福島みずほのどきどき日記

高島美登里対談「上関原発新規建設を止めさせよう」(8月2日)

 福島
 どうもこんにちは。今日は「長島の自然を守る会」の高島美登里さんに来ていただきました。
 高島さんとは、上関原発の問題で私はお会いしたんですよね。山口県にある上関に原子力発電所を作ろうと、そこからわずか4キロ離れたところに祝島があって、そこの島民の人たちも反対しています。
 高島さんはとりわけ、自然保護という観点から、海を埋め立てて新たな海上基地を作ることに反対をしています。先日で100万筆以上の上関原発新規建設反対の署名が集まりましたよね。よくまあ、100万も集まりましたね。

 高島
 ほんとに。最初は夢のような数字だねと言いながら始めたんですけど、ほんとに全国の方々がいろんなところで集めてくださって、昨日やっと届けることができました。ほんとに有難く思っています
 
 福島
 昨日は第三次の分で合計すると100万筆以上、これを経済産業省の中山政務官のところに一緒に届けに行きました。上関原発では30年の反対運動があるわけですが、どうして反対していらっしゃるか、話してくださいますか。

 高島
 原発計画が浮上して29年目ですが、私は26年目からずっと祝島の方々と交流してきました。もちろん、山口県に危険な原発を作るのは嫌だという思いはあったんですけれども、26年前に祝島に行って、ほんとに祝島の方々が生活をかけて闘っていらっしゃる、また、守るためには闘わざるを得ないというのを目にして、ここに作ってはいけない、一緒にがんばっていこうということで、こんにちまで来ました。
 
 福島
 わたしも祝島に一晩泊まったこともあって、上関原発と祝島の集落が本当に向き合っていて、わずか4キロしか離れていないんですよね。今回の福島原発で、20キロ、30キロ、50キロという話を聞くと、4キロって万が一上関原発に事故が起きれば、祝島は住めなくなる、事故が起きたら逃げられない、そのことも痛感しましたね。

 高島
 祝島は離島だから、冬とか台風とか波の荒い時とかしょっちゅう欠航なんですね。そういうふうにいつ本土から切り離されても仕方ないという厳しい条件の中で暮らしていらっしゃる、その目の前に原発を作る、ほんとに非人道的な行為だと思います。
 祝島のおばちゃん達は毎朝、今日一日が無事なように、って朝日に向かって手を合わせられるんですね。原発予定地はちょうどその東側、朝日の上がるところにできるということで、生活ももちろんですけれど、祈りの場、心のよりどころも奪ってしまうというむごい計画だと思います。

 福島
 祝島の漁民の人たちは近辺で漁をしていらっしゃいますもんね。今、上関原発は県知事の埋め立ての許可は出たけれど、県知事自身も更新については否定をされている。もう一つ、原発の設置許可は申請はされているけれど、ゴーサイン、許可はまだ出ていないので、新規建設はやめられるんですよね。

 高島
 今ここでなら止められると思っています。

 福島
 海も埋め立てられていないですしね。

 高島
 私は現地の自然を守ることを一生懸命やっているんですが、山は一部削られたけれども、埋め立てに関しては中国電力も進捗率が0%と言っているくらい、まだまだ一部しか行われていないので、今止めれば、自然も島の人の暮らしも守れると思います。

 福島
 あそこはほんとにすばらしい、カンムリスズメや希少動物もたくさんいますけれど、その話もして下さいますか。

 高島
 きょうはこのTシャツを着てきたんですけれど、これは日本に5千羽しかいないほんとに貴重な鳥で、カンムリスズメは、日本海とか太平洋では繁殖期の一ヶ月だけは島で過ごすけれど、それ以外はどこにいて何をしているのか全く謎だったのが、上関原発予定地の周辺では子どもを育て、羽が生え変わるんですけれどもそういう時期も、一年を通じて安心して暮らしているということがわかったんです。そういう意味では奇跡の海と専門家も言っていますけれど、そういうすばらしいところです。

