
◆1月26日(金) 参議院本会議で代表質問をしました。
その答弁の速報版を下記に貼り付けますので、お読み下さい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島みずほ議員にお答えをいたします。
森友学園への国有地売却、加計学園による獣医学部新設についてお尋ねがありました。
森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
報道された音声データを含め、現場でのやり取りについては、これまでも説明してきたところですが、今後、国会の場において、財務省など関係省庁からしっかり説明させていただきます。
加計学園の獣医学部新設の計画を私が知った時期に関する御指摘の答弁等については、昨年夏の閉会中審査及びさきの特別国会において、改めて整理の上で御説明をさせていただいたとおりであります。
構造改革特区における今治市の提案について、私は実際には全く認識しておりませんでしたが、その対応方針は私が本部長を務める構造改革特区本部で決定しているところから、知り得る立場にあったことを申し上げようとしたものであります。
国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことだと思います。
税制の在り方についてお尋ねがありました。
所得税については、安倍内閣において、これまで最高税率の引上げ等を講じてきたところです。
今般の見直しにおいても、働き方の多様化を踏まえるとともに、所得再分配機能の回復を図る観点から各種控除を見直し、その結果、税収増となりますが、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっているなど、家計への配慮を行っています。
法人課税については、過去最高の企業収益をしっかりと賃上げや設備投資につなげていくため、賃上げ等に積極的な企業の税負担を引き上げる一方、収益が拡大しているにもかかわらず投資に消極的な企業には優遇税制の適用を停止するなど、めり張りを付けた見直しとしています。
また、御指摘の消費課税の増収は、主にたばこ税の見直しによるものですが、これは厳しい財政事情を踏まえて税率を引き上げることとしたものであり、税率の引上げに当たっては、消費者の負担が急激に増えることとならないよう、三回に分けて段階的に実施することとしております。
いずれにせよ、税制の在り方については、公平、中立、簡素の三原則の下、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ判断してきたものであり、今後もこうした観点から検討してまいります。
税金の使い方についてお尋ねがありました。
防衛関係費については、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守るため、必要となる予算を計画的に編成しています。
社会保障については、国民の皆様のニーズに的確に応え、地域の医療、介護、福祉といった必要なサービスはしっかり確保できるように予算を計上しています。
これらの予算については、厳しい財政状況に鑑み、それぞれ必要となる事業に必要な額を計上しているところであり、間違った使い方を行っているという御指摘は当たりません。
生活保護基準の見直しについてお尋ねがありました。
今回の見直しでは、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに、一般低所得世帯の消費の実態と生活保護基準額との乖離を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じるものです。
一方、モデル世帯である夫婦子一人世帯では、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではありません。
また、減額となる世帯への影響を緩和するため、減額幅を最大でも五%以内としつつ、三年を掛けて段階的に実施することにしています。
生活保護の母子加算についてお尋ねがありました。
今回の見直しでは、母子加算の見直しは行いますが、児童養育加算の支給対象者を高校生に拡大するなどにより、母子世帯の約六割では基準額が増額となる見込みです。例えば、地方に暮らす母一人、中学生と高校生の子供二人の母子世帯の場合、年間で十一万一千円の増額となります。
また、大学等への進学準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の給付を創設します。さらに、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費の減額を取りやめるなど、生活保護世帯の子供に対する支援を強化してまいります。
外国に対する援助についてお尋ねがありました。
外国を訪問して表明する援助には民間資金を含む場合もあり、支援の対象となる地域も様々です。例えば、ヨルダンに行き、ヨルダンの人道支援について額を公表します。また、例えばその後、エジプトのカイロで中東地域全体の人道支援の額を公表します。それは、それぞれ重複しているものでありますし、また、国連において人道支援全体について私が表明したものは、このヨルダンに行ったもの、あるいは中東地域について行ったもの、世界全体で行っているものが全部重複をしているということになるわけでございまして、異なる時期に表明されているわけでありまして、表明した金額を単純に足し上げると、同じ援助が何重にも重複して計算されることとなります。
したがって、単純に金額を足し上げた議員御指摘の五十四兆三千六百二十一億円は、民間資金と重複計算により額が膨大に膨らんでおり、極めて誤解を招く数字です。
そこで、二〇一二年から二〇一六年までの五年間の外務省のODAの年平均は約五千七百億円でありまして、五年間の総額は、五年間の総額は今言われたように、今言われたようにですね、これは五十四兆ではなくて二兆八千五百億円であります。(発言する者あり)
