福島みずほのどきどき日記

澤井正子「核燃サイクルはただちに中止を!」対談録 (7月22日収録)

 この対談シリーズの第22回辻信一さんとの対談は、『月刊社会民主』に掲載予定です

 福島
 澤井さん、こんにちは。澤井さんは長年原子力資料情報室で活動をされてきた人で大変尊敬をしております。
 澤井さん、今度の3月11日の福島の原発事故、どう受け止めていらっしゃいますか。

 澤井
 本当に自分でも何と言っていいかわからない状態です。私は20年前に原子力資料情報室に入りました。私は私立文系女子で高木先生から核分裂のことを教わり、再処理工場の問題などを特にやってきたのですが、やはり私たちの運動が生ぬるかったなと、いう自責の念でいっぱいでした。きちんと、もっともっと電力会社や政府に闘いを挑んでいかなければいけないという気がしています。

 福島
 今日は特に高速増殖炉もんじゅ、私たち社民党はこれを廃炉に、核燃料サイクルももうやめようと言っています。この両方についてものすごく活動してこられた澤井さん、この二つについてお考えを話してください。

 澤井
 日本の原子力政策が、日本は資源のない国だということで、原子炉でウランを燃やし、そのときにできたプルトニウム、1%しかないわけですが、それを又高速増殖炉に入れて増やすという核燃料サイクル政策を基本的政策とずっと位置づけてきたんですね。国会の議論などでいつも言われるのは、もんじゅは夢のエネルギーということで、議員の皆さんも頑張ればそれが実現するかのようにお考えですが、そこが根本的に違っていて、もんじゅがたとえできたにしても、増殖率0.1%というような非常に微々たるものだし(福島:世界中で撤退、失敗していますからね)、世界中どこの原子力先進国でも高速増殖炉は技術的に無理だという結論を出してやめてしまったわけなんですね。
 日本の原子力は常にまねっこ、アメリカの真似をしてやってきた、そして他の国と同じように高速増殖炉を真似っこしようとしてやってきたが、先を走っていた人たちはこんな技術は使い物にならないといってやめてしまったのに、原子力政策だけでなく、日本の公共政策が走り出したらとめられないので、できるかどうかもわからないのをただ続けているというのがもんじゅですね。14年間止まっていたとか、毎年毎年200億円とか(福島:一日5千5百万円)、ほんとにむだ、そして作り出すこともできないようなものにいつまで血税をつぎ込むのか、そしてそれがエネルギー問題の解決には何もならないということです。
 そしてもんじゅと抱き合わせである、プルトニウムを取り出す再処理がこれも技術的に破綻しているのが現状です。核燃料サイクルはほとんど夢物語であって、そんな夢を見ている余裕は今の日本にはないのではないかと思っています。

 福島
 もんじゅは建設されて、裁判でナトリウム事故がおきやすいと指摘され、ナトリウム火災事故がほんとに起きてしまって14年半止まっていて、今度動かしたら今度は落下事故を起こしてと、全然だめなんですね。人件費を除いて1兆円近くお金を費やしてきていまだに一日5千5百万かかる。さっき、おっしゃった再処理・核燃料サイクルも破綻しているという点を話していただけますか。

 澤井
 再処理というのは、使用済み核燃料から、プルトニウムとウランと死の灰を分離する施設で、試験運転は始まっていて、プルトニウムを分離することは一応できた、そのあと、最後に死の灰をガラスと混ぜてガラス固化体にする作業を始めたら、最初からトラブルの連続状態で、まともなガラス固化体ができないで終わっています。死の灰と言うのは、使用済み燃料の放射能の99%がそこに入っているという大変なもので、それをガラスと混ぜてステンレスの缶詰に入れるというのが理論的に考えていることなんですが、それを作る工場は人間がさわれないんで全部遠隔操作、テレビカメラ見て中央制御室でやるというような大変危険な作業で、これが結局設計図どおり行かなくてガラス個化体が作れない。
 その復旧作業をしようとしていたところに、今度は高レベルの廃液がセルという入れ物に150リットル漏洩するという大事故を起こして、それで試験が中断したままになっています。試験を再開したいわけなんですが、この電力不足でなんとその溶融炉は、温度を1200度に上げないといけなくてものすごい電気を使うので試験もできないという状態になっています。この電力不足でわかったのは、試験さえも、再処理工場ももんじゅもですが、こういう原子力施設は膨大な電気を自分達の本来の仕事をする前に使わないと動かすこともできない、そういう非常に矛盾したものです。