 福島
 (祝島に)行くと、瀬戸内海の入口で、自然が残っていて海のきれいなところです。ですから、その海を埋め立てるという感覚がほんとにわからないですね。

 高島
 透明度が15.8メートル、瀬戸内海では他にないようなすばらしいところなんですね。

 福島
 わたし、祝島にわたるときに、沖縄の辺野古と似てるなと思って、かたや約30年、かたや10年以上の、おじいおばあを中心とした地元の人の死にものぐるいの闘いがあってできなかった。そして交付金など札束で人の横面をひっぱたくような構図のもとで自然の豊かなところに押し付けられる、そして両方とも海を埋め立てる。
 今日は私(のシャツ)はジュゴン、かたやカンムリスズメという希少動物の住む海を埋め立てる、というそういう点でもとても似てますよね。

 高島
 人にとっても生き物にとっても最後に残された命の海、そこを埋め立ててつぶしてしまうという、そこが悲しい意味で似通っていると思っています。

 福島
 シーカヤックなどをやっている人たちもいますよね。あそこにもし原発ができたら、温排水や温度も上がるでしょうし、自然環境も変わる、そして万が一事故が起きたら、瀬戸内海は内海なので、被害が海も含めてとても広がると思っているんですけれどどうでしょうか。

 高島
 ちょうど豊後水道の入口に原発ができて、豊後水道から入ってきた黒潮がゆっくり瀬戸内海に注ぎ込んでくる、そういうところに温排水が毎秒190トンだから、四万十川一本分のものが出るんですね。7度高いし、いろんなプランクトンを殺す薬も入っているし、そういう意味でも、瀬戸内海全体の水は入れかわるのに1年半から2年かかるので、温排水と塩素処理剤のたまり場になる、そしてもし福島のような事故が起きれば、瀬戸内海は放射能のるつぼになってしまう、沿岸住民含めて生きていくことができなくなってしまう、ほんとに悲惨な結果になると思っています。

 福島
 今の現地の状況を話していただけますか。

 高島
 3.11の事故があって、埋め立ては一時中断をされています。町内で言いますと、今非常に微妙な雰囲気が漂っていて、町長は6月議会で、来年からもう原発立地交付金が見込めないかもしれないので、原発財源をもとにした街づくりと、それから原発に依存しない街づくりを一応提案するという格好になったりしていますが、私も引っ越してきて2年間なのでわからない部分が多いのですけれども、推進を望んでこられた方の側は非常にざわついている雰囲気を感じます。

 福島
 山口県の中で上関以外のところは中止を求める決議が出ていますね。

 高島
 19市町村ありますが、そのうち16市町村が中止ないしは凍結を求める決議をしました。

 福島
 山口県知事も埋め立ての許可の更新をしないと言っていますからね。祝島に行って、「ミツバチの羽音と地球の回転」という鎌仲ひとみさんの映画や「祝(ほうり)の島」というドキュメンタリーがあって、豊かな島の暮らしがある、平安時代からみんなで力を合わせるお祭りもあって、ドキュメンタリーと現地で思ったけれども、島の人たちが島の歴史と暮らしをとても愛していて、島の歴史についても誇りを持っているということを思ったんですね。だから中国電力が上関原発を作ろうとしていることに、みながほんとに生活を壊されるという実感を持っていると痛感しました。

 高島
 神舞という1100年前から続くお祭りも大事にされていますし、わたしが見ていて思うのは、祝島は離島であるがゆえに、昔から恵みの自然でもあるけれど、厳しい自然でもある、その条件の中でほんとに島の人たちが一丸となって生活を守ってこなくてはいけなかった、だから逆に非常な愛情と誇り、それを感じますね。

 福島
 この29年間の中で毎週月曜日ですか、デモをやっていますよね、あれはどれくらいになったんですか(高島;1100回を越える)、1100回ですか。29年の間、この間も、3.11より前の話でいうと、海上で、建築しようとしている中国電力側の人たちと島の人たちが対峙をするとか、「第一次産業なんかすたれるんだから原発で働けばいい」なんて中国電力の人が言ってるんですよね。

 高島
 ほんとに許せない。だから島のおばちゃん達は、「じゃあ、あんた達は札束食べて生きろ。」って言ってらっしゃいましたけれどもね、二重三重の差別を非常に感じますね。

