福島みずほのどきどき日記

満田夏花対談「避難の権利の確立に向けて」(7月25日収録)

 福島
 今日は満田夏花さんに来て頂きました。FoEで活動していらっしゃる人です。満田さん、こんにちは。

 満田
 こんにちは。

 福島
 ずっと、福島の子ども達を放射能から守ろうというので一緒に活動していますが、3.11以降取り組んでいること、今思っていることを話していただけますか。

 満田
 Friends of the Earth、FoEジャパンという団体に所属しているんですが、FoEジャパンは今まで原発問題をやってきていなかったんです。3.11以後、私たちは一週間くらい議論をしまして、これはこの問題をやらなくてはならないということを決めました。もちろん、エネルギー政策を変えていくことが必要なんですが、まずは福島に行って福島の実情を自分の眼で見たうえでそれを政策につないでいかなくちゃいけないということも決めました。ところが私たち、福島につてがなくて福島に行けたのが4月になってからでした。
 連れて行ってくれたのが「フクロウの会(福島老朽原発を考える会)」の阪上さんで、ずっと福島の方たちと活動してきたわけなんですが、そのとき現地にとりあえず行きましてお目にかかったのが中手聖一さんですね。中手さん達はその頃、「フクロウの会」の入手した線量計で小学校をずっと測りまくっていたんですね。その話をお聞きして、これは東京側で中手さん達を支えるような活動をしなくてはならないなと思いまして、阪上さんや美浜の会、グリーンアクションの方々と20ミリシーベルトの問題、4月19日に文科省が出した非常に問題のある20ミリシーベルトという基準の撤回運動を始めた、とそんな感じです。

 福島
 その後の活動についてと、それから今思っていらっしゃることを話してください。

 満田
 ごぞんじのように、4月19日に文科省が20ミリシーベルトの基準を福島県に通知しまして、私たちはそれに反対するような署名運動を開始したんですね。これはものすごく反響がありまして、10日間で5万以上の61カ国の方々から書名が来ました。そういった世論の声を武器に、福島先生にご協力いただきまして、政府交渉、政府の方々と20ミリ問題を徹底的に交渉するということを、何度も何度もやってきました。
 私たちはあくまでも東京で福島の方々の声を政府に伝えていく、そのための場を設定するという役割かなと思っておりまして、実際問題、福島の方々が何度も東京に足を運んで、それでも埒が明かず、文科省が全然動かなかったので、ついに5月23日、バス2台を連ねて福島の方々が文科省にいらっしゃって、それを支えに全国の方々が650人、文科省に集結しまして、福島先生もいらっしゃいましたね、国会議員も何人かいらっしゃって、みなで連帯して文科省に20ミリの撤回を迫りました。ほんとにそのときに、福島のお父さん、お母さんがたの悲痛な声を、聞いていて泣きたくなるようなことを表明して、文科省に撤回を迫ったわけですね。
 実際に20ミリの問題は地元では非常に大きなインパクトをもたらして、ずっと福島のお父さん、お母さんがた、みな一人で悩んでいらっしゃって、自分だけが変なんじゃないか、学校に文句を言っても、そんなことを言うのはあなただけですよ、と言われたりして、精神的にもすごく追いつめられていらっしゃった、そういう方々が手を取り合うことによって一つの大きな声として、文科省に、政府に20ミリの撤回を迫ったというのはすごく大きいことだったと思います。
 ただ、文科省は23日の抗議行動で1ミリシーベルトを目指すという、それは大きな成果で、そこには福島先生にいろいろと動いていただくという経緯がありますが、ただ、学校内での1ミリにはいろいろな議論がございまして、内部被曝の問題、学校外の話、じゃ、3月に被曝した分はどうなってしまったとか、いろいろありまして、今は、避難、自主的な避難を促進するような、特に線量の高い地域において、みなさんがご自分の判断で避難できるように、そういった、「避難の権利」と私たちは呼んでおりますが、それを確立させる運動をしています。
 そのためには、きちんと自主避難者に補償金を支払うという枠組みが必要だと思っておりますので、紛争審査会との交渉、避難を考えていらっしゃる方へのアンケート調査などご意見を書いていただいてそれを審査会の委員に送るとか、そんな活動をしています。

