の強い決断をした、この2つだけでも彼は非常に評価すべき宰相だと思いますよ。僕はできればデモに行って、菅さん頑張ってと言いたいです。彼が原発を完全に止め、エネルギーシフトを方向付け、歴史に残る宰相として退陣すべきで、それまでは辞めるべきじゃない。前の数ヶ月で辞めてしまったへなへなの首相達と違って、何を言われようと自分のやりたいことをやるまでは辞めないというあのしぶとさはおおいに買うべきです。

 福島
 ストレステストに関しては、社民党はそれだけでは十分でない、ただし、あのままだと経済産業省が、原子力安全委員会にも総理にも諮らずに、何の根拠もなく安全宣言を大臣にさせ、再稼働と突っ走ったわけだから、

 河合
 そう、安全委員会に諮ってないよね。斑目氏の意見を聞くべきだよな。彼はたぶん、ちょっと待って、やめてよ、と言ったと思いますよ。

 福島
 まるで原発事故などなかったかのように、原発を推進して来た経済産業省に、いやちょっとそれは待てと言ったんです。自民党政権下では、ちょっと待てとか、浜岡原発停止とかできなかったと思いますし、その意味では、福島原発事故という世界中に心配をかけ大変で、未だに放射性物質にみながおびえているこの事故を経て、安全だって、どの口で誰が言えるんだと思ってるんです。だとしたら、私たちはやめるべき、再稼働を許さないという立場だが、せめて事故の検証、安全基準のやり直し、地元の合意、これがない限りはやるべきじゃないです。これから新しい原発は作らせない、古い原発は廃炉にしていく、日本は40年以上が何基かあって、世界平均では廃炉までは22年という統計もあるので、古いのはとにかくやめる、そして再稼働させないことが必要ですね。

 河合
 福島さんはそうやって政治家として頑張る、僕は弁護士として何を考えているかというと、全国の脱原発の裁判をやっている、あるいはやりたい弁護士を糾合して脱原発弁護団を作るんですが、その人たちを集めて、今度は日本全国の原発の同時多発差し止め訴訟をやりたいなと思っています。僕は原発弁護士としては後発組で、実力のある先輩がいっぱいいる、そうした人たちとも組織を組みなおして、北は泊から南は川内まで、全部各地でもう一回差し止め訴訟を起こしたい。その中で、3.11の福島の真相究明を受けて、各地の原発はどうなんだ、やっぱり危ないですね、止めましょう、と持っていこうと思う。そうやって闘うこと自体が、各原発サイトの知事達の脱原発への決断を促すし、再開を容認しないという知事への後押しにもなると思う。

 福島
 各地で社民党員の人たち、社民党と一緒にやってきた人たちが多く、原発訴訟を担ってきた面があるので、現地で原発を止めて廃炉にしていく運動をやり、しかも全国共通の部分とそれぞれの特色もあるので、それをちゃんとやりたいですよね。

 河合
 ユーチューブを見ている皆さんにも呼びかけたいんだけど、弁護団も全国単位で団結をします、だから各サイトの市民団も全国レベルで団結してほしいですね。そして、情報を交換し、お互いに助け合い、全国的に反原発の戦いを団結と連帯の下に進めていくことができれば、より大きい力になるんじゃないかと思っています。

 福島
 昨日たまたま予算委員会で作ったちょっと大きい地図ですが、玄海原発の30キロ圏内、50キロ圏内で、福岡市も佐賀市も全部入っちゃうんですよ。日本で100キロ圏内でやると、全部の原発で日本全部が埋まってしまうという図を見たことがあるんですが、何を言いたいかというと、全国を歩いていて思うのは、今まで原発立地県はある程度、そこの地元紙も原発のことを書いてきたりしたんですが、でも富山は原発がないけれど、石川、福井、新潟のすぐそばだし、長野だって新潟の近くなんですよね。そして関西も、福井の何十キロ圏内でやると、京都、大阪、兵庫、滋賀も入り、滋賀の琵琶湖が放射性物質で汚染されたら、水がめが台無しになるんです。
 地元と言ったときに、もっと広く、玄海原発は長崎、福岡、大分にも関係しているし、実は伊方原発も大分にとても近いです。私たちは福島原発事故から2つ学ばなければならない、事故が起きたら人間はコントロールできない、起きなくても放射性廃棄物10万年お守り、人間のコントロールできるものではないということと、2つ目は、放射性物質がでてしまった時の被害の甚大さですね。

