福島みずほのどきどき日記

4月25日予算委員会の議事録

 4月25日(木)
 福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 総理、小泉政権において、二〇〇四年、労働者派遣法を変えて、製造業も派遣可能としました。 
 この政策は正しかったと思いますか

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 平成十五年の製造業への労働者派遣の解禁は、厳しい雇用情勢の中において雇用の場の確保等を目的として行われたものであります。つまり、経済がグローバル化する中において、企業そのものがそのグローバルな競争の中ではなかなか立ち行かない、あるいは製造拠点を日本から外に移さざるを得なくなるかもしれないという中において、雇用の場を確保するという目的で行われたものであります。そういう意味においては、この小泉政権の取った政策はそういう状況の中で必要に迫られたものであったと、このように考えております

 福島みずほ君
 でも、製造業も派遣が可能となった結果、二〇〇八年十二月、派遣切りが大量に起きて、派遣切りが行われれば職も失う、住まいも失う、行く場所がない。あのとき派遣村が日比谷公園にできたことは、本当に私もあのときショックでした。自己責任、自己責任、自己責任と言われていたけれど、法律によって、まさに政治の結果これが起きたんだということを痛感しました。
 だから、政治は雇用の立て直しをしなくちゃいけない、雇用の劣化を食い止めるべく労働法制の規制をしなければならない、そう思っております。
 労働契約法の改正や派遣法の改正、不十分ですが、国会は規制を強化する方向に動いてきたというふうに思っています。
 ところが、安倍政権になって、産業競争力会議、規制改革会議で言われているのは労働法制の規制緩和です。労働者派遣制度の見直しと弾力的運用、これが言われています。総理、また派遣の規制緩和をするんですか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 今、産業競争力会議において様々な議論がなされています。経済財政諮問会議においても議論がなされているわけでありますが、これから我々は日本を力強く成長させていきたいと、こう考えているわけでございまして、その中においても成長戦略が極めて重要であります。
 この成長戦略を進めていく上において、あるべき社会像、いろいろと社会像を定めまして、そこに向けて国家資源を投入をしていく、あるいは規制を緩和をしていくことによって、投資を促し、雇用をつくりと、そして企業は利益を上げ、そして勤労者にそれを均てんをしていくと、そういう中で、好循環、景気好循環の中において日本の経済は成長していく。そこで、言わば成熟した産業とこれからまさにどんどん伸びていく産業というものがあるわけでございまして、そこで、労働者が成熟した産業から言わば新しいところに移っていきたいという思いを抱く方々に対してはしっかりとジョブトレーニング等の支援もしていくわけでありまして、我々は失業なき言わば労働移動を可能にしていこうと、こう考えているところでございます。

 福島みずほ君
 小泉政権下でタクシー、ハイヤー、バスの規制緩和、台数の規制緩和をしました。
 タクシーの運転手さん、軒並み年収が下がって本当にひどい状況になった。今、非正規雇用の人、パート、派遣、契約社員は三五%、何と女性の五四%が非正規雇用です。 
 株を持っていない人も株が上がったと浮かれている。でも、一方で、安倍内閣が打ち出しているのは労働法制の規制緩和なんですよ。どんどんそのオンパレード。もう一回雇用を壊すんですか、もう一回雇用の劣化を引き起こすんですか。本当にこれには反対をしていかなければならない。自己責任ではなくて、労働時間の本当に、非常に緩めるとか、派遣の規制緩和は入っているんですよ。
 総理、第一次安倍内閣のときに、解雇のルールの規制緩和、それからホワイトカラーエグゼンプション、つまり一定のものについては労働時間の規制を全部取っ払う、だから残業代を払わなくていい。私たちは、社民党は残業代不払法案あるいは過労死促進法案と反対をして、これは国会には出ませんでした。しかし、その解雇のルールの規制緩和、日本はもっと解雇しやすくした方がいい、委員の中には、民法のルールどおり、判例が解雇は濫用してはならないというのは見直すべきだという論さえ出ています。
 総理、どうなんですか。解雇のルールの規制緩和、それからホワイトカラーエグゼンプション、裁量労働制、また出てきていますよね。これ、おやりになるんですか

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 働き方については、その専門によってそれぞれいろいろとあるわけでありまして、例えばこんな議論があったんですね。研究者においては、言わばひらめいたときにはずっとその日、言わば寝ないでそのまま研究を続けた方が成果が出てくる。しかし、今の労働法制上、それができなくなっているので、それは変えてもらいたい。それは、なるほど、もっともだなと、こう思うわけでございまして、先ほど例に挙げられたホワイトカラーエグゼンプションというのは、これは、言わば管理職に近い方々の中において、そういう働き方の方がいいという方だっておられるわけでございまして。
 今回は、しかしまだその議論はされておりませんが、最初から議論を縛るのではなくて、その中において、どうやればまずは産業競争力を高めることができるかという議論を自由闊達にしていただいた上において、もちろん雇用については、これは非常に重要な話でありまして、そこで働く勤労者は職場において得る給料において生活を営んでいるわけでありますし、労働条件というのはもちろんこれは保障していかなければならないわけでございます。そういうものを踏まえる上において、どのような仕組みにしていくことがいいかということについて今活発な議論が行われているということでございます。

