福島みずほのどきどき日記

集団的自衛権、袴田事件について質問

法の支配と集団的自衛権、袴田事件について4月21日(月)の参議院決算委員会で質問しました。議事録の速報版をアップしましたので、皆さん是非ご覧ください!


○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 まず、谷垣大臣にお聞きをいたします。
 先日、法律家のパーティーの中で法の支配の貫徹ということをおっしゃいました。法の支配の貫徹、法の支配とは何でしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 大変難しい御質問ですが、法の支配には幾つか要素があると思います。
 余り細かく申し上げるのは差し控えますが、一つは、やっぱりプロセスの重視ですね。デュープロセスということがあると思います。それからもう一つは、私は、権力も法に服すると。細かに申し上げると切りがありませんが、私は、法の支配というときはその二つを重視したいと思っております。

○福島みずほ君 憲法九十九条がまず国務大臣に憲法尊重擁護義務を課している。これも今大臣のおっしゃる法の支配ということの一環ということでよろしいでしょうか。
   〔委員長退席、理事熊谷大君着席〕

○国務大臣(谷垣禎一君) 法の支配ということでいいのかどうか分かりませんが、どこか結び付く観念だろうと思います。

○福島みずほ君 日本国憲法九条はどのような行為を禁止しているとお考えでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、度々御答弁申し上げておりますが、憲法の解釈や憲法、基本法、私の所管ではないと考えております。
 もちろん、私が法務大臣として仕事をしますときに、その限りにおいて、憲法との適合性を判断しなければなりません。そういう意味で、私は憲法解釈も全く関与しないとは申しませんが、今の憲法九条になりますと、内閣の中で担当の方はほかにいらっしゃると思います。

○福島みずほ君 法務省は、ミニストリー・オブ・ジャスティス、正義の役所ですし、それから法にのっとってどこよりもやるところだと思います。尊敬する大先輩、法律家としても先輩、尊敬しておりますので、九条はどのような行為を禁止しているとお考えか、教えてください。

○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、ここで体系的に申し上げる能力はございません。
 私の立場は、ここでも繰り返し申し上げておりますが、憲法九条に関しては、累次、内閣法制局長官の答弁や場合によりましては質問主意書に対して閣議決定してお答えしている、あるいは、過去を見ますと内閣の統一見解を求められている場合があると。そういった見解も細かに見ますと、時代によって少しずつ推移があると私自身は感じておりますが、私は閣僚として、そういう過去の閣議決定、そういったものに縛られております。

○福島みずほ君 集団的自衛権の行使は憲法九条の下でできない、これは現時点までにおける長年の確立された見解ですが、それでよろしいですね。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今までの閣議決定なり内閣法制局の長官はそういうことで整理されてきたと考えております。

○福島みずほ君 個別的自衛権と集団的自衛権は定義が違いますよね。つまり、法の支配ということは、定義によって決まる。法律はまさに定義の学問ですから、三段論法で、集団的自衛権と個別的自衛権は量的差異ではないということでよろしいですね。

○国務大臣(谷垣禎一君) 量的という今の意味はよく分かりませんが、その辺りは法制局長官なり、何らかが詰めておられるのじゃないかと思います。

○福島みずほ君 これは二〇〇四年一月二十六日の質問に対して秋山法制局長官が量的概念ではないと答えているんですが、それでよろしいですね。

○国務大臣(谷垣禎一君) 法制局長官がお答えなんだから、そうだろうと思います。

○福島みずほ君 日本国憲法下で集団的自衛権の行使はできないという見解であるとおっしゃいましたが、集団的自衛権の行使は日本国憲法下でなぜできないんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは私、最近の解釈を細かに見たことがございませんので、ここで自信を持って御答弁するわけにはまいりません。
 ただ、私、ちょうどサダム・フセインがクウェートに侵攻した頃、防衛政務次官をやっておりまして、当時何を日本ができるかということを検討したときに、もう、ですから、今から考えると二十年ぐらい前でしょうか、検討したことはございます。
 それで、何でしたっけ。つい話が脱線しちゃって。