 河合
 範囲の広さと深刻さですね。

 福島
 もちろん国会で政治の意思決定を変えないとだめなので、私はそこで頑張りますが、浜岡が止まったのは、河合先生始め、みながすごく頑張ってくれたことと、デモ、集会、インターネット、ものすごく動きがあって、そういううねりがないと、政治の意思決定を本当には変えられないんですよね。また、政治の意思決定も永田町だけではなく、全国で、自分達のふるさとを守ろうという動きをみなとほんとに作りたい。
 今までは反原発はリベラル、保守は原発推進の二項対立だったのを越えようという記事が出ていて、そんなことないと言いたいんですよ。地元でふるさとを守ろうという人たちはリベラルとか保守とかそういうレベルじゃないじゃないですか。漁業や農業をやっている人、おじいちゃんやおばあちゃんが孫のことを思って、お坊さんが、市民が、普通の人が、住民がやっているんですよ。むしろ、地元で言えば何党というのと関係なくやっている、私はそれを実感しているから、知ったかぶり的に、今まではリベラル・イコール・反原発、原発推進・保守、なんてそんなことはない、ふるさとを、農漁業を守りたい人は、原発来るな、って祝島でもどこでも闘ってきたんだから、そんなことを言わないでくれ、と。何が言いたいかというと、命がだいじだとか、ふるさとがだいじだとか、業業や農業がだいじだとか言うのは、何党とか保守・リベラルを超えて、とても普遍的で根本的で当たり前のことなんだということです。

 河合
 そうなんだけど、僕はちょっと見解が違って、福島さんは市民・庶民の間だけ泳いでいるから、そういうところを基盤にする政治家だから、そういう人たちとしかあまり話してないと思うけれど、僕はビジネス弁護士で、主なクライアントは中企業の経営者です。そういう人はほとんどが今までは政治的に保守であり、原発推進なんですよ。みな言うんですよ、日本は資源小国だ、石油はオイルショックだと値上がりしてアラブの産油国に足元を見られてゆすられる、だから原発をやるしかない、やらないと日本は三等国になっちゃう、だから原発は必要なんだ、しかも政府は日本は技術が発達しているから安全なんだと、みなそう信じてたんです。
 僕の依頼者の中核のそういう人たちが、311以来、ものすごい勢いで考えを変えているんです。僕は今まであまり言いませんでしたが、僕が反原発の訴訟をやっていることを知って、「先生すごいね、浜岡で反原発を10年やってくれてたんだ、ありがとう、俺は今度で考えが変わったよ、俺は何十年も仕事して経営に成功して財産も築いた、幸せだ。でも原発が火を吹いて、自分達の家や会社に放射能が飛んできたら全てを失うんだということがよくわかった。だから河合さん、頑張ってくれ、俺は幾らでも助けるから。」と言ってる。それをものすごく感じる。
 それで、僕が泳いでいる世界とあなたの世界とはちょっと重なるところもあるけど、ずいぶん違うんだよ。こっちのビジネスの世界で反原発なんていうと反感と憎悪に直面するわけですよ。僕が脱原発の裁判なんかやってるんだと、例えばパーティーとかいろんな席で話をすると、すっといなくなっちゃうんだから。もしくは、あなたはそんなこと言うけど原発の電気使ってないのか、とか、日本が衰退したらどうするんだとか、代わりのエネルギーどうするんだ、自然エネルギーなんてそんなもの当てにならない、と、苦々しい顔をしていなくなる、それが今までの状況だったんです。僕はそういう中でとっても疲れてたんですよ、やってもやってもこんなもんかな、と。が、3月11日以来、そういう状況ががらっと変わった。だからそれは正確に捉えるべきで、その流れをきちんと成果に結びつけるべきなんですよ。