 福島
 もんじゅはまともな定量ワット数を一度も出したことがないんですね。

 澤井
 そうですね、発電は一瞬したけれど、あとはひたすら電気をもらって使っているだけ、再処理工場にいたってはただただ電気を食っているだけ、例えばプルトニウムもできあがって置いてあって、私はこれは読んだだけですが、崩壊熱があってほのかに暖かいとのことですが、クーラーをかけているんですよ。ひどい話でプルトニウム様のためにずっとクーラーを動かしてないといけないという、自分の熱で問題になっているんです。

 福島
 諸外国は大体直接処理をするのに、間接処理、再処理をしようとする、でも結局もんじゅが壊れているので、プルトニウムを取り出して高速増殖するという必要などないんですね、ですから、もんじゅもやめる、再処理。核燃料サイクルもやめる、それしかないんですね。

 澤井
 百歩譲ってプルトニウムが何か人間の役に立つものだったら合理的な理由があるかもしれないけれども、プルトニウムを取り出して核兵器を作るわけでもないし、まして貯蔵することも問題だし、もんじゅも動かせない、すると国民の利益になることは何もない施設ですね。しかも再処理工場は運転するだけで放射能を環境中に大量にばら撒かないと運転できない。どうして放射能を出すのかとよく聞かれますが、出す量が多いのでそれを廃棄物として貯蔵していると工場が廃棄物だらけになって貯蔵できなくなる、それで最初から出してしまおうという非常に乱暴な工場です。必要か不必要かの議論もあるし、その危険性、それからこれも膨大なお金がかかります。
 皆さんの電気料金に上乗せされて、知らないうちに皆さんが払わされている。だけど、再処理をやらなければ、今2兆円、最終的に11兆円積み立てる予定だったのを、たとえばそういうお金を震災復興にまわしたらいいんじゃないかと、事実上電気料金は税金みたいなものですが、もっと有効な使い道が考えられると思いますね。

 福島
 もんじゅは税金をつぎ込んでいるし、再処理工場は電気料金、で、今、機構の中に2兆円以上再処理のお金がありますし、六ヶ所村の再処理のバックエンドの費用だけで18兆何千億、約19兆円かかるという、ばかみたいというか、おかしいんです。経済合理性から言ってもおかしい。それで取り出せるプルトニウムがせいぜい何千億なんですよね。

 澤井
 今はもうサイクルの意味が何もなくなって危険性だけだし、メンツだけでやっている原子力政策の見本のようなものです。もんじゅも再処理もやめても国民は何も困らないんですよ。(福島:電気も何も出してない)エネルギー問題の解決になる施設でもないから、こんなものは一日も早くやめることしか取るべき道はないと思います。

 福島
 六ヶ所には活断層の問題もありますものね。

 澤井
 今、19兆円という話がありましたが、その半分以上は再処理工場でわずかな部分が高レベル廃棄物の処分費用です。福島がこういう状況で、浜岡も止まる、他も止まるんだけれど、使用済み核燃料とか死の灰はもう出ているわけで、国が最終処分場を募集しているのに、もうできちゃったからしょうがないんですよ、みたいな言い方をしているのは私は我慢できないんですよ。国民にきちんと説明したこともなく、もうできちゃったからという居直り的な説明はほんとにおかしいと思います。

 福島
 世界で最終処分場を決定しているのはフィンランドだけで、こないだ「十万年後の安全」という映画を見たんですが、アメリカは百万年と言っています。日本はでは、最終処分場はどこなんですか、誰が引き受けるんですか、と聞いても答えられないんですね、まだ決まってないから。使用済み核燃料、高レベル廃棄物が出てどうするんですか、という問いに答えはまだ出ていないんですね。

 澤井
 ほんとに、トイレなきマンション状態で50年以上走ってきて未だに解決できない。ドイツなどはやはり、原発反対の意見がある中で、最終処分場が出来ていないということも大きな要因で、捨てることのできないゴミを作ってしまっているのは大きな問題だというのが国民の考え方の中にあると思います。