○福島みずほ君 なぜ集団的自衛権の行使は日本国憲法下でできないか。

○国務大臣(谷垣禎一君) それは論理としては、多分当時の論理は、日本国憲法九条は必要最小限の防衛力は、ラフに申し上げますと、必要最小限の自衛力は認めている。それで、必要最小限イコール個別的自衛権という組立てであったと思いますが、その細部の表現は正確には記憶しておりません。

○福島みずほ君 集団的自衛権の行使は必要最小限度ではないということで、日本国憲法下では行使できないというのが、確立されてきた戦後の自民党の、あるいは政権の見解です。
 私は、違憲のことは合憲にできないと考えています。安保法制懇の第一次の報告書、第二次における、まああれは議事録がありませんで資料と議事要旨ですが、全部読みました。しかし、なぜ違憲が合憲になるのかという説明はありません。必要だからとか、そういうことしかないんですね。法律家としては、必要だからではなく、定義に当てはまるか当てはまらないか、憲法にとってどうか、この議論をすべきだと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど申し上げたことの繰り返しになりますが、内閣を代表して私がお答えする立場にあるとは思っておりません、今の集団的自衛権の解釈の問題ですね。一般論として申し上げますと、私は、長い間に解釈の変更を認めざるを得ない場合、あるいは認める余地が出てくる場合、そういうことは一般論としては否定できないと思っております。

○福島みずほ君 でも、これはまた度重なる質問主意書や答弁で、憲法九条の解釈については、解釈改憲では駄目で、明文改憲でやるべきだとたくさんの答弁がありますが、これは維持されるということでよろしいですか。
   〔理事熊谷大君退席、委員長着席〕

○国務大臣(谷垣禎一君) その辺は今いわゆる法制懇で議論しておりますので、私は過去のその閣議決定などに縛られていることは事実でございますが、これからどうしていくのか、どういう結論を出すのか、今の段階では、今までの過去の閣議決定等々に縛られているということだろうと思います。

○福島みずほ君 過去の閣議決定と過去の答弁は未来も拘束します。未来は拘束しない政府の見解などあり得ません。政治は現在と未来を拘束するものだと思います。
 冒頭、法の支配を貫徹するとおっしゃいました。それが大事ですよね。デュープロセスと、それから、いかに権力者であろうが憲法に従わなければならない、法に従わなければならない。でなければ憲法は無意味になります。
 法の支配ということであれば、定義それからそれに基づく日本国憲法下で集団的自衛権の行使はできない、これは法理論として変更できないと考えますが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) この法理論の問題も、私は内閣を代表してお答えする立場にはないと思っております。ただ、先ほど申し上げましたように、一般論としては、長い間に憲法の解釈を変える必要が出てくる、また変えなければならない場合もないとは言えないと思っております。

○福島みずほ君 この憲法解釈については、自民党政権、ごく最近も、二〇〇〇年代も解釈改憲では駄目だという答弁書、質問主意書や答弁を出しています。これは生きると考えますが、いかがですか。あるいは、谷垣さんの法の支配とはその程度のものなんですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 最近の答弁なのかどうか、私は十分二〇〇〇年代に入っての答弁は検討しておりません。また、検討してこの参議院の決算委員会でお答えする立場にもないと思っております。
 その程度かという挑発的な御質問をなさいましたけれども、私は、解釈というのは多様にあり得ると思っております。そういう、多様にある、政府内でも、何というんでしょうかね、閣議決定が出るまでは多様な議論があり得るものだと、このように思っております。

○福島みずほ君 多様じゃないんですよ。この集団的自衛権の行使は、政府見解では、日本国憲法下で集団的自衛権の行使はできない、これは一貫して確立されたものです。しかも、これは解釈では変えられないと言ってきたわけです。いろんな解釈がありますよではない。憲法の解釈は一義的です。集団的自衛権と個別的自衛権の定義は、政府の見解で明確です。
 ですから、その点についていえば、私は逆に谷垣さんに頑張ってもらいたい。谷垣さんに頑張ってもらいたい、そう思います。どうですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 頑張ってくれと言われると大変うれしいような気がしないでもございませんが、私は、先ほど来繰り返して申し上げておりますように、憲法の解釈というのは一義的だと福島さんおっしゃったけれども、やっぱり必ずしも一義的ではないと私は考えております。