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 雇用と社会保障についてお尋ねがありました。
アベノミクスにより、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百八十五万人増加し、正規雇用についても、平成二十七年、八年ぶりにプラスに転じ、平成二十八年と合わせて七十九万人増加し、この増加幅は非正規を上回っています。
また、非正規雇用を取り巻く雇用環境について、不本意ながら非正規の職に就いている方の割合は十五四半期連続で前年から低下、働き盛りの五十五歳未満では、十九四半期連続で非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っていますなど、着実に改善しています。
さらに、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い賃上げが四年連続で実現し、家計の可処分所得が三年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
今後とも、生産性革命と人づくり革命の二つの大改革を断行することによって、経済の成長軌道を確かなものとし、雇用環境の整備に全力で取り組んでまいります。
なお、平成二十七年に成立した労働者派遣法改正法については、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものです。施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。
社会保障については、所得の低い方々について保険料を軽減するなどの配慮を行っています。さらに、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージに基づき、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換していくことで、安心できる社会基盤を確立し、成長と分配の好循環を実現してまいります。
働き方改革についてお尋ねがありました。
働き方改革は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための、労働基本制定以来、七十年ぶりの大改革です。
過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
働く方の健康の確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など、様々な事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務です。
そのため、労使が合意すれば上限なく時間外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働の限度を設けます。具体的には、時間外労働の上限は、月四十五時間、かつ、年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めています。
また、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制度の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するつもりであり、一つの法案でお示しすることが適当と考えています。
米軍ヘリの事故、沖縄県議会の決議及び普天間の辺野古移設についてお尋ねがありました。
戦後七十年以上を経た今もなお、なぜ沖縄だけが大きな基地の負担を背負い、また、米軍の事故、事件により安全、安心が脅かされているのか、そのような沖縄県民の方々のお気持ちは十分に理解し、また、真摯に受け止めています。
米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。安全の確保については、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
昨年十一月に沖縄県議会が米側への抗議を全会一致で決議したことは、重く受け止めています。沖縄の海兵隊については、安倍政権の下、米議会に対する凍結解除の働きかけなどにより、約九千人の要員がグアム等国外へ移転する計画が本格的に進展してきています。
一方、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力及びその中核である海兵隊の存在は極めて重要です。
住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。辺野古への移設が実現すれば、飛行経路は海上となり、安全性は格段に向上します。
辺野古への移設は、最高裁判所の判決に従って進めているものです。引き続き、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきます。
今後とも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしていきます。
憲法九条とその改正についてお尋ねがありました。
我が国は、戦後、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないように決意し、不戦の誓いを立てました。恒久の平和は日本国民の念願です。平和主義は憲法の基本原則であり、憲法第九条は平和主義の理念を具体化した規定であると考えています。
平和安全法制においては、集団的自衛権の限定的な行使を容認することとしましたが、憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであり、憲法に合致したものです。
国会の憲法審査会において議論される憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