 福島
 私も先日ドイツ大使館に行った時に、危険ということもあるが、最終処分ができない、ということなんですね。日本には放射性廃棄物がすさまじくあり、各発電所の使用済み核燃料は満杯に近くなっていて、六ヶ所村もほぼ満杯に近い状態ですね。

 澤井
 このまま六ヶ所が稼働しないと、各発電所に溜まっている使用済み核燃料も輸送できない、すると原発を止めなければならない、それをどうするんだという議論になっていて、それは逆ですね。そんなものが出るのは当たり前でわかっていたのに準備してこなかった、その問題は大きいです。それから、大飯の原発が止まったときに議論されていて、問題のたて方がおかしいと思えたのは、原発に頼っていたから停電になったのにまた原発に頼ろうとしている、そういうことをやっていたら、また大飯のように、事故やトラブルで突然100万キロが又壊れちゃう、原発ってそういう設備なんですね。

 福島
 2年前に浜岡が止まった時は自動停止で、電力需給には何も関係ないんですよ。全く関係ないのに、電気が足りないというキャンペーンは許せないと思います。

 澤井
 東電の17基も2回、全停止したことがありますが全然問題なかった。今回地震と一緒になったんですが、原子力に頼っていたら停電になるというのが、今回の大きい教訓の一つだと思います。そこを問題を逆にして、また原発に頼らないと電気が足りないという議論になっていると思います。

 福島
 地方分散型の、リスクを分散するいろんな発電施設があって、更に言えば、地域独占にならないということでないとむしろ危険ですよね。

 澤井
 福島県は知事が脱原発宣言をして、福島第一第二はもう廃炉になるしかないと思いますね。すると東京電力は柏崎で、それももう動いていないものもありますから、そういう意味では、たくさん電気を使う関東圏は特に原子力のない状態でどうやってエネルギーを供給するかと、都民始め真剣に考えないといけないですね。

 福島
 火力や水力を使えば十分ですし、環境省も東北地方は風力や地熱などで自然エネルギー100%は可能だという試算も出したし、東北の復興のためにも自然エネルギー促進法案、と思いますね。

 澤井
 原子力は作るだけで時間もお金もかかるし、復興にも間に合わないし、温暖化対策にも間に合わないし、ならない。言っていることとやっていることの政府の施策がすごくちぐはぐになっています。

 福島
 しかも原発はコストが安いと言っていたけれど、先日福島市に行って思いましたが、被曝、汚染、食べ物の問題、海と山と大地と水の汚染をどうするか、と。福島だけの問題でもないし、広がるわけで、原発のコストは、原子力賠償法がなくて保険会社がまともに市場原理でやれば、どこの保険会社も原発の保険なんて怖くてやれないですよ。

 澤井
 だから政府がやるということになっているんですね。で、本当のコストは計算されないですね。被害でも、実際に物理的に放射能の被曝にさらされている状態のほかに、毎日マーケットに行って、どうしようか、何を買っていいのかと迷っている人たちの放射能とずっと暮らしていかなければいけないストレスとか、いろいろな意味の問題があるのに、そういうのは被害として認められていなくて計算もされない、でも、原子力が与える人間への負荷はいろんな形であると思いますね。そういうものも、東京電力はきちんと補償すべきだと私は思いますね。

 福島
 思いだけでなくて、実際に食べ物にリアルな被害が生じています。

 澤井
 日本政府は出さないですが、外国の政府がシミュレーションした、セシウムの拡散の状況を見れば、100キロ離れていてもセシウムが飛んでいるのは当たり前で、静岡にもセシウムが飛んでお茶に出ているのは当たり前なのに、なにかそれが風評被害だけでおかしなことになっているという説明はすごく国民を欺いていると思います。現実を見て、食べられないものは食べられない、だからそれを補償すべきだし、あと、福島で生きて生きたい人たちに、どうやって除染とか子どもの集団避難とかいろんなものの算段を、現実をきちんと見据えるところが重要だと思います。

 福島
 澤井さん自身は全国を駆け回っていて、祝島でもどこでも、とりわけもんじゅも六ヶ所も何度も何度も現地に行っていらっしゃいますね。そこから思うことを最後に一言お願いします。