○福島みずほ君 自民党政権は、一義的にこうだと言ってきたんですよ、集団的自衛権の行使はできない。
 憲法学者の中で、小林節教授のおっしゃることでいえば、二人しか集団的自衛権の行使が日本国憲法下でできると言っている人はいません。ほとんどの、ほとんどの憲法学者、たくさんいますが、ほとんど全部の憲法学者が集団的自衛権の行使は日本国憲法下でできないとしています。法律家の頭でいえば、どんなに逆立ちしても、どんな論理構成をしても、平和主義である日本国憲法下で集団的自衛権の行使、他国防衛のための武力行使はできません。だから、法の支配なんです。だから、定義です。
 法律は、定義に当てはまるかどうか、三段論法でやるじゃないですか。まさに法務大臣所管の刑法だって、構成要件に当たるかどうか、それを厳密にやって裁判をやるわけです。構成要件に該当しなければ無罪じゃないですか。まさにその作業が重要であって、法の支配とは憲法に本当に合致するかどうか、その定義や解釈を法にのっとって、憲法にのっとってやらなければ、憲法が死ぬということです。
 今、実は、安全保障の問題ではなく、法の支配、立憲主義ということが私たちの国で維持できるかどうかが問われている、そのときだと思っています。立憲主義とは何か、もう一度お答えください。

○国務大臣(谷垣禎一君) 繰り返しになりますが、私は、今の刑法もお挙げになりました、刑法の解釈はもちろん厳密でなければなりません。しかし、刑法の解釈も長い間に解釈を変える余地はあるんだと思います。ですから、そこのところは私と福島さんで法律の見方、法律の解釈論が少し違うように思いますね。

○福島みずほ君 解釈がいろいろあるという中で、自民党政権はかつて、というか今までずっと、憲法九条、集団的自衛権の行使と、解釈改憲では認められない、憲法の安定性がこれでは壊れるというふうに言っているわけです。大臣もかつて、憲法の安定性というのは極めて重要だということを記者会見でおっしゃっています。今日質問しているのは、記者会見でいろんなことをおっしゃっているので、そのことについて質問をしたかったからです。
 立憲主義とは何か。法の支配とは何か。今まさに法の支配を貫徹すべきときであり、それは個人として、法律家として、議員として、国務大臣として、私たち一人一人が、そしてまた閣僚たちもそのことが問われるというふうに考えています。
 次に、袴田事件についてお聞きをいたします。
 袴田さんが四十八年ぶりに釈放をされました。二〇〇〇年代、保坂さんは彼に会えたんですが、私は、ほかの議員と東京拘置所に行って、実は会うことができませんでした。
 袴田さんの事件は、ある意味本当に痛ましい。四十八年間、なぜ外に出れなかったのか。長期の勾留、代用監獄の問題と自白偏重、証拠開示されず、証拠が捏造された可能性があると裁判所で言われるような証拠の採用の問題、証拠開示がされてこなかったという問題。これについて、大臣、反省すべき点があるんじゃないでしょうか。いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 三月二十七日に静岡地裁がおっしゃったような決定を出したことは事実です。しかし、これも裁判所の判断ですから、私は個別の裁判所の判断を論評するようなことは差し控えます。

○福島みずほ君 では、東電OL殺人事件や村木さんの事件、それから、パソコンの遠隔操作で何と四人のうち二人がもう自白を、やっていないのに自白をしてしまう。あるいは布川事件、たくさんの事件が例えばある。もっと言えば、四つの死刑確定囚が死刑台から生還したことがある。たくさんの事件があって、たくさん冤罪とされて、この中でなぜ刑事司法、刑事改革はできないんですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 新しい時代の刑事司法の在り方ということで今議論を始めていることは事実でございます。