憲法改正は、国会で発議し、最終的には国民投票で国民が決めるものであります。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。
性暴力被害者への支援、選択的夫婦別氏、児童虐待対策、LGBT差別解消についてお尋ねがありました。
性暴力被害者への支援については、既に、男女共同参画基本計画に基づき、病院拠点型を始め、四十一の都道府県においてワンストップ支援センターが設置されているところであり、引き続き、更なる設置促進と安定的な運営に対する支援を充実させてまいります。
夫婦の別氏の問題は、家族の在り方と深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから、慎重な対応が必要と考えております。
児童虐待については、決して許されるものではなく、児童相談所や警察など関係機関が連携して、発生予防、早期発見、迅速、的確な対応などに引き続き全力で取り組んでまいります。
性的指向や性自認については、その正しい理解を促進し、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進めてまいります。
なお、御党の御提案については、国会において御議論いただければと思います。
脱原発についてお尋ねがありました。
徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針です。
その上で、資源に乏しい我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。
原発の稼働差止めを命じる広島高裁決定については、国は当該裁判の当事者ではなく、同決定についてのコメントは差し控えますが、原発については、いかなる事情よりも安全性の確保が最優先であります。
政府としては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。
また、我が国の原子力に関わる国際協力は、我が国の原子力技術、人材の基盤を維持強化していくことを通じ、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に我が国としてしっかりと責任を果たしていくとの観点に立ち、行うものであります。ただし、英国における原発建設計画については、現時点で、政策的支援を含め、具体的に何らかの決定がなされた事実はありません。
核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組を主導していく使命を有しています。
一方、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の進展は、我が国の平和と安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっています。政府には、何よりも国民の命と平和な暮らしを守り抜く責任があります。そのためには、日米同盟の下で、通常兵器に加えて核兵器による米国の抑止力を維持していくことが必要不可欠であります。
核兵器禁止条約は、核抑止そのものを否定しており、北朝鮮が参加するという見通しもありません。政府としては、核兵器禁止条約に参加することはできません。
政府としては、現実の安全保障上の脅威に的確に対処しながら、唯一の戦争被爆国として、米国を含む核兵器国と非核兵器国双方に働きかけ、双方の橋渡し役として主導的役割を務めることにより、現実的な観点から核なき世界を実現するための努力を積み重ねてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田聖子君) 福島議員にお答えいたします。
まず、性暴力被害者への支援についてお尋ねがありました。
性犯罪や性暴力は、女性の人権を著しく踏みにじる、決して許されない行為です。
政府では、性犯罪・性暴力被害者への支援について、第四次男女共同参画基本計画及び第三次犯罪被害者等基本計画に基づき、関係省庁が連携して各般の施策を推進しています。
具体的には、被害者の負担をできるだけ少なくするため、被害直後から医療面、心理面などの支援を可能な限り一か所で提供するワンストップ支援センターを全国各地に整備することとしており、現在四十一都道府県で設置されています。
今後とも、男女共同参画基本計画等に基づき、今年度創設した性犯罪・性暴力被害者支援交付金を活用し、支援センターの全国整備の推進とその安定的な運営を図るなど、引き続き、性犯罪・性暴力被害者支援にしっかりと取り組んでまいります。
次に、選択的別姓を認めるべきだと考えるがいかがかとのお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度については、平成八年の法制審議会の答申を受け、同年及び平成二十二年に民法等の改正法案を準備しましたが、国会に提出することができなかったと承知しています。
この問題は、国民の間に様々な意見があることから、最高裁判決における指摘や国民的議論の動向を踏まえながら、法務省において対応の検討を続けられている状況と承知しており、今後一層議論が深まることを期待しています。
なお、旧姓の通称としての使用の拡大については、女性活躍加速のための重点方針二〇一七等に基づき、マイナンバーカード等への旧姓併記の推進、旅券への旧姓併記の拡大に向けた検討、銀行口座における旧姓使用に向けた働きかけ等の取組を進めています。
次に、子供に対する全ての暴力をなくす政策を取るべきだとのお尋ねがありました。
子供を含め、女性に対する暴力を根絶するためには、暴力を生まないための予防教育を始めとした暴力を容認しない社会環境の整備等に取り組んでいくことが重要であり、内閣府としても、女性に対する暴力の根絶に向けた理解を深めるための周知啓発を充実させてまいります。
最後に、LGBT差別解消についてのお尋ねがありました。
この問題に関して、内閣府特命担当大臣として閣内でお答えする立場にありませんので、答弁は控えますが、政府の考え方は、総理からお答え申し上げたとおりです。(拍手)