 福島
 20ミリシーベルトは撤回されてなくて暫定ということなので、なんとしても撤回させなきゃ、それからまた除染については国の費用でやると言ったけれど実際どうなのか、健康調査もありますよね。今、自主的避難、サテライト避難を何とか実現しようと、こないだ福島市でも集会をやりましたものね。

 満田
 今月(7月)の19日に、初めてなんですが福島の方々に集まっていただきまして、現地の災害対策本部の方々と交渉をしました。いつも、東京で政府の方々と交渉をして福島の方々に来ていただくということをやっていたんですが、それは本来ではなく、やはり政府の方々が福島の声を聞きに向こうに行くべきだとわたしたちも思いましてそういった場を設定しました。
 その場でやはり現在の避難区域の設定はいろいろ問題があるんじゃないかということを実例を挙げて迫ったわけなんですが、残念ながら現地対策本部の方々の対応というのが、非常に固いといいますか、読み上げているんですね、そして、政府が設定した避難区域以外の人たちの避難は、言い方は悪いですけれど、勝手でしょみたいな、そうとも取れる発言をしまして、その場にいた方々は大変怒って撤回を求めたんですね。
 ただ、そこで私は、政府としては自主避難に対しては責任を持とうとしないんだなと感じてこれは大変な問題だなと思って、20ミリという基準で設定された避難区域なんですが、その避難区域外でもかなり線量が高くて20ミリいってしまうところや10ミリ台であったところもありますし、そういうところの方々は非常に不安を抱えていて、ただ経済的な理由からなかなか避難ができなかったりする方もいらっしゃるんですね。
 これはきちんと自主避難を認めて、そういう方々にも補償を支払うということが必要かなと思っています。

 福島
 そうですね、日本弁護士連合会は、危険管理区域以外のところはまさに自主的避難でそれをちゃんと補填すべきだと言っている。どこを基準にしていいかはなかなか難しいけれど、明らかに危険性がある可能性があれば、そして本人が避難できるようにサポートすべきですよね。どうしてもいろんな首長さん達と話していると、いろんな方がいるので一概には言えませんが、人口が流出するのが心配とか、若い人が流出するのが心配という声があるんです。
 でもやはり聞いていると本末転倒、いのちがだいじでそれを救出するためにどうするかで、人口が減るというようなことは申し訳ないが、二の次、三の次という。少なくとも子どもを救うということについては、大人は居住移転の自由がありますが、子どもは自分自身行使しにくい。子どもたちについては、大人たちや行政がもっともっと動くべきだと。あと、こないだ現地対策本部の田嶋要さんに私も話しましたが、給食のことなどにもずっと取り組んでいますよね。そのことを話していただけますか。

 満田
 現在、内部被曝がずっと問題になっていますよね(福島:ホールボディカウンターもずっと行政交渉しましたよね)。それで、文科省が今1ミリシーベルトをめざすと言っている中には内部被曝は含まれていないんですね。今、親達の関心は給食にもすごくあり、それも測っているわけではない。行政は、市場に出回っているもので食品の暫定基準値をクリアしているものを使っているから大丈夫だということを言っているんですが、たとえ暫定基準値をクリアしたとしても、暫定基準は非常に甘い値ですので、それだけで数ミリシーベルト以上を摂取してしまう可能性もあるわけです。またモニタリングも全部されているわけではないので、これはやはりきちんと全部調べて公開していくべきだということを言っているところです。

 福島
 新聞報道で福島市は給食について放射線量を測ると。給食のワンパックでどれくらいあるのか、もしも食材の中で、基準値を超える超えないではなく、放射線量の高いものは排除する。給食費のコストが高くなるという意見もあるかもしれないんですが、それよりはとにかく昼間子ども達が食べるもの、家で気をつけていても給食は食べるわけだし、一週間のうち5食は安全な食事を食べてもらえるように、と思いますよね。
 これは福島市だけではなくて、福島県、そして関東にも広がったらいいと思うんですね。その取り組みはこれからもちゃんとしていきます。

