福島みずほのどきどき日記

ボーイング787型機のバッテリー事故に関する質問主意書

 5月14日(火)
 5月1日に提出した「ボーイング787型機のバッテリー事故の原因解明と根本的な事故対策及び拙速な運航再開計画の見直しの必要性に関する質問主意書」を提出しました。
 14日に答弁書が戻ってきましたので、併せてご紹介します。

 ボーイング787型機のバッテリー事故の原因解明と根本的な事故対策及び拙速な運航再開計画の見直しの必要性に関する質問主意書
 
 ボーイング787型機(以下「B787」という。)の、本年一月に二件連続で発生した墜落・爆発にもつながりかねない深刻なバッテリー発火事故を受け、その事故原因の解明が日米で進められてきたが、事故原因が解明されない中で運航再開が実施されようとしている。
 アメリカ連邦航空局(以下「FAA」という。)は四月二十六日に、本年一月のバッテリーの発火事故以来運航が停止されていたB787について運航停止命令を解除し、日本の国土交通省も同様に解除するとされている。
 本年一月七日、ボストン空港で、日本航空のB787でバッテリーから出火した。また、一月十六日、全日空のB787がバッテリーから煙が出たために高松空港に緊急着陸した。
 この二つのB787のバッテリー発火・発煙事故(以下「本件バッテリー事故」という。)を受けて、FAAなど世界の航空当局は同型機の運航を世界中で停止した。本件バッテリー事故は、乗客乗員の生命を脅かす可能性のあった極めて重大なものであり、事故原因を徹底的に解明し、完全に再発を防ぐ措置を講ずることが求められてい
た。世界の航空会社八社が合わせて約五十機のB787の運航を一斉に見合わせた(五十機のうち十七機が全日空、七機は日本航空)。 
 B787は、従来の空圧制御部分を電気駆動に変えており、大量の電気を使う「電気飛行機」とも呼ばれており、電気システムの安全性は従来の航空機と比較しても極めて重要なものとなっている。
 本件バッテリー事故の原因については、米国家運輸安全委員会(NTSB)と日本の運輸安全委員会(JTSB)が事故原因を調査しているが、現時点で事故原因は特定されるに至っていないとされる。
 ボーイング社は本件バッテリー事故について、約八十項目の要因を想定し、さまざまなトラブルに対応できるよう改善策を講じたとされる。この改良バッテリーシステムを、FAAは米国時間四月十九日に承認した。
 四月二十三日及び二十四日、米国家運輸安全委員会は、B787のバッテリー発火の原因について公聴会を開催したが、この場においても、同委員会のデボラ・ハースマン委員長は同型機のバッテリーシステムには、今回の事故のような事態を想定した対策がとられておらず、承認を与えたFAAの措置にも疑問を呈し、事故原因の特定の
ためにはなお一年程度の時間を要するとの見通しを示した。
 日本の運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は四月二十四日の定例会見で、B787のバッテリー事故について「根本原因の特定には至っていない」と述べている。これまでの調査からは、ボーイング社が対策を講じた約八十項目以外の原因は想定していないとも指摘し、ボーイング社の対策を是認するかのような見解を示している。
 このような日米欧の航空当局の措置を受け、B787について、リチウムイオンバッテリーのシステム改修と試験飛行の実施などを経て全日空と日本航空はこの六月にも国内線と国際線の営業運航を始める見通しとなったとされる。しかし、このような措置によって重大な事故が発生しない保証があるかどうかについて、深刻な疑問と懸念を表明せざるを得ない。よって、以下のとおり質問する。
 