 福島
 高齢の方もいらっしゃるのに、ほんとにあきらめないでみなでやっているんですよね。

 高島
 2月に埋め立てて、中国電力が工事を強行してきて、下請けの作業員の人たちと私たちは、ほんとに目と鼻の先でこうやって対峙したんですが、そのときに島のおばちゃんが言ってらっしゃったんですね。「私はね、3人の娘を海で育てた、娘が、お母さん、私たちを育ててくれた海を守ってね、と言うんよね」って言ったら、下請けの作業員の人が目に涙を浮かべていたんですね。
 私も最後の杭を打とうとする職人さんがいたから、私も打たれたら困るから手を置いて「あんたもプロの鳶ならプロの漁師さんの気持ちがわかるやろ」と言ったら、その子が涙ボロボロ流して「おれだってほんとは嫌なんだよ」と言ったんですね。中国電力の人は言葉で人を差別するけれども、また卑怯なのが、そうやって下請けの作業員とか地元の業者と私たちを争わせて、自分は後ろに控えて、ひどいことをしたうえに責任逃れという、それが一番の怒り、腹立たしいですね。

 福島
 上関は最後の新規建設地と言われていますよね。だから、なんとしてもこの上関原発を建てさせないということを実現して、おじいちゃんおばあちゃんと言うと怒られますかね、沖縄的に言えばおじいおばあですが、枕を高くして安心して寝られるように、ってほんとに思います。

 高島
 みなさんおっしゃるんですね、原発計画が来る前は、これは上関以外、祝島以外の町内の方も言われるんですよ、原発ができるまではほんとにみな仲の良い町だった、と、で、一番失われたものは何ですかとい聞くと人情とおっしゃるんですね。島の人で言っても、30年間、毎日毎日原発のことが心から消えない日はない、ほんとにそういう暮らしをされてきたわけで、せめてこれから、原発をいう黒い雲を、これから残された人生から取り除いて、晴れた空と同じ気持ちで暮らしていただきたい、その日が一日も早く来てほしいと思います。

 福島
 日本の中には巻原発や芦浜原発など、中止になるまで闘って原発を建てさせなかったところもあるんですよね。東洋町も原発廃棄物の処分場には嫌だと言ったり、だから原発推進一本やりじゃなくて、強大な力に対して地元の人たちはほんとにがんばって闘ってきたんですよね。
 若い人たち、山口県庁前で3.11より前ですが、工事が始まるというときにハンストやった若者たちがいて、健康のことをとても心配しましたけれど、みな熱い気持ちで思っているし、100万署名は大きいですね。

 高島
 祝島の人たちの戦いが全国のいろんな人たちの気持ちを少しづつ変えて、それが広がっていってやっとそういう力になって今実を結んでいると思います。

 福島
 祝島の人口って500人弱ですからね。それが100万まで。

 高島
 昨日、署名提出して申し入れの時に思ったのが、私たちが12年前に立ち上げて申し入れに来た時に、福島さんがいつも来て傍にいてくださって、申し入れをしてもけんもほろろという、祝島の方もそういうつらい時期があって、だけど、昨日で言うと100万という大きな後ろ盾があって、政務官とお会いできて、あそこまでたどりつけたなと、そういう思いを強くしました。

 福島
 これからほんとに、上関原発中止決まりましたというまでがんばっていきましょう。地元でがんばって下さい。もちろん応援しています。

 高島
 それが福祉まで被災された方たちに対する、私たちの一番の思いだと思いますので、是非そういう意味でもがんばりたいと思います。

 福島
 祝島は福島の被災地の皆さんを引き受けたりもしましたからね。

 高島
 月末、つい2、3日前も避難されている方が、ばらばらになっているけれども、祝島に集まってもう一度元気でがんばろうとおっしゃっていました。

 福島
 最後に一言メッセージをおっしゃって下さい。

 高島
 上関原発はもう絶対に建てさせない、脱原発社会の一歩として私たちも精一杯がんばりたいと思います。全国の皆さん、ご支援有難うございます。これからもよろしくお願いします。それから福島さん、もうずっと長い間、つらいときから本当に応援してくださって、私たちみなありがたく思っています。

 福島
 こちらこそ、最後までがんばりましょう。ありがとうございます。

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