 福島みずほ君
 ホワイトカラーエグゼンプションは、みなし管理職の人も、今パートだって管理職だったり店長だったりしていますよね。みなし管理職の人は全部労働時間の規制撤廃するというひどい中身だったんですよ。これだともう残業代を払わなくていい。本当に労働時間の、今、長時間労働ですよね、正社員の方も。これを取っ払ってしまって、残業代も払わなくていいとなったら、一体どういう状況が起きるのか。この産業競争力会議、この構成員だって働く人の代表も出ていないし、それからむしろ派遣や雇用の流動化でもうかる人たちは結構入っていますよね。
 総理、雇用の流動化という名の下にもう一回雇用を増やすのか。この中には労働法制の規制の観点はないんですよ。全部規制緩和です。裁量労働制、労働時間の規制の撤廃、派遣法の弾力的運用やもっと規制を緩和をする、解雇のルールをもっと弾力化する、解雇しやすくする。流動化って、流動化がうまくいけばいいですよ。でも、解雇がしやすくなる、あるいは、おまえはいつだって首になる可能性があるぞってなれば、今ある追い出し部屋やブラック企業や、本当にみんなうつ病になったりしながら働いている、そんな状況、もっと悪くなるというふうに思います。解雇のルールの緩和化、もっと解雇しやすくする、あるいは金銭解決すれば、裁判所が解雇は無効としても救済できる。それはおやりになるつもりですか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 今までこの委員会においても何回も答弁をさせていただいているわけでございますが、先ほど、例えば派遣について言えば、世界のこのグローバルな経済の中で競争をしているわけでありますから、そこでこれでは勝ち残れない、あるいは言わばもう工場ごと外に移すということになってしまったら、みんな丸ごと根っこから仕事がなくなっていくんですよ。
 しかし、だから、そういう状況をつくってはいけないという中において、あのとき言わば製造業の皆さんにもこれは広げたわけでございまして、もしそれがなかったら、これはほとんど、例えば多くの自動車メーカーを始め家電メーカーの工場は日本からなくなっていたかもしれないということになれば、これはその工場のみならず関連の下請企業も全部含めて仕事を失うということになるわけでございます。
 そこで、大切なことは、やはり経済を成長させていくということでございます。先ほど申し上げましたように、自動車産業の多くは海外に生産拠点を移すということをもう一度考え直しているわけでありますし、日産もそうであります。
 そこで、今おっしゃった金銭によって自由に解雇ということは全く考えていないということは、もう何回も申し上げているとおりであります。

 福島みずほ君
 事前の金銭解決については駄目だけれども、甘利大臣は、これは事後の金銭解決ですることは選択肢としてあり得るというふうにおっしゃっていたので確認をさせていただきました。
 企業は二百四十兆円内部留保を持ち、労働分配率が下がり、労働者の賃金は下がり続けてきたわけです。この間起きたことは、雇用の破壊であり、雇用の劣化です。今の総理の答弁だと、要するに企業が潤えば何とかなるということだけど、そうならないんですよ。まず労働法制をどうするかということもやらなければ、結局、労働、暮らしの基本が壊れれば、そうすれば人は物を買えない、失業する、内需は拡大できないわけです。
 ですから、分厚い中間層をつくるためには、最低賃金を上げること、正社員化をすること、均等待遇の実現、そういうことをやる。労働法制は、やっぱり長時間労働で過労死する人もいるわけだから、労働時間の規制をする、そのことこそやるべきですよ。それをやらなければ、一%がもうかるけれども九九%は中間層からすらずれ落ちるという、そういう状況が起きるわけです。
 この産業競争力会議、経済財政諮問会議、規制改革会議が雇用の規制緩和のみ議論していることについて、これは大問題だということを強く申し上げ、この方向は国民は許さないということを大きく展開していきたいというふうに思います。
 次に、自民党の新憲法草案についてお聞きをいたします。(資料提示)
 自民党の日本国憲法改正草案がありますが、憲法十三条は、公益及び公の秩序によって基本的人権を制限できる、表現の自由も結社の自由も公益及び公の秩序によって制限できるという中身にしているわけです。これは、公益とは何か、公の秩序とは何か。公益というのは国益になってしまうんじゃないか、あるいは政府の利益とほとんど同じになってしまうんじゃないか。基本的人権は本当に、ほかの権利の利害対立でなければ、表現の自由も、もちろんプライバシー権やいろんな権利によって制限できるが、この自民党の案だと公益で制限できちゃうんです。
 そこで、総理にお聞きします。沖縄辺野古に海上基地を造るというのは、自民党の、そして政府の既定方針です。沖縄辺野古に基地を造るべきでないという表現の自由、あるいはそれに反対する活動、結社の自由、これは公益に反するんでしょうか。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 公益に反するかどうか、一々私がここで判断する立場にはございません。当然、辺野古に言わば普天間から移設をするということについて様々な意見を表明する、これは当然、日本は表現の自由がございます、結社の自由もございますから、それはもうどうぞ自由にやっていただいてということでございますから、それは反するということではございません。
 