 一 事故原因について
 1 本件バッテリー事故について、米国家運輸安全委員会及び日本の運輸安全委員会の事故調査によって事故原因は明らかになっていないと理解しているが、そのとおりか。
 2 日本の運輸安全委員会の後藤昇弘委員長は四月二十四日の定例会見で、B787のバッテリー事故について「根本原因の特定には至っていない」と述べながら、これまでの調査からは、ボーイング社が対策を講じた約八十項目以外の原因は想定していないと述べたとされる。約八十項目以外の原因は想定していないと判断した技術的根
拠を示されたい。
 3 本件バッテリー事故の根本的な原因は特定されておらず、FAAのスティーブ・ボイド氏は米国家運輸安全委員会の公聴会において「改良されたバッテリーにおいても熱暴走などのトラブルが発生する可能性をゼロにはできない」と発言していると聞いているが、事実か。
 4 米国家運輸安全委員会のデボラ・ハースマン委員長は公聴会において、「バッテリーの試験はもっと慎重であるべきであった。」と述べ、B787のバッテリーシステムには、今回の事故のような事態を想定した対策がとられておらず、承認を与えたFAAの措置に疑問を呈し、事故原因の特定のためにはなお一年程度の時間を要する
との見通しを示したと聞いている。米国家運輸安全委員会は同型機のバッテリーシステムには設計段階から欠陥が存在した可能性を疑っているのではないか。
 5 ボーイング社は型式承認時に電池の事故は一千万フライトに一回と説明したが、本件バッテリー事故は五万フライト以前だった。また、二〇一〇年十一月九日には、二号機(ZA〇〇二)の試験飛行中に電気室内の配電盤で火災が発生し、機内に煙が充満し主電源がダウンするという事故が発生し、この影響でコックピットの表示の一
部とオートスロットルが作動しなくなったとされる。これは事実か。事実だとすれば、B787のバッテリーシステムには設計段階から欠陥が存在した可能性があるのではないか。
 6 一連の事故後、英メギット社傘下のセキュラプレーン・テクノロジーズ社をめぐって安全性への懸念を提起したことで六年前に解雇されたと主張するマイケル・レオン氏は、米国家運輸安全委員会の調査官と一月に接触し、その主張に関する詳細な資料を渡したと明らかにしている。同社は米アリゾナ州に本拠を置き、B787に搭
載されているリチウムイオン電池向けの充電装置を製造している。同氏は一月二十三日に行われたロイター通信社とのインタビューや裁判資料の中で、セキュラプレーン・テクノロジーズ社が充電装置の出荷を急いでいたと主張し、この充電装置について、仕様と一致せず、正常に作動しなくなる可能性を指摘していたという。このような報道は事実か。
 7 ここまでに指摘した内容が事実であれば、B787のバッテリーシステムについては、根本的な欠陥がある可能性があり、その開発の当初にさかのぼりその安全性を徹底的に明らかにすることが求められているのではないか。

 二 ボーイング社の講じた事故対策等の安全性について
 ボーイング社が実施するとされているバッテリーの改良によって、バッテリーが熱暴走しても致命的な事態に発展しないことが保証されているかどうかが重大な問題である。ボーイング社は約八十項目の原因をあげ、これらのすべての原因に対応する措置を講じたとする。
 しかし、約八十項目の原因に漏れがないことの保証はないし、また想定された原因は正しかったとしても、想定された原因によって事故が事前に想定したとおりに進行することはむしろまれであり、事故は常に思わぬ展開をするという特徴を持っている。
 相次いで発生した本件バッテリー事故からも、B787のバッテリーとその充電システムには何らかの重大な欠陥が隠れていることが強く疑われる。
 1 今回ボーイング社によってとられた措置は①電池の一つ一つを絶縁テープで巻く、②電池と電池の間に絶縁性と耐熱性を強化した仕切りを設置する、③バッテリー容器ごと別のステンレス製の箱で覆い、内部を無酸素状態として発火させないなどの措置を内容としていると理解しているが、そのとおりか。
 2 国土交通省航空局は、前記二の1の措置に付け加えて①飛行中の機体のバッテリーの電圧を地上で監視できるようにする、②使用後のバッテリーを外して異常がないかサンプリング調査することなどを指示している。これらの措置によって事故再発の確実な防止が図られる技術的根拠を示されたい。
 3 報道によれば、FAAは事故発生時の緊急着陸の可能性などを考慮し、長距離飛行・飛行時間の制限も検討したとされるが、このような報道は事実か。このような措置が見送られたのはなぜか。
 4 国土交通省航空局においても、前記二の3のような措置が検討されたか。検討されたとすれば、このような措置が見送られたのはなぜか。 
 5 前記二の1の措置は、いずれも今後も熱暴走が発生しうることを前提として、バッテリー内部に火災を封じ込めることを目的としている。しかしこれらの措置は明らかに原因を取り除く根本対策ではなく、対症療法と評価するしかない。事故原因は取り除けておらず、事故の再発は避けられず、その際の乗客乗員の安全性も確実に保証されているものとは認められないのではないか。