○福島みずほ君 代用監獄の問題についてお聞きをいたします。
 袴田さんは、彼はずっと無実だと言い続け、当初から無実と言い続け、一日平均十二時間、最も長いときは十六時間を超えるような厳しい取調べを受けたと、場合によっては暴力を受けたのではないかとされています。袴田さんは、勾留期限の三日前、逮捕されて二十日目に、パジャマを着て犯行を行ったなどと自白をさせられています。新聞記事を出していますが、何と、彼が死刑確定囚となったときには、自白調書四十五通のうち四十四通もの、任意性がないとして不採用になっている。こんな事件って、もうほとんどの書面が任意性がないとされたにもかかわらず、確定判決で死刑になった。
 この代用監獄の問題に関して、拷問禁止委員会、それから国際人権規約B規約の勧告で代用監獄について見直せと言われていますが、これについていかがでしょうか。

○政府参考人(林眞琴君) 平成十九年六月一日から施行されました刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律におきまして、この被勾留者等について、刑事施設に収容することに代えて、警察に設置された留置施設に留置がすることができると、このようにされているわけでございます。
 この制度趣旨でございますけれども、これは代替収容と呼ばれておりますが、代替収容制度は、これまでの代用刑事施設制度というものにつきまして、これが我が国の刑事司法制度の下で現に役割を果たし、大半の被勾留者が代用刑事施設に留置されていることを踏まえまして、その存続を前提としてこれに制度的な改善を加えて、被収容者の適正な処遇を図るために整備したものとされております。
 こういったことから、この新しい平成十九年の法律に基づきまして、で認められておりますこの代替収容制度というものを廃止するということについては、現実的でないと考えております。

○福島みずほ君 たくさんの冤罪事件を生んできた反省が全くないですよ。
 人は、二十三日間勾留されたら、自白を本当にしてしまう可能性がある。身柄の拘束の期間が、警察の拘束の時間が長過ぎますよ。だから、例えば、パソコンの遠隔操作でも四人のうち二人が自白する。みんな自白したくてするんじゃないんですよ。もう大変で、ある意味拘禁性ノイローゼになる人もいるし、その中で自白をする。国際機関から、B規約、拷問等禁止委員会から勧告が出ていることを日本政府は重く受け止めるべきだと思います。
 袴田事件について一つ、済みません、ちょっと話が戻って済みませんが、一点だけ質問いたします。
 袴田さんは、二〇〇〇年代、もう一歩も外へ出ないというか、精神的にもすごく良くない状況になっていて、心神喪失で刑の執行をすべきではないかと言われていた事案です。これ、一件も今まで死刑の執行は執行停止になっていないんですが、心神喪失の場合には死刑の執行を停止できる、これについて大臣、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 刑事訴訟法の四百七十九条に、今委員がおっしゃったように、「死刑の言渡を受けた者が心神喪失の状態に在るときは、法務大臣の命令によつて執行を停止する。」と、こうなっております。

○福島みずほ君 今まで一度もそれはなされていないんですよ。でも、実際、すごく重い病気になったり、袴田さんの場合は一時期、私は神であるとか、東京拘置所はもうなくなったとか言っているときがあり、しかも死刑の執行を非常に恐れて、だまされるんじゃないかと。死刑の場合は日本は事前告知しませんから、朝連れていって処刑を、朝というか、その日に連れていきますから、彼は、面会者、お姉さんの秀子さんが行こうが、私たちが行こうが、あるときからもう一歩も外へ出ないというか、外に出なくなっちゃったんですね。それは、私は、死刑の執行の恐怖から、部屋からやっぱり出てだまされて処刑されたくないという恐怖心があったんだと思うんです。
 死刑の執行の停止、袴田事件こそ本当はやるべきだったんじゃないですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、私は個別の死刑確定者の精神状況がどうであるかというようなことはコメントはしないことにしております。