 福島みずほ君
 例えば、上関原発を造る、設置許可を新規にやる、そのときにこれに反対する活動、表現の自由、これは公益に反するんですか。
 結社の自由は公益及び公の秩序に反してはならないというふうに自民党の案はなっていますよ。
 
 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 つまり、例えば上関の反対運動を展開をしている人たちは法令に反しているんですよ。法令に反しては駄目ですよ。表現の自由で暴れて人を殴ったりけがをさせる、もうこれは駄目ですよということを我々は申し上げているわけであります。

 福島みずほ君
 当たり前じゃないですか。人を殴れば傷害罪ですよ。
 この自民党新憲法草案が問題なのは、公益という訳の分からないお化けのような概念で上から基本的人権を制限できるというふうにしていることなんです。だから分からない。しかも、表現の自由もこれは制限できるんです。
 公益及び公の秩序に反するという理由で法律を作れば、それは合憲になっちゃうんですよ。だから、何が公益及び公の秩序になるのか、訳の分からない概念で基本的人権を制限してはならないんですよ

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 私は今はここに総理大臣としているわけでありまして、そこで、自由民主党としては草案を出しておりますけれども、しかし、まだこの草案を実際にこれ提出していないんですから。これは逐条的にやっていきますから、まず我々は九十六条から自由民主党はやろうということにあって、今おっしゃっているのは十三条だと思いますが、それについてはここで、まだ出してもいないやつをこの予算委員会で、しかも集中質疑でしょう。だから、私も総理大臣としての職務はありますよ、でも時間を取ってここに来ているんですけれどもね。それなのに、何回も何回もやった議論をここでまたやるんですか、しかし。
 (発言する者あり)いや、大事なことだけれども、これ経済についての集中じゃないの。
 でも、それで、大事なことと言われたって、総理大臣として大事な仕事だってたくさんあるんですよ。それなのに、今ここに来て、自由民主党がまだ出してもいない草案自体を、草案として発表していますよ、でもそれを今、国会で発議もしていないわけでありますから、それをしかしここで審議をするということというのは、経済問題についてもうやることはなくなっているんだというふうに私はまず理解させていただいて答えさせていただきたいと、このように思います。
 今回の改正では、この十三条について、公共の福祉ということについて、意味が曖昧である公共の福祉という文言を公益及び公の秩序と改正することによって、憲法によって保障される基本的人権の制約は人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明らかにしたものであります。
 なお、公の秩序と規定したのは、反国家的な行動を取り締まることを意図したものではもちろんありませんと、こういうことであります。公の秩序とは社会秩序のことであり、平穏な社会生活のことを意味するわけでありまして、個人が人権を主張する場合に他人に迷惑を掛けてはいけないのは当然のことであります。そのことをより明示的に規定しただけであり、これにより人権が制約されるものではないということを、自由民主党のまさにこのQアンドAに書いてあるとおりでございますので、このとおり素直に理解をしていただければよろしいのではないかと思います。

 福島みずほ君
 もちろん読んでいますよ。自民党新憲法草案を政権党として、これは野党時代ですが発表していて、これが極めて重要だからですよ。憲法は最高法規でしょう。これがまさに大だから聞いているんです。
 そして、公益及び公の秩序によって制限できるということは、こうなんですよ。何によって基本的人権が制限できるのか、それがはっきりできなくなるわけですよ。これは立憲主義に反する、つまり、多数決の民主主義によって選ばれた政府、国会によっても、これは多数決によっても制限できない基本的人権がある、それが立憲主義の考え方です。でも、この自民党新憲法草案は、多数決で、国会の法律によって、あるいは内閣の法律によって公益及び公の秩序という概念を使えば幾らでも制限できる、国民を縛るものなんですよ。これだと基本的人権はなくなってしまう。
 大日本帝国憲法は法律の留保によって権利を保障していました。だから、幾らでも法律を作った。治安維持法やいろんな法律を作って、権利は最後なくなってしまいました。この自民党新憲法草案もそうだから問題にしているからです。表現の自由や結社の自由が制限される、そんな社会は駄目なんですよ。

 立憲主義に関して、憲法は政府を縛るものである。しかし、これは国民を縛る憲法なんですよ。
 だって、国民の憲法尊重擁護義務、あるいは公益及び公の秩序に従う義務、家族協力義務など、国民を縛るものなんですよ。この日本国憲法草案は国際人権規約にも明確に反している、基本的人権の考え方に本当に反していると思います。
 総理、集団的自衛権の行使に関して、ずっと歴代の政府は、解釈改憲でもできない、集団的自衛権の行使はできないとしてきました。それを総理は解釈改憲で認めようとしている。それは問題だと思います。明確に違憲ではないですか。

 委員長(石井一君)
 時間が来ております。
 総理も答弁をされておりますが、今日は経済財政の集中審議をしておりますが、総理大臣、最後に一言、締めくくってください。次に移ります。

 内閣総理大臣(安倍晋三君)
 自由民主党は憲法改正草案を自信を持って提出をしております。
 憲法審査会でじっくりと議論をしていただきたいと思います。

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