その答弁の速報版を下記に貼り付けますので、お読み下さい。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島みずほ議員にお答えをいたします。
森友学園への国有地売却、加計学園による獣医学部新設についてお尋ねがありました。
森友学園への国有地売却に関しては、今後ともしっかりと説明をしていかなければならないと考えています。
報道された音声データを含め、現場でのやり取りについては、これまでも説明してきたところですが、今後、国会の場において、財務省など関係省庁からしっかり説明させていただきます。
加計学園の獣医学部新設の計画を私が知った時期に関する御指摘の答弁等については、昨年夏の閉会中審査及びさきの特別国会において、改めて整理の上で御説明をさせていただいたとおりであります。
構造改革特区における今治市の提案について、私は実際には全く認識しておりませんでしたが、その対応方針は私が本部長を務める構造改革特区本部で決定しているところから、知り得る立場にあったことを申し上げようとしたものであります。
国会における審議の在り方については、国会においてお決めいただくことだと思います。
税制の在り方についてお尋ねがありました。
所得税については、安倍内閣において、これまで最高税率の引上げ等を講じてきたところです。
今般の見直しにおいても、働き方の多様化を踏まえるとともに、所得再分配機能の回復を図る観点から各種控除を見直し、その結果、税収増となりますが、子育て世帯等に配慮することにより、九六%の給与所得者は負担増とならない見込みとなっているなど、家計への配慮を行っています。
法人課税については、過去最高の企業収益をしっかりと賃上げや設備投資につなげていくため、賃上げ等に積極的な企業の税負担を引き上げる一方、収益が拡大しているにもかかわらず投資に消極的な企業には優遇税制の適用を停止するなど、めり張りを付けた見直しとしています。
また、御指摘の消費課税の増収は、主にたばこ税の見直しによるものですが、これは厳しい財政事情を踏まえて税率を引き上げることとしたものであり、税率の引上げに当たっては、消費者の負担が急激に増えることとならないよう、三回に分けて段階的に実施することとしております。
いずれにせよ、税制の在り方については、公平、中立、簡素の三原則の下、経済社会の情勢の変化等も踏まえつつ判断してきたものであり、今後もこうした観点から検討してまいります。
税金の使い方についてお尋ねがありました。
防衛関係費については、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、国民の生命、財産、我が国の領土、領海、領空を守るため、必要となる予算を計画的に編成しています。
社会保障については、国民の皆様のニーズに的確に応え、地域の医療、介護、福祉といった必要なサービスはしっかり確保できるように予算を計上しています。
これらの予算については、厳しい財政状況に鑑み、それぞれ必要となる事業に必要な額を計上しているところであり、間違った使い方を行っているという御指摘は当たりません。
生活保護基準の見直しについてお尋ねがありました。
今回の見直しでは、年齢、世帯人員、地域を組み合わせた世帯特性ごとに、一般低所得世帯の消費の実態と生活保護基準額との乖離を是正するため、基準額が上がる世帯、下がる世帯が生じるものです。
一方、モデル世帯である夫婦子一人世帯では、一般低所得世帯の消費水準と生活扶助基準とがおおむね均衡しており、生活扶助基準を全体として引き下げるものではありません。
また、減額となる世帯への影響を緩和するため、減額幅を最大でも五%以内としつつ、三年を掛けて段階的に実施することにしています。
生活保護の母子加算についてお尋ねがありました。
今回の見直しでは、母子加算の見直しは行いますが、児童養育加算の支給対象者を高校生に拡大するなどにより、母子世帯の約六割では基準額が増額となる見込みです。例えば、地方に暮らす母一人、中学生と高校生の子供二人の母子世帯の場合、年間で十一万一千円の増額となります。
また、大学等への進学準備の一時金として、自宅から通学の方は十万円、自宅外から通学の方は三十万円の給付を創設します。さらに、自宅から大学等に通学する場合に行っていた住宅扶助費の減額を取りやめるなど、生活保護世帯の子供に対する支援を強化してまいります。
外国に対する援助についてお尋ねがありました。
外国を訪問して表明する援助には民間資金を含む場合もあり、支援の対象となる地域も様々です。例えば、ヨルダンに行き、ヨルダンの人道支援について額を公表します。また、例えばその後、エジプトのカイロで中東地域全体の人道支援の額を公表します。それは、それぞれ重複しているものでありますし、また、国連において人道支援全体について私が表明したものは、このヨルダンに行ったもの、あるいは中東地域について行ったもの、世界全体で行っているものが全部重複をしているということになるわけでございまして、異なる時期に表明されているわけでありまして、表明した金額を単純に足し上げると、同じ援助が何重にも重複して計算されることとなります。
したがって、単純に金額を足し上げた議員御指摘の五十四兆三千六百二十一億円は、民間資金と重複計算により額が膨大に膨らんでおり、極めて誤解を招く数字です。
そこで、二〇一二年から二〇一六年までの五年間の外務省のODAの年平均は約五千七百億円でありまして、五年間の総額は、五年間の総額は今言われたように、今言われたようにですね、これは五十四兆ではなくて二兆八千五百億円であります。(発言する者あり)
○議長(伊達忠一君) 静粛に願います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君)(続) 雇用と社会保障についてお尋ねがありました。
アベノミクスにより、国民生活にとって最も大切な雇用は大きく改善しており、就業者数は百八十五万人増加し、正規雇用についても、平成二十七年、八年ぶりにプラスに転じ、平成二十八年と合わせて七十九万人増加し、この増加幅は非正規を上回っています。