○福島みずほ君 私は、警察と検察と裁判所と法務省がやっぱりこれを放置してきたと思いますよ。裁判所が、袴田事件で静岡地裁が証拠が捏造された可能性があると言ったのは物すごいことですよ。おかしいということはずっと言われ続けてきた。彼は、もし今回、裁判所が釈放という、こうならなければ、処刑されていたかもしれないんですよ。本当にひどい話だと思います、四十八年間。
 大臣、死刑の問題に関して、冤罪事件が、これ冤罪かどうかはまだ再審開始してから決まることですが、こんな事件がある。やっぱり日本で冤罪が起こり得る、間違った死刑の処刑が起こり得る、これについてどう思われますか。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、今更、福島委員に申し上げることはありませんけれども、きちっと、特に死刑判決が出るようなものは必ず必要的弁護ですね、それから三審制の下で議論をされる、こういうことでございますから、確かに人間のやることでございます、畏れを持ってやらなければいけないことは事実だと思いますが、私は制度的にはいろいろな担保ができていると考えております。

○福島みずほ君 だって、袴田さんのは、これ、地裁が証拠が捏造された可能性があると言った事案で、彼、処刑されていた可能性がある事案なんですよ。実際、冤罪あるじゃないですか。四人の人間が、四つのケースで死刑台から生還したが、本当に四つだけなのか。彼らは物すごい支援者や物すごい弁護団の頑張りで再審が認められたけれども、それがなければ処刑されていたかもしれないわけです。これはきちっとやっぱり考えなければ、それから死刑を本当に日本でやっていいのか、これ考えるべきだと思います。
 私は、諸外国でいろいろ冤罪等が起きると、根本的な、イギリスであれ、根本的に制度の改革が行われるじゃないですか。日本はなぜそれがされないのかというふうに思います。
 次に、証拠開示についてお聞きします。
 東電OL殺人事件も、その証拠が出ていれば早く冤罪が立証されたと言われている。そして、袴田事件もDNA鑑定以前の問題です。Bというのが、これは実は寸法ではなくて、サイズではなくて色だったということが認定される、これがちゃんとその資料が証拠として出ていれば無罪が立証できたんですよ、彼ズボン履けないから、サイズが合わないから。
 こういう問題に関して、たくさんの事件でようやく証拠開示が、再審請求あるいは裁判所の裁量の中で出てきて無罪となるというのがようやくあるわけですが、証拠開示、全面証拠開示すべきではないですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 委員がおっしゃったのは、全面開示をせよとおっしゃっているわけですね。
 それで、これは現行制度を導入した司法制度改革のときにも相当長時間を掛けて議論されたと記憶しております。被告人側の主張が明らかでない段階で全ての証拠を開示することは、争点及び証拠の整理が十分にされなくなるなどの弊害が当時指摘をされまして採用されなかったと。そこで、平成十六年の刑事訴訟法改正によりまして、公判前整理手続における争点及び証拠の整理と関連付けまして、一つは類型証拠ですね、検察官請求証拠の証明力を判断するために必要な一定の類型の証拠、それからもう一つは被告人側の主張に関連する証拠、これを段階的に開示する現行制度が導入されたわけでございますが、この制度下で被告人の防御の準備のために必要かつ十分な証拠は出てくることになったと私は思っております。
 それで、法制審議会の新時代の刑事司法制度特別部会、これが昨年一月に基本構想を作りました。この中でも、現行制度の運用状況に鑑みて、段階的な証拠開示制度の枠組みは改める必要はないとされているところでございます。

○福島みずほ君 全面的証拠開示せよと拷問等禁止委員会や国際人権規約B規約の勧告で言われていますよね。今だって裁判所、なかなか出てきませんよ。これはプライバシーの問題だとかいって、なかなか出てこない。
 じゃ、逆にお聞きしますが、個別的な事案じゃなくても、ゴビンダさんの事件、東京電力OL殺人事件や、袴田さんのように捏造である可能性があると言われる事件や、布川事件や様々な事件、反省はないんですか。反省はないんですか、こういうのに。

○国務大臣(谷垣禎一君) これは、大きな意味では、新しい時代の刑事司法をどうつくっていくかという中でいろんな議論を闘わせていただいているということでございます。
 それからあと、個別の今お挙げになった事件での証拠の評価等については、私は感想を申し上げるのは差し控えたいと存じます。