 三 運航再開決定について
 1 本件バッテリー事故は電気飛行機の異名を持つB787の心臓部ともいうべきバッテリーシステムで発生した。周辺的・派生的なシステムの事故ではない。このような事故については、事故原因を完全に解明して、原因を除去する対策をとることが求められていたのではないか。政府の見解を示されたい。
 2 今回の見切り発車的な運航再開決定の背後には、アメリカの主力航空機製造会社であるボーイング社の次世代機であるB787の運航を停止させ続けることによって同型機の世界のエアラインへの導入計画にも影響を与えるわけにはいかないという日米航空局の政治的配慮が働いているのではないか。
 3 事故機二機の保有国であり、事故原因を解明する責任を共有する日本の国土交通省航空局が、このような不合理な措置に同調した背景には、B787の部品の三割以上を供給している日本企業に対する政治的配慮が働いているのではないか。
 4 米国家運輸安全委員会はこのような措置に同意しているのか。何らかの疑問を提起していないのか。日本政府の承知するところを示されたい。
 5 日本の運輸安全委員会はこのような措置に同意しているのか。運輸安全委員会における、運航再開措置に関する議論の経過を示されたい。
 6 今後B787においてバッテリーシステムのトラブルに起因する重大事故が発生し、犠牲者が出ることになれば、今回の運航再開を推し進め、これに同意を与えたすべての関係者は厳しくその法的責任を問われることとなる。このような事態を絶対に起こさないために、国土交通省航空局と運輸安全委員会に対して、拙速な運航再開計
画を見直すよう求めたい。このような見直しを行う計画はないか。

 右質問する。


 参議院議員福島みずほ君提出ボーイング787型機のバッテリー事故の原因解明と根本的な事故対策及び拙速な運航再開計画の見直しの必要性に関する質問に対する答弁書

 一の1について
 お尋ねの本年一月七日(米国東部時間)に米国のボストン空港に駐機中の日本航空株式会社(以下「日本航空」という。)所属ボーイング式七八七型機(以下「B―七八七型機」という。)JA八二九Jにおいて発生したバッテリー損傷事案(以下「一月七日の事案」という。)及び本年一月十六日に全日本空輸株式会社(以下「全日空」という。)所属B―七八七型機JA八〇四Aにおいて発生したバッテリー損傷事案(以下「一月十六日の事案」という。)について、現時点では根本的な原因の特定には至っていない。

 一の2について
 国土交通省運輸安全委員会(以下「委員会」という。)としては、一月十六日の事案に関するこれまでの調査によって明らかになった事実から、バッテリーの損傷はバッテリーケースの内側で生じており、その損傷の状況から、バッテリー内の複数のセルにおける化学的反応や異常な電流に関連して発熱し、大きな損傷につながったものと考えており、この点において、委員会、当該調査に参加した米国国家運輸安全委員会(以下「NTSB」という。)及びザ・ボーイング・カンパニー(以下「ボーイング社」という。)の間で大きな考え方の違いはないと考えている。
 また、委員会としては、ボーイング社が一月七日の事案及び一月十六日の事案(以下「両事案」という。)に関するこれまでの調査によって明らかになった事実を踏まえ、想定される全ての原因について対策を立てていると承知しており、委員会としても、現時点において、ボーイング社が想定している原因以外の原因を想定していない。

 一の3について
 NTSBが本年四月二十四日(米国東部時間)に開催した公聴会(以下「四月二十四日の公聴会」という。)において米国連邦航空局(以下「FAA」という。)のスティーブ・ボイド航空機・運航乗務員担当マネージャーが、一般論として、バッテリーには常に一定程度、発熱現象の発生の可能性があることを想定した上で、発熱現象がもたらす結果と、発熱現象の発生の可能性を最小限に抑えなければならない旨述べたことは承知しているが、御指摘の発言を行った事実があるとは承知していない。