また、非正規雇用を取り巻く雇用環境について、不本意ながら非正規の職に就いている方の割合は十五四半期連続で前年から低下、働き盛りの五十五歳未満では、十九四半期連続で非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っていますなど、着実に改善しています。
さらに、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い賃上げが四年連続で実現し、家計の可処分所得が三年連続で増加するなど、全国津々浦々で確実に経済の好循環が生まれています。
今後とも、生産性革命と人づくり革命の二つの大改革を断行することによって、経済の成長軌道を確かなものとし、雇用環境の整備に全力で取り組んでまいります。
なお、平成二十七年に成立した労働者派遣法改正法については、正社員を希望する方にその道が開けるようにするとともに、派遣を積極的に選択している方については待遇の改善を図るものです。施行状況についてはしっかりと注視し、その目的が達成されるよう努めてまいります。
社会保障については、所得の低い方々について保険料を軽減するなどの配慮を行っています。さらに、昨年十二月に閣議決定した新しい経済政策パッケージに基づき、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、我が国の社会保障制度をお年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと大きく転換していくことで、安心できる社会基盤を確立し、成長と分配の好循環を実現してまいります。
働き方改革についてお尋ねがありました。
働き方改革は、一人一人の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現するための、労働基本制定以来、七十年ぶりの大改革です。
過労死、過労自殺の悲劇を二度と繰り返さない。強い決意で長時間労働の是正に取り組みます。
働く方の健康の確保を大前提に、ワーク・ライフ・バランスを改善し、子育て、介護など、様々な事情を抱える方々が意欲を持って働くことができる社会に変えていく。こうした社会を実現するために、労働時間法制の見直しが急務です。
そのため、労使が合意すれば上限なく時間外労働が可能となる現行の仕組みを改めます。史上初めて、労働界、経済界の合意の下に、三六協定でも超えてはならない罰則付きの時間外労働の限度を設けます。具体的には、時間外労働の上限は、月四十五時間、かつ、年三百六十時間と法律に明記します。その上で、労使が合意した場合でも上回ることができない上限を年七百二十時間とし、その範囲内において、複数月の平均では八十時間以内、単月では百時間未満と定めています。
また、高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制度の見直しや時間外労働の上限規制は、いずれも、健康を確保しつつ誰もがその能力を発揮できる柔軟な労働制度へと改革するつもりであり、一つの法案でお示しすることが適当と考えています。
米軍ヘリの事故、沖縄県議会の決議及び普天間の辺野古移設についてお尋ねがありました。
戦後七十年以上を経た今もなお、なぜ沖縄だけが大きな基地の負担を背負い、また、米軍の事故、事件により安全、安心が脅かされているのか、そのような沖縄県民の方々のお気持ちは十分に理解し、また、真摯に受け止めています。
米軍の運用に当たって、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはなりません。安全の確保については、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきます。
昨年十一月に沖縄県議会が米側への抗議を全会一致で決議したことは、重く受け止めています。沖縄の海兵隊については、安倍政権の下、米議会に対する凍結解除の働きかけなどにより、約九千人の要員がグアム等国外へ移転する計画が本格的に進展してきています。
一方、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力及びその中核である海兵隊の存在は極めて重要です。
住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の一日も早い全面返還は、もはや待ったなしの課題です。固定化は絶対に避けなければなりません。これが大前提であり、政府と地元の皆様の共通認識であると思います。辺野古への移設が実現すれば、飛行経路は海上となり、安全性は格段に向上します。
辺野古への移設は、最高裁判所の判決に従って進めているものです。引き続き、丁寧な説明に努め、御理解、御協力が得られるよう粘り強く取り組んでいきます。
今後とも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の方々の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に全力を尽くしていきます。
憲法九条とその改正についてお尋ねがありました。
我が国は、戦後、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないように決意し、不戦の誓いを立てました。恒久の平和は日本国民の念願です。平和主義は憲法の基本原則であり、憲法第九条は平和主義の理念を具体化した規定であると考えています。
平和安全法制においては、集団的自衛権の限定的な行使を容認することとしましたが、憲法との関係では、昭和四十七年の政府見解で示した憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません。これは、砂川事件に関する最高裁判決の考え方と軌を一にするものであり、憲法に合致したものです。
国会の憲法審査会において議論される憲法改正の内容について、私が内閣総理大臣としてこの場でお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。