 満田
 非常に重要だと思います。それから先ほど福島さんがおっしゃった、放射線管理区域以上ということなんですが、これはほんとにおっしゃるとおりで、放射線管理区域は18歳未満の若者の就労が禁止されているというのが、大体0.6マイクロシーベルト/時ですが、福島市の占領はそれをはるかに越えているところがたくさんあるわけですね。そうしたなかで子ども達が遊んで通学して学んでという、そうした危険にさらされているということ、これはほんとに大きなことですね。ですから、ほんとに線量の高いところについては、自主避難することに関して積極的に支援していくことが必要だと思っています。

 福島
 今はとにかく20ミリシーベルトの撤回と自主的避難を応援していく。それはとりわけ子ども、子ども以外はどうでもいいわけではありませんが、子どもたちについてはほんとにやらなきゃというふうには思っています。あと、今、思っていることを自由に話していただけますか。

 満田
 私はそういうわけで、3.11後に原発問題に向き合って取り組み始めたんですが、福島に何度も何度も足を運んでお父さんお母さんの話を聞いて、また、アンケート調査をしていろいろな人の声を聞いていて、ここまでの不安と恐怖と日々向き合って、子どもを守りたいという一心で活動されていて、普通のお父さんお母さん方が市民運動の先頭に立ってがんばらなくてはならない、そういった事態に直面しているということが、原発事故はここまでの悲劇をもたらしてしまうものなんだなということを痛切に感じていまして、みな泣きながらいろんなことを訴えていられるんですが、この痛みを行政の方々にもわかっていただきたいなと思いますね。

 福島
 そうですね。だから、お父さんは福島にいて、子どもと妻は県外にという人もいれば、経済的事情やいろんなことが許せば、幼稚園などのママたちで、安全なところに子どもを連れて行きたいという声もたくさん聞きますよね。それはもう、いちばんだいじなのは命なんだ、目の前にした命を自分はどうしたらいいんだろう、ということで、ほんとに、原発の被害はここまでも、と思いますよね。
話が飛躍するんですが、脱原発に関して、技術のために原発を続けるべきだとか、人材育成のためには必要とか、ちらっとまた核の平和利用のようなことが出てくると、もう信じられないと思います。これほどまでに被害を与えるんだったら、まだ残しといてという議論が何で出てくるのか、ほんとにわからないですね。

 満田
 それだけ大きな利権を生む元なんだとは思うんです。今、たぶん巻き返しが行われてきて、日本人の多くが原発事故の衝撃から考えを変えた人も多いと思うんですが、これから巻き返しが来ると思うんですね。ですからわたしたちは福島のこの事故の痛みを絶対忘れてはいけないと思いますね。

 福島
 今も現在進行形ですものね。文科省交渉、原子力安全委員会交渉などで、最初か二番目くらいにものすごく印象的だったのが、福島の小学校の校庭から取ってきた砂をガイガーカウンターで当てると、ガーガー音がした。で、文科省の人が「これは危険なところの土ですか」と言ったら、「いや、これはあなた達が安全だといった校庭の土です。だから持って帰ってください。」と。あのガーガー言うガイガーカウンターの音は忘れられないですね。

 満田
 そこまでせざるを得なかったお父さんお母さんがたの強い思いですね。

 福島
 もちろん、福島が放射線量が高いんですが、福島の中でもさまざまであり、また福島だけにも限定されない。給食の食材などは日本全国流通しているのであまり拡大は難しいかもしれないんですが、せめて関東、茨城・栃木・千葉・埼玉・神奈川・群馬とか、関東圏内は給食は放射線量をちゃんと測定して、子ども達には安全なものを食べさせる、そのために食材が高くなるんだったら、それはみなでお金を出すか、国が応援するか、いろんなことを考えたらいいと思っているんですよね。最後に何かおっしゃりたいことをどうぞ。

 満田
 これから私たちは避難の権利の確立に向けて、まずはそこに住んでいらっしゃる人たちが自らの被曝のリスクを知る権利、それから自らの判断に基づいて避難したとしてもきちんとした賠償が支払われるという権利、そして行政のサポートを受けられる権利というものを確立していくために、福島の現地、そして東京で活動していきたいと思いますので、どうぞみなさん、よろしくお願いします。

 福島
 これからもがんばってやりましょう。よろしくお願いします。

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