福島みずほのどきどき日記

5月14日の予算委員会

 5月14日(火)
 
 福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 自民党は、参議院選挙の公約に日本国憲法改正原案を出すというふうにおっしゃっています。日本国憲法改正草案の問題点について国民の皆さんに分かっていただきたく、質問をいたします。
 自民党の日本国憲法改正草案が規定する国民の義務です。(資料提示)国防の義務、日の丸・君が代、国旗国歌尊重義務、領土・資源確保義務、公益及び公の秩序に従わなければならないという義務、個人情報不正取得等禁止義務、家族助け合い義務、「家族は、互いに助け合わなければならない。」と、義務が二十四条に入ります。環境保全義務、地方自治負担分担義務、緊急事態指示服従義務、憲法尊重擁護義務、十個の新たな義務がこういうふうに規定をされるわけです。
 憲法とは、憲法というのは、国民の表現の自由を侵害するな、無理に、きちっとしないで逮捕するなというようなことを、そういうことを規定する、国家に対して規制をするもの、国家権力を縛るものが憲法です。どうしてこんなにたくさんの義務、しかも、今あるのは国民には憲法尊重擁護義務がありませんが、新たに憲法尊重擁護義務が課されます。世界で、国防義務、公益及び公の秩序義務、家族助け合い義務などこんなにたくさんの義務を規定している憲法はありません。
 これは憲法じゃないんじゃないですか。どうしてたくさんこんなに義務を期待しているんでしょうか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 今示されましたが、では今、自民党の、誤解があってはいけないので、自民党の原案をじゃ読まさせていただいてよろしいですか。

 福島みずほ君
 時間がもったいない。
 
 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 いや、時間がもったいないとおっしゃっても、一方的に誹謗中傷をされたわけですから、自民党が出した憲法改正草案ですね。そして、これは自民党においてずっと議論をしたんですよ。二時間にわたって議論をしたものを今ここでまさに福島委員が誹謗中傷を行ったわけでありまして、それはやっぱり大きな問題だと思いますよ。であるならば……(発言する者あり)
 またちょっと今、小野議員がうるさいので、もう会場から出ていってもらえますか。

 委員長(石井一君)
 速記を止めてください。〔速記中止〕

 委員長(石井一君)
 速記を起こしてください。
 時間が限られておりますが、冷静に議論をしていただきたい。国民が注視しておりますので、質問者も、また政府の答弁も冷静の中に議事を進行していただきたいと存じます。

 質疑を続行します。

 福島みずほ君
 では、二十四条一項に、家族は共に助け合わなければならないというふうに規定をしています。たくさんの義務があると考えているのはその理由です。なぜこの規定が入っているんでしょうか。


 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 基本的に申し上げますと、何回も申し上げておりますが、これは自由民主党が出している憲法改正草案であって、そしてそもそも国民投票に付せるのは逐条的にしか付すことができないわけでありまして、そして例えば我が党で、与党で、どの条文について我々は憲法を改正しようとして出して、その段階で初めて憲法審査会において深い議論がなされていくわけでございまして、今この予算委員会においてこの全ての条文について一々議論していくことがふさわしいかといえば、私はそうではないというふうに思いますし、本来、私は総理大臣としてここに立っているわけでございまして、自由民主党草案として出しているこの条文について、それを一々解説する立場には基本的にはないということは申し上げておきたいと思うわけでございます。
 その上において申し上げれば、その上において申し上げれば、自民党の考え方について、それは家族が助け合っていくべきだろうというそういう考え方を述べたわけでございまして、それを義務として書いているということでは全くないということでございます

 福島みずほ君
 これは、こういう道徳的な、これは道徳かもしれませんが、憲法に書くものではないんですよ。憲法は、国家権力に対して言うものなんです。
 自民党の日本国憲法改正草案QアンドAにはこうあります。「現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました。」自民党は天賦人権説を否定しているんでしょうか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 よろしいですか。
 一般にいわゆる天賦人権説とは、基本的人権は国家から与えられるものではなく、人が生まれながらにして持つ人間の本来享有すべき天賦の権利であるという自然法的な考え方でもありまして、この思想はルソーなどの十八世紀の啓蒙思想家により主張されていたところでございます。アメリカの独立宣言やフランスの人権宣言、さらには日本国憲法に表れていると、このように言われております。
 他方、宗教思想が深く浸透している国においては、基本的人権は神から与えられたというような解釈をする国もあると言われているところでありまして、我が国の現行憲法においても、「基本的人権は、」「現在及び将来の国民に与へられる。」と受け身の表現が使われているところから、このような国の考え方と同様であると誤解されることがないように、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」という書きぶりに改正することとしたところでございます。
 いずれにせよ、福島委員、自由民主党の改正案について出すのであれば、それは福島さんの解釈で言わずに、ちゃんと自民党の全文もちゃんとしっかりと紹介した上において論評していただきたいと、このように思いますし、本来、憲法審査会においてしっかりと私は議論をしていただきたいと、このように思うわけでございます。