憲法改正は、国会で発議し、最終的には国民投票で国民が決めるものであります。各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、憲法審査会において、議論を深め、前に進めていくことを期待しています。
性暴力被害者への支援、選択的夫婦別氏、児童虐待対策、LGBT差別解消についてお尋ねがありました。
性暴力被害者への支援については、既に、男女共同参画基本計画に基づき、病院拠点型を始め、四十一の都道府県においてワンストップ支援センターが設置されているところであり、引き続き、更なる設置促進と安定的な運営に対する支援を充実させてまいります。
夫婦の別氏の問題は、家族の在り方と深く関わるものであり、国民の間に様々な意見があることから、慎重な対応が必要と考えております。
児童虐待については、決して許されるものではなく、児童相談所や警察など関係機関が連携して、発生予防、早期発見、迅速、的確な対応などに引き続き全力で取り組んでまいります。
性的指向や性自認については、その正しい理解を促進し、社会全体が多様性を受け入れる環境づくりを進めてまいります。
なお、御党の御提案については、国会において御議論いただければと思います。
脱原発についてお尋ねがありました。
徹底した省エネ、再エネの最大限の導入に取り組み、原発依存度を可能な限り低減する、これが安倍内閣の一貫した方針です。
その上で、資源に乏しい我が国にとって、電気料金のコスト、気候変動問題への対応、エネルギーの海外依存度を考えれば、原発ゼロということは責任あるエネルギー政策とは言えません。
原発の稼働差止めを命じる広島高裁決定については、国は当該裁判の当事者ではなく、同決定についてのコメントは差し控えますが、原発については、いかなる事情よりも安全性の確保が最優先であります。
政府としては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めてまいります。
また、我が国の原子力に関わる国際協力は、我が国の原子力技術、人材の基盤を維持強化していくことを通じ、世界における原子力の平和利用、気候変動問題への対応に我が国としてしっかりと責任を果たしていくとの観点に立ち、行うものであります。ただし、英国における原発建設計画については、現時点で、政策的支援を含め、具体的に何らかの決定がなされた事実はありません。
核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の取組を主導していく使命を有しています。
一方、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の進展は、我が国の平和と安全に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっています。政府には、何よりも国民の命と平和な暮らしを守り抜く責任があります。そのためには、日米同盟の下で、通常兵器に加えて核兵器による米国の抑止力を維持していくことが必要不可欠であります。
核兵器禁止条約は、核抑止そのものを否定しており、北朝鮮が参加するという見通しもありません。政府としては、核兵器禁止条約に参加することはできません。
政府としては、現実の安全保障上の脅威に的確に対処しながら、唯一の戦争被爆国として、米国を含む核兵器国と非核兵器国双方に働きかけ、双方の橋渡し役として主導的役割を務めることにより、現実的な観点から核なき世界を実現するための努力を積み重ねてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田聖子君) 福島議員にお答えいたします。
まず、性暴力被害者への支援についてお尋ねがありました。
性犯罪や性暴力は、女性の人権を著しく踏みにじる、決して許されない行為です。
政府では、性犯罪・性暴力被害者への支援について、第四次男女共同参画基本計画及び第三次犯罪被害者等基本計画に基づき、関係省庁が連携して各般の施策を推進しています。
具体的には、被害者の負担をできるだけ少なくするため、被害直後から医療面、心理面などの支援を可能な限り一か所で提供するワンストップ支援センターを全国各地に整備することとしており、現在四十一都道府県で設置されています。
今後とも、男女共同参画基本計画等に基づき、今年度創設した性犯罪・性暴力被害者支援交付金を活用し、支援センターの全国整備の推進とその安定的な運営を図るなど、引き続き、性犯罪・性暴力被害者支援にしっかりと取り組んでまいります。
次に、選択的別姓を認めるべきだと考えるがいかがかとのお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度については、平成八年の法制審議会の答申を受け、同年及び平成二十二年に民法等の改正法案を準備しましたが、国会に提出することができなかったと承知しています。
この問題は、国民の間に様々な意見があることから、最高裁判決における指摘や国民的議論の動向を踏まえながら、法務省において対応の検討を続けられている状況と承知しており、今後一層議論が深まることを期待しています。
なお、旧姓の通称としての使用の拡大については、女性活躍加速のための重点方針二〇一七等に基づき、マイナンバーカード等への旧姓併記の推進、旅券への旧姓併記の拡大に向けた検討、銀行口座における旧姓使用に向けた働きかけ等の取組を進めています。
次に、子供に対する全ての暴力をなくす政策を取るべきだとのお尋ねがありました。
子供を含め、女性に対する暴力を根絶するためには、暴力を生まないための予防教育を始めとした暴力を容認しない社会環境の整備等に取り組んでいくことが重要であり、内閣府としても、女性に対する暴力の根絶に向けた理解を深めるための周知啓発を充実させてまいります。
最後に、LGBT差別解消についてのお尋ねがありました。
この問題に関して、内閣府特命担当大臣として閣内でお答えする立場にありませんので、答弁は控えますが、政府の考え方は、総理からお答え申し上げたとおりです。(拍手)

