福島みずほのどきどき日記

コップの中の争い

 国会の議員会館で、夕方、資料を読んでいると、電話が入る。「福田首相が午後9
時半から記者会見をします。会見の中身はまだ分かりません」ということである。

 辞職会見だろうということになる。去年9月、安倍晋三前首相も突然、政権を投げ
出した。デジャブュ(既視感)。まさか。ひどい。福田さんの記者会見も安倍さんの
記者会見も国民に対する謝罪の言葉はなく、国民に対する思いはまったく感じられな
い。国民投げ出し内閣。ポイッと投げ捨てられているのは国民ではないか。衆院選の
ために福田首相を辞めさせたい自民党と、政権を投げ出す福田さんの両方とも国民の
ことをまったく考えていないのではないか。

 かつてパチンコ屋さんの前に毎日「新装開店オープン」の花輪が飾ってあって、私
は通り掛かるたびに「今日も新装開店オープンなのかな」と、どこかおかしく思って
いた。

 自民党も「新装開店オープン」して、看板を付け替えて、選挙をするつもりなの
だ。支持率が上がったところで、ほとんど何もせず、ぼろが出ないうちに選挙をする
というシナリオ。国民も甘くみられているものであると、腹が立ってくる。看板を変
えても中身の政策が変わらなくては政治は変わらない。自民党はドッジボールの球を
絶対に外へは渡さないという執念だけで、政治をやっているようにも思える。

 今、全国を回っている。先日も沖縄に行き、タクシーの運転手さん、農業や漁業従
事者の意見を聞いた。

 当たり前だが、東京とはまったく違う。東京のタクシー運転手さんの年収は平均3
00万円をちょっと上回る。これでは子どもの教育費など本当に出せない。しかし、
沖縄のタクシー運転手さんの平均年収は180万円台。初乗りは500円で、燃費高
騰で、もうまったくやれない状況になっている。漁業関係者もそうだが、燃費を含め
たコスト高に仕事もできない状況になっている。

 北海道の北見市に行き、生協などで小売業者の話を聞いた。生活品がどれもこれも
高騰している。「北見は8月末から寒くなる。年間30万円ぐらい灯油代が掛かる。今
年の冬は高齢者の中で凍死者が出るのではないか」。そんな話も聞いた。北見赤十字
病院では、リウマチなどの内科医がいないと院長に聞いた。治療を受けるために旭川
や札幌に引っ越す人がいる、との話も聞いた。病院を求めて人口移動が起きているの
だ。

 千葉県の銚子市が、市立病院の閉鎖を決めた。多くの市民が反対をしているにもか
かわらず、である。総務省は「自治体病院改革ガイドライン」を作り、自治体病院の
集約化をしようとしている。集約化と言っているが、赤字の病院は撤退せよというこ
とである。

 地方財政が逼迫(ひっぱく)している折、国の助成を増やし、病院を確保すること
が必要なのに、今の政治は生きることの支援を放棄している。自民党総裁選では経済
政策をめぐり、「上げ潮」か「積極財政」かが問われるといわれている。しかし
「コップの中の争い」でしかない。対立軸は「新自由主義」か「社会民主主義」か、
である。政策転換のために、社民党は奮闘し、選挙で躍進をしたい。

【共同通信社会員制情報誌「Kyodo Weekly」09月15日号より】

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