○福島みずほ君 いや、ちょっと残念ですよ。
 法務省って、ミニストリー・オブ・ジャスティスじゃないですか。別に検察官庁じゃない。法務省で、ジャスティスを実現するところの役所であって、やはりこの冤罪、あるいは証拠が開示されなかったが理由に冤罪を立証できなかったという、証拠が捏造されたり隠されてきたということが明らかなわけじゃないですか。ゴビンダさんのケースも袴田さんの事件も、様々なケース、本当に四十八年間返してくれですよ、袴田さんからすれば。それに関して、どうしてそこで何かやっぱりこれはしなくちゃいけないというふうに法務省は思わないんですか。身を乗り出して改革しなければ駄目でしょうと思うんですが、どうですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほども申し上げておりますように、かなり今の類型証拠や何かを出してくると、これでかなり制度は整ってきたと、証拠開示について、私は考えております。
 それから、反省はないのかということでございますが、今、可視化等々についても議論が進んでいる。それで、法務省というところは、個別のやはり、何というんでしょうか、捜査、個別の公判、それに法務大臣が簡単に指図をすべきものではないと私は思っております。むしろ、それは捜査なり公判の立場から証拠をそれぞれ独自に評価して運営すべきものだと私は考えております。

○福島みずほ君 私が反省すべきだと言ったのは、こういう問題があるからこそ、代用監獄の問題、自白強要の問題、証拠開示の全面開示をするという制度的なことを法務省が率先して身を乗り出すべきだということなんです。審議会でやっておりますって、安保法制懇じゃないんだから、ちょっと違いますが、審議会にということではなく、身を乗り出してほしいということなんです。
 捜査の可視化についてお聞きをいたします。
 今おっしゃるとおり議論しておりますが、「それでもボクはやってない」の周防正行監督、それから村木厚子さん、今厚労省の事務次官ですが、五人の委員、非法律家の皆さん五人が法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会に対して、新時代の刑事司法制度特別部会取りまとめについての意見を、三月七日、出していることは御存じのとおりだと思います。ここで、捜査の可視化に関して、全面的証拠の可視化をやってほしいと。つまり、裁判員制度だけにしたら村木さんの事件やPC遠隔操作事件も痴漢事件なども対象にならないし、それから、部分的な捜査の可視化であれば都合のいいときだけ出てくるから、全面的捜査の可視化をやってほしいと言っています。
 私、村木厚子さんや周防監督の言うこと、そのとおりだと思います。これ、生かしてくださいよ。どうですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今のお二人も入っていただいて議論をしていただいているわけですね。
 私は、今答申をお待ちしている立場ですから、こういう結論を出せと言うような立場ではございません。私は、やはりバランスの取れた結論を出していただきたいと思っております。

○福島みずほ君 バランスの取れた結論ではなく、二度と冤罪を生まない、そんな結論を出すべきではないですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) そのためにいろいろ可視化等々、何ができるか議論していただいているわけですね。