 福島みずほ君
 大事だと思うから聞いているんです。最も重要なことですよ。
 天賦人権説に基づいて規定されていると思うのが散見するから改めると言っているんです。でも、天賦人権論は、人間が生まれながらにして平等であるという、当たり前のとても大事な、そういうものじゃないですか、それを改めるって書いてあるわけです。
 十三条、正確に引用しています。「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重」される。つまり、公益及び公の秩序に反してはならないんですよ。今、公共の福祉で人権と人権の衝突、どっちを優先するかやっているが、自民党の新憲法草案は、公益及び公の秩序という抽象的な概念で、そういう法律を作れば幾らでも表現の自由も結社の自由も制限できるもので、これは天賦人権説に立たないからこういう見解になるんじゃないかと思います。
 総理、次に九十七条をお示しいたします。「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」。これ、極めて大事な、基本的人権が大事だという。だって、憲法は基本的人権を守るために存在するわけですから、最も重要な十三条と並ぶ条文です。自民党はこれを削除していますよね。これは何なんでしょうか

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 先ほども福島委員が誤解を与えるような言辞を並べられますからはっきりと申し上げておきたいと思いますが、自民党の憲法において、「基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」ということははっきりと記してあるわけでありまして、言わば人権と人権とのぶつかり合いの中において公の秩序と書いたのは、現行憲法にあるものをこれは言語上分かりやすく整理したものにすぎないということははっきりと申し上げておきたいと、このように思うわけでございます。
 その上において、改正草案において憲法第九十七条を削除したのは、党内において様々な議論がありました。その結果、第十一条にまとめることが適当であると、このように結論が出たわけでありまして、十一条について、現行憲法の十一条は、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。」と、こう書いてあります。そして、九十七条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」と、こうあるわけでございますが、自民党案は、この九十七条は削除をしておりますが、第十一条に、「国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。」と、このように明確に書き記しているところでございます。
 これを福島委員はおっしゃらずに、九十七条をこれは削除した、だから基本的人権について自民党案は極めて軽視をしているというのは、ためにする議論であるということははっきりと申し上げておきたいと思います。

 福島みずほ君
 総理が今言った十一条は、ほぼ現行日本国憲法にあるじゃないですか。この憲法が国民に保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利であると十一条に書いてあるんですよ。わざわざ九十七条を削除しているというのは、十一条とはそれは違うんですよ。
 それと、さっき、(発言する者あり)そう、最高法規のこの九十七条は条文なんです。

 委員長(石井一君)
 静粛に願います。
 
 福島みずほ君
 そして、公共の福祉に関してさっき総理は、相互の利益調整と。そうじゃないんですよ。自民党は、公共の福祉というのは、人権相互の衝突の場合に限っているが、そういうものではないために公益及び公の秩序という概念を持ってきたと書いているんですよ。天賦人権論を否定する。つまり、天賦人権論を改めなければならないと自分たちがQアンドAにはっきり書いているじゃないですか。
 ところで、集団的自衛権の行使について、総理は読売新聞のインタビューについて話をしています。
 
 内閣法制局、日本国憲法下で集団的自衛権の行使は認められますか。

 委員長(石井一君)
 かなり時間が切迫いたしております。どうぞよろしくお願いします。

 政府特別補佐人(山本庸幸君)
 集団的自衛権についての現在の従来から考えられてきた政府の見解を申し上げますと、憲法九条の下におきまし
ては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に、これを排除するための必要最小限度の実力の行使を除いて、武力の行使は一般に禁じられております。
 そこで、集団的自衛権ですけれども、我が国に対する武力攻撃に対処するものではなくて、他国に加えられた武力攻撃を我が国が実力をもって阻止することを内容とするものでありますから、その行使は憲法九条の観点で許されないということでございます

 福島みずほ君
 集団的自衛権の行使は日本国憲法に反して、違憲です。違憲であることについて検討するということは許されないというふうに思いますが、総理、どうですか

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 現在、安全保障環境が大きく変わってきているわけでございます。
 この安全保障環境が大きく変わってきている中において、日本の国民の命や領土、領海を守るためにどう考えるべきかということに今真摯に議論をしているわけでございまして、安保法制懇においての御議論においてしっかりと御議論をいただきたいと、このように思うところでございます。

 福島みずほ君
 九条で、自民党は、国防軍とし、集団的自衛権、交戦権を認めるという点は極めて問題です。でも、今日の質問は、解釈改憲で日本国憲法下で違憲のものを認める、認められないということを、違憲だとしてきたことを認めるという点で極めて問題だと思います。
 自民党が提案している自民党新憲法草案の問題点、極めてあるということを申し上げ、私の質問を終わります。

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