 福島
 政治の世界も似ていて、国会の中だと社民党が唯一の脱原発の政党だったから、何言っても、行政交渉などはできても、壁もあるし、似たような状況はあるわけです。

 河合
 でも風が変わってるでしょう。自民党の中でも、民主党の中でも、やっぱり脱原発しなきゃいけないんだという考えが広まってきてるんじゃないの。

 福島
 脱原発というほどクリアでなくても、やはりこれは少しづつ変えなきゃというのはあるんですよ。でも油断すると、利権や今までのほうに志向が戻るから。

 河合
 戻るよね、もう虎視眈々と狙ってて、咽喉もと過ぎれば熱さ忘れる、の、咽喉もと過ぎるの待ってるんだよ。

 福島
 河合さんはとても重要なことをおっしゃってくださって、ビジネスで成功したとしても、放射性物質が降ってくれば全部パーになると思い始めているでしょう。それからもう一つ、ビジネスとはちょっと違うけれど、ママたち、パパたちは普通の人なんですよ。その人たちは利権がないから、目の前の子どもを見て、昨日、社民党で脱原発・原発震災ホットラインをやったら連絡してくるのは女性が多いし、三十代、四十代のパパママが多いんですよ。みなの意識が、ほんとに危険だという実感があるので変わったんですよ。

 河合
 大企業に勤めているサラリーマンも意識変わってるんだ。たとえば電通なんかに勤めてる人は今でも会社の中では言えないんだ、だけど僕の本読んで手紙寄越して、僕は会社の中ではそんなこと言えないけど、河合さんの言う通り、脱原発すべきだと思う、って。大会社のサラリーマンもその奥さんもそうやってどんどん変わってきている。

 福島
 メディアもそうで、私が付き合っているのは比較的若い世代なので、みな、こんなこと起きるんだったらもうやらないほうがいい、という人が圧倒的に増えてますね。で、とんでもないことが起きたし、今でも苦しんでる人が多いんですが、どうやって絶望からこの社会を変えられるか、なんですよ。でも河合さん、バイタリティというか、みなで力を合わせれば、この社会を変えられるというのをやっていきたいと思ってるんです。浜岡も再稼働もそうですが、だめかと思ってると、変わるじゃないですか。私も国会で浜岡のことを何度も質問し、始めはみな何言ってんだという感じだったんですが、最後は変わるんですよ。

 河合
 特に斑目尋問を追及したからね、あれは面白かったな。でも、僕がそういうと、今でも、「だけど、今原発止めるのは非現実的だから徐々に」なんて言う。でも徐々に何てやっててその間に事故が起きたらどうすんだというのが僕の考えで、それで僕はこの本にも書いたんだけど、今すぐに原発止めても差し支えない、何の問題もないというのが数字の上で明らかなのね。どういうことかというと、159ページのこれが原子力の総設備容量、この黒いところが実際に稼働している電力量、火力の設備容量はこんなに大きくて稼働はわずか50%なんですね。だから原発のこの黒いところを全部ペケにして全部今すぐ止めても、火力発電の稼働率を20%上げたら全部補える、今までと全く同じように供給できる。まして水力など設備容量の20%弱しか使ってないわけで、それを80%くらいまで上げると、原発の不足が補える。
 ということは、すぐ止めても何の問題もないということです。若干原料代が高いというくらいで、いいじゃないですか、少しくらい上がったって安全な方が。電気料金が上がったら経済が破滅するみたいなことを言う経済人がいますが、全く嘘ですよ。僕の提案は、日本の原発はまず即止める、全部止める、足らない分は火力発電で補う、それもなるべくCO2の少ない天然ガスでやる、そしてそれでついないでいる間、固定価格買取制度で自然エネルギーを劇的に増やす、そうすれば10年くらいで完全にキャッチアップできるんです。
 それができるのに、このエネルギー論争の最大の欠点は、原発を止める方向にやや行ってるんだけど、でもすぐは無理だよね、という結論を、何の根拠もなく、経産省的・海江田的に持ってくること。今すぐ止めるのは現実的でないよね、何で現実的でないんだよ、現実に今止められるじゃないか、止めろよ、みなが安心して暮らせるようにして、その中で自然エネルギーを更に推進して原発は全部廃炉にして、水力と火力と自然エネルギー、そしてだんだん自然エネルギーを増やしていくという、これは日本に唯一残されたエネルギー政策であると。これを、原発推進論者はちょっと不利かと思うと、脱原発もいいけどすぐ止めるのは無理だよね、と、この論理はずっとそうなんだけど、今までのもっと前のレベルで言うと、僕らが原発を止めろというと、じゃ、代わりのエネルギーをどうするんだ、日本は資源小国だからしょうがない。元に戻るけれど、日本が資源小国だからほんとに原発が必要か、全然違う、ウランだって国産品じゃない、外国から買ってる、だから、国産エネルギーじゃない。
 それから、ウランがずっと持つか。ウランの可採年数は30年から40年と言われていて、石油の可採年数50年より短いんですよ。そう言うと、推進論者は、リサイクルで使用済み燃料からMOX燃料を作って、それを高速増殖炉で燃やして燃料を増やして、っていうけど、そんなの夢のまた夢で、どこも実現していない、失敗の連続で、高速増殖炉もんじゅも再処理も失敗しているじゃないですか。夢の核燃サイクルと言うけれど、僕に言わせれば夢にも二つあって、輝く未来に向けた夢と、絵空事という意味の夢があって、絵空事の方ですね。