 澤井
 自分が再処理をやっていたこととも関わるのですが、やはり放射性廃棄物の問題は、たとえ事故がなくても原発の最大の問題の一つだと思っています。原子力はもちろん、卒業・縮小してゆく方向で考えないとならないですが、私たちとしては、廃棄物がきちんとした処分ができるのかどうかも含めて、きちんとした研究開発が必要だと思うし、そこは避けて通れないと思っています。ただ、政府や電力会社が言ってきたのは、原発の再処理もやりたい、だから処分場がほしいという、原発をやるために処分場がほしいというものです。そうではなくて、原発をやめるならば、国民はそういう問題と真摯に向き合っていけるんじゃないかと思うんですね。
 福島の復興の問題、再処理の問題、そしてたくさんの原子力発電所が未だに動いていて廃棄物を生み出しているということで、少しで出てくるゴミを減らす、そういうことのためにこれからもいろいろやっていきたいと思っています。

 福島
 フィンランドもスウェーデンも地震はないし、固い岩盤を持っていますが、日本は最近海岸ができたり、それから日本はいい意味でも、どこを掘っても地下水が豊かなところなので、日本は最終処分場は探さなければならないのだけれど、世界にというわけにはいかないが、かと言って日本で最終処分場をみつけられるのか、地震もあって地下水も豊かな日本で最終処分場は危険ですよね。

 澤井
 以前に高知県の東洋町が狙われて最終的には中止になったんですが

 福島
 町長がいったん引き受けると言ったんですね。調査をやればお金が何十億か入る、でも、みながそれをボイコットして

 澤井
 町長を首にしてしまったという、そのときに石橋克彦先生が、あそこは東南海地震が近い、処分場は作って固化体を輸送して埋める、全体とで百年の事業、

 福島
 百年じゃなくて、アメリカでは百万年、フィンランドは十万年なんだから!

 澤井
 いや、施設作って埋めるだけでも百年の事業かかるということで(福島:あ、それはフィンランドもそうですね)、石橋先生は作ってる間にとか、ガラス固化体を輸送している間に地震が来る、そういう場所に処分場を作ろうなんてとんでもないことだとおっしゃっていて、結局、場所を探すとか、可能かどうかの問題もあり、どこかで作っていても、日本の場合は作っている途中で処分場が地震でやられてしまう可能性があります。ガラス固化体は放射線量が高くて、抱きついたら1、2秒で死んでしまうと言われているんですが、それを今置いてある青森からどこか見つかった処分場に輸送している間に地震が来る、並べている間に地震が来る

 福島
 フィンランドだって今世紀中に完成だから、日本でだったら今世紀中にはどこかで地震が起きますよね。

 澤井
 ほんとうにSFみたいな話なんですが、私たちはどうすればいいのか、ほんとにきちんと議論しなければいけませんね。

 福島
 これは原発賛成でも反対でも、この最終処分の問題にはぶち当たりますものね。

 澤井
 でも、原子力発電所を進めたいから処分場もあったほうがいいというような、今の政府や電力会社のような議論は国民はできないですね。

 福島
 しかも、最終処分場を見つけることすらできるのかできないのか、大変危険な状態なのだから、とにかくゴミは少ないほうがいいですよね。これ以上、原発で放射性廃棄物を作り続けることは未来に向かって子ども達へのあまりにも大きな負担になると思います。

 澤井
 地震と核施設の問題は本当に大変で浜岡は止めたんですが、使用済み燃料はあるので、プールだって冷却しなくちゃならないし

 福島
 これが地震で冷却できなくなると又同じ問題が起きるんですよね。

 澤井
 置いてあるだけで問題なので、そういう意味で廃棄物は怖いと思います。そういうものを生み出さなければならない原子力発電所を一日も早く止めていく

 福島
 「十万年の安全」の中で面白いと思ったのは、ロケットに載せて宇宙に飛ばす、でもそうするとアメリカの宇宙開発の中で事故が起きましたね、バーンと打ち上げて、またバーンと落っこちてくる。そういうことになるとすさまじい巨大核兵器が落っこちてくるということになりますし、海に捨てるというのも、海は生命の源だから海に流すのも大変だと、だから、今、地層に置くのがベストだとなっていますがそれだって

 澤井
 できるところとできないところとある。

 福島
 そうですね。大変だけれど、今、十万年後、百万年後のことを思い、今、脱原発、放射性廃棄物を生まないように、そして、再処理なんかやめようよと、声を大にして言いたいと思います。今日は原子力資料情報室の澤井正子さんに来てもらいました。有難うございました。

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