 一の4について
 NTSBが本年四月二十三日(米国東部時間)に開催した公聴会(以下「四月二十三日の公聴会」という。)又は四月二十四日の公聴会においてNTSBのデボラ・ハースマン委員長が御指摘の発言を行った事実があるとは承知していない。

 一の5について
 FAAが―七八七型機の型式証明を行った際に適用した審査基準においては、バッテリーの不具合の結果として放出される煙又は有害なガスが航空機内に危険な量まで充満する状態となる確率は、千万飛行時間に一回未満とすることとされているが、四月二十三日の公聴会及び四月二十四日の公聴会において、FAAのスティーブ・ボイド航空機・運航乗務員担当マネージャーは、一月七日の事案については、飛行中に発生した事案ではないことから当該基準に定める状態に該当するか否かを判断することは困難であり、また、一月十六日の事案については、当該基準に定める状態に至らなかったとみられる旨証言していると承知している。
 なお、平成二十二年十一月九日(米国東部時間)、試験飛行中のB―七八七型機において、配電盤から発火する事案が発生し、その後、B―七八七型機の当該配電盤の設計変更等の対策が行われた事実は承知しているが、B―七八七型機においては、当該配電盤とバッテリーとは直接接続されておらず、当該事案はバッテリーの不具合により発生したものではないと承知している。
 
 一の6について
 御指摘の報道は承知しているが、その事実関係については承知していない。

 一の7並びに二の1及び2について
 両事案を受けてボーイング社が作成し、FAAが承認した是正措置(以下「是正措置」という。)においては、両事案に関するこれまでの調査によって明らかになった事実を踏まえ、想定される全ての原因に対応して、バッテリー内のセルの過熱を防ぐための直接的な対策、バッテリー内のセルが過熱した場合に他のセルに熱が伝播(ぱ) することを防ぐための対策及び万一バッテリー内のセル間で熱が伝播した場合の火災等の発生を防ぐための対策の三段階の対策を講ずることとされており、政府としては、是正措置により両事案のようなバッテリー損傷事案の再発防止が十分可能と考えている。
 また、国土交通省においては、B―七八七型機の運航再開を認めるに当たり、B―七八七型機の運航の安全の確保に加え、利用者の安心を確保するため、日本航空及び全日空に対して万全の措置を講ずるよう要請したところであり、御指摘のような飛行中のバッテリーの監視等の措置については、当該要請を受けて、両社が追加的に講ずることとしたものであると承知している。

 二の3及び4について
 FAAによれば、御指摘の措置について検討を行った事実はないとのことであり、また、国土交通省においても、御指摘の措置について検討した事実はない。
 
 二の5及び三の1について
 政府としては、是正措置において、両事案に関するこれまでの調査によって明らかになった事実を踏まえ、想定される全ての原因について対策が講じられており、是正措置により両事案のようなバッテリー損傷事案の再発防止が十分可能と考えている。

 なお、―七八七型機の電力については、発動機の作動中は、主に、B―七八七型機の発動機に装備されている複数台の発電機から供給されるものであり、バッテリーは、駐機時の電源や非常時の予備電源等として限定的に使用されるものである。

 三の2及び3について
 政府としては、―七八七型機の安全の確保を最優先に対応してきた結果、是正措置により両事案のようなバッテリー損傷事案の再発防止が十分可能と考え、運航再開を認めたものであり、御指摘は当たらない。

 三の4について
 政府としては、是正措置に基づく運航再開の決定に対し、NTSBが御指摘の「同意」又は「何らかの疑問」の提起を行ったか否かについて、承知していない。

 三の5について
 委員会は、航空事故等、鉄道事故等及び船舶事故等の原因を究明するための調査等を行うことを任務としており、是正措置に基づく運航再開の決定について同意する立場にはない。

 三の6について
 政府としては、是正措置において、両事案に関するこれまでの調査によって明らかになった事実を踏まえ、想定される全ての原因について対策が講じられており、是正措置により両事案のようなバッテリー損傷事案の再発防止が十分可能と考えていることから、運航再開を認めたことについて見直しを行う考えはない。

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