○福島みずほ君 せっかく審議会に入ってもらって、当事者のこれ悲痛な叫びじゃないですか、捜査のための全面可視化をやってくれって。呼んで、そして皆さんの意見をお聞きしますといって、いや、部分的にしかやりません。部分的になんて駄目ですよ。都合のいいとき、自白始めたときからだけ捜査の可視化をしては駄目で、全面的捜査の可視化をしなければ。その方が捜査機関にとってもいいんですよ。別に自白強要していない、拷問もしていないし、明らかになるわけだから、それはやってくださいよ。ここまで冤罪が出て、ここまで議論して、それができないというのだったら、本当にそれは残念です。
 谷垣さん、是非、バランスの取れたなんて言わず、だって、この審議会、この部会そのものが村木さんの事件を踏まえて、二度と冤罪を生まないということでスタートしたわけでしょう。それだったら、それを生かしてくださいよ。入った人たちがこうやって出さなくちゃいけないというのは、物すごく危惧を持っているからです。全面的捜査の可視化、これを全件についてやってくださるように心から要望をいたします。
 次に、ヘイトスピーチについて申し上げます。
 これは、人種差別等禁止委員会から、ヘイトスピーチについて日本政府が対応せよというふうに言っております。これがまだ全然何もやっていないんじゃないか。ビデオで見て、実際現場でのヘイトスピーチに本当にびっくりしました。
 京都の朝鮮学校に対するヘイトスピーチ、みんなが詰めかけてやったケースに関しては、刑事事件として有罪の確定判決、民事としてもこれは慰謝料がちゃんと認められるというふうになっている。にもかかわらず、ヘイトスピーチが続いているということは、これは何とかしなければならない。これはやっぱりある意味政府の責任というふうにも思いますが、いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) ヘイトスピーチの対応の仕方というのはいろいろだと思うんですね。一つ、今、福島さんがおっしゃったように、それが名誉毀損であったり、いろいろな不法行為に当たるものであれば、明らかに損害賠償であると、こういうことだろうと思います。
 それで、今、福島さんがおっしゃったことは、何というんでしょうか、一般的なヘイトスピーチに対する立法を作れと、こういう御意見ですか。これは、どこが刑法に値するかというのは私は十分にまだ分かっていないと思います。もちろん、今私どもは人権擁護行政というものを持っております。それで、ここの仕事は何かというと、一種のADRみたいなもので、まだその権利性とか侵害性がはっきりしていない中でどういうふうに持っていったらいいかという、今、苦労、苦労というか、それを対応している最中ですね。私は、そういう中でしっかりいろいろ議論をして方向性を見付けていく。まだ、じゃ、言論の自由とかそういう問題もありますから、どういう取締りを、立法を作ったらいいのかということもまだ余り明確に問題点は整理されていないと思っております。

○福島みずほ君 先ほどの民事は千二百二十六万円の慰謝料請求を認められたと。
 しかし、裁判やるのって本当に大変じゃないですか。私は、そのヘイトスピーチもさることながら、日本に根深くある人種的な差別の問題も根本的に変えなければならないと思っています。
 人種差別禁止法。例えば障害者差別禁止条約に日本は批准をして、障害者差別解消法がありますよね。女性差別撤廃条約批准して、男女共同参画社会基本法や雇用機会均等法がある。人種差別禁止条約に日本批准しているけれども、それを実現するような人種差別禁止法がない。是非そういうものを、法務省、今から検討してほしい。いかがですか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 今やっておりますのは、とにかくこういう問題はまず啓発活動は大事だということで、かなり啓発活動は徹底的にやっております。
 私も国会で何度かこのヘイトスピーチに関して危惧を表明いたしまして、そういったものは常にホームページに上げております。それから、学校等々で相当何度も、こういう人権あるいは外国人の人権という問題で人権擁護行政と一緒になってやらせていただきました。また、そのほかいろいろやっております。
 それで、どういう法的な対応が必要かというのはこれからよく見ていかなければなりませんが、私は仮に、今委員がおっしゃる障害者差別禁止法みたいなものをこの分野で考えるとなると、相当総合的な議論が必要だろうと思います。したがいまして、今どういう法的規制が必要なのかということをいろいろ探っている状況と、こういうふうに申し上げます。

○福島みずほ君 是非よろしくお願いします。
 私は、朝鮮学校の授業料の無償化を日本政府がしないことやいろんなことが、そういうふうなことをしなくてもいいんだというふうにメッセージをやっぱり与えているんじゃないかと、逆に日本政府自身がそのヘイトスピーチや差別をつくっているんじゃないかという気もしています。是非その点もよろしくお願いします。
 司法支援センター、矯正、刑務所、入管についての予算、決算を多年度にわたっていただきました。横ばいか若干微増なんですね。是非、法テラス、刑務所、入管への予算、決算、ここ充実させていただきたい。大臣、一言お願いします。

○国務大臣(谷垣禎一君) やはりこの分野は人が必要なんですね。それで、最近は少し、こういう治安とか入管等々、人が必要だということで少しずつ増やしていただいたりしておりますが、なかなか今の政府全体の中で予算を確保するのも大変ですが、人を確保するというのはこれまたなかなか大変なんです。努力いたしたいと思います。

○福島みずほ君 よろしくお願いします。
 終わります。

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