 福島
 高速増殖炉が動かないということは、再処理やってもムダで、プルトニウムのリサイクルができないんですよね。

 河合
 だから、もう一回話を元に戻すと、今、全原発止めても何の支障もないと言うことを国民は知るべきだ、エネルギー論争をする時に、まあわかった、でも全部すぐ止めるのは現実的じゃない、と言われたら、なんで現実的じゃないの、なんでその可能性がないと言うの、と。面白いのは、東京電力は今もう1千万キロワットを火力発電に乗せて、横須賀、袖ヶ浦の火力発電を必死になって起こしてるんですよ、再起動するために。努力をしてるのは正しいと思うんだよ、でも、それをあんまり言わないでおいて、やっぱり停電になります、原発必要です、と言う。(福島:節電してくださいと)ま、節電するのは正しいと思うんだけどね。

 福島
 今まで、原発を動かす間、他のものを動かしてなかったわけですし、たしかに火力発電をCO2出さないために天然ガスに転換するのはお金がかかるという人はいるんですが、何をおっしゃる、今回の原発事故で莫大なお金をつぎ込むわけじゃないですか、と。

 河合
 どれくらいになるんですかね。何十兆円になるんじゃないか。

 福島
 お金で換算できないくらい莫大じゃないかと思います、土壌汚染も含めて。そういうことに比べれば、あと、10万年お守りすることを考えればずっといいんですよね。それからスマトラ沖もマグニチュード9.2ですか、起きたと、その後も余震ではない地震がずっと起きている。日本もこれで地震が終わったと思っているけれど、そうではない可能性もあるんですよね。その意味では、今年の夏も来年の夏も原発止めて大丈夫。要するに、今まで原発を動かすために、動かしてこなかったんですよ、電力会社は。(河合:そうだよ)やればできる。それを、大変だ大変だと言うじゃないですか。
 非常に頭にくるのは、浜岡原発は2年前は全基停止していた、で、私たちも計算したんですが、需要と供給はどこも大丈夫なんですよ。ところが、あたかも産業にとっての打撃みたいな、再稼働についても。でも、電力会社はやる気になれば、原発に依存しないってすれば、決断すればやれるんですよ。それを隠してる。でも、全国の人たちと力を合わせましょう。また、ビジネスロイヤーとしてやってこられた経験は、私とはちょっと違う世界の中での経験を肌で感じておられるように思います。国会も少しずつは変わってきているんです。でも、ほんとに意味で変わってはいないから頑張るべきだし、経済産業省の中にもいろんな動きが出てくるようにと思っています。一緒に頑張りましょう。どうもありがとうございます。

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